著者
卜部 格 根来 誠司 島 康文 四方 哲也
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

競争的共存が起こる簡単化した系を用いて、タンパク質分子に対して変異と選択を繰り返すと、それをコードしている塩基配列や機能は変化することができるのだろうか。このことをE.coli内の1遺伝子であるグルタミン合成酵素遺伝子に対して変異と選択を繰り返す実験室内進化系を構築することによって観察した。そして、その遺伝子に対する分子系統樹を作成し、塩基配列および分子機能の変化過程を観察した。また、どの配列をもったものが全体の何割を占めるのかという情報から、集団構造の変化を示した。その結果、グルタミン合成酵素をコードする塩基配列と活性は集団内に2種類以上の異なった配列、違った活性を保持しながら変化し、多様化していくことが観察された。集団構造の変化から、それぞれの配列を持つ菌体の増殖速度は、集団がどういった配列を持ったもので構成されているかによって変化することが示された。さらに、実験室内進化系では、その時々の株を-80℃で保存することが可能である。そのため、一度実験室内進化系で消失した株をその後の変異と選択との繰り返しで残った集団と競争実験することが可能である。そこで、実験室内進化系の途中段階で消失した変異体と後の世代の集団と競争させた結果、実験室内進化系の途中で消失した株は、後の世代の集団と安定して共存した。このことは、個々の菌体が持つ増殖能が培養に用いた培地、温度等の外部環境によって決まっているのではなく、集団構造に依存して変化することをより強く示している。本研究では、E.coli内のグルタミン合成酵素に変異と選択をかけるサイクルを繰り返す実験室内進化系において、その酵素が多様性を保ちながら変化することが観察された。
著者
高橋 桂子 片岡 郁子
出版者
新潟大学
雑誌
新潟大学教育人間科学部紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:13442953)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.197-207, 2005-02

NEETや753現象に象徴されるように,今日の若者を取り巻く雇用情勢は極めて厳しい。大学生を対象としたキャリア教育全般について検討した本研究では,以下の2つの観点から考察を加えた。研究1では,アメリカの高校生を対象としたキャリア教育副読本『Succeeding in the world of work』を翻訳・内容を分析し,そこから日本の大学への新しいキャリア教育の内容・枠組み・指導のツールなどを提案する。研究2では,インターンシップの普及要因とその多様なあり方を紹介する。考察の結果,大学から社会にスムーズにより移行できるよう,自己理解を行い,社会人としての常識・基礎知識を獲得し,そして卒業後60年間にわたる社会人生活の中で自己の生活設計ができる「キャリア設計教育」を大学が独自の教育プログラムとして提案することは,大きな意義があることが明らかになった。
著者
金子 守恵
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

アフリカの人々による「ものをつくり・つかう方法(=技術)」が製作者と利用者のものと身体を介したコミュニケーションにより創造され続けていることをライフヒストリー法により描いた。個々の製作者が身体を介して試行錯誤し環境と独自の関わり方を見いだしていること、その視点を技術文化複合に加える重要性を提示した。個々人の技術的な差異に積極的な価値を付与していく事が内発的発展を展開する可能性につながると提起した。
著者
卯城 祐司 中川 知佳子 森本 由子 土方 裕子 渡邊 芙裕美 甲斐 あかり
出版者
全国英語教育学会
雑誌
ARELE : annual review of English language education in Japan (ISSN:13448560)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.201-210, 2008-03

There has been much research conducted to compare open-ended and multiple-choice tests from the viewpoints of construct and difficulty. However, almost no studies have examined the effects of question types in relation to test formats. Through two experiments, this study investigated how question types influence the difficulty of these two test formats. The results of Experiment 1 showed that question types affected item difficulty in open-ended tests; more specifically, thematic questions were the most difficult, followed by inference questions, and paraphrase questions were the easiest. In contrast, the result of Experiment 2, in which the same tests were conducted in the multiple-choice test format, revealed that item difficulty did not differ significantly by question type. In addition, we found that predictability of the results of the multiple-choice test was low compared to the open-ended test. Comparison of these two experiments suggested the importance of choice in the multiple-choice test. Close examination of choices indicated that overlap of words in correct choices and the text influenced the item difficulty.
著者
前田 豊
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.71-81, 2008-03-01

人間の特異潜在能力によって、不思議現象が発現することは、科学的にもその存在が証明されてきている。その原理やメカニズムとして幾通りかの説が提案されているが、必ずしも全ての現象を説明できるものではない。本発表では、時空間と意識を含む新しい多次元空間を仮説化し、各種の不思議現象をほぼ矛盾なく説明しうる「意識科学的宇宙論」の提言を行う。特に予言を含む超時間的な現象の説明を試みる。つまり、不思議現象は気によって起こされるが、気は意念であり、超極微的存在のために量子論の不確定性原理によって、時空間宇宙内で普遍的存在となり、太古から未来まで、また宇宙全体に希薄な分布状態で存在する情報と考えられる。人間の想念は、気となって意識空間(潜在意識層)に導通され、対象物と共鳴が生じたとき不思議現象を起こす。ユング説の集合無意識層は、意識空間に保存された情報であり、時空間と意識を加えた多次元空間の現象と考えるとよく説明できる。
著者
天野 忠幸
出版者
鳴門教育大学
雑誌
鳴門史学 (ISSN:09141383)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.27-47, 2012
著者
山内 直人 松永 佳甫 西出 優子 金谷 信子 石田 祐 田中 敬文 奥山 尚子
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

社会のダイバーシティ(多様性)が、ソーシャル・エクスクルージョン(社会的排除)をもたらすメカニズムを解明するとともに、ダイバーシティをポジティヴに評価・活用して、社会の活力維持につなげるための公共政策のあり方について研究を進めた。各国社会のダイバーシティおよびソーシャル・エクスクルージョンの状況と、各国の経済成長、起業、犯罪など、様々な社会経済パフォーマンスとの関係を定量的に分析した。
著者
柏木 仁
出版者
経営行動科学学会
雑誌
経営行動科学 (ISSN:09145206)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.235-244, 2005-07-31

This research note aims to produce a lead for future theoretical and empirical research projects on stewardship theory. In contrast to agency theory, which views human beings as opportunistic and self-interested, stewardship theory argues that people are self-actualizing and good stewards in nature, thus they are motivated to work hard for their company and to look after its interests and those of its shareholders. It is a relatively new management theory, and most of the empirical studies conducted to date have focused on corporate governance, i.e., relations between CEO duality/board compositions, and organizational outcomes, especially financial performance. However, more research is required to identify new constructs and their interactions, and to delineate theoretical details. The paper presents what we know about stewardship theory including psychological and structural components, literature reviews and implications for the future research from the perspective of integrating agency and stewardship theories.
出版者
東京盲唖学校
巻号頁・発行日
vol.明治33年末調, 1901
著者
篠原 諒 村田 英一 吉田 進 山本 高至 梅原 大祐 田野 哲 守倉 正博
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.37, no.9, pp.25-28, 2013-02-13

周波数利用効率を向上させる技術として提案されているマルチユーザMIMO伝送を行うシステムをハードウェアで実装し実験的に検討を行っている.屋内環境におけるマルチユーザMIMO伝送実験の研究は報告されているが,屋外環境における伝送実験の報告は少ない.マルチユーザMIMO屋外伝送実験を行うためにUSRP (Universal Software Radio Peripheral)を用いて移動端末を試作した.USRPはソフトウェア無線端末の一種であり,安価に入手可能かつ小型であるため,持ち出しが容易な移動端末が複数台必要なマルチユーザMIMO屋外伝送実験に適している.USRPの制御には汎用OSを搭載したPCと専用のドライバであるUSRP Hardware Driverを用いた.本稿では,移動端末の試作,特に周波数安定性や送受信タイミング管理,EVMにより評価した伝送特性を含む諸特性について述べる.
著者
坂本 比呂志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.96, no.7, pp.501-506, 2013-07-01

データをどれだけ小さくできるかという根源的な問いは,現在もデータ圧縮の主要テーマであり統けている.一方で,データ圧縮は時代とともに新しい価値を獲得してきた.例えば,文字列データを圧縮することで高速検索する理論が1990年代に提案され,様々な分野で活用されている.そして現代は,圧縮しなければならない巨大なデータ,圧縮データに高速アクセスするための理論,それを実現するハードウェアの全てがそろっている.そこで,文字列圧縮について解説し,初学者の道標としたい.
著者
自治館編輯局 編
出版者
文明堂
巻号頁・発行日
1902
著者
今島 実
出版者
The Sessile Organisms Society of Japan
雑誌
付着生物研究 (ISSN:03883531)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.23-27, 1980-12-20 (Released:2009-10-09)
参考文献数
2
被引用文献数
1