著者
櫻川 幸恵
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学マネジメント学部紀要 (ISSN:13481118)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.109-128, 2005-03-15

全要素生産性(TFP)の計測の方法として、Solow(1957)によるソロー残差がある。本稿では、Solowの研究と、その後のHall(1988、1990)やBasu and Fernald(1995)による、ソロー残差を用いたTFPの計測方法の修正を理論的に整理する。さまざまな規模に関する収穫の程度や市場の競争状態であるときには、生産額に対して粗生産額を用い、分配率に関しては費用ベースシェアを利用する方法が望ましいことが示される。
著者
八井田 收
出版者
国際ビジネス研究学会
雑誌
国際ビジネス研究学会年報 (ISSN:13480464)
巻号頁・発行日
no.14, pp.157-170, 2008-09-30

本研究は、半導体産業が「垂直統合型」から「水平分業型」の生産形態に移行し、さらにPC(パソコン)や携帯電話等の短い製品サイクルに対応するための「SCM型グローバル・ソーシング」に着目した半導体企業の調達戦略について考察を試みるものである。半導体はPCや携帯電話等のデジタル機器の中核デバイスとして位置付けされるが、これらの機器の急激な価格下落と短いプロダクト・ライフ・サイクル(PLC)に対応して、コストダウンとジャスト・イン・タイムを兼ねたSCM型グローバル・ソーシングによる供給が必要不可欠になっている。この市場環境に対して、半導体企業のSCM型グローバル・ソーシングの実態について検証を行った。顧客(=デジタル機器メーカー)確定注文納期が数週間であるのに対して、半導体企業の供給リード・タイムは2.5〜3ヶ月を要し、在庫リスクを抱えた見込み生産を余儀なくされるため、SCM型グローバル・ソーシングの機能は十分に達していないと考えられる。水平分業型の生産システムにおいて、不完全なSCM型グローバル・ソーシングの理由は、近年のように需要変動が大きく、PLCの短い用途で、専用のカスタムICを使うケースでは、不動在庫を抱えやすく、情報の一貫性がすべての生産機能が同一企業内である垂直統合型の企業に比べて、水平分業型では変量や優先順位の入れ替え情報が発生した場合には、対応(=生産の柔軟性とスピード)の脆弱性がさらに起こりうる。一方で、顧客と半導体企業とのパワー・バランスの不均衡も大きな要因である。顧客企業は最終製品の在庫の付加価値金額が圧倒的に高いため在庫を持ちたくない。よって、部品サプライヤーに対してジャスト・イン・タイムと価格低減を要求し、その対応能力を測りながら、サプライヤーを選別する自由度を持っている。半導体企業は、コスト低減のために大量受注する必要があり、また顧客からの継続採用が得られることを望む理由から、半導体企業は在庫リスクを抱えながらも顧客からの変量要求や優先順位の入れ替え要求を甘受せざるを得ない。今後、半導体のSCM型グローバル・ソーシングは、顧客と半導体企業とのパワー・バランスの不均衡を是正するため、顧客⇔半導体企業⇔ビジネス・パートナーの3者間でデマンド・プル型SCMを構築することが重要になる。そして、半導体の水平分業型モデルにおける調達活動は、SCM型グローバル・ソーシングを遂行目標とした戦略に基づき、ビジネス・パートナーに対して競争と協業の取引環境を形成することが必要である。

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著者
立石電機中央研究所資料室
出版者
立石電機
巻号頁・発行日
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著者
高橋 一郎
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 4 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.135-149, 2004-09

本論文の目的は, 「少年犯罪が凶悪化している」という通念を批判的に検討することにある。とりわけ,犯罪の「質」の問題に焦点を当てることにより, この通念に対する反論をおこなう。現在, この通念は, 社会一般に広く信じられているものである。しかし, この通念が必ずしも少年犯罪の実態を反映したものでないことは, 多くの研究者が指摘している。例えば, 犯罪統計で見る限り, わが国の少年凶悪犯罪の数は, 1950〜60年代には現在よりもずっと多かったのであり, この時期に比べれば, 現在の数値はおおむね低い水準で推移している。しかし, このような統計データに基づく議論には,一定の限界がある。「少年犯罪が凶葺化している」という主張がなされる場合, 犯罪の量的な増加だけでなく, 犯罪の質的な変化についてもしばしば言及されているからだ。すなわち, 近年の少年凶悪犯罪は, その手口や動機において, かつての少年犯罪にはなかった「凶悪な」特徴が見いだせる,というものである。この主張に対して, 統計データに依拠する従来の犯罪研究は, 十分に反論しえない, と思われる。以上のような状況をふまえ, 本論文では, 1950〜60年代のわが国における代表的な少年犯罪の事例をとりあげ, その内容について検討をおこなう。そして, その検討により, かってはなかったとされる少年犯罪の特徴の多くが, 1950〜60年代においてすでに存在していたことを明らかにする。これにより, 「少年犯罪が凶悪化している」という通念が, 質的変化の観点からも妥当ではないことを示す。
著者
桑村 信博 谷口 研二 浜口 智尋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.221-228, 1994-05-25
被引用文献数
25

単一電子トンネル現象では個々の電子の動きそのものに意味があり電流という概念はほとんど意味をなさないため,この現象を応用した回路の解析には従来からの回路シミュレーションの手法が適用できない.そこで我々は個々の電子の動きを扱うことのできるモンテカルロシミュレータを作成し,このシミュレータを利用してTucker^(1)によって提案されている疑似CMOSインバータ回路の過渡的な動作特性を評価した.その結果,負荷容量の値によって疑似CMOSインバータ回路の出力が異なってくることがわかった.また動作速度についても,1aFの容量をもったトンネル接合が精度良く作製できれば約10psの伝達遅延時間が可能であるという結果を得た.更にインバータ出力分布の標準偏差を調べることにより,インバータ回路を集積化した場合の動作温度の限界について定量的な考察を行った.
著者
比良 輝夫
出版者
北海道教育大学
雑誌
語学文学 (ISSN:02868962)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.21-28, 1997-03
著者
Nakazawa Akihiro Mitani Takuji Saito Ryo Kakuta Satomi Awaya Yoshio Iehara Toshiro Hori Shuji
出版者
森林計画学会
雑誌
Journal of Forest Planning (ISSN:1341562X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.125-136, 2007
参考文献数
22
被引用文献数
2 2

Article 3.3 of the Kyoto protocol obligates nations to report reduced amount of carbon dioxide (CO_2) emission, and allows including CO_2 absorption by Afforestation (A), Reforestation (R), and Deforestation (D) activities to the amount of carbon accounting. So it is necessary to clarify ARD location after the end of 1989. The primary objective of this study is developing a forest area mapping method using satellite images. We applied two classification methods, Decision Tree Classification (DTC) and Spectral Shape Classification (SSC) to classify forest area using a Landsat Thematic Mapper image over a test site in Higashi-Shirakawa village in Gifu Prefecture. An automatic binarization of digital number of a band (band 3 or band 7) and the normalized difference vegetation index was applied in DTC. The accuracy was evaluated using a ground truth map which was produced using aerial orthophotos by a visual interpretation, and DTC gave a slightly more accurate result than that of SSC. The binalization using band 3 showed better classification between forest and non-forest area than that using band 7. Moreover, DTC was better than SSC in classifying forest and non-forest area using two Enhanced Thematic Mapper Plus images in a validation of classification stability. Therefore, we concluded that DTC gave more stable results than SSC.
著者
Masatoshi Osawa
出版者
(社)日本化学会
雑誌
Bulletin of the Chemical Society of Japan (ISSN:00092673)
巻号頁・発行日
vol.70, no.12, pp.2861-2880, 1997 (Released:2006-06-20)
参考文献数
102
被引用文献数
588

Molecules adsorbed on evaporated thin metal films exhibit enormously strong infrared absorption. The thin metal films that exhibit the surface-enhanced infrared absorption (SEIRA) consist of metal particles much smaller than the wavelength of light. Electric field associated with the incident infrared radiation is enhanced via the excitation of localized plasmon of the particles, yielding the absorption enhancement. Preferential orientation and the change in absorption coefficient of molecules caused by chemisorption onto the metal surface provide additional enhancement. Most characteristic observations in SEIRA experiments are well explained by a simple electromagnetic theory. The infrared spectroscopy utilizing the SEIRA effect is promising as a new surface analytical tool. In particular, it is very useful for in situ studies of electrode/electrolyte interfaces. By the combined use of the attenuated-total-reflection technique, reactions and adsorption/desorption of molecules at the interfaces can be investigated at a high sensitivity without the interference from the bulk solution. The high sensitivity of this technique enables dynamic (or time-resolved) infrared monitoring of reactions and other time-dependent phenomena at the electrochemical interface at time-resolutions ranging from microseconds to milliseconds. Two-dimensional correlation analysis of time-resolved spectra highlights certain useful information that is not clearly seen in the usual one-dimensional spectra.
著者
平尾貴四男 著
出版者
河出書房
巻号頁・発行日
1947
著者
大矢 慎吾 佐藤 昭夫
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.178-184, 1978-08-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
17

穿孔米を発生させるイネゾウムシは8月中∼下旬に羽化し,割れ籾を食害する。このような早期羽化要因を解明するため,蛹化に及ぼす落水の効果,土壌水分含量の差違と蛹化,幼虫の生存とイネの根の役割,素寒天培地を用いて幼虫の寄生実態の観察および現地水田における羽化時期の年次変動について調査し,最近のイネゾウムシ発生生態の変動要因について考察した。1. 湛水条件下で蛹化は認められず,落水によって蛹化した。長期の湛水条件によって老熟幼虫は経日的に死亡する傾向が認められた。2. 土壌水分含量が減少するほど蛹化は促進された。蛹化可能な限界土壌水分条件は地下水位10cm,pF0.8,水分含量80%前後であった。3. 湛水条件下では,イネの根が無いと幼虫は死亡する。透明な素寒天培地を用いた観察では,幼虫は根のまわりに集まり気門を根に接触させて生存しており,根を呼吸源として利用していた。4. 落水による気相の増加は,イネの根から土壌中の酸素利用へと幼虫の呼吸源の転換を可能にしているものと思われる。5. 上越地方では8月第1半旬には蛹化できる老熟幼虫となっていたが,1976年は8月上旬以降の多量の降雨によって蛹化が遅れ,幼虫越冬も認められた。6. 羽化時期は土壌の水分含量に影響を与える要因によって変動した。変動要因として落水時期をはじめとする水管理方法,8月上旬以降の降水量,暗渠設備,地下水位の高さ,土質などが考えられる。7. 北陸地方では1970年ごろより収穫作業機械の利用面積が急激に増加し,刈り取り時期に水田の地耐力をつよめることが稲作農家の大きな目標となった。そのため早期落水をはじめ水管理方法が変化してきた。暗渠設備や水管理方法の変化が早期に蛹化条件を整え,羽化時期を早め,穿孔米を発生させる大きな要因の一つであると思われる。
著者
馬場 秀子 桑原 伸夫 岩下 嘉光
出版者
(社)日本蚕糸学会
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.99-106, 1997-04-28 (Released:2010-07-01)
参考文献数
12
被引用文献数
1

天蚕胚の初期から中期における胚発育過程での外部形態の変化を走査型電子顕微鏡で観察した。各発育段階の微細構造から頭部形態形成の特性を明らかにした。胚は産卵後, 12時間で頭摺と尾褶の分極化が認められた。36時間には, 大腮, 小腮及び下唇原基の分化が進行し,下 咽頭の形成が始まった。頭葉の両側前端に視葉域が認められた。48時間では, 上唇や触角原基の発達が顕著となり, 60時間後には胚の短縮が始まった。72時間後には反転期となり, 単眼原基が認められ, 反転完了後に下咽頭は消失し, 触角, 小腮肢原基が上を向き, 頭・胸・腹部の境界が明瞭となった。さらに毛瘤形成, 剛毛形成を経て, 産卵後, 約10日 (240時間) で幼虫の外部形態形成は完了した。
著者
川島 英之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.37, pp.25-28, 2009-03-27

本稿ではDEIM'09 BoF セッション 「e-Science に関する 30 の質問」 の様子を簡単に報告する.同セッションでは国内から気鋭の若手研究者ならびに学生らを招き,e-Science という新しい分野について忌憚のない議論を交わすことでその本質を明らかにしようと試みた.議論の結果,e-Sciece がエキサイティングであり幅広い分野の既存科学と結びついている反面,いまだその核となる技術が不明確であるため今後深く考えられる必要があろう,という結論が得られた.This paper reports the result of discussion in the BoF session "30 questions about e-Science" which was held on DEIM'09. In that session, brilliant young researchers and students were invited, and they discussed about a new research field e-Science. The result of discussion acquired the following clear conclusions. (1) The e-Science is an exciting research field, and it is related to wide range of conventional scientific fields. (2) Unfortunately core academic topics are still unclear, and should be deeply considered.
著者
マリンズ ジェームズ L.:著 加藤 多恵子:訳
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.810-815, 2008 (Released:2008-03-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1

研究コミュニティ特に科学技術分野において,eサイエンスが最近出現した。データ集合を使って計算機のシミュレーションを通して生物学,化学,物理学などの原理を試験できるようになったのである。世界中の科学の分野データ集合を共有し,利用できるいくつかのeサイエンスプロジェクトが出現した。一つの科学分野が誕生したのだともいえる。これら大型科学でのデータ共有例はナノテクノロジー分野で見られる。このデータ集合のアクセスを,現在から将来にわたり提供する必要性をコントロールすることが,eサイエンスでは肝要である。ここでは図書館学,アーカイブ科学の原理が適用されよう。eサイエンスを促進するために,ライブラリアンには新しい役割を確立する必要が求められる。例えばライブラリアンは図書館学と科学技術両分野での教育を受ける必要がますます求められるなど,対処すべき事柄は多い。(本抄録は翻訳者が作成した)
著者
稲葉 敬之 千葉 勇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.574, pp.13-18, 2006-01-20
被引用文献数
2

本論文では送信波としてFMCW波を用いたマルチスタティック測位・測速法を提案する. 提案法では, 従来の時間遅延計測に基づくパルス方式に比べ, 正確な時刻同期を必要とせず, また狭帯域の受信局にて3次元目標位置座標, および従来法では困難であった3次元目標速度成分の推定が可能であることを示す. また, 具体的な数値例(距離50km程度, 飛行目標, 入力S/N=-25dB, に対し送信10GHz, 掃引帯域100MHz, 受信機帯域2MHz程度, 観測時間30msec)により, 特に水平面座標に関しては有効な推定が可能(水平面位置座標, 速度成分の推定誤差がそれぞれ約27m(横方向最大), ±3km/h程度)であることを示す.
著者
阪上 晃庸
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.543-543, 1990

当講座[第5回]「多様化するオンライン検索システムへの対処」の本文中に誤りがありましたので, 下記の通り訂正しお詫びします。<BR>p440左段下から3行目より同最終行まで<BR>誤:DIALOGでは, データベースへの登録日の新しいものが自動的に残されるように処理している。<BR>正:DIALOGのOneSearchでは, 最初から優先データベースをユーザが指定して, 出力できるようになっている。
著者
大盛 善啓
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.182, pp.69-74, 2009-08-24
参考文献数
10

大きさが未知の物体を探す照合(スケールフリーテンプレート照合と呼ぶ)を高速化する手法を提案する.入力画像の解像度を少しずつ変更しながら大きさが既知の物体を探すテンプレート照合を繰り返せば大きさが未知の物体を探索できる.膨大な回数の照合が必要なのでスケールフリーテンプレート照合は計算コストが非常に大きい.入力画像の解像度を粗く変更すれば高速化できるが探索漏れが発生する問題があった.そこで提案手法では,類似度が小さい場合は粗く,類似度が大きい場合は細かく入力画像の解像度を変更して高速化する.画像から抽出した正規化色ヒストグラムのヒストグラム重なり率で類似度を算出し,あらかじめ与えられたしきい値を類似度が超えない範囲で解像度を変更するため,提案手法では原理的に探索漏れが発生しない.本稿では,解像度の変化率の上限と下限を類似度から求める原理を導き,可変の変化率で照合するアルゴリズムを示す.同じ照合精度ならば提案手法は従来手法より1.5〜4.0倍高速で,同じ処理時間ならば照合誤差を1/3.0に低減できることを実験結果で示す.