著者
田巻 帝子
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

一般市民が日常生活のトラブルを未然に防ぐためや法的な問題に直面した際に適切な対応を自らとるために、その行動を支援するカナダや英国のPublic Legal Education(以下、PLE)の制度と実態について調査を行った。その結果、PLEとして多種多様な機関による活動が行われていること、カナダと英国では異なること、活動資金獲得などの問題を抱えていること等がわかった。国民が「自分のため」に司法参加する手段としてPLEは有効であり、既存のPLE活動類似の機関に考慮し、グローバル化する社会に対応するため外国人居住者や社会的弱者をも射程にいれて、日本独自のPLEを促進する必要があると思われる。
著者
藤川 賢治 太田 昌孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.260, pp.29-34, 2010-10-21

インターネットの大域経路表の増加を抑えるには、徹底した階層化アドレスと、経路制御に依らないマルチホームが必要である。経路制御に依らないマルチホームは、末端サイトだけで無く、中間レベルのISPやローカルISPが複数の上流からアドレス空間を取得し、それらを活用することで可能である。このようなマルチホームを我々はEnd-to-endマルチホームと呼んでいる。本稿ではEnd-to-endマルチホームを考慮しルータの手動設定を削減した階層的なアドレス割当プロトコルとしてHierarchical Automatic Number Allocation(HANA)プロトコルを設計し実装する。またDNSとの連携についても議論する。
著者
坪倉 誠
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

以下の6つの研究課題に取り組んだ.(1)簡易形状車体モデルを対象とした空力抵抗発生メカニズムの解明(2)吹き出し&吸い込み等の要素制御技術の数理モデル化(3)後ひき渦対の不安定性成長(4)簡易形状車体モデルを対象とした空力抵抗低減制御技術の提案(5)実走行状態における制御技術の効果検討(6)実車両形状モデルを対象とした戦略的空力抵抗低減制御技術の提案.簡易形状車体に対して,車両姿勢の動的変化を与えて,その空力応答特性を渦構造の非定常変化から明らかにした.この知見を実車セダン形状車体に適用し,抵抗や揚力の非定常変動と車両側面境界層や車体周りの渦構造を明らかにし,その抵抗抑制効果について考察した.

1 0 0 0 哲学の世界

出版者
培風館
巻号頁・発行日
1967
著者
森田 憲一 ALHAZOV Artiom
出版者
広島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

細胞膜計算システム(Pシステム)は、細胞内の物質の結合・解離や細胞間の物質の移動などを抽象化した計算モデルであり、自然計算(Natural computing)の一分野である。昨年度に続きこのシステムの諸性質、特に計算万能性に関する性質を明らかにするとともに、やはり自然計算の分野に属する可逆コンピューティングや保存的コンピューティングとの接点についての研究も行い、以下の結果を得た。1.Pシステム、特に多重集合書換システムと、それに対する可逆性の導入細胞膜が1つであるようなPシステムは、多重集合書換システムとして定式化できる。このようなシステムを計算万能性を保持したままどのように単純化できるかをいくつかの視点から明らかにした。一方、そのようなシステムに対して物理的な可逆性に相当する制約や決定性制約を加えた場合に計算万能となるための十分条件を与えた。2.可逆論理素子の計算万能性昨年度に示した、14種類の2状態3記号可逆論理素子がすべて計算万能になるという成果を大幅に拡張し、k>2の場合にはあらゆる2状態k記号可逆論理素子がすべて計算万能になるという結果を導いた。3.保存的セルオートマトンの近傍半径の縮小物質やエネルギーの保存則に相当する性質を持つセルオートマトンの近傍半径を1/2にまで縮小できることを証明した。これにより、この種のセルオートマトンも計算万能性を有することが結論できる。
著者
森田 憲一
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.496-502, 2012-04-15

可逆的な計算システムというのは,そのシステムのどの状態も,直前の時刻にとり得る状態を高々1つしか持たないようなシステムのことをいう.一見すると些細でつまらない性質のように見えるこの制約が物理的可逆性(時間の逆方向にも同じ法則が成立つという性質)と密接に関わっており,また計算におけるエネルギー消費の問題を考えるときに重要な役割を果たすのだ,ということをLandauer~(1961)が指摘して以後,この計算のパラダイムが注目されるようになった.本解説では,可逆的な計算機構が可逆的な論理素子によって,さらにはそれが可逆的な物理的システムによってどのように構成できるのかという問題を,理論的な可逆計算モデルに基づいて論じる.特に,可逆コンピューティングの世界にどのような新しい設計のアイディアがあり得るのかを例を用いて説明する.
著者
SAITO Tosihisa
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲 (ISSN:09155805)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.315-327, 1979-09-25

The Japanese female-brachypterous oecophorid species are revised. Two species, Diurnea cupreifera (BUTLER) n. comb. and Cheimophila fumida (BUTLER), are redescribed, and D. issikii is described as new. An account of the immature stages of D. cupreifera is given. Xenomicta MEYRICK is newly placed in synonymy with Diurnea HAWORTH.
著者
堀江 秀樹 伊藤 秀和 一法師 克成 東 敬子 五十嵐 勇
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.425-428, 2004 (Released:2008-03-15)
参考文献数
11
被引用文献数
7 13 3

キュウリの嗜好評価の上で,食感の評価が重要である.そこで,キュウリ果実の果肉部の肉質を評価する方法を提案した.本法では,キュウリ果肉部にプランジャーを貫入させ,プランジャーの先端が果肉中を移動する間の力の変化を記録した.プランジャー貫入中の力の変化を指標化し,CI(crispness index)とした.CIはプランジャーが果肉中を貫入する間にかかる力を2次微分し,その絶対値の和として計算した.CIはコリコリした食感のキュウリ果肉において高い値を示した.多くの果実の食感評価の指標として「硬さ(組織破断時の力)」が広く用いられてきたが,CIは「硬さ」とは異なる特性を表すものと考えられる.従来法による「硬さ」の測定ができれば,新たな装置を準備しなくともCIの測定が可能で,「硬さ」とCIを用いることにより,より精度の高いキュウリ果実の食感評価が可能になるものと期待される.
著者
上田 博 遊馬 芳雄 高橋 暢宏 清水 収司 菊地 理 木下 温 松岡 静樹 勝俣 昌己 竹内 謙介 遠藤 辰雄 大井 正行 佐藤 晋介 立花 義裕 牛山 朋来 藤吉 康志 城岡 竜一 西 憲敬 冨田 智彦 植田 宏昭 末田 達彦 住 明正
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.415-426, 1995-06-15
参考文献数
26
被引用文献数
11

2台のドップラーレーダーを主に用いた熱帯の雲やクラウドクラスターの観測を、TOGA-COARE集中観測期間内の1992年11月12日から約2カ月半に渡って、パプアニューギニア、マヌス島で行った。観測期間中に、スコールライン、クラウドクラスターに伴う対流雲や層状雲、及び、日中のマヌス島上に発生する孤立対流雲等の種々の異なるタイプの雲について、ドップラーレーダーで観測した。マヌス島における観測の概要と観測結果の要約について述べる。観測データについての解析結果の予備的な要約は以下の通りである。1)レーダーエコーの発達の初期には暖かい雨のプロセスが支配的であり、最大のレーダー反射因子はこの時期に観測された。2)エコー頂高度の最大は最初のレーダーエコーが認められてから3時間以内に観測された。3)レーダー観測範囲内における、レーダーエコー面積の最大値はクラウドクラスターの大きさに対応して最大のエコー頂高度が観測された時刻より数時間遅れて観測された。4)長時間持続する層状エコー内の融解層の上部に、融解層下層の上昇流とは独立した上昇流が観測された。これらの観測データを用いてさらに研究をすすめることにより、熱帯のクラウドクラスターの構造や発達機構を解明できると考えられた。
著者
上掛 利博
出版者
京都府立大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
2000

ノルウェー法務省警察局のリーネ・ナースネス氏によれば、個人番号は、住民統計をはじめ、納税、福祉、年金、医療のカルテ、保険、銀行口座、事業主、学校などで使われている。「個人番号のない人はノルウェーでは人ではない」といってもよい程、公的な部分の生活をカバーしている。警察は、あまり使っていない。名前と住所の他は、守秘義務があるのでアクセスすることは難しい。プライバシーを守る法律がある。ダイレクトメールにも決まりがある。個人番号は行政には便利なシステムである。市民の側は、個人番号の弊害にも「慣れた」といえる。また、家庭内暴力(DV)と個人番号制度には深い関係があって、離婚したり別居中の男性が、銀行や福祉事務所から女性の個人番号を聞きだしてシェルターに押しかけてきた例もあるので、本人があらかじめ住所を隠せるように手直ししたし、さらに、暴力を受けた女性や裁判中の犯人については、新しい番号に変えることができるように法律の改正を検討している。児童家庭省のアンネ・ハブノール氏によれば、1976年のブリュッセルの女性会議で、ノルウェーの女性運動家が参加して家庭内暴力に光を当て社会問題化した。シェルターにきた利用者は、名前や住所や個人番号を明かさなくても良い。弁護士、警察、福祉事務所がサポートする。子どもの権利と親の権利が対立し、母親が子どもの情報を出さないこともある。また、DVシェルター全国事務局のトーベ・スモダール氏によれば、1995年からの5年間にDVやレイプで40人の女性が殺され、恐怖を感じて自分の生命を守るために移動している女性が、彼女の元にも1,000人いるという。ノルウェーでの聞き取りで、個人番号制度は極秘の部分が多く、資料を送るのでそれを検討してから質問を受けるとされたこと、また福祉政策との関連ではDVの問題が大きいことは分かったが、税金や福祉事務所などでの実際の運用面の調査は今後の課題である。
著者
加藤 千枝 堀田 香織
出版者
埼玉大学教育学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教育学部
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.107-119, 2012

In this research, the author monitored the content of Internet postings by students at two public junior high schools, and exchanged information regarding the content of the postings with their teachers on a regular basis. This paper is a report on the practice of monitoring whereby the content obtained from this information exchange was used by teachers for student understanding and student guidance.Specifically, the paper introduces two students as case studies and presents the case outlines, monitoring process, case intervention, and condition of the students after intervention.The research indicates four important points for monitoring using Internet postings by junior high school students. The first point is that in implementing monitoring, the teacher must not only know the content of the student's Internet postings, but also have an understanding of the student's family environment and relationships with friends in order to provide guidance. The second point is the need for a supporter who assists the teacher. The supporter is the party who provides the teacher with Internet information that is useful for student guidance and student understanding. After concluding an agreement with the school regarding the handling of personal information, it is essential that the supporter exchanges information with the teacher on a regular basis to carefully examine the information and to maintain good relations with the teacher. Third, from the viewpoint of the psychological development of junior high school girls, the study notes how their Prof(profile site) and exchanges on SNS game sites meet their needs for seeking friendship and conformity, and promote the formation of chum groups. Finally, the study emphasizes that an "attitude of understanding" among adults regarding the Internet behavior of adolescent girls is important for providing guidance.