著者
山口 大助 市原 隆司 熊野 史朗 佐藤 洋一 須田 義大 李 曙光
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.253-258, 2011

近年,ITS技術を利用したエコドライブに関する研究が幅広く行われている.その多くは車速や加減速など自車に関する情報のみを考慮しているが,実際には渋滞や信号機の現示など周囲の状況によって最適な運転操作は異なる.そのため,自車だけでなく,渋滞,信号現示,車間距離などの周囲状況も考慮する必要がある.筆者らはこれまでに自車状況と自車周囲状況の両方を考慮したエコドライブの達成レベルを定量的に評価する手法を提案しており,本研究では自車周囲状況として交通信号機の視認を考慮に入れた場合の提案手法の妥当性をドライビングシミュレータを用いた基礎実験を通じて検討する.
著者
遠藤 登
出版者
岐阜工業高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

Mizarシステムを用いて既存の数理工学理論の形式化を行い、計算機証明検証システムの構築を目指し研究を行った。平成18年度は特にファジィ理論とルベーグ積分論に焦点を絞って形式化を行う予定であったが,予想以上にルベーグ積分論を構築するための予備定理が不足しており,これらの形式化に多くの労力を費やした。結果として,ファジィ理論の形式化については十分な成果を挙げることが出来なかったが,平成18年9月に開催された日本Mizar学会秋季総会に参加の折,国内研究者より多くの有益な助言を頂き,これをもとに現在,ファジィ位相空間の形式化の実現に向け研究を行っている。ルベーグ積分論については1変数可測関数の理論が本研究により,ほぼ形式化された。また,これに関連して多次元のノルム線形空間の形式化を行い,多変数関数の積分論に対する基礎理論の形式化を行った。具体的な研究実績として,前年度までに得られたルベーグ積分の適用範囲を,単純関数から可測関数まで拡張すると共に,Mizarシステムが内包していた実数と拡張実数の互換性について問題提起を行い,通常の実数値を取る可測関数のルベーグ積分論の形式化を行った。さらに,これらの結果を纏め,2件の国際論文誌と1件の国内発表を行った。関連した実績として,リーマン積分論の精微化を行い1件の国際論文誌に発表,実ノルム空間を中心とした形式化を行い1件の国際論文誌と1件の国内発表を行った。
著者
高谷 邦彦
出版者
情報文化学会
雑誌
情報文化学会誌 (ISSN:13406531)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.49-56, 2008-11-30

本論は,筆者が北海道稚内市で運営しているユーザ参加型ポータルサイト「さいほくネット」のデータをもとに,動画コンテンツを主体としたCGM(ユーザ参加型サイト)によって,地方都市が抱える情報発信の課題を克服する可能性を検討したものである。「さいほくネット」および動画共有サイト「YouTube」でのアクセス解析によると,日本においては主に中高年男性が地域情報の動画コンテンツを閲覧していることから,地方都市においてコストをかけずに地域情報を発信するには,地域の景観や歴史に関する動画コンテンツを制作し,ユーザ参加型のサイトを利用して発信してゆくことが現時点でもっとも有効な手段の一つであることがわかった。
著者
秋田 稔
出版者
国際基督教大学
雑誌
国際基督教大学学報. I-A, 教育研究 (ISSN:04523318)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.39-72, 1955

I. The significance of Eros in education (Paideia). This basically comes from the educational character of the Greek mind. Eros is a strong, inner, vital power of man which brings forth a pure step to ideals in the personal relationship. II. The limitation of Eros in education and its self-dissociation. This also comes from the Greek mind. Its character of passion for value has a tendency to let us forget "human-being" itself. The education based on Eros is rather not for common man but for spiritual elite. III. The Hebraic understanding of man as the basis of Christian education. In the Hebraic understanding of man personality has its root in the relation to God. The Hebraic posture to human culture is that culture and history is under the divine Providence; it is once denied and eschatologically affirmed through the keen, inner confrontation. IV. The Biblical understanding of Agape. Agape is fundamentally God's love, and reveals itself in the fact that it breaks the various limitations of man and revives his active power in the personal relationship with God. V. The relationship between Eros and Agape in the idea of Christian education. Agape penetrates the action of Eros and fundamentally supports and purifies it. Character building is made in this way.
著者
山本 和雄
出版者
岡山市立岡山後楽館高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

1研究目的(1)郷土出身の文学者坪田譲治を媒体として高校教育において生徒に<郷土への愛着>を育成し、現在の自分と地域との関わりを考えさせ、学習者個々人の<郷土愛と郷土理解>を深めさせる。(2)<地域文化の伝承>を啓蒙し、<生涯学習>の場での応用活用を模索する。(3)坪田譲治周辺の<地域文化資源>についても調査・発掘し、記録する。2研究方法(1)市民講座「坪田譲治研究」、公開市民講座、授業、文芸部活動の連携・融合をはかった。(2)岡山市立の図書館2館と連携し、生涯学習施設での公開講座を実施した。(10.24-土,11.1-日,11.22-日,11.29-日-うち、10月24日は、新型インフルエンザ流行のため中止とした。)(3)岡山市主宰の「岡山文学フェスティバル」に協力した。とくにノートルダム清心女子大学教授山根知子氏の企画に協力し、譲治実家の現在の当主である坪田醇氏への取材を行い、具体的資料が残されていない生家の家屋・庭などについて、建築模型としての復元に尽力した。また、高校教育と大学教育との連携を視野に入れ、模型製作の依頼先として岡山県立岡山工業高等学校建築科科長三好教諭を紹介し、工業高等学校長の許可のもと、建築科生徒による模型製作を実現した。この成果は、坪田譲治生誕120年を記念して行われる清心女子大学と岡山市との共催行事で発表された。(新聞記事参照)(4)夏季休暇を利用して東京に譲治子息坪田理基男氏を訪ね、取材した。また、譲治著作物の使用についても許可をいただいた。取材後、国立国会図書館で資料調査を行った。3研究成果(1)市民講座での作品研究で、今日まで指摘されていない点が明らかになった。具体例として、キリスト教関係の雑誌に発表しながらも仏典からの引用がある作品での、仏典の出典が「親鸞」の著述であることが明確になった。また、従来作品の舞台は郷里岡山が多いと漠然と考えられていたが、作中の植物の科学的分布状況から推測して、必ずしも岡山が舞台となっていない作品群が最初期に存在することが判明した。これらの事柄は、高校での授業で即時的に活用した。(2)国立国会図書館の調査において、公の記録から漏れている作品の存在が多数確認された。その位置づけ、評価については今後の課題としたい。(3)坪田理基男氏、坪田醇氏の取材を通して、人間坪田譲治の一面を知ることができた。今後の教材開発に活用できればと考える。同時に、<郷土の先人>としての譲治に対して一般市民・高校生が親近感を覚えるものとして利用できればと思っている。さらに、生家の模型の完成は、譲治の作品世界をより具体的に知る契機となるものである。
著者
立石 健二 石黒 義英 福島 俊一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.69, pp.75-82, 2001-07-16
被引用文献数
39

本稿では,インターネットに分散して存在する人の意見を一括して検索する手法を提案し,試作したシステム概要と,その検索精度を報告する.インターネットはすべての人が情報発信できる場であり,さまざまな人の意見が存在する.しかし,従来これらの意見を効率的に入手する方法は存在しなかった.提案手法では,ユーザが入力した商品名とあらかじめ辞書として用意した評価表現を近接演算する方法を用いて,インターネットのWebページから意見を抽出する.また,抽出した意見の意見らしさ(適性値)を構文的な特徴を利用して判定する.試作システムの精度を評価したところ,従来のキーワードと比較して検索結果を15%程度に絞りこめること,検索結果の上位17.1%で86.6%という高い適合率を得られることがわかった.This paper proposes a method for retrieving people's opinions from www pages, and describes its implementation as well as the evaluation results of this system. Many people are exchanging or expressing their opinions with the Internet. However no traditional system can efficiently retrieve people's opinions from the Internet. With the proposed method, our system can extract people's opinions by utiltzing word distance calculation and opinion-likeness evaluation. The averge number of the search result of this system is 85% of smaller than the result of traditional keyword-based search. The precision of this system is 86.6% within the top 17.1% of the search result.
著者
木又 洸佑 小林 孝史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.245, pp.49-52, 2011-10-13

キーストロークダイナミクスは,キーを押してから離すまでの時間等,キー入力に要する時間を,個人を特定する特徴として用いている.しかし,キーストロークダイナミクスは行動的特徴であり,試行毎の入力される値は一定ではない.この問題がある為,個人認証システムにこの手法を用いる場合,個人の特定に適切な特徴抽出を行い,より高い認証精度を実現することが重要になる.そこで,本研究では,キーストロークダイナミクスの中でもキー入力が未熟な人でもばらつきが生じにくいとされる,一つのキーを押してから離すまでの時間に注目し,この特徴をニューラルネットワークに学習させ,特徴抽出を行う認証手法を提案し,実験による評価結果を示す.
著者
大崎仁著
出版者
東信堂
巻号頁・発行日
2011
著者
Kleisterlee Gerard 井上 裕
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1351, pp.66-68, 2006-07-24

問 2001年12月期から2年連続で大幅な赤字に転落したフィリップスがなぜ急回復を遂げているのですか。 答 私は2001年にCEO(最高経営責任者)に就任して間もないうちに、重要ないくつかの決断を下しました。1番目は、医療機器を事業の中核に据えることです。当社は以前から同事業を展開していましたが、これほど重視したことは歴史上ありません。
著者
宮脇 幸生 石原 美奈子 佐川 徹 田川 玄 藤本 武 眞城 百華 増田 研 松田 凡 松村 圭一郎
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究によって明らかになったことは、エチオピアでは(1)開発の主体が政府から、政府だけでなく、国内外の企業家、国際機関およびそれと連携したNGOと、複数化しているということ、(2)一部でNGOと政府の間に密接な政治的関係が観察されたこと、(3)開発プロジェクトが実践された地域では、一部の地域住民の開発への参画と包摂、地域や世代による地域集団の分裂と対立、そして民族集団間の紛争に至るまで、それぞれの地域の社会的条件に応じて多様な形で地域社会の再編が進行しているということである。
著者
佐倉 統
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、科学コミュニケーションにおけるメディアの役割と影響を明らかにし、今後の科学コミュニケーションのあり方を提言することであった。とくに、メディアと科学者とがどのような関係を構築することが科学コミュニケーションにとって健全かつ生産的なのか、モデルケースを提案し、マニュアルやハンドブックのような形で成果をまとめる作業が積み残されていたが、研究費の年度繰り越しによって、その成果をある程度達成することができた。具体的には、「科学者のためのコミュニケーション・ハンドブック-メディアの活用『話せる科学者』になろう-」というタイトルでパンフレットをまとめ、印刷製本した。部数は90部と多くはないが、学会やシンポジウムなどの機会に関係諸氏に手渡しで配布することを想定しており、科学とメディア、あるいは科学と社会のコミュニケーションにおいてキー(ハブ)となる研究者、メディア関係者に行き渡るには十分な部数であると考えている。このハンドブックの内容は、マスメディアやインターネットなどの特徴を分析した理論的考察と、実際にマスメディアと接触した科学者の経験に基づいた考察の二部からなる。理論的考察と実践的活動の融合を目指した。当初は、より汎用性の高いモデル構築を目指していたが、実際に事例を分析してみると、さまざまな要因が複雑に絡みあっており、単純なモデル化は困難であるばかりか、むしろ危険であることが判明した。そのため、安易なモデル化は避け、まずは現状の理論的考察と実際の活動との相互作用を地道に促進する作業を完成させるべきと判断した。
著者
高松 雄三 白石 勝 樹下行三
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.542-548, 1983-07-15

検出可能な故障に対して検査入力を生成する手法として Dアルゴリズムがよく知られており 実用化されている.しかしながら Dアルゴリズムは 誤り訂正回路のような排他的論理和ゲートの多い回路への適用は実用的でないとされている.そこで これを改良した9-Vアルゴリズム PODEMアルゴリズム FANアルゴリズムなどが考案されている.本論文では 信号線の値として 0 1 D D^^- Xの5値にさらに D/0 D/1 D^^-/0 D^^-/1 D/D^^-の5値を加えた10値を用いた検査系列生成法を提案する.本手法は 0 1 D D^^- Xの5値を用いた含意操作と 先の10値を用いた含意操作 および後方追跡の三つの基本操作から構成されている.検査入力は この基本操作を繰り返して外部入力へ信号値を割り当て 故障信号を外部出力へ伝搬させる経路活性化法により生成している.一般に経路活l性化法では 故障信号を伝搬させる経路に関連する信号値を決めるときや 分岐点における伝搬経路とその数の選択に自由度がある.この自由度の選び方が検査入力生成に関係するが 本手法では 10値を用いることにより自由度を減らし 検査系列生成時間の高速化を試みている.
著者
間瀬 健二 クラークソンブライアン 米澤 朋子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.3, pp.1-8, 2001-01-17
被引用文献数
9

ウェアラブルコンピュータがもつ,常時on,ハンズフリーという特徴は,日常生活のなかで起こるイベントや経験を自動記録したり,ジェスチャなどのノンバーバルな手段による自己表現の支援に適している.一方,これらの特徴が生かせるタスクに幼児期の監視,エピソード記録,自己表現補助,情操教育などがある.そこで幼児期から生涯を共にするウェアラブルシステムを指向して,幼児むけに,装着するのではなく,つかず離れずに存在できる,センサーを多数組み込んだセンサー人形を試作した.これをもとにintimacy-orientedなインタフェースを議論する.The well-known characteristics of wearable computers are "always on" and "hands free," which are suitable as an automatic recording system of events and experiences and a self expression supporting system through non-verbal languages. Those systems are plausible for the use of infants and children at keeping a watch on, recording episodes, educating sentiment, and providing self expressive tools. We have prototyped a sensor-equipped doll as a semi-wearable device for children, which is oriented toward a part of the life-time wearable system. This paper also discusses the intimacy-oriented interface.
著者
畠山 洋輔
出版者
The Kantoh Sociological Society
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.24, pp.180-191, 2011

This paper clarifies how "trust" has been described in Japanese magazine articles of three domains—medicine education, and politics. By using the National Diet Library Online Public Access Catalog, I collected the magazine articles that included "trust" in the article title. I classified these articles on the basis of the object of trust: person, system, or thing. Analysis of these articles revealed the following: (1) the earlier the subject of trust started appearing in a domain, the lower was the trust shown in that domain currently, and (2) before and after the turn of the century, the proportion change of the number of the classified articles was different in each the domain. In conclusion, to investigate the usage of trust is to examin the imagination of the sources of social order in the domain.
著者
畠山 洋輔
出版者
関東社会学会
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.24, pp.180-191, 2011

This paper clarifies how &ldquo;trust&rdquo; has been described in Japanese magazine articles of three domains&mdash;medicine education, and politics. By using the National Diet Library Online Public Access Catalog, I collected the magazine articles that included &ldquo;trust&rdquo; in the article title. I classified these articles on the basis of the object of trust: person, system, or thing. Analysis of these articles revealed the following: (1) the earlier the subject of trust started appearing in a domain, the lower was the trust shown in that domain currently, and (2) before and after the turn of the century, the proportion change of the number of the classified articles was different in each the domain. In conclusion, to investigate the usage of trust is to examin the imagination of the sources of social order in the domain.