著者
藤田 遼治 太田 学
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.78-87, 2010-09-28

我々は,検索結果の推移を用いてユーザの検索意図を推測し,ユーザの代わりに検索質問を生成して検索する先読み検索を提案する.本研究では,検索結果の推移に加え,ユーザが入力した検索質問の変化パターンを利用してユーザの検索意図を推測する.本稿では実装したプロトタイプシステムを,擬似適合性フィードバックによる検索,および Google が示す検索キーワード候補による検索と比較することにより評価を行った.さらに,先読み検索において検索質問変化パターンを考慮することの効果を定量的に評価した.We propose a prediction search which infers a user's search intention based on a change in the search results and searches for an automatically generated query on behalf of the user. In addition to the change of search results, we also utilize a change of the user's queries for inferring its search intention. In this paper, we evaluated our implemented prototype system by comparing it with pseudo-relevance feedback retrieval and the retrieval of Google suggested queries. We also quantitatively evaluated the effect of utilizing a user's query change patterns for the prediction search.
著者
二間瀬 敏史
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

現在の宇宙は従来の重力理論の枠内では説明ができない加速度膨張をしていることが知られている。その原因として反発力を及ぼす暗黒エネルギーやアインシュタイン重力理論の変更が提案されている。しかしそれらの理論的な研究は進んでおらず、観測的に宇宙膨張の原因を探ることが急務になっている。本研究では、2011年度末に完成予定のすばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラで行われる大規模深宇宙サーベイを用いた弱い重力レンズ効果によって、加速度膨張の原因を調べるために必要な新たな弱い重力レンズ解析法の開発を行った。
著者
桐原 聡秀
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

アルミニウム合金やマグネシウム合金は、現代工業において幅広く用いられる軽量金属材料であるが、地球環境保全や持続的エネルギー確保に対する社会的な動向に呼応して、より高い特性を発揮することが求められている。また、炭酸ガスの排出削減やエネルギーの消費低減を実現するため、各種車両の軽量化を目指した実践応用が進められている。本研究では、アルミニウムやマグネシウムなどの軽量金属材料に対して、インクジェットプリント法を駆使した、マイクロパターニング技術を基盤として、合金相の表面構造を精密に形成し、人工的に金属組織の幾何学分布を制御することで、優れた機能特性を自在に発現させ得る新規プロセスの構築をめざした。
著者
加地 太一
出版者
小樽商科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

メタヒューリスティクスが経験的に良い解を導き出してくれていることは多くの研究でも示されている.しかし,なぜ,メタヒューリスティクスが良い解を導き出してくれるのかは一つの謎であるともいえる.そこで本研究では,時系列解析の手法を用いて,メタヒューリスティクスに対する問題の解構造を分析しその特徴的な性質を取り出す.それによりメタヒューリスティクスの各手法の性能を理論的に推定しその性能を明らかにするとともに,その能力の謎を解き明かすことを目指す.また,そこから得られた理論的知見をもとにした新アルゴリズムの設計を展開する.
著者
柴田 真志
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

夜間就床後の睡眠第一相における直腸温は一過性に低下し、その間の中心温度指標と末梢温度指標の差分を積分して末梢放熱能とした。末梢放熱能と有酸素持久性能力スコアとの間には有意な正の関連が認められた。身体活動不足による有酸素持久性能力の低下が就床後の低い末梢熱放散機能と関連すると推察された。また、有酸素トレーニング(50%強度・30分間・週3回・4週間)によって、末梢熱放散機能はわずかに改善されたが統計学的有意には至らなかった。
著者
稲垣 明子
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

膵島移植において安定して質の高い膵島を得る方法を確立することは移植成績の向上に直結する重要な課題のひとつである。そこで、本研究では保存過程の虚血状態や、膵島分離工程での溶存酸素濃度の低下による膵島損傷を解決するために、膵臓摘出直後から膵島分離終了までの間の酸素供給システムを確立することを目的とした。膵組織の保存の酸素化についてはは人工ヘモグロビンを膵管から導入したが、分離膵島の収量や質の向上は確認出来なかった。いっぽう、膵島分離工程における中空糸加圧モジュールを用いて閉鎖分離回路内を酸素化することで、膵島の収量、energy statusが向上し、アポトーシスを回避出来ることが明らかになった。
著者
大東 一郎 石井 安憲 芹澤 伸子 小西 秀樹 鈴木 久美 佐藤 綾野 于 洋 上田 貴子 魏 芳 大東 一郎 石井 安憲 清野 一治 木村 公一朗
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、中国の制度・政策転換と東アジア圏の国際相互依存関係への影響に関わる政治経済学的問題を、財政・金融・産業・環境に焦点を合わせて考究した。財政制度の効率性比較、途上国での望ましい工業汚染規制、企業の株式持合いと政策決定の関係、混合寡占下での公企業の役割、途上国企業の部品の内製・購買の選択を理論的に分析した。中国の社会保障制度の実態、マイクロファイナンスの金融機能を明らかにし、税制の機会均等化効果の日韓台間比較、為替介入政策の市場の効率性への影響分析を行った。
著者
城本 るみ
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

高齢者行政担当者の聴き取りや各種高齢者施設の訪問調査及び現地での網羅的な資料収集に努め、台湾の高齢者福祉政策が政治的要因の影響を大きく受け、中国(大陸)との共通点が多いことを明らかにした。また高齢者施設の運営状況や介護労働に従事する東南アジア籍ヘルパーや大陸籍配偶者の実態から、少子化が急激に進む台湾における介護事業の特徴ならびに高齢者ケアに関する台湾独自の問題点や今後の課題を明らかにした。
著者
岡村 雅史
出版者
北里大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

Campylobacter jejuni 汚染鶏肉に関連する食中毒事例が国内外で頻発している。一般的に、C. jejuni は 3 週齢前後の鶏群から検出され始め、7-8 週齢での出荷時には鶏群内汚染率約 100%に達するが、それ以前の日齢における定着はほとんど起こらない。本研究では、3 週齢までの鶏に C. jejuni が定着しにくい要因として、当初着目した腸内細菌叢だけでは説明できず。むしろ、環境中に低濃度で存在する菌の状態とその遺伝子発現状況が、鶏体内に入った直後から定着増幅するまでの時間を延長させるように働いているものと推測された。
著者
Kenneth Kinuthia Kagai
出版者
Agricultural and Forestry Research Center, University of Tsukuba
雑誌
Journal of Developments in Sustainable Agriculture (ISSN:18803016)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.164-180, 2011 (Released:2012-02-14)
参考文献数
45
被引用文献数
2

Biotechnology has been widely acknowledged as a modern tool that holds the potential to improve agricultural production. Adoption of genetically modified (GM) crops could contribute toward alleviating food insecurity in Kenya, but the attitudes and perceptions of stakeholders are crucial to the acceptance of GM products. The aim of this study was to assess public perceptions of GM crops and foods in Trans-Nzoia County, Kenya. A semi-structured questionnaire survey was conducted with 179 respondents, including 55 farmers and 124 consumers, in both rural and urban areas. The results were analyzed to determine predictors for the willingness to produce and consume GM crops and food products. Farmers' and consumers' perceptions influenced their approval of the use of GM technology. The results indicate that gender, basic knowledge of GM technology, and information access and dissemination are likely to influence the adoption of GM technology by farmers. Consumers who are familiar with government policy and have basic knowledge and share information on GM crops are more likely to approve of the technology than those who do not. Farmers were concerned with the environmental risks associated with GM technology and its possible effect on marketing crops both locally and abroad. Consumers expressed concerns about possible health risks, the ability of the government to protect them, and the acceptance of GM products in the local market. Disapproval of GM products by both farmers and consumers was influenced by the perception of high risks and low benefits. The findings of this study can help policymakers when designing public awareness and risk-communication strategies targeting farmers and consumers to address potential concerns when promoting the use of GM technology.
著者
永田 奈央美 香山 瑞恵 魚田 勝臣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.25, pp.25-30, 2005-03-15

本研究では科目「情報リテラシ」を対象とし、構成主義に基づく授業設計を行った。学習者が自律的かつ主体的に情報活動をするために、学習者自身の考えの表出を促すような問いかけや学習者間で各自の考えを比較することによる気づきの誘発を取り入れた授業を展開した。具体的には、構成主義に基づいたBIG(beyond the information given)モデルと正統的周辺参加を採用した。これを基盤として、シラバス・学習プロセス・学習ノート・学習支援ノートからなる学習活動の構築をし、ノービスとエキスパートを混ぜたグループで授業を行うという学習環境を設計した。本稿では、特に設計した授業の内容について詳述する。This research did the class design based on constructivism was done for the information literacy class. Concretely, I designed the component of "Syllabus, TDAC Process model, Study note, Study support note, TAEN community, Group study environment". In this text, this component is especially described.
著者
市川 米太
出版者
奈良学芸大学
雑誌
奈良学芸大学紀要. 自然科学 (ISSN:03693937)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.51-57, 1964-02-29 (Released:2017-02-24)

A new method for dosimetry of atomic bomb radiation in Hiroshima and Nagasaki is presented. Concerning the distribution of absorbed dose of atomic bomb radiation, only a few results already rapDrted ware insufficient to discuss the relation-ship between radiation hazard and radiation dose. Roof-tiles irradiated by the atomic bomb give off a glow, called thermoluminescence. By measuring the glow intensity, the radiation dose of the bomb can be measured. The equivalent gamma dose of bomb radiation is obtained by comparing the bomb glow curve with the Co60 gamma glow one. Glow curve from bomb radiation in the past is different in shape from that of the Co60 radiation at present. In general, the glow curve from Co60 radiation has three peaks at about 150゜C, 230゜C and 300 ゜C. But the glow curve from past radiation was found not to show any peak at about 150゜C, this is due, we interpret, to the decay at the normal temperature during the past 17years. The glow curve resulting from the bomb radiation was classified into three types, the first one is of the glow curve which does not decay at 230-C, the second is one which decays partly at 230゜C and the third is one which decays perfectly. The equivalent gamma doses which are shown in Table 1. were obtained from the sample of the first type.
著者
八幡 雅彦
出版者
別府大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

当科研費受給者の当初の研究課題は、「北アイルランドの小説家たちがナショナリズムとユニオニズムの対立をどのように描き、どのような解決策を呈示しているか」という、北アイルランド内部に限った局所的なことであった。しかし研究を通して明らかになったのは、北アイルランドの小説家たちはこの対立問題の描写を通して、そしてまたそれ以外の事象の描写を通して、世界に通じる普遍的な価値を有する作品を書き続けているということであった。ジョージ・A・バーミンガムがSpanish Gold(1908)、General John Regan(1913)、Good Intention(1945)等のユーモア小説を通して訴えているのは「何事も深刻に考えすぎるべきではない。いかなることの中にも『笑い』の要素を見出すことが肝要だ」という、人間のあらゆる対立問題の解決に当てはまる哲学的真実である。そして、対立問題の解決のために八面六管の大活躍をする彼の小説の主人公たちは、「自己犠牲精神」というキリスト教倫理を備えており、アイルランド国教会牧師でもあったバーミンガムの倫理観を具現していると言えよう。今後は、The Wisdom of Desert(1904)、Isaiah(1937)等、バーミンガムの著したキリスト教に関するエッセイを精読することにより、彼のキリスト教倫理と小説の関係を追究する予定である。北アイルランドには、現代小説家たちのうちにも、バーナード・マクラヴァティーやグレン・パタソンら優れた作家がいる。パタソンはNumber5(2003)、That Which Was(2004)等を通して、ベルファーストの様々な姿を呈示し、ナショナリズムとユニオニズム以外の価値観を模索している。その意味ではバーミンガムに通じるものがあり、「パタソンとバーミンガムの作品を読み比べてみる価値がある」というマイケル・パーカーの指摘の正しさを裏付けている。次作The Third Party(2007)では、日本を旅する北アイルランド人を描き、パタソンの小説はさらに広がりを見せる。2003年には今までの研究を『北アイルランド小説の可能性-融和と普遍性の模索-』(渓水社)と題した一冊の研究書にまとめた。今後は、バーミンガムの評伝(英文)の出版を第一目標に置いて研究を続ける予定である。またパタソンのいずれかの作品を翻訳出版したい。さらには、ジョイス・ケアリーやC・S・ルイスのような、北アイルランド出身で、イギリスで名を成した作家たちも取り上げ、北アイルランド小説の奥の深さを明らかにしたい。
著者
前田 吉昭 森吉 仁志 伊藤 雄二 藤原 耕二
出版者
慶応義塾大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1997

1997年から1998年にかけては,次の研究テーマを主題に行なった.(1) 4次元空間のYang-Mills gradient flowと3次元空間のYang-Mills-Higgs gradient flowの研究.(2) 変形量子化問題と非可環幾何学(3) 無限次元空間における無限次元リー群の作用によるオービットの幾何学的性質(1)については,4次元コンパクト多様体のYang-Mills qradient flowについて,チャーン数に近い初期データを与えることでその滑らかな解が大域的に存在することを示した.また,3次元空間のYang-Mills-Higgs qradient flowについては,その弱大域解の存在を与えられることがわかった.(2)については,特に接触多様体の変形量子化問題とそのレダクションの方法について研究を行なった.(3)についてはコンパクト多様体のリーマン計量の空間に作用する微分同型群(無限次元リー群)のオービットに対する平均曲率の定式化とその応用について研究を行なった.これらの研究は萌芽研究として申請した,非可換微分幾何学の構築において基礎となる成果をあげることができた.そして,その成果はこの2年間の間に行なわれた,国内の研究集会,国際研究集会で発表や討議を行ない,これから先に非可換微分幾何学の展開に向けて,大きな成果をあげた.さらなる成果は,近い将来に出版される予定である.
著者
鈴木 英雄
出版者
東京大学理学部
雑誌
東京大学理学部廣報
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.8-9, 1988-12