著者
矢野 一好
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
衛生化学 (ISSN:0013273X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.381-394, 1993-10-31
被引用文献数
5

We summarized the present status of viruses detected in the water system in the human living environment such as sewage, reclaimed water, river water, drinking water, fish and shellfish, and swimming pool water. In addition, the effects of these viruses on human health were discussed based on previous cases of waterborne virus infection and epidemiological data. There are no marked cases of waterborne virus infection in Japan. However, as virus contamination of river water, a source of drinking water, and reclaim from an increase in sewage with advances in urbanization, surveillance of waterborne viruses is needed. We also introduced the present isolation methods of viruses in water. For surveillance of viruses in water, reliable detection methods that can be readily performed in many institutions should be established.
著者
亀井 秀策 寺本 龍生 渡邊 昌彦 石井 良幸 遠藤 高志 橋本 修 北島 政樹 向井 万起男
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.725-729, 1999-08
被引用文献数
6 5

症例は37歳女性で, 1997年より強迫神経症にて他院入院中であった.1998年2月中旬より間欠的に腹痛を認めていたが, 3月5日疼痛著明となり腹部CT検査を施行され, 内ヘルニアまたは腸軸捻転症の疑いで翌6日当院を紹介され受診した.右回盲部に有痛性で弾性軟の手拳大の腫瘤を触知し, 腹部CTにて境界明瞭で数層の壁構造よりなる腫瘤を認め, 腸重積の診断にて緊急手術を施行した.開腹すると重積のため著明に肥厚した上行結腸を認め, 整復不能と判断し結腸右半切除術を施行した.切除標本では潰瘍形成を伴う盲腸腫瘍を認め重積の先進部となっていた.病理組織学的診断はneuroendocrine carcinomaであった.
著者
宮地 功 野瀬 重人 中山 広文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.397, pp.31-38, 2001-10-19
被引用文献数
5

岡山県立A高等学校は、平成9年度に普通科10クラスのうち2クラスを減じて、2クラスの理数科(定員80名)を設置して運営が行われている。この理数科は、大学との連携を図って運営し、できるだけ大学の指導や研究に触れる機会を多くして、生徒の理数系教科に対する興味や関心を高めることをねらっている。今年度が完成年次であるので, 理数科を設置した目的がかなっているかどうかを知るために, その一期生である理数科3年生と普通科理系の3年生に、意識調査を行った.その結果の一部を報告する。
著者
志賀 健司
出版者
いしかり砂丘の風資料館
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

目的:2005年から2008年、北海道の日本海沿岸では秋季に暖流系漂着物(温帯~熱帯海域や沿岸に生息する生物等)が多く見られた。その代表であるアオイガイの石狩湾における大量漂着の大きな要因は高い海面水温と北西季節風だが、この関係は本州~九州の日本海側でも成り立つのか。その解明を本研究の目的とした。手法:石狩湾中央部の砂浜を定期的に踏査し、特徴的な漂着物の数量と年間の変動を記録した。同時に気象・海況観測を実施した。アオイガイの漂着状況を北海道と本州~九州とで比較するため、下北(津軽海峡)、新潟、福岡の3地域で、漂着が予想される12月~1月、砂浜の踏査と現地の水族館関係者や漂着物研究者からの聞き取り調査を実施した。成果:石狩湾のアオイガイ漂着はすでに2008年には減少の傾向を見せていたが、2009年は一層減少した。2000年代後半に見られた大量漂着現象は3~4年間で終息したことが確認された。一方、12月初旬の下北では長さ約5kmの砂浜の2日間の踏査で、100個体近い大量のアオイガイ漂着を確認した。それに対して12月中旬の新潟と1月中旬の福岡では同様の調査で数個体しか見られなかった。過去5年間の調査結果から、石狩湾でアオイガイ漂着がもっとも増加するのは海面水温が15~16度の時だとわかったが、今回調査を実施した地域・時期の水温がこの範囲内だったのは下北だけで、新潟と福岡ではこの範囲から外れていた。このことから、アオイガイ漂着の水温条件は地域を問わないことが明らかになった。また、下北、新潟、福岡での過去のアオイガイ大量漂着は1960年代と1980年代に多かったが、2000年代後半は3地域では漂着は目立って多くはない。北海道で見られた大量漂着は津軽海峡以北に限定された現象であったことが明らかになった。
著者
山本 昌宏 代田 健二 斉藤 宣一
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

逆問題に対して、再生核ヒルベルト空間ならびに多重スケール核に基づいて、多次元の任意形状をもつ領域における数値解析手法の研究と開発を目指したが、この方法は正則化手法と密接に結び付いており、また離散化のためには有限要素法などを駆使しなくてはいけないことが、より鮮明になり、その方面の研究を進めた。実績は以下のとおりである。(1)相転移問題や熱伝動現象で初期値を決定する逆問題などの応用逆問題で上記の着想に基づいた数値解析手法を開発し、成果として公表した。(2)再生核ヒルベルト空間の手法をチホノフの正則化に適用した場合の近似解の安定性・収束の理論や正則化パラメータの最適な選択原理の講究を実施し、成果を出版した。逆問題個有の不安定性があり、データの微小変動に対して逆問題の解の偏差が極めて大きくなる可能性があるが、そのために正則化の数値計算のためには必要な離散化には特別の注意が必要である。すなわち、逆問題の数値解の精度をあげるために離散化を細かくしていくと、逆問題自体の不安定性からしばしば精度が悪くなる。そこで、逆問題の数値解法においては、要求されている解の精度の範囲において離散化の精度を適宜コントロールすることが必要不可欠である。これへの1つの解答を与えた。該当年度においては正則化法に有限要素法を用いて安定な数値解法を提案し、論文を完成させ公表した。(3)また、継続中の課題としては、再生核ヒルベルト空間の1つの数値手法である多重スケール核の方法の逆問題への応用についての研究があるが、これまで得た成果を本萌芽研究での知見を活用して将来的に大きく発展させる素地ができたと判断している。
著者
久城 育夫
出版者
東京大学理学部
雑誌
東京大学理学部廣報
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.4-8, 1984-11
著者
岩崎 健一 徳永 幹雄 山崎 先也
出版者
福岡医療福祉大学
雑誌
第一福祉大学紀要 (ISSN:13490613)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-12, 2004
被引用文献数
1

学生の精神的健康度の実態を把握するために、橋本らが作成した精神的健康パターン診断検査(MHP-1)を用いてD大学学生に調査し検討を加えた。結果を要約すると下記のとおりである。1.D大学男子学生は対照群男子学生と比べて、ストレス度の低い「はつらつ型」と「ゆうゆう型」が少なく、ストレス度の高い「ふうふう型」と「へとへと型」が多く、両群の間には有意差が認められた。2.D大学女子学生は対照群女子学生と比べて、ストレス度の低い「はつらつ型」と「ゆうゆう型」が少なく、ストレス度の高い「ふうふう型」と「へとへと型」が多く、両群間には有意差が認められた。3.尺度別に見ると、D大学男子学生は、男子対照群(1)(2)と比べて、心理的にも社会的にも身体的にもよりストレスフルな生活を送っている者が多く、対照群(2)の「対人回避」を除きストレスに関係する他の全ての尺度で有意に高い値を示した。しかし、生きがい度に関しては、対照群(1)との間では有意な差はなく、また、対照群(2)との間では「生活意欲」と「QOL尺度」でむしろ有意に高い値にあり、意欲的で張りのある生活をしている者が多い傾向にある。4.尺度別にD大学女子学生をみると、女子対照群(1)(2)と比べて、ストレスに関係するすべての尺度で有意に高い値を示し、D大学女子学生は心理的にも社会的にも身体的にもストレスフルな生活を送っている者が多い。生きがい度に関しても、対照群(1)とは「生活の満足感」と「QOL尺度」で、また対照群(2)とは「生活の満足感」で有意に低い値を示しており、D大学女子学生は生活に満足感を感じていない者が多い。5.精神的健康パターンに男女間の有意差はみられなかった。しかし、尺度別に見ると「身体的ストレス」とその下位尺度の「疲労」で、また、QOLではその下位尺度の「生活意欲」で両者間に有意差がみられ、男子学生の方が女子学生より、「身体的ストレス」が低く、「生活意欲」の高い張りのある生活を送っている者が多い。6.男子学生については、運動頻度の高いMonthly運動者とWeekly運動者が、運動頻度の低いStay運動者より、「心理的ストレス」や「身体的ストレス」が低く、また、「はつらつ型」が多く「へとへと型」が少ない傾向にあり、運動頻度が精神的健康度の改善に影響を与えている可能性が推察される。
著者
阪本 真由美
出版者
公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

開発途上国の震災障害者の生活再建に求められる支援制度について、過去に巨大災害に見舞われた開発途上国(インドネシア)の震災障害者の生活再建状況と支援制度を現地調査に基づき把握した。また、震災障害者に対する生活再建支援制度について開発途上国と先進国(日本・アメリカ)の事例との比較検討を行った。研究の結果、震災障害者の生活再建を実現するためには、一時金の提供という資金的救済措置だけでは十分ではなく、一人ひとりのニーズにあったきめ細やかな支援策が必要となること、そのためには震災障害者を巻き込んだネットワークの構築を官民連携で実施することが有効であることが明らかになった。
著者
大高 正 川田 洋揮 宍戸 千絵 大崎 真由香
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.27, no.11, pp.636-641, 2006-11-10 (Released:2007-04-04)
参考文献数
12
被引用文献数
1

The design rule of semiconductor devices in 1984s, when optical microscope was used for critical dimension measurement of device patterns, was around 1.3 µm. Instead of the optical microscope which did not provide enough resolution for the further device shrinkage, CD-SEM (Critical-Dimension Scanning Electron Microscope) was used for 1 µm or smaller design rule. This report introduces recent CD-SEM technologies and future prospect for such smaller design rule. Furthermore, evaluation of CD-measurement accuracy is introduced. It consists of short-term and long-term repeatabilities and tool-to-tool matching. A new linewidth-measurement algorithm is implemented for better short-term repeatability. A method of contrast-gradient is used for tool-to-tool matching. A traceable standard-sample for magnification calibration is also used.
著者
塩谷 浩之 郷原 一寿 渡邉 真也 渡邉 真也
出版者
室蘭工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究課題では,情報量を基盤とした位相回復法の理論構築・解析を行い,さらに,非周期的な物質構造の解析に貢献するために,回折パターンからの高効率な物質構造復元手法の確立を目的とし,情報数理による位相回復法を対象とした基礎理論と応用研究を行うことである.位相問題において,不完全な実・逆空間の拘束条件が与えられた場合には,実像となる解の不定性や収束に至らない不安定性がある.このような不定な条件のもとでは,弱い意味での位相回復解を求めていく必要がある.そこで,実空間における弱解群の分布を求めることで,その解集合の性質を明らかにした.逆空間における不完全さとしての条件として,量子ノイズを含む回折パターンに着目した.実空間上のノルム体積有限なすべての関数で構成される関数空間を設定し,実像間の情報量解析において用いる分布間情報量を導入することで,弱位相回復解が球殻に分布することを見出した.そのアンサンブル平均が適切な解を与えており,ノイズ回折パターンからの単一な位相回復では,その平均解が得られないことを明らかにした.画像復元,特に位相問題がからむ回折イメージングにおいて,解となる像の分布に着目したのは我々が初めてであり,この研究成果は米国の光学専門の論文誌(OSA)に採録された.
著者
岡田 有司 鳥居 朋子
出版者
京都大学
雑誌
京都大学高等教育研究 (ISSN:13414836)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.15-26, 2011-12-01
被引用文献数
1

The purpose of this study was to investigate students' learning mechanisms based on learning outcomes assessment of a Japanese private university in the era of universal access. Concretely speaking, relations among student demographics, classroom experiences and commitments to learning were revealed, and determinants of learning outcomes were explored according to an assumed model which referred to Astin's IEO model. A self-report questionnaire survey was administered to students of X private university, and 2,074 students responded (response rate, 58.6%). Covariance structure analysis showed that classroom experiences, commitments to learning and learning outcomes differed according to student demographics (gender, grade, major and admission type). It suggests that universities need to consider a more appropriate educational policy which suits each student with diverse background in the era of universal access. It was also shown that commitment to learning had a significant role in student learning outcomes, and classroom experiences had significant effects on commitment to learning and learning outcomes. These results imply a possibility that universities can directly or indirectly intervene in student learning outcomes by reconsidering current classroom settings. Based on these findings, agendas in university curriculum, class design, and student support were discussed.
著者
長田 尚子 村田 信行
出版者
京都大学
雑誌
京都大学高等教育研究 (ISSN:13414836)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.39-51, 2011-12-01

To develop a practical vocational program in a junior college, this study specifically examined previous research on service-learning that demonstrated effective results in linking the classroom and the community and which improved the learners' autonomous activities in the academic field and the social field. The activities' basic structure and design guidelines were developed in reference to those service-learning findings. The targeted course exploited the activities and guidelines to improve a project in which students produce papers for public relations. The reported levels of reflection by the students were used to evaluate the course design. Results show that course design based on service-learning for a vocational context is effective to promote reflection and continuing learning activities. Results of this study are expected to contribute to higher education focused on vocational and career education.
著者
渡部 俊広 山崎 慎太郎
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.503-504, 1999-05-15
被引用文献数
10 8

曳航式深海用ビデオカメラによって, ベニズワイガニの分布を観察し, 生息密度観察法として本装置が有効な機能を有することを確認した。本装置は, バッテリーを内蔵し, タイマーによって作動する水中ビデオカメラ部とライト部, およびソリ型曳航台から構成される。ベニズワイガニの観察を隠岐諸島西側の水深約1000mの海域で, 1997年11月に2回行った。映像記録から観察されたベニズワイガニは, それぞれ25尾, 33尾であった。また, ベニズワイガニの行動に与える照明光の影響は少ないと推察した。
著者
安田 正美 赤松 大輔
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、イッテルビウム(Yb)光格子時計における、光格子レーザー由来の不確かさ低減のために、Yb原子の青方離調魔法波長を探索することを目的として、以下の成果を得た。①Yb光格子時計のさらなる高度化を達成し、絶対周波数測定不確かさを1桁以上低減した。これによりYb光格子時計が秒の2次表現に採択された。②Yb/Sr光格子時計周波数比の直接測定に成功した。マイクロ波周波数基準による光シフト周波数測定と比べて、1桁以上測定時間を短縮できる。③光シフト誘起用青色レーザー光源の開発に成功した。赤外線半導体レーザーを光増幅し、第2次高調波発生により、波長399nmで100mWの出力を達成した。
著者
後藤 信夫 宮崎 保光
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.86, no.12, pp.1272-1281, 2003-12-01
参考文献数
12
被引用文献数
13

導波型コリニア音響光学素子は波長分割多重(WDM)光に対して波長選択的にスイッテできるためWDMルーチング用のスイッチヘ応用が期待できる.本論文では,方向性結合導波路とY分岐部からなる素子における波長選択スイッチング特性を評価するためFDTD法を用いてシミュレーションを行った.シミュレーションの結果をモード結合理論による結果と比較し両者の一致を確認した.また,長尺相互作用領域における音響光学結合特性を解析するためセグメント分割領域において光パルスを伝搬させる方法を検討した.