著者
関野 恭弘
出版者
岡山光量子科学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

我々の宇宙は、より大きい宇宙項を持った(より膨張率の高い)宇宙からの量子的トンネル効果によって生成された事が、超弦理論によって示唆されている。そのような宇宙を記述する厳密な(非摂動的)定式化を2次元共形場理論によって構成して観測への予言を与える事を目指し、宇宙のトポロジー、宇宙における揺らぎと共形場理論の演算子の間の対応などを詳しく調べた。また、トンネル効果によって生成された宇宙における宇宙背景輻射スペクトラムの解析を進めた。
著者
北岡 勲
出版者
関西学院大学
雑誌
法と政治 (ISSN:02880709)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.479-489, 1958-12-30
著者
山田 喜一
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.95-103, 2004-04-01

交通事故の低減,運転負荷の軽減のための一つの方策として運転支援システムの実用化が進んでいる.本報告では,まず事故の発生を脳の構造的メカニズムから検討するとともに,ドライバの反応時間をベースにシステム信頼性工学的考えを導入し,事故の発生プロセスを確率論的モデルとして検討した結果を報告する.次に,本モデルを運転支援システムの効果,リスク評価に適用し,運転支援システムによるドライバの反応時間の短縮が交通事故低減に有効であることを検証した結果を報告する.最後に,運転支援システムのリスク評価について述べる.
著者
龍田 真 照井 一成
出版者
国立情報学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究の目的は、構成的集合と余帰納的定義をもつ構成的論理を構築し、この論理体系を用いて、余帰納型を用いたプログラムの性質を明らかにし、また、構成的集合と余帰納的定義を用いたプログラム合成システムを試作することであった。次のような3つの研究成果を得た。(1)論理式Aが長D-正規証明をもつならば、Aの長正規証明が唯一であることを証明した。(2)古典二階自然演繹の強正規化可能性の証明に関して、CPS変換を用いた従来の証明が本質的誤っていることを主補題に対する反例をあげて示し、この原因が継続消滅の現象によることを指摘し、オグメンテーションの概念を用いてこの証明を完成させた。例外処理ラムダ計算や値呼びラムダミュー計算など他の類似の体系のCPS変換を用いた強正規化可能性の従来の証明が、継続証明により同様にして本質的に誤っていることを指摘した。(3)構成的二階自然演繹に置換簡約を追加した論理体系の強正規化可能性の簡明な証明を与えた。従来知られている証明は、Prawitzによる証明だけであり、これは記述が不完全であり、また複雑な帰納法を必要とした。原子選言論理のアイデアを用い、構成的二階自然演繹に置換簡約を追加した論理体系が原子選言論理に簡約を保存して翻訳できること、原子選言論理は飽和集合が定義でき飽和集合を用いた強正規化可能性の証明方法が使えることの2つから、新しい簡明な証明を得た。
著者
橋本 健一 飯島 和子 小川 賢一
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.201-206, 2008-11-25 (Released:2009-03-18)
参考文献数
23
被引用文献数
1

The photoperiodic response curve for pupal diapause induction of the white cabbage butterfly, Pieris rapae crucivora Boisduval was determined in several populations of the Japan Archipelago. Larvae were reared under different photoperiods ranging from 8L16D to 16L8D at 20±0.5°C. The critical photoperiods for pupal diapause induction were 14 h 40 min for the Iwamizawa population (43°10′N), 13 h 15 min for the Sendai population (38°15′N), 13 h 10 min for the Nagaoka population (37°23′N), 12 h 08 min for the Okayama population (34°39′N), 11 h 50 min for the Matsuyama (33°50′N) and Kagoshima (31°35′N) populations and 11 h 15 min for the Naze population (28°23′N). The critical photoperiod increases as latitude increases. This result suggests that adaptation to a cool climate in a higher latitude region shifts the critical photoperiod for pupal diapause induction towards a longer range. The developmental zero for the larval stage in the Sapporo (43°03′N) and Matsuyama populations was calculated as 9.8°C and 9.6°C for the larval stage, respectively. These results are discussed in relation to seasonal adaptation for each population.
著者
山田 正 高橋 信博
出版者
東北大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1999

「漢方薬」は免疫増強作用などホスト側の体質の改善を主目的とし、結果として疾患を改善させようとするものが多い。その中でも日常的に「健胃薬」などとして用いられている漢方薬は、副作用の心配が少なく、口腔内局所投与によっても影響が少ないと思われる。そこで、本研究計画では、黄連や黄柏がもつ(1)各種歯周病関連菌の増殖に対する影響、(2)その作用様式、(3)有効成分、(4)プロテアーゼなどの菌体外酵素に対する影響などを明らかにし、これらの漢方薬の抗菌メカニズムを解明することを目的とし、以下の結果を得た。1.黄連・黄柏の水抽出物は歯周病関連菌Porphyromonas gingivalis、Prevotella intermedia、Actinobacillus actinomycetemcomitans、Actinomyces naeslundiiの増殖を抑制した。一方、齲触関連菌であるStreptococcusとLactobacillusの増殖はあまり抑制しなかった。2.黄連・黄柏水抽出物の有効成分はベルベリンに代表されるアルカロイドであることが分かった。3.この抗菌効果の作用様式は殺菌作用であることが明らかになった。2.さらにPorphyromonas gingivalis、Prevotella intermedia、Actinobacillus actinomycetemcomitansの菌体外プロテアーゼを阻害することが分かった。しかし、プロテアーゼ抑制に必要な黄連・黄柏水抽出物の濃度は増殖阻害に必要な濃度よりも高かった。以上の結果から、黄連・黄柏は歯周病関連菌に対して抗菌作用を示すことが明らかになった。また、プロテアーゼ活性阻害効果があるものの、抗菌効果の本質は殺菌作用であることが推察された。
著者
古山 富士弥
出版者
名古屋市立大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1986

本研究は三つの部分から成っている。(1)高環境温度耐性ラットの系統開発すでにある程度まで育成していた高環境温度耐性ラットを、この三年間でさらに選抜と交配をくりかえして純化し、二十数世代をかぞえる近交系として確立した。この系統は、1982年および1988年に発表した約20系統のラットよりも、高温耐性であった。遺伝分析のために、既存の系統のうち最も高温非耐性であったACIラットとの間に、F1、F2、BCを産ませて、高温耐性を測定した。その結果、高温耐性はポリジーニックに決定されていることと、主要な数個の遺伝子が特につよく関与していることがわかった。(2)ハイブリッドの作出このF2をもとに数系統のリコンビナント・インブレッズを作出したが、途中で研究室の研究条件が一過性に悪化したときに、一系統を残してすべて殺した。その後、高環境温度耐性ラットと祖先を同じくする対照系が絶滅したために、残ったリコンビナント・インブレッズを高環境温度耐性ラットにBCして、対照系として育成しつつある。現在、研究条能が少し好転してきたので、再びリコンビナント・インブレッズを育成する準備をしている。(3)生理的機能の研究既存の系統では、高温耐性であるほど、唾液分泌が活発で、唾液分泌が長く持続し、体水分利用公立が高かった。高環境温度耐性ラットでは、唾液分泌はさらに活発で、さらに長時間持続したが、体水分利用効率は既存の系統のうち最高のものと同値であるにすぎなかった。高環境温度耐性ラットは、室温25℃での体温が約1℃ひくく、高環境温度へ暴露されると体温を40℃付近に設定した。
著者
中本 伊佐雄 斉藤 恕 豊田 敏夫 水牧 勝美
出版者
社団法人日本鉄鋼協会
雑誌
鐵と鋼 : 日本鐡鋼協會々誌 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.1161-1166, 1955-11-01

As the first step of the studies on the production of calcium silicide, the authors investigated the composition both of slags and inclusions in it and obtained the following results ; (1) Slags produced by CaO as well as CaC_2 method always gave a higher value over 100% as the sum of analytical fractions and their properties were very different from those to be considered from the values. But we found that the properties did not depend upon the metallic particles. (2) SiC in the slags of CaO-SiO_2-SiC-CaC_2-C system was easily determinable by our method in which the sample was heated in air at 800±20℃ for several hours before analysis of SiC. (3) From the results obtained by this method, the slags of the above two kinds contained 10∿20% SiC and the sum obtained by the usual method could be deduced approximately to 100%. (4) In conclusions we found that a fact had been overlooked that a considerable quantity of SiC was dispersing and followed when the slag was tapping out from the furnace on the normal operations. Moreover the behaviour of SiC was discussed metallurgically.
著者
渡部 瑞希
出版者
一橋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

平成22年4月から8月は、近年のタメルの特徴に関する論文執筆を行っていた。その論文のための補足資料を収集するため、現地調査の計画を立て、平成22年12月5日から23年1月13日までの約1ヶ月間、ネパールで調査を行った。第一に、ネパールで、やり残していた市場調査を行った。具体的には、調査対象地域のタメルだけでなく、そこに隣接するローカル市場において、出自民族構成、店舗年数の調査を行い、タメルと比較したうえで、タメルの特徴を浮かび上がらせることを目的とした。その結果、ローカル市場では、カトマンズの先住民であるネワール族が民族講とカースト間の相互扶助に基づく、比較的安定した商売を継続して行っていることがわかった。第二に、カトマンズ居住民の婚姻儀礼や民族講の儀礼に参加し、商売と儀礼、商売の関係とそれ以外の社会的関係との繋がりを確認した。その一方で、タメルは、こうした社会的紐帯に基づく商売が行われる場ではなく、移民商人が入れ替わり立ち替わりする不安定な市場であるため、詐欺行為や裏切り行為が多発する市場であることを明らかにした。第三に、そうした詐欺行為が多発するタメルの宝飾商売において、2009年にタメルで起きた「詐欺を働いた宝飾商人の摘発」に関する情報を収集した。情報は現地の新聞やタメルの商人からのインタビューを通じて行った。こうした補足調査の結果は、詐欺行為をはたらくタメルの宝飾商人が人間関係を明らかにする基盤であるため、重要である。これらの調査結果は、既に執筆中の論文に反映させている。