著者
東條 友紀子 山田 深 門馬 博 前田 直 石田 幸平 松本 由美 栗田 浩樹 西山 和利 岡島 康友 山口 芳裕
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.B1137, 2008 (Released:2008-05-13)

【はじめに】 当院は2006年5月に脳卒中センターを開設し、初期治療と平行して発症早期からのリハビリテーション(以下、リハビリ)を積極的に行う脳卒中ユニットケアの実践に取り組んでいる。診療チームにおける理学療法士の重要な役割の一つとして、患者のADLに関する予後を早い段階から見通し、介入方針を決定することが求められるが、急性期からの予後予測モデルに確立されたものはない。今回、入院時の重症度から群分けを行い、退院時のADLを予測する方法を検討したので報告する。【対象】 2006年5月から2007年6月までに当センターに入院しリハビリを行った脳卒中患者のうち、死亡退院および入院期間が1週間以内であったものを除く332名(平均年齢71.8±12.6歳、男性196名、女性136名、平均在院日数29.7±19.2日、リハビリ開始まで平均1.45±1.36日)。【方法】診療データベースを参照し、患者の年齢、入院時NIHSS、入退院時FIM、リハビリ開始までの日数、在院日数、転帰先を後方視的に調査した。対象を入院時NIHSSによって軽症例群(6点以下)、中等症群(7点以上14点未満)、重症例群(15点以上)の3群に分け,それぞれの調査項目を比較した。群間比較については一元配置分散分析を用い、有意水準を5%とした。【結果】 軽症例群、中等症、重症例群における平均在院日数はそれぞれ23.2±15.7、37.0±19.0、40.0±19.0日であり、軽症例群と中等症群間に有意差が認められた。FIM運動項目合計点はそれぞれ76.0±20.0、43.0±26.0、27.0±23.0点、認知項目合計点は31.6±6.0、22.0±11.0、13.0±9.4点で、いずれの得点も各群間で有意差が認められた。退院時FIM合計得点から入院時FIM合計得点を引いた差分(FIM利得)は各群で30.5±19.8、26.0±26.0、16.0±24.0点であり、重症例群は他の2群と比べ有意に低値であった。自宅退院率はそれぞれ61.5%、9.4%、10.1%であり、回復期リハビリ病院への転院は30.8%、54.7%、33.3%であった。【考察】 軽症例は入院期間においてほぼADLの自立が得られるが、リハビリの継続が必要となるものも少なからず存在することが示された。一方で重症例はリハビリ介入によるADLの改善が限られており、自宅への退院が困難であった。入院時NIHSSは退院時のADLや転帰先を予測する上で有用な指標になりうると考えられる。NIHSS得点とFIMの関係はこれまでにも報告がなされているが、大都市圏における急性期脳卒中ユニットとしての特性を踏まえた予後予測モデルとしての有用性が示唆された。
著者
松谷 昭廣
出版者
筑波大学大学院博士課程教育学研究科
雑誌
教育学研究集録 (ISSN:03867927)
巻号頁・発行日
no.27, pp.49-60, 2003-10-01

はじめに 本稿は、外務省による東亜同文書院への外務省留学生委託教育の実態を通して、派遣元である外務省からみた同校の機能、役割を明らかにすることを目的とする。東亜同文書院(以下、同文書院と記す)は、1898年に結成された東亜同文会 ...
著者
門馬 綱一 西久保 勝己 高田 雅介 高橋 直樹 本間 千舟 長瀬 敏郎 工藤 康弘 池田 卓史
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会2008年年会
巻号頁・発行日
pp.107, 2008 (Released:2009-04-07)

千葉県南房総市荒川から、メラノフロジャイトとは異なる骨格構造を持つシリカ包摂化合物を見出したので報告する。包摂化合物を産出したのは、新第三期前期中新世の保田層群中の砂岩・泥岩である。岩石の裂罅を一部、方解石脈や玉髄質の石英脈が充填しており、包摂化合物の結晶は石英脈中やその空隙中に見られる。結晶の大半は既に石英の仮晶に変化しているが、一部に新鮮な結晶が見られた。気体分子を除く組成は、主成分SiO2の他に、酸化物換算で約1wt%のAlと少量のNaを含む。何れの結晶もpseudo-merohedral双晶になっているため、粉末X線回折データのRietveld解析およびMEM解析を行った。結晶系は正方晶系で格子定数はa=13.7190(9), c=19.349(1)、骨格構造はMTN型に相当する。ラマン分光測定では、ケージ中に含まれるメタン分子のピークが確認された。
出版者
North-Holland
巻号頁・発行日
1959
著者
友永 輝比古
出版者
三重大学
雑誌
人文論叢 : 三重大学人文学部文化学科研究紀要 (ISSN:02897253)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.103-111, 2002-03-25

マーロウからすると約300年前の,ブレヒトからすると約600年前の出来事,エドワード2世が即位してから獄死するまでの出来事を,これらの作家は舞台化した。ブレヒトの『イングランドのエドワード2世の生涯』は,マーロウの『エドワード2世』の翻案である。2つの作品の間には,約330年の隔たりがあり,劇形式,言葉の使い方,台詞回し,人物像等の点で大きな違いがある。逆に,その違いから時代の違いが感じられる。マーロウはイギリスのルネッサンス期を生き,ブレヒトはドイツの激動期を生きた。したがって,それぞれの作家の,それぞれ別の時代における世界観,人間観を作品から読み取ることが出来る。ここでは,2つの作品を比較し,主な登場人物の人物像の違いを述べることにする。
著者
李 榮蘭 小西 敏正 中村 成春
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
no.23, pp.309-314, 2006-06-20
被引用文献数
2

The value of the wooden house in Korea is reviewed, and needs have risen through building and preservation in Korea. And the imported wooden house is changing to Korean-style. This reports aims to investigate the current state of the wooden construction in Korea that has not been known in Japan yet, to grasp the problem concerning the wooden house in Korea, and to present the clue of the spread strategy of the wooden house to be able to deal with the problem.
著者
玉本 英夫
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.16, pp.1-6, 2009-07-23
被引用文献数
1

民俗芸能には,祖先の生活風景,心象風景,知恵や知識などが深く反映されている.私たちには,このような貴重な民俗芸能を後世に伝承して行く責務がある.しかしながら,急速な高齢化や地方の過疎化に伴って後継者不足が深刻な問題になっており,失伝が避けらない状況にある。そこで,この 10 年間,秋田大学を中心にして産学官で連携しながら,とりわけ民俗芸能の舞踊の伝承に資するために記録・保存技術の開発を行ってきた.本文では,これらの技術の開発の経緯と成果を紹介する.In folkloric performing arts, we can deeply feel the scenery of life, scenery of mental images, wisdom and knowledge of our ancestors. We have the duty to bequeath such valuable folkloric performing arts to the future generations. However, since there is the serious problem that the inheritors are rapidly vanishing due to the rapid aging and the depopulation of regional communities, we cannot escape from losing the folkloric performing arts. In order to deal with this problem, for more than 10 years, we have developed the archiving techniques for bequeathing the folkloric performing arts, especially for folkloric dances in cooperation with industry and local government. In this paper, I will introduce our developed techniques and their fruitful results.
著者
高阪 一治
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究は原田直次郎と青木繁という明治期を代表する洋画家の絵画作品を取り上げ,当時のドイツ絵画,すなわち19世紀末のベックリーンやライブル,ハンス・フォン・マレー(マレースとも表記)との関連を指摘して,原田や青木の絵画の特質の解明のみならず,これを通じて,わが国の近代美術の特質解明に資するものである。原田については,これまでも彼の《騎龍観音》においてベックリーンとの関連が指摘され,また滞欧作《靴屋の阿爺》においてライブルとの関連が語られてきたが,《靴屋の阿爺》研究ではいまだ具体性に欠けるきらいがあった。他方,青木の《海の幸》研究では,研究者の一部にマレー(ス)の名を挙げる者がいたが,これまた具体性に欠ける指摘であった。本研究で得られた知見としては,次の点が挙げられる。1.原田直次郎について。《靴屋の阿爺》の研究において,ドイツ19世紀末絵画との関連を掘り下げ,具体的に比較作品を挙げてライブル,メンツェル等との比較を試み,その上で,《靴屋の阿爺》の独自の特質を明らかにしたこと。またこれに関連して,原田の師であるG・マックスについても,その理解を進めたこと。2.青木繁について。《海の幸》とマレーの《ナポリのフレスコ画》(1873)との比較検討を通して,モティーフと画面構成での両者の類似点を確認するとともに,当時のマレーの評価の高まりを指摘して,青木繁がマレーを見た可能性に関する傍証を強化したこと。また,《海の幸》の他にも,マレーとのつながりが認められる可能性について,作品名を挙げて言及したこと。今後の課題は,青木繁がマレー作品(おそらくは図版)を見た可能性を検討するにあたって必要な調査,例えば,当時,ドイツ19世紀末絵画の情報がどの程度わが国にもたらされていたか,そして,青木の周辺にはどのようなものがあった可能性があるか,に関する調査を続行することである。
著者
小嶋 秀夫
出版者
名古屋大学教育学部
雑誌
名古屋大學教育學部紀要 教育心理学科 (ISSN:03874796)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.巻頭13-巻頭24, 1999

国立情報学研究所で電子化したコンテンツを使用している。
著者
江村 伯夫 澤山 康二 三浦 雅展 柳田 益造
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.73-83, 2008-02-01
被引用文献数
1

ギター演奏においてコード列演奏は最も基本的な演奏形態の一つである。本論文では,ギター初心者を対象とし,入力されたコード列に対して,押弦時の指配置やコードチェンジ時の指の動きに対する負荷が最も軽くなるコードフォーム列を,実演奏時のミスの量から最小2乗法によって求めた負荷値に基づいて奏者に応じて決定するシステムについて述べている。本システム及びコードブックによるコードフォーム列に対する実演奏の押弦失敗率を比較する実験を行った結果,初心者にとって本システムが十分に有用であることが示されている。
著者
小林 利彦
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.131, no.12, pp.1743-1744, 2011-12-01 (Released:2011-12-01)
参考文献数
1
被引用文献数
3 3

In the 1990s, drug companies focused their resources on chemistry-based proprietary blockbuster compounds (small molecules) for chronic diseases that could bring in several billion dollars in a short period of time. Since then, the focus has turned to biologics (proteins/high MW molecules) such as anticancer agents, antibodies, and so on. Vaccines, in contrast, are a rather slow-growing market, administered only a few times per patient, low priced, and often undifferentiated. Due to the influenza scares of recent years, the above view has changed remarkably. According to some analysts, the annual growth of the current $2.2bn vaccine market will become almost 10 percent over the next 5 years. In 2009, Pfizer (US), in an effort to boost their small vaccine-related business, purchased Wyeth (US). In October 2010, Johnson & Johnson announced they were buying Crucell (Germany), the only vaccine maker who had remained independent. GSK (UK) holds the top spot in the vaccine market with a 25% share. Pfizer (US), Merck (US), Novartis (Switzerland), and Sanofi-Aventis (France) are next, while Johnson & Johnson has moved into the 6th position by purchasing Crucell. There is of course an essential therapeutic need for vaccines, however, why are major pharmaceutical companies now investing a significant amount of resources in the vaccine business? Vaccine development may take more time than that of small molecules, but they are less risky from an intellectual property standpoint, and complicated manufacturing processes create a high barrier to follow-on biologics/biosimilars. Also in Japan, since the recent influenza scares, there has been acceleration in movement and cooperation among industry and government, including lawmakers.
著者
高橋 達彦 平野 菅保
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.47, pp.111-112, 1993-09-27

1変数の4次方程式の解を求める場合、一般的には、ニュートン法等による反復解法や、直接解法としては、フェラリ法(Ferrari:1522-1565)が用いられることが多いが、反復解法よりも、直接解法の方が都合の良いことが多い。その理由としては、次のようなことが挙げられる。(1)直接解法の方が、経験的なことであるが、反復解法よりも演算回数が少ない。(2)計算時間の予想、すなわち、計算機使用費用の見積もりが容易である。4次方程式の解法であるフェラリ法では、3次の係数を零にする座標変換を行うので、それによる情報落ちによって、4次方程式に含まれる4つの解の中で絶対値の小さい解は精度が悪くなるという問題がある。ここで述べる、ブラウン法は座標変換を行わず、4次式を2つの2次式の積に直接変形するアルゴリズムである。現在、用いられているブラウン法では、実際に有限桁で解を求めると、絶対値が桁違いに異なる解を持つ場合には、絶対値の小さな解は、計算途中における桁落ちの誤差によって、相対誤差が大きく入り、正確な値は求められない。今回、演算によって桁落ちする計算式を桁落ちの起こらない計算式に変更することによって、絶対値の小さな解も、与えられた係数の精度より当然得られる精度で求めることができた。
著者
北中 順惠
出版者
兵庫医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

覚せい剤メタンフェタミンによる薬物依存状態に、豊かな環境(回転皿)がどのように影響するか、マウスを用いて検討を行った。三日間ICRマウスに回転皿使用を試みたところ、マウスは日に日に回転皿を回しており、一方で食餌、飲水等に変化はなく、豊かな環境を提供していると判断した。メタンフェタミン投与によりマウスは自発運動量が増加し、依存性が確認されるが、そこに回転皿の直接的影響は確認できなかったが、依存性を消去するためのメタンフェタミン投与休止期間中に回転皿が存在すると依存性の消去促進が確認できた。
著者
秋山 英文
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

高い精度で生物化学溶液発光の絶対定量分光計測を行うための技術装置開発を進め、量子収率の評価や、種の異なる生物など様々な発光酵素にまたがった発光スペクトルの直接比較を行えるようにし、古くから関心の的でありながら未だ理解されていない、ホタル生物発光の発光色決定機構の解明に迫ることが本研究の目的である。産業技術総合研究所・光放射標準グループによって国家標準トレーサブル校正が行われたフォトダイオードと、併せてダングステンランプおよび干渉フィルターを用いた光源を用いて校正を行い、0.29%の集光効率と約5.7%の分光器透過率を経てCCD検出器で19フォトン/カウントの絶対感度で生物発光絶対量分光計が行えるようになった。天然北米産ホタルの精製ルシフェラーゼを用いて、ホタル生物発光の量子収率計測のpH依存性と温度依存性の実験を行い、我々自身による過去の測定値41.0±7.4%に近い、47.1±6.5%という値を得た。天然北米産ホタルの精製ルシフェラーゼを用いて、通常のMgの代わりに、Zn、Cd、Ni、Co、Ca、Mnなどの金属イオンを付加したことによるスペクトル変化の定量計測を行った。Ca、Mnでは、Mgの場合と同様に色変化は起きなかったが、Zn、Cd、Ni、Coを添加した場合には、pH依存性の結果と同様に、緑側の発光成分の量のみが金属イオン量に応じて変化し、赤側の発光成分は変化しないという兆候が見られた。また、発光スペクトルが、1.85eV、2.0eV、2.2eVにピークをもつ3つのガウス型ピークに分解する解析が可能であることもわかっているので、発光スペクトルをピーク強度、位置、幅の3つのパラメータとして数値化して整理し、金属イオン依存性を定量的にプロットした。色変化の感度の大小は、Mg、Ca、Mn<Co、Ni<Zn、Cdのような序列に従っていることがはじめて明らかになった。