著者
川上 邦基
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
vol.49, no.599, pp.549-558, 1935-05-05

本稿は先年宮内省の御許可を得て、撮影と實測とを遂げた京都桂離宮に關し、聊か研究したところを記したもので、1は其緒言、2は其所在地に就いての記述、3は離宮の創建と増築とに就いて卑見を述べ、4に離宮内諸建築を説明し、殊に小堀遠州の意匠に成ると稱せらるゝ部分に就いて注意を喚び、轉じて5に、洛北曼珠院なる大小書院の創立、構造、装飾を説明して6に移り、桂離宮と曼珠院とを比較して建築的に「遠州好み」を抹殺し、更らに其出典を研討して文獻的にもこれを抹殺し、7に離宮の沿革を略叙して最近の風害に及び、筆を結んだ。
著者
加藤 省吾 飯塚 悦功 水流 聡子 進藤 晃 杉辺 瑠美子 末政 憲司
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

療法士がリハビリ訓練計画を立案する際の合理的な思考プロセスをモデル化し,プロセスを実行するために必要な知識ベースを設計した.具体的な知識ベースの構築を行い,知識ベースを実装した支援システムを開発した.開発したモデル・支援システムを用いることにより,用いない場合よりも優れた計画を立案できることを検証によって確認した.本モデル・支援システムを用いることにより,医療の質・安全保証への寄与が期待できる.
著者
露口一成
雑誌
結核
巻号頁・発行日
vol.80, 2005
被引用文献数
2
著者
高橋 徹
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ロボットによる,音源定位,音源追跡,音源分離,分離音声認識の精度を改善した.これらの改善により,ロボットの動作により音源の方向変化に追従した音源分離が可能になった他,ロボット動作に起因するロボット自身の動作音の影響を受けにくくなり,ロボット動作中の分離音声認識が可能になった.つまり複数音源下でのアクティブオーディションのための身体動作制約が,ほとんどなくなった.音源に近づき信号対雑音比を改善し,複数音源間の方向角度差を広げるように移動し,分離音声認識精度を改善可能になった.音源とマイクロホン間に身体が入り込むような特別な場合を除き,動作中の認識精度を低下させることなく,分離音声認識が可能になった.
著者
田中 学 井上 晃一
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.39-45, 1962-03-30

わが国の球根の生産上,また輸出のうえにも大きな障害になっているネダニに対し,適確な防除法を確立する目的で防除上必要な生態の研究および殺虫試験を実施した。防除について検討した結果は次のとおりである。<br>1 ユリほ場における球根ネダニの発生消長は,高温で降水量が特に多い時期に増殖が盛んになる傾向が認められた。それ以外の時期は一般にネダニの発生は著しくない。<br>2 球根内のネダニの生息部位を見ると,り病箇所の多い外側部が最も多く,次いで発根部,中間部,中心部の順となっている。<br>3 ネダニの発生と腐敗病との関係については,ネダニの加害のほうが二次的であると考えられる。<br>4 球根の掘り取り直後または植え付け前に球根を薬剤に浸漬処理した結果,浸透殺虫剤およびパラチオンを45°Cに加温浸漬した場合がネダニに対し最も効果が高い。しかし無加温で浸漬した場合は若干効果が低く,また浸漬時間を長くしても効果にほとんど差が認められない。<br>5 くん蒸処理ではメチルブロマイドが最もすぐれている。<br>6 浸漬処理およびくん蒸処理したユリ球根をほ場に植え付け,発芽およびそののちの生育状況を見たが薬害は認められない。しかしナイメットの粉衣は発芽障害が著しい。<br>7 ユリの立毛中における浸透剤の葉面散布および土壌灌注はネダニに対しほとんど効果がないようである。
著者
池添 隆之 西岡 千恵 楊 晶
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

血管内皮細胞上に発現し、凝固を負に制御しているトロンボモジュリンが、シグナル伝達経路ERKを介して抗アポトーシス蛋白Mcl-1の発現を誘導して、サイトカインや免疫抑制剤による細胞傷害から血管内皮細胞を保護することを明らかにした。また、その活性部位は上皮細胞増殖因子様領域に局在し、抗凝固作用とは無関係であることを明らかにした。
著者
嘉数 朝子 池田 尚子 友利 久子 識名 真紀子 島袋 恒男 石橋 由美
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学教育学部障害児教育実践センター紀要 (ISSN:13450476)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.87-97, 2004-05-31

本研究では, 幼稚園児と親を対象として, 幼児期の家庭における読書環境と心の理論の発達との関連を検討した。結果は, 対象児が5歳台後半であり心の理論課題は天上効果を示していため, 両者の関連は明確ではなかった。部分的に明らかになった点は, 読み聞かせの頻度や家庭の蔵書数は誤信念の理解と関連していることであった。
著者
竹村 明子 小林 稔 Takemura Akiko Kobayashi Minoru
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 (ISSN:13453319)
巻号頁・発行日
vol.73, pp.215-224, 2008-08

本研究は,親子関係と児童の学習動機の関係について明らかにするために自己決定理論(Deci & Ryan, 1985)を基に,学習動機を4水準の自己決定性-内発調整(楽しいから勉強をする),同一化調整(大切なことだから勉強をする),取入調整(恥ずかしい思いをしないために勉強をする),外的調整(親や先生に言われるから勉強をする)-に分け,親子ペアを対象に児童の4水準の自己決定性と親との信頼関係および親の家庭での関わりについて調べた。先ず,小学3~6年生173名のデータを用いて,子が認知する親との信頼関係と4水準の自己決定性の間の相関分析を行った。その結果,親との信頼関係が良好と認知するほど児童の内発調整および同一化調整が高いことが明らかとなった。次に,親子ペア141組のデータを用いて,親の家庭での関わりと児童の4水準の自己決定性の間の相関分析を行った。その結果,①親が子への経済的支援を惜しまず,将来について会話するほど児童の自己決定性は高くなること,②親が子と伴に文化的活動に関わるほど児童の内発調整は高くなること,③親が子の生活習慣の形成に関わるほど児童の同一化調整は高くなること,などが見出された。
著者
上田 彩子
出版者
日本女子大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本研究目的は、人は正確に"顔を読む"ことができるのか?という問題を基に、細かいレベルの人間の顔認識能力の正確さを検討することであった。顔パーツの表情認知に関する研究では、顔の情報をひとまとまりとして処理する過程で表情も処理されているという問題を基に、顔の部分表情の認知の際の顔の他領域の果たす役割について、眼と口に注目して比較検討した。表情間で顔を部分的に入れ替えた合成画像を用いて検討した結果、顔パーツの表情認知で顔の他領域が影響したため、表情認知においても顔の全体処理が起きることが示された。その影響度合いはパーツによって異なり、口と比較して眼の方が強く影響を受けることが示された。表情認知には男女間の脳の機能的な違いに由来する性差が存在するが、これまで顔認知過程と表情認知過程の相互作用の観点から性差を検討した例がないという問題に基づき、顔認知・表情認知過程間の相互作用における性差について検討した研究では、表情を表出した顔に対する相貌印象の評価に表情が及ぼす影響に性差が認められるかどうか観察した。その結果、女性は魅力を判断する際に刺激の表情に強く影響を受けたが、男性は女性ほど刺激の表情に影響を受けなかった。この性差は脳の顔処理過程の性差を反映した可能性が高い。化粧は美しさのような相貌印象以外の顔が発信する情報にも影響を及ぼしている可能性が高いという問題を基に、化粧が人物同定課題に及ぼす影響を検討した研究では、化粧パターンの変化で顔の再認課題成績がどう変化するか観察した。その結果、素顔からの変化の最も大きい濃い化粧での人物同定が最も難しく、他方、素顔よりも軽い化粧での同定が最も容易であることが認められた。また、顔とメイク顔の変化が大きい場合において、物理的に同じ変化量であるにも関わらず、メイク顔から素顔を同定する方が、素顔からメイク顔を同定するよりも困難であることが示された。
著者
HONDA Katsuhisa SAKYU Masahide
出版者
外国語教育メディア学会
雑誌
Language Education & Technology (ISSN:04587332)
巻号頁・発行日
no.41, pp.1-15, 2004-06

The present study applies social psychological constructs to the acquisition of English in the Japanese EFL context, and attempts to determine the relationship between two theoretical frameworks and their corresponding sets of variables that approach the topic of motivation from conventional viewpoints. The first framework of variables, described by Clement and Kruidenier (1983), comes from the social sciences and humanities research. The second psychological framework is Gardener (1985) socio-educational model, which proposes that motivation is based on intergroup attitudes and an attraction to the target language and culture. The current research is conducted in an attempt to combine the orientations described by Clement and Kruidenier (1983) with the intergroup constructs discussed by Gardner (1985) for a better understanding of the development of particular orientations and their role in language learning motivation. Furthermore, structural equation modeling, a relatively recent procedure which allows researchers to test cause-effect relations based on correlational data, can have an excellent fit, and all the predicted paths in a path diagram can be significant, and yet it is still quite possible that other patterns of causality could work equally well or better. These results are discussed with respect to the influence of the Japanese EFL context on orientations and in terms of their implications for further studies.
著者
福島 逸成 浦野 良美 渡辺 俊行
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.57, pp.35-48, 1995-02-25
参考文献数
21
被引用文献数
8

住宅における冷房設備の普及は,エネルギー消費に大きな影響を与える.本研究は実態調査を基に,近年の九州地域,主に福岡市における戸建住宅と集合住宅のエネルギー消費構造を次の目的で整理した.1)用途(冷房用,暖房用,給湯用など)別エネルギー消費量の推定方法とその結果を考察する.2)住宅設備器具の普及率,使用状況,エネルギー消費量を整理する.3)平日と休日の時刻別エネルギー消費変動を生活状況との関係から把握する.4)他地域との比較から九州地域の住宅エネルギー消費特性を評価する.