著者
木村 恵美子
出版者
青森県立保健大学
雑誌
青森県立保健大学雑誌 (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.289-295, 2006-12

リンパ浮腫ケアの中では患肢の挙上が最も多く実践されている。そのケア効果検証の準備段階として、患者が行っている「患肢の挙上」の実態を把握することを目的として5名のリンパ浮腫患者に半構成的インタビューを行った。その結果、1.対象者の平均年齢は57.2歳、原疾患は乳がん1名、子宮がん4名、リンパ浮腫発症時期は、手術退院直後〜11年の幅があった。リンパ浮腫の病期は、I期2名、II期3名で、患肢部位は、子宮がん術後患者で左下腿のみ2名、左下肢2名、乳がん術後で左上肢1名であった。2.患肢挙上方法:挙上時間は平均7時間半で、高さは5〜13cm、挙上に用いる物品は、綿素材の薄い布団、テンピュール枕等で、患肢を乗せる面を広くする工夫をしていた。患肢挙上中に圧迫療法の併用はなかった。3.患肢挙上効果:手指や手背の浮腫軽減は軽度にある、あるいは不規則ながらあるという「効果あり」は2名。浮腫軽減はないが習慣で挙げている、挙げると気持ちがいいので行っているのは2名、残り1名は、挙上することで合併症を引き起こした。患肢挙上の目的は浮腫軽減だけではなく、また、リンパ浮腫の病期と効果の有無に関係はなかった。Limbs-up is the most popular care for Lymphoedema patients. The aim of this study is to research the actual circumstances for limbs-up of patients. I interviewed to five patients. In results, Patient's age 57.2 (mean), Breast cancer ; 1 patient, Uterus cancer ; 4 patients. The term of Developing Lymphoedema were 11 years from right after operation. Stages of Lymphoedema were stage one ; 2 patients, stage two ; 3 patients. Part of swollen limbs were left shin ; 2 patients, left femur and shin ; 2 patients, and left arm ; 1 patient. The actual circumstances for limbs-up were 1. Lifting time was a half and 7 hour (mean), 2. Height was 5-13cm, 3. Goods for limbs-up were thin mattress with cotton, pillow with tempur. An idea was to keep wide on lifted bed, not partial. All of patients lifted their limbs without multilayer compression. Effect of limbs-up were mild or irregular ; 2 patients. 2 patients lifted their one despite none effect. because, custom for sleeping, relaxation. One patient drew urination disorder by low limbs lifting. Effect of limbs-up between stage of Lymphoedema was unrelated.国立情報学研究所の「学術雑誌公開支援事業」により電子化されました。
著者
堤 雅恵 佐藤 広美 水田 久美子 山口 健二 好村 朋子 広瀬 春次
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学看護学部紀要 (ISSN:13430904)
巻号頁・発行日
no.11, pp.23-27, 2007

近年、認知機能を維持したり、不安やストレスを解消したりする方法の一つとして、日記を書く習慣をもつことが推奨されている。しかしながら、仮に日記が高齢者にとって受け入れ難いものとして認識されているならば, 認知機能の維持やストレス解消のための方法とすることは困難であると考えられる。我々が検索した範囲では、高齢者の保健・看護の分野において日記に関する調査は見あたらず、高齢者における日記を書く習慣の実態は把握されていない。そこで今回、高齢者における日記を書く習慣の実態を把握するとともに、日記を書いている人と書いていない人との生活状況を比較した。その結果、多くの高齢者が日記を書く習慣を有しているという実態が明らかとなり、また、日記を書くことが外出や会話の頻度と関連している可能性が示唆された。
著者
青木 政之
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.177-178, 2007

プロジェクトメンバーは,対話によってプロジェクトの価値を認め,S-QCDでは語ることができない「このプロジェクトは成功した」という達成感を得る.本稿では,筆者が問題プロジェクトにプロジェクトマネージャーとして参画したとき,プロジェクトメンバーのモチベーション回復に役立った「7つの習慣」と「ハーマンモデル」によるコミュニケーション方法を紹介する.
著者
八島 絵美 藤井 義博 Emi YASHIMA FUJII Yoshihiro 藤女子大学人間生活学部食物栄養学科 藤女子大学人間生活学部食物栄養学科人間生活学研究科食物栄養学専攻
出版者
藤女子大学
雑誌
藤女子大学紀要 第2部 (ISSN:13461389)
巻号頁・発行日
no.44, pp.13-30, 2007-03-31

本研究の目的は、栄養教育に応用するために、栄養の多次元的必要性(生理的必要性、安全の必要性、帰属の必要性、尊敬の必要性、自己実現の必要性)を評価する新しい尺度を開発することであった。本研究は、以下3つの順番で実施した;(1)57の質問項目からなり、5段階リカートスケールを用いた自己記入式質問票の開発。(2)467名の札幌の小中学校あるいは北海道内の病院において実働している栄養士を対象とした調査票の郵送。(3)因子分析による6因子の同定と解釈:第一因子(ストレス解消型食事因子)、第二因子(アンバランス型食事因子)、第三因子(健康維持型食事因子)、第四因子(ウェルネス志向型食事因子)、第五因子(やせ志向型食事因子)、そして第六因子(自己実現型食事)。今回の探索的因子分析により、食習慣を評価する43項目からなる自己記入式質問票である食習慣判断指標Food Usage Judgment Index(FUJI)が構築された。
著者
和田 早苗 松尾 千鶴子
出版者
兵庫大学
雑誌
兵庫大学論集 (ISSN:13421646)
巻号頁・発行日
no.12, pp.179-184, 2007

我が国における高齢化は加速度的であり、その伸展と加齢による介護出現率も高まっているなかで、介護保険制度の見直しに伴い、高齢者は自立した生活を余儀なくされると考えられる。高齢者が健康で充実した生活を維持するための自立支援について、食の面から調査研究した。調理実習を含んだ栄養教室などは、食事に対する関心をより高めることができ、また楽しく食べることにつながる実践的な支援対策の一つとして期待できることがわかった。
著者
谷村 厚子 山田 孝 京極 真
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.89-100, 2007
参考文献数
15
被引用文献数
2

我が国の精神障害をもつ当事者の精神保健福祉および生活上の主観的なニーズに関する研究について1994〜2005年の専門誌をレビューし,そこに示されたニーズを,KJ法に準じた手法を用いて分類した。各文献から抽出された当事者のニーズは819枚のラベルに転記され,コアカテゴリ『自分が望む生活を営める』,『精神医療保健福祉システムが充実している』,『生活する環境が整っている』,『人的環境が充実している』,および,より下位のカテゴリに分類された。これらのカテゴリに分類された当事者のニーズは,具体性に富み,専門家が支援していく上で大いに参考になると考えられる。また,これらは,精神-脳-身体の遂行サブシステム,意志のサブシステム,習慣化のサブシステム,物理的環境,社会的環境,作業行動場面といった人間作業モデルの概念にも対応したため,作業療法の実践モデルによる支援が可能であると考えられる。
著者
西山 晃生
出版者
三田哲學會
雑誌
哲学 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.120, pp.19-34, 2008-03

はじめに1. 賭けの必然性 : 強制的参加2. 賭けの合理性 : 公平な選択3. 賭けの継続性 : 習慣の力4. 議論の評価と解釈5. 結論投稿論文
著者
人見 優子 Yuko Hitomi
巻号頁・発行日
no.25, pp.91-110, 2009-03-31

本研究の目的は、入学間もない学生達の羞恥に関連した意識・認識の状況や介護時の視点が、学内での学びや初めての実習(介護実習IA)を経てどのように変化がもたらされているのかを知ることである。そこで介護福祉士養成校に在籍する1年生38名に自己記入式調査票を用いて調査した。その結果、実習後の学生達は、ヒトの性や成長・発達について興味を増し、学習意欲が向上していた。そして羞恥心に関する認識や介護時の視点に変化が表れ、学内での介護技術演習時に実際の現場を想像する力が増加した。また、介護観や自身の価値観、思考、行動の変化が見られ、それらを自己認識することができていた。しかしその一方で、将来に対する迷いや意欲の低下を招いた学生もいた。さらには、羞恥に配慮するための基本的生活習慣や社会的常識、しつけといった基本的な人格形成を促す上での課題が示唆された。
著者
松沼 光泰
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.548-559, 2008-12-30

正確な英文読解や英作文には,andが同じ文法的資格の語句を結ぶ等位接続詞である(以下andの本質)ことを知り,文中のandが何と何を同じ文法的資格で結んでいるかを意識することが不可欠となる。本研究では,高校生を対象として,andの本質を問う独自の評価問題を作成し,学習者のandの知識が不十分であることを明らかにすると伴に,学習者にandの本質を理解させる教授方法を考案しこの効果を検討した。プリテストの結果,学習者は,andの日本語訳は知っているが,andの本質を理解していないことが明らかになった。本研究では,この不十分な知識を修正するために,ル・バー研究や学習方略研究の理論を援用し,「(1)学習者の知識では説明のつかない事例を用いてandの本質を教授する」,「(2)等位接続詞という名称とandの本質を関連づけて教授する」,「(3)英文読解や英作文の際に,アンダーラインの使用を促す」という3つの教授方針を採用した授業を実施した。その結果,介入授業後,学習者の成績は上昇し,介入授業の効果が確認された。また,介入授業後,学習者はandを重要な単語であると認識するようになり,英文法の学習意欲が高まり,andに対する自己効力感が高まった。
著者
渡辺 光一
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.109-130, 2006-04-30 (Released:2007-08-01)
参考文献数
20

社会的影響力とは、ある主体が社会/集団全般から一般的な注目をどの程度得ているかを表わす特性であり、社会的評価やその結果としての社会的資源が配分される程度の尺度と考えることもできる。理想環境のように人間が他の全てのメンバに注意を払い判断を下すことは、現実環境では組み合わせ爆発により不可能である。そのため、現実環境では、複雑系における初期値敏感性により、本来的価値(能力)と影響力が対応しない局所均衡に陥る。すると、本来的価値に見合う影響力がないメンバが存在する(「埋もれた才能」)、本来的価値があまり高くないのに影響力を独占するメンバが存在する(「僭越」)、などの現象が生じ、社会的不公正やコミュニケーションの非効率が生じ、社会/集団全体で見ても非常に大きな損失となる。本研究では、そのような影響力などの特性の相互依存関係のモデルを構築し、理想環境においてはメンバの本来的価値(能力)の高低が影響力の高低を一意に決定すること、一方の現実環境(に近似した環境)においては「埋もれた才能」「僭越」という現象が生じることをそれぞれ確認した。その上で、そのような現実環境における問題点を解決すべく、新たなコミュニケーションの制御プロトコルのモデルを開発しその挙動を調べた。さらに、当該モデルが効率的で公正な影響力の実現に資することをシミュレーションで確認し、併せて電子掲示板によるユーザ参加の社会実験を行った。
著者
劉 国翰
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.77-91, 2006-04-30 (Released:2007-08-01)
参考文献数
20

自由民権運動を起こした経済的背景について、「農民的商品経済論」と「中間地帯論」の矛盾がある。本論は、明治初期の地租変動と自由民権運動の地域特徴との関連性から、その矛盾を解決することを目的とする。明治初期の経済が移行経済であったという仮説を立て、地租の動学的な調整プロセスを描くモデルを作成した。また本論は明治8年から20年にいたるまでの26府県における世帯当たりの地租税収のデータを整理し、非線型回帰を通じて、各府県における農民的商品経済の発展度合いを反映するパラメーターα(生産要素の移動速度)とθ(生産要素の移動コスト)の値を推定した。結果として、激化事件だけに注目すれば「中間地帯論」がより適合しているが、自由民権運動の全体を見ると「農民的商品経済論」がより説得力があると考えられる。
著者
酒井 宏昌 富田 康敬
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.801-803, 2005-12

56歳男性.患者は右背部痛および発熱を主訴に近医を受診,腹部CTで右水腎症を指摘され,著者らの施設へ紹介となった.既往歴として,27歳時より慢性腎不全に対する血液透析中であった.受診時,著明な水腎症を認め,手術の適応と判断したが患者の同意が得られず,経過観察を行ったところ,約3ヵ月後に右背部痛が増強し,今度は入院となった.入院時,膿腎症が後腹膜へ広範に波及し,敗血症性ショック,DICを合併した状態であり,メシル酸ガベキサート,ドパミン,抗生剤投与を開始し,エンドトキシン吸着療法を行った後,後腹膜膿瘍ドレナージ術を施行した.術後,ドレーンからの排膿が持続したため,最終的に右腎摘除術を行うに至ったが,術後経過は良好であった
著者
米林 喜男 濱野 強 藤澤 由和 佐々木 正道
出版者
新潟医療福祉大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

現在、わが国においては多種・多様な調査が実施されており、それらに関しては非常に精度の高い、有用なデータが多く含まれている。欧米諸国においては、公的機関により実施された調査データはもちろんのこと、公的な助成により得られた調査データに関しては、一定の期間が経過した後には個人が特定されない形での公開が一般的に行われている現状にある。そこで、本研究においては、保健医療分野における調査データの公開制度に関してその具体的な課題抽出と、それらを可能とするための諸要件より検討を行うことを目的としたものであった。具体的には、前年度までの研究成果であるソーシャル・キャピタル研究におけるデータアーカイブの活用実態をもとに、わが国における適応可能性に関して検討した。すなわち、データアーカイブにおける基本的要件を整理し、わが国における背景との適合性を検討することにより、保健医療分野におけるデータアーカイブの可能性を具体的に示したものである。さらにデータアーカイブは、データの公開に際して個人の情報などプライバシー、および情報のセキュリティなどを十分に検討する必要があるが、この点に関しては法律的な観点、および情報技術的観点からそれぞれの専門家らとの意見交換を行ない、オープン・リソースを展開していくための通信技術と個人情報保護との関連性などに関して専門的視点より明らかにした。
著者
北村 勇也 岡 誠
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.16, pp.1-6, 2011-03-10

折り紙に不慣れなユーザが、初見の教本と折り紙を見比べながら折り進めるのは困難である。そこで AR マーカを印刷した折り紙に拡張現実 (AR) を用いたアニメーションを重ねて表示することで、誰でも迷わずに折れる折り紙の製作指導支援システムを実装した。また、評価実験により支援システムの有用性を検証した。A user unfamiliar to origami can not compare the origami with textbook of the first look.We implemented the origami tutoring system that displayed the CG animation at the origami which was printed AR marker.We performed evaluation experiments and inspected the usefulness of the system.
著者
平林 晃 PIER-LUIGI Dragotti
出版者
山口大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,スパース信号に対する複数チャンネル標本化と,スパースサンプリングに基づく画像特徴量抽出に関する研究に取り組んだ.前者は主に初年度の課題であり,信号の事前分布とl1ノルム最小化原理をそれぞれ利用した2種類の信号再構成アルゴリズムを提案した.また,次年度は主に後者に取り組み,画像に含まれる直線エッジの完全抽出アルゴリズムを開発した.そして,提案手法の雑音耐性が従来手法より約10dB優れていることを計算機実験により示した.