著者
磯浜 健一
出版者
筑波大学研究協力部
雑誌
技術報告
巻号頁・発行日
no.2, pp.59-67, 1982-03-01
著者
西山 浩司
出版者
九州大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1998

夏季に頻繁に現れる気団性積乱雲と大規模場(前線、台風に伴う場)の中で局地的に形成される強雨ゾーンの発生には必ず空気の収束場の存在が指摘されている。さらに、収束場の強度が持続される場合には積乱雲がある特定の領域に次々と形成され豪雨となるような事例が多い。そこで本研究では、様々なパターンの積乱雲を解析し、豪雨災害につながるような積乱雲の発生機構及び勢力維持機構を探求することを目的とした。本研究では観測手段として既存の観測システム(九州大学農学部気象レーダーと福岡都市域に設置した10数台の雨量計による降雨観測)を中心に,気象庁のアメダスシステム等も利用して、狭い領域(20km×20km)で局地風系を観測した。この観測結果から積乱雲発生以前に先行現象としての空気の収束場が実際に存在したかどうかを調べた。総合的に解析した結果、予想されたように積乱雲の発生の1、2時間前から収束場が形成されていたことが明らかになった。さらに,降水システムが既に存在する場でも収束場が長時間持続し、降雨も持続する傾向も明らかになった。このように収束場が降雨の発生、維持に寄与していることは間違いないが,大気の不安定場の存在も無視できない。高層データとアメダスを用いた解析では夏型の雷雲の発生のプロセスは次のようになると考えられる。まず日射の影響で下層の混合層が徐々に発達し、下層から不安定化する。この不安定化した気層に向かって海風が侵入して収束場を形成する。その結果,収束場の領域で雷雨が発生することがわかった。
著者
神田 学 森脇 亮
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

建物群の密度・配置が大きい住宅街上の都市境界層において、計2年間にわたって運動量・熱・水蒸気・CO_2に関する詳細な乱流データを取得した。それをもとに運動量・熱・水蒸気・CO_2それぞれの乱流統計量(フラックス、分散、消散率)に関する相似関数を導き出し、それぞれの輸送メカニズムの違いを明らかにするため、時間周波数解析の一つであるウェーブレット解析を用いてその乱流構造や輸送形態について考察した。その結果、以下のことが明らかになった。1)ウェーブレット解析を行った結果、朝と昼では、乱流のスケール毎に各スカラーを輸送する特性が異なる。とくに朝方の不安定時は、大きなスケールの渦構造によって、熱に比べて水蒸気が効率的に輸送され、混合層上端からの乾燥空気の連行作用がこの現象の原因となっていると考えられる。2)スカラー間の相関係数を比較したところ、熱・水蒸気・CO_2の順で、輸送効率が落ちていく。ウェーブレット解析を用い輸送効率に寄与する渦スケールの特定を行った結果、サーマルやシアー不安定による組織渦が熱、水蒸気、CO_2それぞれの輸送を担っているが、これらの輸送イベントの各スカラーに対する効果は同一ではない。その原因として、熱がアクティブなスカラーであるのに対し、水蒸気、CO_2が受動的なスカラーであること、空問的な不均一性がこれらの差を助長していること、が理由として挙げられる。またフラックス測定によって得られた都市域の蒸発効率や熱物理係数を地域気象モデルに導入し、モデルの予測精度や、大気境界層高さやスカラー物質濃度の日変動がどのように変化するかについて定量的な評価を行った。
著者
中西 崇 佐藤 元裕 細矢 良雄 柏 達也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ
巻号頁・発行日
vol.97, no.189, pp.97-104, 1997-07-24
参考文献数
13

約1OGHz以上の周波数帯を用いた無線通信方式においては, 降雨減衰による伝送品質の劣化が大きな問題であり, その定量的評価か必要である. そのためには1分間降雨強度分布を知る必要があるが, 一般には長い積分時間でしか測定されておらず, 従って, 実際に測定されているn分間降雨強度分布から1分間降雨強度分布を推定する方法を確立する必要がある. 日本においては, M分布を用いると60分間降雨強度分布から1分間降雨強度分布を精度良く推定できることが示されている. 本論文は, この推定法を世界的に適用する可能性を検討したものである. さらに, 各地の気象パラメータを用いることによって, 1分間降雨強度分布の推定精度を向上させることができることを示している.
著者
岩井 俊昭 古西 宏治 石井 勝弘 井上 久遠
出版者
一般社団法人 レーザー学会
雑誌
レーザー研究 (ISSN:03870200)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.70-74, 2002-02-15 (Released:2009-10-21)
参考文献数
17

The colloidal crystallization of fine particles is a phenomenon of great interest in connection with the research on the fabrication of photonic crystals. This paper describes a newly proposed method, in which self-arrangement and self-assembly of particles are generated under radiation force, i.e. gradient and scattering forces, and capillary force, respectively. The hexagonal structure in the Fourier-transformed patterns of 2D colloidal crystals shows that the triangular lattice structure is successfully fabricated by the proposed method. This paper is concerned with the principle of newly proposed method, capturing and self-arranging particles by radiation pressure, self-assembling particles by the desiccation process, the enlarging of colloid crystal, and the verification of the triangular lattice structure.
著者
簑島 高
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.28, no.7, pp.558-558, 1958-07-25

東京女子医科大学学会第88回例会 1958年4月25日(金) 東京女子医科大学臨床講堂
著者
大西 琢朗
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本年度は、主に「証明論的意味論」の概念枠組についての批判的検討を行った。証明論的意味論とは、形式的証明体系を形成するシンタクティカルな推論規則から、論理定項にかんする合成的意味論を抽出することを目指す試みである。その意味論的探求は、フレーゲの「文脈原理」と「合成原理」の現代的実現と見ることができる。このような背景のもと、大西は次のような研究を行った。証明論的意味論は、これまで主に、ダメットやプラウィッツといった、構成主義的傾向をもつ論者によって発展させられてきた。そのため、その概念枠組は、直観主義論理に特有の性質が念頭に置かれるなど、明瞭性と一般性にかける面がある。そこで大西は、シークエント算の体系として定式化される、部分構造論理の研究を参照し、従来の証明論的意味論の概念枠組の明瞭化、一般化を試みた。特に注目したのが、「基本論理」という論理体系である。その構築過程で持ち出される意味論的考察と、証明論的意味論の議論を比較することで、証明論的意味論の枠組は、直観主義論理のみに適用可能なものではなく、適当な修正を加えれば、さまざまな論理に適用可能な一般的な枠組になりうることを明らかにした。ただし、その一般的な枠組の詳細な構築は、今後の課題として残った。
著者
小谷 汪之 関根 康正 麻田 豊 小西 正捷 山下 博司 石井 博
出版者
東京都立大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1998

現代インドにおける宗教対立(とくにヒンドゥーとムスリムの対立)はパキスタンとの関係の変化を伴いながら、南アジア世界をきわめて不安定にしている。小谷は歴史学の立場から、この問題を長期的な見通しで研究し、その成果をWestern India in Historicae Fansitionとして、インド、ニュー・デリーのマノーイル出版社から刊行した。又、2001年12月7-8日にニューデリーのJ.ネルー大学で開かれたUnderstanding Japanese Perspectreis on Fudia : An Inolo-Japanese DialogueというWorkshopで発表した。小西は長年の亘ってインドの民衆文化、とくに民画の研究をつづけてきたが、その成果を『インド:大地の民俗画』(未来社)として公刊した。インドの民衆の間に生きつづける伝統文化が時代の変化に対応して、日々新しいものをつけ加えていく姿がよく捉えられている。
著者
岡部 繁男
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

興奮性シナプスはシナプス後部側の細胞質構造として、樹状突起スパインとシナプス後肥厚部(PSD)を持つ。この二つの構造は興奮性シナプスの機能発現において重要である。生体内でのシナプス発達過程においてスパインとPSDがどのように形成され、また両者の形成過程にどのような関連があるのか、その詳細は明らかになっていない。本研究ではフィロポディアの形成、スパインの発達とPSDの動態を同時に個体内で観察することを目的とした。まず子宮内電気穿孔法を利用して蛍光蛋白質標識されたPSD分子を大脳皮質錐体細胞に発現させる系について検討し、PSD-95に比較して単一PSDからの蛍光シグナルが強いGFP-Homerlcをin vivo観察用の蛍光プローブとして選択した。GFP-Homer1cは培養細胞での分布と同様に細胞体と樹状突起に局在しクラスターを形成した。さらに成熟したマウス個体の大脳皮質ではGFP-Homer1cはスパインの頭部に局在した。以上の分布様式から、GFP-Homer1cはPSDの存在部位を示す蛍光プローブとして利用できることを確認した。次にGFP-Homer1c分子の大脳皮質錐体細胞の発達過程における変化を解析する目的で、GFP-Homer1c分子とDsRed分子を大脳皮質で発現させた幼弱なマウス(生後1-2週間)を対象として、両者の蛍光の同時励起を二光子顕微鏡により行った。大脳皮質浅層の6時間程度のタイムラプス画像を取得し、樹状突起から形成されるフィロポディア・スパイン構造を同定し、このような新規のフィロポディア・スパインにほぼ同時にGFP-Homer1c分子が集積することを確認した。PSDの集積のダイナミクスに関する結果は、我々が以前分散培養系で観察したスパインシナプス形成の時系列データに一致するものであり、個体レベルでもフィロポディアの樹状突起からの伸長が興奮性シナプス形成の初期段階であることが示された。
著者
滝沢 由実 坪香 英一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.173-181, 1994-02-25
被引用文献数
4

HMMを用いた音声認識システムにおいて,状態または単語ごとに継続時間を制御する方法が提案されており,その有効性も確認されている.しかし,従来提案されている方法は,状態または単語ごとの継続時間を単独に制御する方法であり,一つの文章内の単語間,あるいは一つの単語,音節,音韻内の状態間の継続時間の相互関係を考慮した制御法ではない.本論文では,日本語音節を認識単位とした音声認識システムにおいて,音節継続時間を制御する方法を提案する.本提案は,一つの文章内の音節継続時間の相互関係を用いて,音節継続時間を制御する方法であり,従来法にない次の2点の効果が期待できる.(1)一つの文章内の音節マッチング区間長が不自然にばらつかない.(2)発声速度に無関係に,継続時間を制御できる.本方法は,まず,既にスポッティングされた音節マッチング区間長と音節継続時間を左右する要因とを用いて,次にスポッティングする音節の継続時間を予測し,次に,予測された継続時間を用いて,マッチング区間の範囲を制御するものである.50文章,10話者を用いた認識実験の結果,本継続時間制御法を用いることで文認識率が約67.2%から71.1%に向上した.
著者
鈴木 敏正 大沼 義彦 宮崎 隆 椎名 恒 木村 純 YOSHIHIKO Ohnuma シャナハン ピーター クィールド ジョン
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

いわゆる「第三の道」をめざしてヨーロッパ諸国の生涯学習政策は、社会的排除を克服し社会的結合を推進しようとし、とくに辺境地域におけるプロジェクトを強化している。本協同研究では、ヨーロッパと日本の辺境である北アイルランドと北海道を対象とした実証的研究をとおして、「社会的に排除された人々とともにある教育」としての「地域社会発展教育または地域づくり教育community development education」の実態と課題を明らかにした。第1に、現段階の日英両国における生涯学習政策の比較検討とイギリス・北アイルランドにおけるその展開、革新的な地域社会教育の国際的・歴史的発展と諸モデル、成人教育の資源としての「社会的資本social capital」の役割を明らかにし、新たなモデルとしての「エンパワーメントのための地域社会発展教育」を提起した。第2に、北アイルランドを中心として、アイルランド北西部で展開されている地域社会発展とそれにかかわる成人教育の実践分析をした。それは、地域社会とアルスター大学のパートナーシップ活動、コミュニティケア、「社会的経済」、女性グループ活動、内発的スポーツ、農村地域社会発展、ヨーロッパ11大学協同による地域活動家・関連諸専門職の教育訓練プロジェクト、の諸領域にわたる。第3に、上記と比較した北海道における地域調査研究であり、不安定就労者・失業者の統計的検討、労働者協同組合活動、市民演劇活動とくに対人関係職員・労働者に対するワークショップ、および市民活動としての環境保護運動の展開過程の分析、そして地域づくりにかかわる大学の役割の解明をした。
著者
堀 まどか
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

20世紀初頭の欧米における芸術の転換期において、日本の芸術芸能はいかに発信され、いかに受容されたのか。本研究の目的は、野口米次郎とその周辺の文化ネットワークの実証的な検証を通して、その一端を明らかにすることであった。日本の芸術芸能への関心は、20世紀転換期の「象徴主義」「神秘思想」「東洋」といった欧米知識人たちの関心空間の中にまさに胚胎し、ギリシアや古典、伝統回帰と表裏一体で形成されていくモダニズム芸術運動と連動した。本研究では、野口を軸に、ここに介在した日本文化人と英語圏文学者との間の交流、その結果生まれた芸術芸能の相互作用の実態と内実を解明し、この時期における日本と海外の芸術交流史に新たな視点を切り開いた。
著者
知念 まどか
出版者
熊本大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

前年度までの研究から、prp13-1を含むいくつかのスプライシング変異株ではセントロメア領域のヘテロクロマチン形成に異常が見られ、スプライシング因子が分裂酵母のセントロメアのヘテロクロマチン形成に関与している可能性が示唆された。分裂酵母のセントロメア領域ではヘテロクロマチン形成にRNAi機構が関与していることが知られている。そのため、RNAi機構に関与する因子の変異株では、核分裂の際に正常に染色体が二分裂できずに取り残されてしまうlagging chromosomeが観察される事が知られている。そこで、prp13-1変異株においてもlagging chromosomeが観察されるか、微小管に対する抗体であるTAT1抗体を用いた免疫染色を行った。その結果、野生株ではlagging chromosomeは観察されないが、prp13-1変異株ではΔdcr1株と同様に分裂期の細胞の約19%でlagging chromosomeが観察された。さらに、ヘテロクロマチン領域に結合するSwi6pのセントロメア領域への結合がprp13-1では減少していることをChIP解析により明らかにした。これまでの2年間の研究成果をまとめ、学術雑誌(The Journal of Biological Chemistry, 285, 5630-5638, 2010)に発表した。また、このモデルを検証するためさらに実験を進めており、現在までに実験に必要な株やplasmidの作成を終了しており、ChIP解析などを用いてモデルの検証を行う予定である。この研究から、スプライシング因子が関与するクロマチン修飾機構という、これまで知られていなかった新しいスプライシング因子の役割が明らかになると期待される。
著者
井上 英孝 河野 泰治 岡田 知子
出版者
東和大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

H18年度の研究実績の概要1.研究の目的(1)京築地区における神楽舞台の実態及び建築的特徴を明らかにする-前年度までは舞台の調査を重点的に行ってきたが、未調査である楽屋の実態調査を京築地区全体について行う。また、旧豊前国内の京築地区周辺部に存在する舞台をランダムに抽出して調査を行い、それと比較することにより京築地区における特徴をより明確にする。(2)舞台の維持管理体制が集落住民の共同体意識に果たす役割-神楽奉納が盛んな京築地区の中部、及び南部について舞台の維持管理に関するヒヤリング調査を行い、前年度調査済の豊前市の調査結果(52)と併せて分析。(3)神楽の奉納空間-前年度までは、最も神楽奉納が盛んな南部の神楽奉納についての調査を行ってきたが、まだ未調査である北部の神楽奉納についての特徴を明確にする。2.平成18年度研究調査実績(1)神楽舞台の実態調査(イ)京築地区内のH17年度に未調査である以下の境内配置・舞台・楽屋の実態調査を実施。苅田町(19)、行橋市(26)、旧勝山町(9)、旧犀川町(7)、旧豊津町(3)、旧築城町(10)、旧椎田町(18)、豊前市(2)、吉富町(9)、計103舞台(ロ)京築地区周辺部の旧豊前国内に存在する舞台をランダムに抽出し実態調査を実施。北九州市小倉南区(7)、旧田川郡(9)、旧中津市(11)、旧宇佐市(18)、計45舞台実態調査は予定通り完了。分析の結果、周辺部に存在する舞台の特徴は京築地区の舞台の特徴の延長上にあることが判明(周辺部北部は京築地区北部の、周辺部南部は京築地区南部の特徴)。これにより京築地区の舞台の特徴を豊前神楽の里である旧豊前国という広域の中で検証し、より明解にすることができた。(2)舞台の維持管理体制に関して区長又は氏子総代に訪問ヒヤリング調査を実施。調査・分析は予定通り完了。・地区中部:旧豊津町(16)、・地区南部:吉富町(6)、旧新吉富村(6)、旧大平村(15)、・計43舞台(調査済み豊前市(52)と併せて、計95舞台)共同体意識醸成には多変量解析の結果、奉納の有無、氏子軒数、年間清掃回数、清掃参加率、等の項目の中で、清掃参加率の寄与率が最も高いという結果を得た。即ち、集落の共同体意識の程度は集落全住民の舞台の維持活動への参加の度合いに依存する。(3)神楽の奉納空間の調査行橋市の安浦神社(稲童神楽)と草野正八幡神社の観察調査を実施。稲童神楽は拝殿式舞台での奉納、楽屋は拝殿の一部を使用。草野正八幡神社は境内の仮設舞台での奉納。いずれも中部・南部の奉納形態に比べて差異はみられない。