著者
坪井 泰住 谷川 正幸
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

単一ドーパント発光材料による有機EL白色発光化のために、複合配位子分子、蛍光材料の燐光強度増大化、ホストの発光との共存、エキサイプレックス(EX)発光、青色発光用高効率ホスト材料、の研究を行った。複合配位子材料から緑色と赤色の発光、蛍光体の燐光体増感による緑色蛍光と赤色燐光の発光、赤色発光燐光材料を微量添加した青色蛍光体薄膜から白色発光、4つの蛍光分子材料の混合層で形成された4種類のEXによる超ブロードな白色光、を得た。
著者
坂田 晴夫 磯野 春雄
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン (ISSN:03743470)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.29-35, 1977-01-01
被引用文献数
11 5

色覚機能を明らかにするためにも, カラー画像伝送の基礎としても, 視覚の色度空間周波数特性を知る必要がある.ここでは無彩色を中心とする補色間の正弦波パターンの色差弁別により視覚の色度空間周波数特性を測定した.得られた周波数特性はバンドパスフィルター型であり, 明暗が最も広帯域であり, 色度では赤-緑が広帯域であり, 黄-青の組合せは最も狭帯域であった.画面輝度の影響や空間異方性についても測定した.
著者
足立 俊明 山岸 正和 前田 定廣 江尻 典雄
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

ケーラー多様体の部分多様体の性質を調べるために、概接触構造から誘導される自然な閉2形式を考え、その定数倍である佐々木磁場の下での荷電粒子の等速運動について考察した。佐々木磁場は一様な力が働く磁場ではないため、軌道が古典的なフレネ・セレーの公式に関して単純である2次の曲線になっているかという観点に着目した。複素空間形といわれる対称性の高いケーラー多様体内の測地球面をはじめとするA型実超曲面上にはこのような軌道が存在し、しかもこのような軌道の量により複素空間形内の部分多様体族の中でA型実超曲面は特徴付けられることがわかった。更に、閉じた2次の曲線になる軌道の長さが数直線上にどのように分布するかを明らかにした。一方、ケーラー多様体の離散モデルの提案にも取り組み、辺が2色に彩色されたグラフがその候補であることを、グラフ上の閉じた道と磁場の下での閉軌道とを対応させ、両者の長さの分布状況に類似点があることを裏付け証拠として示した。
著者
覚知 亮平
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

本年は昨年の研究成果を存分に活用し、引き続きDNAセンサーの開発を行った。昨年の経過より、DNAやRNAがポリアニオンであることに着目した分子設計を試みた。具体的には、ポリフェニルアセチレンの側鎖にアニオンレセプターとして働くスルホンアミド基の導入を行った。その結果、得られたポリアセチレン類にアニオンセンシング能を付与できることが分かった(PPA-Sulfonamide)。また、側鎖官能団に電気吸引性基を導入することで、ポリマーのアニオンセンシング能を自在に調節可能であった。重要なことに、強力な電気吸引性基であるp-ニトロフェニル基を用いることで、DNAの構成要素であるリン酸アニオンを目視により判別可能であった。さらに、得られたポリマーの水/ジメチルホルムアミド(DMF)混合溶液に、ゲストアニオンを添加することで、ポリマー溶液の明らかな色調変化が観測された。この結果は、現在でも困難を極める、水中におけるアニオンセンシングを達成した点で意義深い。従って、以上の結果より、ポリフェニルアセチレンを応答部位として用いるDNAセンサーの実現に向けた礎を築けたと考えている。
著者
田嶋 稔樹
出版者
東京工業大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2007

プロトン性溶媒や基質であるカルボン酸と固体塩基の酸塩基反応に基づく共役酸塩基対を支持塩とする、見掛け上支持塩を必要としない環境調和型新規電解反応システムの開発に成功した。さらに、固体塩基を用いる本電解反応システムを電解フローセルやパラレル電解合成へと応用展開することに成功した。また、一連の研究課程において固体塩基が陽極で酸化を受けないことを見出し、固体に固定化された試薬や触媒は電解反応を受けないという"有機電解合成における活性点分離の概念"を提唱した。
著者
片山 正人 加藤 康仁 秦野 利基 羽鳥 真 丸茂 晋吾
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.289-295, 1998-08-20
参考文献数
14
被引用文献数
4

新フルオロインドールオーキシン, 5, 6-ジフルオロインドール-3-酢酸(5, 6-F_2-IAA, 1)をFischerのインドール化法によって合成した.本化合物はアベナ子葉鞘切片に対してインドール-3-酢酸(IAA)より, より強い伸長活性を示した.アベナ子葉鞘切片に対する5, 6-F_2-IAAの至適濃度は5, 6-Cl_2-IAAのそれより, より高かったが, 5, 6-F_2-IAAの伸長の度合いは5, 6-Cl_2-IAAより, より大きかった.また, 5, 6-F_2-IAAはマング・ビーン幼植物に側根形成を誘導し, さらにその側根の成長をも促進した.白菜の下胚軸の成長に対しても合成したモノおよびジフルオロ-IAA類のうち5, 6-F_2-IAAが最も強い阻害活性を示した.5, 6-F_2-IAAのペルオキシダーゼ酸化に対する抵抗性は中程度であった.
著者
安藤 洋介
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

1.新規リチウムイオン応答性変色蛍光色素の設計および合成とセンサーデバイス化昨年度合成を完了した新規リチウムイオン応答性変色蛍光色素を、シランカップリング剤を介してガラス基板に固定化することで、リチウムイオンセンシングデバイスを作製し、評価を行った。このデバイスは、水溶液中において、リチウムイオン濃度変化に応じて2つの蛍光極大波長における強度レシオ応答を示し、レシオメトリック測定によって10^<-4>~10^<-1>mol/Lの濃度範囲で再現性の高いリチウムイオン濃度の定量を達成した。さらに、水溶液のpHや妨害イオン種の影響を受けないこと、連続測定可能な高い耐久性も確認された。また、ヒト血清中の既知リチウムイオン濃度の定量測定結果より、タンパクやその他の血清成分の影響を受けないことが確認され、実用応用可能な性能を有することが示された。これらの成果は、公刊学術論文(Analyst,次頁参照)に発表された。本研究により、医療計測ニーズに合う、実用応用可能な高耐久性・高感度・簡便なリチウムイオンセンサーのモデルが確立された。2.新規pH応答性蛍光量子ドットの創製高輝度・高安定イオン応答性変色蛍光ナノ粒子モデルとして、pH応答性量子ドット(無機ナノ粒子蛍光体)の創製に取り組んだ。このモデルは、直径数nmの量子ドット表面にpH応答性を有する有機蛍光色素を修飾する。実験結果より、シリカ薄層でコーティングされた量子ドット表面に色素が修飾されたことを蛍光スペクトル測定によって確認した。この修飾方法の検討結果と、昨年度行った量子ドットの基板への固定化の成果から、pH応答性量子ドットの作製および基板への固定化による、高耐久性・高感度pHセンシングデバイスの作製に向けた基礎的知見が得られた。
著者
高井 まどか
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008-04-01

本研究では、材料表面へのタンパク質の吸着とそれを介した細胞接着を、様々な材料表面を用い、水晶振動子マイクロバランス(QCM-D)法を用いて評価することで、初期接着挙動を解析するデバイス創製を目的とした。QCM-Dを用いることで、タンパク質が材料の吸着し細胞が接着する一連のプロセスを同一パラメータで解析することができた。また細胞接着密度の異なる接着細胞数では、接着している細胞数が多いと、吸着と伸展の挙動は検出されるが、リモデリングは観察されないという差異をQCM-Dで解析することができた。細胞と材料表面の接着挙動を動的に解析するデバイスとしてQCM-Dが適応できることを明らかにした。
著者
縄田 栄治 樋口 浩和 坂本 正弘 中西 麻美 小坂 康之
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

現在、熱帯地域で急速に進行する経済発展とグローバリゼーションにより脅かされている、伝統的な植物資源利用を明らかにし、いくつかの植物資源をとりあげ、近年の分布域の変化、遺伝的多様性を明らかにすることを目的として4年間の研究を実施した。臨地調査により、伝統的な焼畑地では、休閑林の生態系が急速に変化しつつあること、ホームガーデンでは、種の多様性はある程度維持されているものの、利用に関する知識が失われつつあることが明らかになった。また、野生のマンゴーの利用は、東南アジア大陸部全域に広がり、今なお、多様な利用が見られるものの、地域差が大きいことが明らかとなった。
著者
吉井 和佳
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

採用第3年度ではまず、開発した音楽推薦システムを実用化する上での重大な問題点を克服することに取り組んだ。また、音楽の内容として音色だけでなくリズムを考慮できるようにシステムを拡張した。さらに、ドラム音認識技術を音楽ロボット開発に応用することを試みた。これはホンダ・リサーチ・インスティテュート・ジャパンとの共同研究である。(1)ハイブリッド型楽曲推薦システム我々はこれまで、確率モデルを用いて楽曲評価と音響的特徴とを統合し、ユーザの嗜好にあった楽曲を精度良く選択できるシステムを開発した。しかし、データ変化に対する適応性やデータサイズに対するスケーラビリティが欠如していた。そこで、確率モデルをデータ変化に合わせて逐次的に更新可能にするインクリメンタル学習法を提案し、適応性の問題を解決した。さらに、インクリメンタル学習法をクラスタリング手法と統合することで、巨大なデータに対しても確率モデルを効率的に学習できる手法を提案した。この成果は音楽情報処理分野で最難関の会議であるISMIR2007にて発表し、好評を得た。(2)音楽ロボット開発本研究では、音楽を自らの耳で聴きながらリズムに合わせて自律的に足踏みできる二足歩行ロボット(ASIMO)の開発を行った。近年、テレビや博覧会で目にする音楽ロボットは一見音楽に合わせて動作しているように見えるが、実際はロボット自身が音楽を聞いているわけではなく、人間が事前にすべての動作および動作タイミングをプログラミングしている。我々は、頭部ヘッドフォンにより録音された音響信号中のビート時刻を検出・予測し、フィードバック制御に基づいて足踏みをコントロールするロボットを開発した。ビート検出・予測部は我々のドラム音検出術を応用して実装した。この成果はロボティクス分野で最難関の会議であるIROS2007にて発表した。ロボティクス分野ではこれまでハードウェア面での改良が主な興味であったが、ロボットの知的能力開発の重要性を指摘した我々の研究発表は多くの聴衆を集めた。
著者
犬塚 康博
出版者
関西大学
雑誌
関西大学博物館紀要 (ISSN:13414895)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.283-292, 2004-03-31
著者
清水 芳男
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

(1)メチシリン抵抗性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染後腎炎の原因候補抗原の組換え蛋白を作製し、培養メサンギウム細胞と反応させたところ、メサンギウムの増殖に関し、正・負の両者のシグナルをToll-likeレセプターを介して伝達することを見出した。(2)Fcα/μレセプター(Fcα/μR)は、IgA・IgMに対する高親和性Fcレセプターである。Fcα/μRトランスフェクタントにより、患者血清中の多量体IgAを捕捉し、ヒンジ部O-結合型糖鎖を標識レクチンで染色し、フローサイトメトリーにて解析する系を開発した。
著者
秦 克世志 RuckThawonmas
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.134, pp.7-11, 2006-12-16
参考文献数
8

視覚化ツールKeyGraphを応用して多人数オンラインゲーム(MMOG)ログデータからプレイヤーの特徴を抽出するしかし KeyGraphが対象とするテキストとMMOGログデータでは異なる性質がみられるので 次のような改良を加える行動のつながりの強さを意味する共起度を決定する範囲をログ内のプレイヤー一人の行動すべてから行動の周辺に縮め すべての行動に対して共起度雇ジャッカード係数でとる.これまでは1人の行動の最初から最後までを共起の範囲としてきたが これにより行動した時間が離れている場合は共起していない事になる.いくつかの共起施囲で実行し 結果の違いを考察した.We aim at extraction of player characteristics from MMOG logs with a visualization tool called "KeyGraph". In this paper, we add the following improvement because the characteristics of MMOG data and those of text data, which KeyGraph originally targeted, differ. The added improvement is that of narrowing down the range for deciding the co-occurrence level between an action of interest and another action, i.e., the strength of the connection between them, from a whole action sequence of each player to a circumference subsequence including the action of interest. The Jaccard coefficient is then used for calculation of co-occurrence. As a result, although actions appear in a same action sequence, their co-occurrence level will be low if they are apart from each other. We show and compare results for different co-occurrence ranges.
著者
丸山 雅祥 成生 達彦 黄 リン 松井 建二 鄭 潤徹
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

近年の東アジア諸国(日本、中国、韓国、台湾、ベトナムなど)の流通革命の基本構造に関して理論的・実証的研究を行った。各地域において消費者行動に関する膨大なアンケート調査を実施し、店舗選択の基本要因(消費者の社会経済要因、小売店舗の要因、文化的要因など)に関する実証分析や、消費者側から見た伝統市場(在来市場)とスーパーに対する評価の実証分析を行うと共に、流通関係者(卸売業者、小売業者、流通政策の担当者)への聞き取り調査を実施した。研究成果は多数の国際学会で発表するとともに、国際的な学術専門誌から多数の論文を公刊し、広く成果を発信した。