著者
周 桑〓 渡辺 泰堂
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.40, pp.368-369, 1990-03-14

中国語の漢字の一字はv,vv,cv,cvv等より構成されていて,母音はスペクトル特徴が明確で比較的認識しやすいが,子音は後続母音の調音結合の影響が大きい.摩擦子音は雑音の形として表現されるがエネルギー変化,スペクトル,ゼロクロース等は摩擦子音によって特徴があり,認識の方法に応用されている.中国語の摩擦子音/z/,/c/,/s/と捲舌(舌を硬口蓋につけて発声)摩擦子音/zh/,/ch/,/sh/,/r/(新華辞典に使用の記号)は波形がよくにているので判別しにくい.ここでは摩擦子音の区長間,ゼロクロース数,スペクトル.区間のエネルギー変化,後続母音のエネルギーとの比などを分析し,これらをパラメータとして/z/,/c/./s/,/l/と/zh/,/ch/,/sh/,/r/を認識するものである.
著者
仲井 まどか 姜 媛瓊
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

バキュロウイルスは、昆虫のみに感染するDNAウイルスであり害虫防除資材として世界中で使用されている。また、タンパク質の発現ベクターとしても利用されている。これまで、約600種のバキュロウイルスが報告されているが、詳細な感染過程や遺伝子の機能が明らかにされているのは、タイプ種を含む一部のウイルス種に限られている。その主な理由は、特に顆粒病ウイルスなどバキュロウイルスの多くの種で感染可能な培養細胞がないため、組換えウイルスが作製できないからである。リバースジェネティクスによる遺伝子機能解析には、特定の遺伝子を破壊した組換えウイルスを用いるが、組換えウイルスの作製には感染可能な培養細胞が必要であり、これまで感染可能な培養細胞のないウイルス種の遺伝子の機能解析はできなかった。そこで本課題は、培養細胞を用いずに組換えバキュロウイルスの構築法を開発することを目的とした。主な成果は、バキュロウイルスのゲノムに大腸菌の複製起点を導入することにより大腸菌内で遺伝子組換えを可能にするバックミドDNAの作製法を確立したことである。
著者
大石 和代 宮市 和子 加藤 奈智子 古田 真司
雑誌
長崎大学医療技術短期大学部紀要 (ISSN:09160841)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-8, 1993-03-31

長崎県内に住む20代から40代を中心とした健康婦人1,113人を対象に,「冷え性」の自覚や,自律神経系の症状を中心とした不定愁訴および月経周期にともなう不定愁訴等について自記式アンケート(無記名)を行った.対象を離島地区,長崎市内,長崎以外の市,郡部の4地区に区分し,居住地域別に結果を比較したところ,離島地区では,胃腸系愁訴を中心とした自律神経的な愁訴が多く,長崎市内では,全身性愁訴を中心とした自律神経的な愁訴と月経中の不調が多いという特徴がみられた.We investigated recognition of "feeling of cold" and unidentified clinical problems due mainly to autonomic symptoms as well as those accompanying the menstrual cycle in 1200 women mostly in their 20s, 30s, and 40s, using a self-entering questionnaire (unsigned). The results were compared by each region, narnely, remote islands, Nagasaki city, cities other than Nagasaki, and rural districts, and the following results were obtained. In remote islands, complaints about autonomic symptoms prevailed, while in Nagasaki city both complaints about autonomic symptoms and problems during menstrual period were high. Specifically, the autonomic symptoms were gastro-intestinal symptoms in the remote islands but whole body symptoms in Nagasaki city, indicating a difference between the two regions.
著者
斎藤 義則 帯刀 治 齋藤 典生 佐川 泰弘 中田 潤 原口 弥生 小原 規宏
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

茨城県の中山間地域大子町を対象として、農林業の生産力ではなくライフスタイルの観点から研究した。その結果、中山間地域では「水・エネルギー・食料」の一部を自給し、自然環境と共生するライフスタイルが営まれていることがわかった。このことは、現代の重要な課題の一つである環境共生を先取りした先進的なライフスタイルであると考えられる。また、中山間地域における農林業政策やEUの条件不利地域の農家への直接補助、さらには大子町の黒沢地区における集落構造などを分析した。
著者
山田 宏之
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.331-336, 1993-03-24
被引用文献数
4 7

利根川沿いに位置する小都市,埼玉県栗橋町を対象に,盛夏の14時,4時における気温分布の移動観測を自動車を用いて行った。測定結果から都市気温分布図を作成し,緑地の分布および緑地の種類による差異との関連,および大規模河川の都市気温分布に与える影響などについての考察を加えた。次に,測定範囲内から抽出した30地点を中心にした直径500m,250mの範囲内の樹林地率,草地率,水田率,裸地率,水面率を航空写真より読み取り,緑被率,緑地率を算出した。それらの値から回帰式を作成し,各緑地の被覆割合による気温の低減効果を判定した。これらの値を同様な解析を行った,東京都杉並区,長野県長野市,埼玉県庄和町の結果と比較,考察した。
著者
今井 福司
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.147-162, 2010-09-30

本研究はLIPER2の学校図書館班調査の一環として,専門職養成の観点から,占領期日本の学校図書館改革において影響を与えた1930年代のアメリカ南部における学校図書館専門職養成の制度を検討した。その結果,以下の3点が明らかになった。まず,1930年代の南部では学校図書館の専門職は十分に配置されていなかった。次に,南部中等教育および大学に関する基準協会により高い水準の学校図書館基準が作成されていた。そして同協会の基準を達成しようと,南部各州は学校図書館整備を進めていた。こうしたアメリカ南部の基準は,日本で学校図書館専門職制度が構築される際に,文献や学校図書館アドバイザーを通じて紹介された。しかし,アメリカの制度では明確にSchool LibrarianとTeacher Librarianが区別されていたのに対して,日本においては両者の間の区別は曖昧だった。
著者
深澤 まどか
出版者
京都府立医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

THP-1細胞、及びマウス単球-マクロファージを用いて、グレリン受容体(GHS-R),レプチン受容体(Leptin-R)の遺伝子ノックダウンにてグレリン、レプチン各々の作用が抑制され、また細胞内シグナリングにおいて、ERK1 のノックダウンで炎症-凝固に関するシグナリングが抑制され、AKTのノックダウンで炎症-凝固系のシグナリング(具体的にはトロンビン刺激に対して組織因子の発現)の活性化が抑制された。また、薬剤及び抗体によりマウス血中の単球と好中球数を抑制後、Vitroで遺伝子ノックダウンした単球及び好中球をマウスに静注後の実験的肺梗塞の生存率、塞栓率の変化を観察したところTissue Factorの発現が抑制されることで、生存率、塞栓率の改善を見た。詳細に関しては、更なる検討を予定している。
著者
森泉 陽子 TIWARI Dr. Piyush 行武 憲史
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

信用割当が住宅取得行動へ及ぼす影響には、大きく2つある。購入する住宅の質の低下させることと購入時期を遅らせることである。後者は景気浮揚と関連する。これらの効果はともに著しく大きいと推定された。また信用割当の存在は、現存の住宅の質にも維持・修繕行動を通して影響を及ぼす。家計は景気が悪いとき、所得低下に伴う消費減少をバッファーするために、これらの支出を抑制するが、このバッファー効果が強いと質を保持することができない。日本においても、この効果は無視できなかった。信用割当による住宅質の悪化、住宅による景気浮揚効果の低下が懸念される。
著者
長沼 正樹
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003

本年度の研究は、フィールド調査を継続しつつ昨年の博士論文の内容をもとに、地域間の比較検討に着手しながら、研究成果の一部を国内外の学会に公表した。昨年までのアムール下流域でのフィールド調査の成果の一部を『北海道旧石器文化研究』10号および世界考古学会議(WAC)中間会議で公表した。本年度のフィールド調査は、同じ地域で新石器より下層に包含されると予測した旧石器の検出を目的として、アシノーヴァヤ・レーチカ地区で実施した。しかし調査地点では旧石器遺物を確認できなかった。そこで極東の内陸部や極北地域も含めた後期旧石器に相当する遺跡を、ロシア側で調査された文献資料上で検討して、アムール下流域には、両面調整石器を中心とする旧石器文化が更新世に展開した可能性を見出し、『考古学ジャーナル』誌No.540号に公表した。また博士論文の一部に、新たな情報を加えて書き直し、日本列島の更新世終末期の学説史として『論集忍路子』第1号に公表した。同じく博士論文の一部、両面調整石器のリダクションモデルに関する部分は、国際誌Current Research in the Pleistoceneに投稿した。比較地域の一つとして昨年度着目していた北海道島について、更新世終末期石器群として忍路子石器群と落合モサンル石器群を対象に、先行研究の検討と新資料の実地観察を実施した。忍路子石器群が石刃運搬型リダクション戦略で環境に適応していたことに対し、落合モサンル石器群は、両面調整石器リダクション戦略を中心とした石材利用であり、両者の行動形態は大きく異なるとの見通しを得た。しかし年代学的情報と古環境復元の検討が不十分であることから、まとまった成果として公表してはいない。なお本年度公表した実績の他にも、今後の作業と展開次第で公表可能な状態にもっていける蓄積内容はある。これらについても、国内・外に随時公表する予定である。
著者
阿部 幸一郎 今井 賢治
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

マウスでランダムに突然変異を誘発させることで、炎症性関節炎を引き起こすAli18系統が確立された。Ali18変異を同定するために、遺伝的解析及び候補遺伝子のDNA配列の決定を行った。その結果、第4番染色体に位置するリン酸化酵素のコード領域に突然変異が検出された。リン酸化は細胞のシグナル伝達に関係があり、Ali18変異による増殖シグナルの増幅が関節炎発症に関与すると考えられた。また、Ali18シグナルを阻害すれば炎症を抑制できる効果が期待された。
著者
相馬 浩之 田中 博樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.15, pp.7-12, 1999-04-19
参考文献数
7

インクーネットの急速な発展やパーソナルコンピュータの高機能化に伴い、ニュース配信、音楽配信などの情報配信サービスが注目されている。これらのサービスの利用時に、思想、嗜好、心身に関わることなどのサービス利用者 (以下、利用者) のプライベートな情報を他者に知られないようにすることは重要であり、また、利用者はこの情報を他者に対して隠蔽できるサービスをより好んで利用すると考えられる。本稿では、利用者の嗜好を反映するために利用者が配送コンテンツの希望投票を行うサービスにおいて、開票者に対して利用者の投票内容を隠蔽することで利用者のプライバシー保護を実現する機構を明らかにする。
著者
相馬 浩之 田中 博樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.11, pp.7-12, 1999-04-19
参考文献数
7

インクーネットの急速な発展やパーソナルコンピュータの高機能化に伴い、ニュース配信、音楽配信などの情報配信サービスが注目されている。これらのサービスの利用時に、思想、嗜好、心身に関わることなどのサービス利用者 (以下、利用者) のプライベートな情報を他者に知られないようにすることは重要であり、また、利用者はこの情報を他者に対して隠蔽できるサービスをより好んで利用すると考えられる。本稿では、利用者の嗜好を反映するために利用者が配送コンテンツの希望投票を行うサービスにおいて、開票者に対して利用者の投票内容を隠蔽することで利用者のプライバシー保護を実現する機構を明らかにする。
著者
岡田 弘 上山 裕 武藤 智 堀江 重郎 守殿 貞夫 荒川 創一 藤澤 正人
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

1-(1)in vitroで培養した場合の、尿中細菌数定量測定装置を用いた。樹立細菌株の菌数の変化の定量測定には、12時間以上培養を行うことが理想である。1-(2)in vitroで培養した場合の、尿中細菌数定量測定装置を用いた、樹立細菌株の菌数の変化の定量測定は、最短4時間でも、細菌数の変化(10^4/mlから10^5/ml)は検出可能である。以上の結果から、尿中細菌数定量測定装置を用いた尿中細菌の薬剤感受性試験を行う場合の、培養時間は4時間とすることに決定した。この時間設定は、中央検査施設を保有する中等以上の規模の病院で、外来患者が午前中に尿検体を提出し、薬剤感受性試験を行い。この結果を元に治療薬を決定し治療開始するために、待つことのできる妥当な時間設定であると考えられた。2-(1)樹立細菌株の、尿中細菌数定量測定装置を用いた抗菌剤感受性試験結果と従来法(微量液体希釈法)による感受性結果を比較した結果、一致率は約90%と良好であった。2-(2)尿路感染症患者(急性単純性膀胱炎)から分離された細菌を検体として、抗菌剤感受性試験を、尿中細菌数定量測定装置を用いた結果と従来法(微量液体希釈法)を用いた結果を比較検討すると、両者の一致率は約85%であり、良好であった。以上の結果から、尿中細菌数定量測定装置を用いた迅速(4時間)な抗菌剤感受性試験は、臨床応用可能と考えられた。Evidence Based Chemotherapy実現へ向けて、今後は複数菌感染症や増殖時間の遅い菌種の取り扱いに関する検討が必要であると考えられた。