著者
大竹 まり子 田代 久男 齋藤 明子
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 医学 : 山形医学 (ISSN:0288030X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.57-69, 2004-02-16
被引用文献数
2

背景:在院日数の短縮化が図られている社会情勢から、山形大学医学部附属病院に地域医療連携センターを設置する運びとなった。そこで、センターにおける退院支援部門の役割を明確にするため、センター開設前の当院における退院困難事例に注目して調査を行なったので、その結果を報告する。対象:山形大学医学部附属病院の病棟看護師、看護師長より提出された退院困難事例。 方法:山形大学医学部附属病院看護部に質問紙を配布し、過去及び現在の退院困難事例に関する記載を依頼。提出された111事例を退院困難事例として分析対象とした。退院困難事例の年齢、性別、家族構成、居住地、診療科、現在もしくは退院時に行っている医療処置、退院後の療養生活に影響する障害の有無、障害者手帳など福祉制度の利用の有無、ADL、痴呆の有無、退院支援で困っていることについて記載を求め、退院困難事例の特徴を分析した。結果:事例の年齢層は0歳から89歳の広範囲にわたったが、65歳以上の高齢者が47.7%を占めた。在宅療養に影響する障害および疾患は、運動機能障害が最も多く31事例(35.1 %)であり、次いで悪性疾患、精神疾患、難病であった。111事例中94事例(84.7 %)が何らかの医療処置を行っていた。ADL評価では自立の事例に次いで重度の事例が多く、ADL が5項目とも自立している事例は23事例(20.7 %)であった。痴呆評価では正常な事例が40.5%であった。 ADL が自立し、痴呆のない14事例の退院困難理由の背景は、医療処置があること、精神疾患、悪性疾患、一人暮らしであった。医療依存の高い患者、介護力に問題のある患者の退院後の生活環境を整えることがセンターにおける退院支援部門の役割であることが示唆された。
著者
築島 裕
出版者
日本学士院
雑誌
日本學士院紀要 (ISSN:03880036)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.227-252, 1997
著者
小長井 一男 東畑 郁生 清田 隆 池田 隆明
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

2005年10月8日パキスタン・インド国境近くのカシミール山岳地でM7.6の地震が発生した。実数は9万人を超えると推測され、この地震がパキスタン社会に与えた影響が極めて深刻であることは言うまでもない。しかし同時にこの地震は、その後長期に継続する地形変化の引き金となり、被災地の復興に様々な問題を投げかけている。本年度で実施した研究の実績は主に以下の2点に集約される。(1)Hattian Ballahに出現した巨大な崩落土塊の変形については前年度までにをモンスーンの前後で精密GPSによる計測を行って、この土砂ダムの決壊にいたる懸念があり万が一の決壊時の流出解析を行い、この結果はState Earthquake Reconstruction & Rehabilitation Agency(SERRA)やMuzaffarabad市、そしてJICAにも報告されていた。この決壊は2010年2月9日に現実のものとなり、下流部に最高17m程度の洪水が押し寄せ30余りの家屋が流された。男子1名の犠牲者が報告されたが警戒していた住民の避難があったことが犠牲者を最小限に抑えたものと思われる。決壊に至った詳細を現地計測をもとにとりまとめ現地機関に報告するとともに、International Jopurnal "Landslides"にも2編の投稿を行っている(1篇は登載決定)。(2)カシミール地方の中心都市Muzaffarabad東側に南北に走る断層背面に露出したドロマイト混じりの斜面から流出する土砂はこれまでに谷沿いの家屋の多くを1階~2階レベルまで埋め尽くしていた。今年度はパキスタンが未曾有のモンスーン豪雨被害を受け、対象地域の様相は激変した。砂防堰堤の作られた沢とそうでない沢の被害の様相は大きく異なりこのような状況を調査し更なる対応への提言としてとりまとめている。
著者
北山 研二 川上 善郎 村瀬 鋼 木村 建哉
出版者
成城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

課題研究「なぜ人々は物語なしに生きていけないのか------多メディアの中の物語の発生・展開・終焉------」を遂行するための本研究会は、理論的研究部門と事例調査研究部門とに分けて、それぞれに必要な多種多様なレクチャー・研究会(21回)、国際シンポジウム(1回)、現地調査(2回)・討論会(6回)等を3年間実施した。理論的研究としては、物語の定義、物語の成立条件、物語の存在論などが研究され、狭義の物語よりは多分野横断の物語の再定義、物語の存在論的可能性が提起された。事例調査研究では、既存の特定の分野には限定できず複数分野横断の研究となったが、あえて分類すれば、文学(4件)、メディア(5件)、映画(3件)、美術(2件)、文化制度(2件)、哲学(1件)、消費社会(1件)、演劇・オペラ(1件)、経済(1件)、心理(1件)であった。そこで論点となったのは、どの分野でも物語が大きな役割を果たし、「大きな物語」(国家論、革命改革論、資本主義、社会正義、会社至上主義、大義名分、文化制度、新旧論争、モダニスムとポストモダニスム、成功物語、共同体神話、良妻賢母、女性差別等々)とその細部にはそれとは矛盾するような無数の「小さな物語」(失権復活、隠れた天才、娯楽優先、事実優先、対象固執、恋愛至上主義、個人利益優先、個性尊重、怨恨復讐、青春回顧、年功序列、伝統墨守、自分探し等々)がせめぎ合っている、あるいは現代特有の現象として「大きな物語」に回収されない「小さな物語」の集合などが確認された。しかし、「大きな物語」の復権の可能性があることも確認された。今回の課題研究では、こうした理論的研究と事例調査研究を相互に連携させて研究会・レクチャー・討論会を組織したので、新しい視点と論点が交錯し研究に奥行きを与えることができ、多分野への総括的問題提起型の内容豊かで刺激的な報告書が作成できた。
著者
中村 仁彦 山根 克 杉原 知道 岡田 昌史 関口 暁宣 大武 美保子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2003

1.力学的情報処理理論力学敵情報処理を行うメカニズムの設計法として,多項式および物理的力学系を用いた手法を確立した.また,力学系の可塑性パラメータを導入し,その可塑性に基づく学習と発達のモデルを構築するとともに,力学的引き込み現象としてのコミュニケーションモデルを実現した.2.ミラーニューロンの数学モデル隠れマルコフモデル(HMM)を用いたミラーニューロン数学モデルとその計算法を確立し,HMMの多重階層化による行為の抽象化を実現した.また,常識データベースをもつ言語解析システムと多重階層化ミラーニューロンモデルとの結合を行った.3.ヒューマノイドロボットによる行為の受容と生成の実験従外力運動をするヒューマノイドロボットの試作を行い,人間動作計測に基づいて動作パターンを獲得して制御系を設計する手法を開発した.また,ヒューマノイドロボットと力学情報処理および言語解析システム,行動受容生成システムの結合実験を行った.4.人間の筋・骨格詳細モデルによる大規模センサリ・モータ系のシミュレーションモーションキャプチャデータに基づく筋張力の推定と動力学シミュレーションを行う手法を開発した.また,人間詳細モデルの動力学計算の並列計算による高速化を実現した.大規模センサリ・モータ系としてのヒューマンキデルシミュレータを開発し,力学的情報処理モデルとの結合を実現した.
著者
沈 再文 刀禰 明子 朝山 正己
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.105-117, 1999-03-01
被引用文献数
2

近年、ストレスや疲労の解消法の一つとして、カラーセラピー、カラーヒーリング等のリラクゼーション方法が用いられている。しかし、視覚を用いた心身のリラクゼージョン方法については、まだ十分な科学的証明がなされていない。本研究では、色画用紙四色〈赤、青、黒、白〉を10分間にわたり被験者に見せた際の脳波、皮膚温、心電図、呼吸、脈拍の測定を行った。その結果、皮膚温は、見る前と後とで、四色によってそれぞれ異なった有意な温度変化が観察された。また、脳波においては、θ、α、β波の頻度、振幅、出現時間、部位、別の特徴などについて分析したところ、四色によって特徴的な変化が確認された。
著者
西村 美東士 福留 強 清水 英男 齋藤 ゆか 谷川 彰英
出版者
聖徳大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

現代青少年に関する諸問題については、「個性尊重」による個人の充実のための支援とともに、望ましい社会化を支援するための理念が形成されてきた。しかし、それは次の理由から、不十分な結果に終わっていたと考える。第1に、「一人でも(よりよく)生きられるようになる」ことを望む「個人化」欲求を社会化とは二項対立的にとらえたため、「個人化」支援と統合された社会化支援理念の構築が不十分であった。第2に、「仲間と(よりよく)生きられるようになる」ことを望む萌芽的な「社会化欲求」に対して、魅力的な方策を示し、さらには社会参画につながる展望を示すという点で不十分であった。本研究では、これまで蓄積してきた「青少年問題ドキュメンテーション」等を活用した文献分析等によって、支援理念の変遷過程を検討した。キーワードに関しては、文脈まで含めて細部にわたり分析し、社会化支援理念が、青少年個人の即自、対自己、対他者、対社会の気づきにどう対応しようとしてきたかを検討した。その結果、その変遷過程に一定の特徴を見いだし、より効果的な支援方策のための知見を得た。家族問題に関しては「ひきこもり」等の問題について、職業・就職支援に関してはフリーターやニート等の問題について検討した。その結果、個人化と社会化の統合的支援や、自己形成と社会形成の一体化の実現に向けた有益な知見を得た。青少年対策行政機関や青少年教育機関等が発行する関連文献については、社会化支援理念を共有し、発展させるための意義を明らかにした。同時に、社会化効果の測定や、より効果的な施策・事業展開のための計画策定の指標について、また、経験知としての側面の大きい社会化支援実践に関する他メディアの活用等について、成果公開の内容と方法の改善に関する知見を得た。(成果公開ホームページ:http://mito.vsl.jp)
著者
岡崎 寛徳
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

本年はまず、大名の遊びを中心とした分析を進めた。特に鷹狩や花見・湯治、また武芸などについて、弘前藩津軽家や彦根藩井伊家を事例として取り上げた。また、論文3本と書評1本を発表する機会を得た。論文の1本目は、那須資徳に関するもので、旗本那須家の再興と交代寄合への昇格について分析を行った。そこでは実父津軽信政や幕府実力者柳沢吉保に対する運動が功を奏して叶ったことを明らかにした。相応の運動を展開すれば、限度はあるが、いつかは必ず再興や格が叶うという意識が当時の武家社会の底流にあったと考えられるのである。また、信政が江戸滞在中に運動が展開されていたことも注目に値する点であろう。論拠史料は主に津軽家文書と那須家文書を扱ったが、那須家文書は分析が進められていないばかりではなく、所在自体もあまり知られていない。2本目は旗本遠山金四郎家に関する論文である。前年度に名町奉行として有名な遠山左衛門尉景元に関する論文を発表しているが、これはその続編に相当する。景元の息子景纂と、孫の景彰について、安政二・三年の二年間を対象とした。安政二年は遠山家にとって激動の一年で、景元の死去に続き、景纂も江戸城内で倒れたままその日の内に死去してしまった。その跡目は景彰が相続したが、この年は江戸で安政大地震が起こり、遠山家も被害を受けている。論拠史料は大倉精神文化研究所所蔵の遠山家用人の日記が中心で、知行地のある上総国夷隅郡(現千葉県岬町)や下総国豊田郡(現茨城県下妻市)を訪れ、旧名主家の史料を調査・分析した。3本目は幕末の青年大名井伊直憲の食生活に着目したものである。彦根城博物館に現存する献立日記や周辺史料から、食生活と行動について分析を進めた。
著者
井上 義雄 仁藤 慎一 中浜 隆之
出版者
東邦大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

千葉県から神奈川県にまたがる首都圏の東京湾流入河川(鶴見川、多摩川、荒川、江戸川および花見川)および相模川の汚染実態を、ヒト肝がんHepG2細胞における細胞内受容体AhR依存性Ethoxycoumarin-O-deethylase(ECOD)活性の誘導を指標としたバイオアッセイ法により比較検討した。試料はそれぞれの河川の河口付近の底質より調製した。汚染状況は、京浜工業地帯に位置する鶴見川で最もひどく、江戸川が最も清澄な河川であった。鶴見川河口の底質試料では、ECOD活性が高濃度域で低下する、いわゆる逆U字型の濃度-反応曲線が得られ、主汚染物質としてダイオキシン類よりは多環芳香族炭化水素(PAH)が疑われ、底質1g当たりPAH 2〜20μgと推定された。次に、鶴見川河口の高度汚染の原因を探る目的で、新横浜地区のかつての産業廃棄物野焼き現場付近を含む流域調査を行った。野焼き現場からの汚染物質の漏出が確認されたが、河口域の高度汚染への上流からの影響は小さ<、周辺工業地帯に起国するものと結論した。HepG2細胞における誘導型ECOD活性の高濃度のPAHによるダウンレギュレーションは、タンパク質量でも再現されたが、mRNA、の発現量は飽和曲線を示したことより、翻訳レベルにおける影響と推測された。Ah応答配列(XRE)を配したレポータープラスミドを用いるルシフェラーゼアッセイにより、脱抱合処理が不可欠のECOD活性測定と比べると定量性と再現性の高い簡便な汚染調査が可能となった。
著者
堀越 哲美
巻号頁・発行日
2008-07-03

環境と健康:変動する地球環境と人の暮らし.平成20年7月3日~平成20年7月4日.札幌市
著者
秋山 励 高田 英裕 山中 唯生 大熊 晴之 末次 康江 金岡 敏弘 熊木 哲 石原 和哉 花見 充雄 松村 哲哉 渡邊 哲哉 味岡 佳英 松田 吉雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FTS, フォールトトレラントシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.476, pp.31-36, 2001-11-22

64MビットDRAM内蔵オンチップMPEG-2エンコーダLSIを開発した.大規模・高速なLSIをインプリメントするために, マルチクロックの階層的スキュー管理, クロストークノイズを考慮したタイミング検証, デカップリングキャパシタによる電源のIRドロップ対策を実施した.その結果, 162MHz動作ブロックにおいて, クロストークノイズを考慮した検証で目標性能の263MHz@1.5Vを満足させると共に, IRドロップを166mVに抑えることを可能とした.
著者
仲田 誠
出版者
勁草書房
雑誌
年報社会心理学 (ISSN:05481589)
巻号頁・発行日
no.23, pp.p171-186, 1982
被引用文献数
1