著者
横須賀 俊司 松岡 克尚 津田 英二
出版者
県立広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

害者ソーシャルワークを実践していくには、まず、今のソーシャルワーカーが自分自身を自己変革していく必要がある。その次に、ソーシャルワーク理論における現在の到達点である交互作用モデルを拠り所にしながら、人と環境という二元論的とらえ方を改め、人と環境を一元論的にとらえていくことが求められる。そのために、障害者の身体を交互作用が生じる場としてとらえていかなければならない。さらに、これまでとは異なるオルタナティブな障害者ソーシャルワーク専門職を実現するために、科学化・アカデミックな理論を必ずしも求めるのではなく、障害者の経験知に基づく活動を支えていき、ソーシャルワーカー自身が相対化できる視点や知識を形成していかなければならないのである。
著者
納富 幹人 小澤 史朗 全 炳東
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.872-879, 1998-05-25
参考文献数
12
被引用文献数
25

多様かつ広域にわたる実世界空間から情報を獲得するためには, 移動体観測による柔軟な観測機構が必須である.我々は, 車両・航空機などの移動体からの観測によって, 広域実世界情報を獲得する技術の開発を目指している.ここではその一環として, 車両からの画像観測による都市空間構築に関して報告する.都市空間モデルは, 都市工学, 交通工学, 教育, アミューズメントなどの広い分野で活用され得る重要な情報基盤であるが, その獲得にはばく大なコストが必要であり, 手入力に依存する部分が多く, 用途や対象物を限定せざるを得ないのが現状である.この研究では, 道路を走行する車両からの動画像解析による, 都市景観のモデル化手法を提案する.この手法は動きステレオによる奥行計測を基本とする.建築物などの対象物体は, 観測経路である道路からの奥行と表面模様(テクスチャ)によって表現され, 帯状の距離画像として構造化される.合成されたアニメーション画像に対する実験では, 奥行の誤差は4.4%から8.13%であった.また走行車両から得た実画像に対する実験も行い, この手法に対する評価を行った.
著者
金 憲経 鈴木 隆雄 吉田 英世 大渕 修一 權 珍嬉 石垣 和子 島田 裕之 吉田 英世 齋藤 京子 古名 丈人 大渕 修一 鈴木 隆雄
出版者
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

老年症候群の複数徴候保持者の割合は15.3%と高く,老年症候群の複数徴候には転倒恐怖感,通常歩行速度が有意に関連した.複数徴候保持者の徴候解消を目的とした3ヶ月間の包括的運動プログラムの効果を検証した結果,生活機能低下や尿失禁が有意に改善された.とくに,歩行機能が向上された群で改善率が高かった.以上の結果より,包括的運動介入は複数徴候改善に有効であり,歩行機能の向上は徴候改善に寄与することを検出した.
著者
猪木 慶治 ZWIRNER Fabi ALVAREZーGAUM ルイス VENEZIANO Ga ELLIS John 加藤 晃史 小川 格 川合 光 風間 洋一 江口 徹 NARAIN Kumar SCHELLEKENS バート ALTARELLI Gu MARTIN Andre JACOB Mauric ALVAREZ Gaum 北沢 良久
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

1.現在、素粒子物理学の中で最も重要な課題の一つに電弱相互作用の自発的対称性の破れの起源という問題がある。標準模型においてはSU(2)×U(1)ゲ-ジ対称性の破れは、素のヒッグス場によって起こるとされているが、本当に正しいかどうかの実験的な確証は得られていない。ゲ-ジ対称性の破れを調べるための鍵として、W_LW_L散乱(W_Lは縦波のW)の研究が重要と考えられる。それは高エネルギ-(E≫m_W)においては、W_Lが等価定理によって南部ーコ-ルドスト-ン(NG)ボソンのようにふるまうからである。標準模型においてはヒッグスの自己結合定数はヒッグス質量の2乗に比例するのでヒッグス粒子が1TeV以下に存在しなければ摂動論は適用できない。猪木は日笠(KEK)と協力して、W_LW_L散乱の分部波振巾を、ヒッグス粒子ドミナンスと破れたカイラル対称性に基づく低エネルギ-定理という一般的要請をつかって、ユニタリティ-を満たすように決定した。すなわち、W_LW_L散乱においてtー、uーチャネルにヒッグス粒子を交換することによってsーチャネルに同じ量子数をもったヒッグス粒子があらわれるという要請をおき、低エネルギ-定理をつかって、I=J=0振巾をヒッグス粒子の自己結合定数λのみであらわすことができた。そしてλ→小のときは標準模型に一致し、λ→大になると標準模型からのずれが大きくなることが分かった。このような理論的予測をLHC/SSC、更にはJLC等の加速器で調べることにより、標準模型をこえた理論をさぐるための突破口としたい。2.LEPの実験結果は、超対称性を持った理論が統一理論の候補として有望であることを示唆しているが、これまでの超対称理論の予言は、摂動の最低次の計算に基づいていた。Zwirner等は近似を進めて中性Higgs粒子の質量および混合角を1ーloopでのふく射補正まで計算し、LEP IおよびLEP IIでのHiggs粒子生成の可能性を分析した。3.Wittenは昨年度、2次元のブラックホ-ルのモデルが可解な共形場の理論の一種で記述される事を示した。こうして得られる2次元のブラックホ-ルは、中心にある特異点においても理論は整合的で破綻せず、特異点と事象の地平線を入れかえるduality変換をもつ、という特有の性質をもっている。2次元ブラックホ-ルを記述するゲ-ジ化されたWessーZuminoーWitten模型は、特異点付近で平坦なU(1)ゲ-ジ場を記述する位相的場の理論に近づく。江口はこの事情をより詳しくみるためにWessーZuminoーWitten模型を超対称化し、これを更にtwistして位相的場の理論を作りその性質を調べた。位相的場の理論はBRS不変性をもつために、経路積分がBRS変換の固定点からの寄与で支配される。ブラックホ-ルのモデルでBRS変換の固定点は中心の特異点に一致する。従って時空の特異点が位相的場の理論で書き表される事がわかった。4.Wittenによって始められた位相的な場の理論は、多様体の位相的構造を調べるための新しい強力な手段であるにとどまらず、2次元量子重力理論が共形不変性を持った位相的な場の理論とみなしうるという発見にともない、物理理論としても非常に重要な性格をおびてきている。通常位相的共形不変理論は、風間・鈴木モデルを代表とするN=2超共形不変理論から江口・梁のtwistingによってえられる。風間は最近、位相的共形代数の一般的構造を調べることにより、今まで知られていなかった新しい位相共形代数を見いだし、位相共形代数の枠を広げた。さらにこの代数が隠れたN=1超共形対称性をもった理論のtwistingにより得られることも示した。5.川合は福間(東大)、中山(KEK)と協力して2次元の重力理論を連続極限として持つようなランダム面の理論を考え、その母関数が満たすべきSchwingerーDyson方程式を調べた。その結果、2次元量子重力や紐の理論の背後にはW_∞という大きな対称性が隠されており、その帰結として、SchwingerーDyson方程式がVirasoro代数やW代数の形式的真空条件として統一的に記述されることがわかった。
著者
矢崎 紘一
出版者
東京女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

この期間に行った研究の成果は,大別して,次の3つにまとめられる。1)光円錐上での南部・ジョナ-ラジニオ模型の定式化とその一般化。2)核子の相対論的クォーク模型による形状因子,構造関数の計算。3)クォーク・クラスター模型によるバリオン間相互作用の総合報告の完成。このうち,1)は東海大学のベンツ助教授たちとの共同研究で行った,南部・ジョナ-ラジニオ(NJL)模型の光円錐上におけるハミルトニアン形式の定式化を検討し,ドイツ,エルランゲン大学のレンツ教授,ティース教授および東京大学の太田教授たちと,光円錐上でのカイラル対称性とその破れの記述法の問題に一般化して,ワード・高橋の恒等式を用いた考察を進めるとともに,発散の正則化について新しい手法の提案を行った。2)はベンツ助教授,理化学研究所の石井博士,台湾国立大学の峯尾博士たちとの共同研究で,NJL模型に基く核子の相対論的クォーク模型において,クォーク間相互作用に軸性ベクトル状態でのものを含めて,核子の電弱形状因子や構造関数を計算し,その影響を調べるとともに,簡単化したクォーク・ダイクォーク模型により核物質での核子の構造変化を調べた。3)は東京工業大学の岡教授,上智大学の清水教授たちと20年近くにわたって進めてきたクォーク・クラスター模型によるバリオン間相互作用の研究の総合報告を完成させ,Prog. Theor. Phys. のSupplementの1冊として出版した。
著者
滝 充 惣脇 宏 大槻 達也 宮下 和己 滝 充
出版者
国立教育政策研究所
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

(1)19年度末に実施した「小学校学級担任調査」では、愛知県A市の協力を得て、6つの小学校の4〜6年生の学級担任から、暴力行動等で気になる児童26名の情報を収集した。その中の6年生11名(母集団は850名あまり)に着目し、彼らが中学1年生になった20年度の変化を追跡した。2年間分のデータからは、次のような知見が得られた。(1)11名中6名については、軽度の発達障害や規範意識の未熟さ等の問題から、小学校教諭によって「暴力的」と評価された可能性が高い。必ずしも積極的に他人を攻撃しているわけではなく、行為を自制できないことで、結果的にトラブルを起こしていると見られる。(2)一方、残る5名については、ストレス症状が顕著に見られ、それがいじめ等の攻撃的な行為に向かわせている可能性が高い。中学に進学してストレス状態が緩和された場合には、暴力的な行動がなくなった事例も見られた。(3)中学校の「暴力」の把握は、後者の事例が中心となっていることからと、小学校の把握との間にズレがあることがわかった。(2)ヨーロッパの学校における暴力事情の調査からは、以下の知見が得られた。(1)欧米のbullying概念が、日本で言うところの「いじめ」と「暴力行為(校内暴力)」を明確に区別しないまま論じられている。(2)その背景にあるのは日本とは比べものにならないほど激しい「暴力行為」が日常化していること、等が分かった。
著者
丸山 宏 潘 立波 金 敬雄 柳田 賢二
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究は、中国とロシアの極東における国境地域および国境付近に住む少数民族の精神文化および言語文化が、社会主義の新中国およびソビエトが成立して以降、特に1970年代末から1980年代にかけて市場経済の導入と社会体制の変動が起こる中で、どのように構造変動しているのかを解明しようとしたものである。本研究は平成11年度と12年度の2年間にわたり行われた。初年度は、関連文献の国内外における調査と収集を行った。2年目において研究代表者の丸山宏は、9月に中国内モンゴルに赴き、聞き取り調査と文献収集を行い、エヴェンキ族、オロチョン族、ホジェン族などのツングース系民族について、現代史における生活の変化を跡づけることを試みた。1949年から90年代初までの各民族自治旗の民族人口比率の激変、社会制度や生活様式の変化にともなうシャマニズム文化の断絶、漢族との婚姻率の高さや民族語教育の不備による言語文化の喪失などの諸問題について、その変化の実態を整理することができた。柳田賢二は、中国の朝鮮族居住地域で資料収集した他、極東から中央アジアに移住させられたロシアの高麗人の言語がロシア語の影響下で変容している実態を考察し、将来において極東ロシアの朝鮮系の人々の言語と比較するための予備的基礎作業を行った。金敬雄は中国朝鮮族の言語の変遷に関して、新中国成立以降、文革期を経て、韓国との国交樹立以後までを時期区分し、特に中国語と韓国の朝鮮語からの特徴的な語彙の受容から新しい朝鮮語が成立しつつあることを検討した。潘立波はホジェン族の民間英雄叙事文学である伊瑪堪を取り挙げ、1930年代の記録と90年代の記録を比較し、民間文学の記録という領域における時代性とその異同点を整理した。
著者
浦家 淳博 原田 貴久美 東藤 勇
出版者
釧路工業高等専門学校
雑誌
釧路工業高等専門学校紀要 (ISSN:0455017X)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.45-48, 2001-12-14

Sunshine time in Kushiro city is very long. But the photovoltaics is not spreaded in Kushiro city. The reason may be the preconception of "Foggy town". Therefore it is important to investigate the photovoltaics in Kushiro city. We have measured the solar power by 3kW photovoltaic cell panel since 1997. In this paper, we discuss the practical possibility of the photovoltaics in Kushiro city.
著者
高橋 誠 田中 重好 木村 玲欧 島田 弦 海津 正倫 木股 文昭 岡本 耕平 黒田 達朗 上村 泰裕 川崎 浩司 伊賀 聖屋
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

インド洋大津波の最大被災地、インドネシアのバンダアチェとその周辺地域を事例に、被災から緊急対応、復興過程についてフィールド調査を行い、被害の状況、被害拡大の社会・文化的要因、避難行動と緊急対応、被災者の移動と非被災地との関係、住宅復興と地域の社会変動、支援構造と調整メカニズム、災害文化と地域防災力などの諸点において、超巨大災害と地元社会に及ぼす影響と、その対応メカニズムに関する重要な知見を得た。
著者
滝沢 一樹 浴村 正治 中村 泰彦 森脇 紀夫 内村 実 内山 照雄 岡安 大仁 萩原 忠文
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, 1974-06-25

59才男主訴は咳臓,喀疾,胞内苦悶感,昭和47年12月末日レ線上異常陰影を発見,生検で扁平上皮癌であった.昭和48年4月19日当科入院,胸レ線上空洞を伴なう異常陰影を認め,肺化膿症の合併を認めた,AB-PC.BLM放射線療法を開始したが入院後72日で死亡,剖検では左肺門部のごく一部に分化した扁平上皮癌を認めほぼ左肺全体を占める化膿性空洞を形成していた.癌自体より,化膿症による変化が主体で,肺癌治療中に合併した肺感染症の治療の重要性を再認識した.