著者
北村 有子 稲野 利美 石川 睦弓
出版者
静岡県立静岡がんセンター(研究所)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

胃切除術後患者の体重データを分析した結果、術後6ヶ月までは体重減少がみられ、術後6~12ヶ月は横ばいの傾向がみられた。術後6ヶ月までの経過時期にあわせて、体重と食事のポイントをまとめたA4判1枚のリーフレットを2つ試作した。地域で開催される、胃がん術後の患者・家族を対象としたバイキング形式の会食の企画開催に携わった。多職種(医師、看護師、栄養士)で検討した結果、患者・家族が術後症状を自律的に調整するには、術式別の情報提供が効果的と考えられ、臨床の栄養指導実践に活かしていく。
著者
藤井 正博 早坂 康隆 堀江 憲路
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.114, no.3, pp.127-140, 2008-03-15 (Released:2009-02-24)
参考文献数
48
被引用文献数
5 9

九州東部野津原地域の基盤岩類は,高温低圧型変成岩からなる朝海ユニットの上位に,蛇紋岩からなる超苦鉄質岩ユニットを介し,非変成砕屑岩類からなる日方ユニットが重なるナップ構造で特徴づけられる.朝海ユニットの変成分帯,および黒雲母とザクロ石の化学組成から,朝海ユニットの変成作用は,荷尾杵花崗岩の貫入による接触変成作用であることが明らかとなった.その変成条件は荷尾杵花崗岩近傍で約610℃,2 kbarと見積もられる.また,荷尾杵花崗岩のジルコンのSHRIMP U-Pb年代は134.7±2.8 Ma(2σ)を示す.日方ユニットは朝海ユニットにおける荷尾杵花崗岩の接触変成作用による熱構造を切っていること,また,上部白亜系大野川層群に不整合に覆われることから,ナップ運動は荷尾杵花崗岩の貫入(約135 Ma)以降,大野川層群の堆積開始前(セノマニアン: 約100 Ma)の期間に生じたと考えられる.
著者
林 宏暁 牧野 茂樹 北谷 健 塩田 貴支 篠田 和典 田中 滋久 青木 雅博 笹田 紀子 直江 和彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LQE, レーザ・量子エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.245, pp.187-190, 2009-10-15

高速,低チャープ,小型,低消費電力といった特長を有する電界吸収型光変調器と分布帰還形レーザをモノリシック集積したEA/DFBレーザは,次世代高速通信用光源として有望である.ペルチェ素子による温度調整を必要としない,いわゆるアンクールド動作が実現できれば,さらなる低消費電力化が可能である.我々はこれまでにEA/DFBレーザを作製し,0〜85℃の広い温度範囲において1.55μm帯10Gbps 40km,80km伝送を実現してきた.本研究では1.3μm帯アンクールドEA/DFBレーザを開発し,Al系材料を変調器部に適用しバットジョイント法を用いた集積技術および低容量化技術により,広い温度範囲における43Gbps 10km単一モードファイバ伝送を世界で初めて達成したので報告する.

1 0 0 0 美食する脳

著者
伏木亨
雑誌
環境と健康
巻号頁・発行日
vol.18, pp.216-224, 2005
被引用文献数
1
著者
森 友彦 栗原 堅三 高見 茂 林 由佳子 二ノ宮 裕三 山本 隆
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

昧覚機能は、年齢、性別、生活・職業形態、疾病など種々の環境要因によって変動する。特に、過食と肥満、拒食と痩〓、美食と生活習慣病、食スタイルと生老病死では、味覚機能の変動が原因と結果の双方で生起する。これら諸現象には食の健康科学の視点から関心が高まっていることから、味覚の基本的なメカニズムの解明を通じて味覚機能の全体を理解することが要望される。本企画調査を通じて味覚機能と健康の関連性を科学的に解明する研究の拠点的組織を構築することにより、生命科学としての味覚研究の推進をさらに図る。そのために味覚・食・健康に携わる計12名の第一線の研究者を研究班として組織した。まず、7月26日午後1時から4時、名古屋アソシアターミナルホテル、小会議場にて第1回全体会議を行った。特定研究領域発足に向けて研究方針を立てると共に研究組織の改編を行った。第2回全体会議は9月24日午前10時から12時まで、岡山衛生会館第5会議室で発足に向けての最終打ち合わせを行った。その後、インターネットによる綿密な打ち合わせを頻繁に行い、11月に平成16年度発足特定領域「食の健全性と味覚機能」を申請した。そして、2004年3月1日(月)13時半から6時過ぎまで、京都大学宇治キャンパス農学研究科講義室にて「食の健全性と味覚機能」に関して研究報告会兼シンポジウムを開催した。本研究班に加え、米国ジョンズホプキンス大学医学部より恒成隆博士を招聘して、感覚研究がこれから向かうであろう領域に関して情報を収集した。
著者
山本 美枝子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.233-242, 1992-08-20
被引用文献数
1

『婦人之友』戦後誌の肉料理記事から焼肉料理のみを取り出して調査資料とし,焼肉の調理素材としての利用状況,料理の種類と調理法,調味法などから焼肉料理としての年代的た変化を捉え,さらに執筆者別に焼肉の利用度,食事目的別に肉種別の利用度と料理の内容について比較分析し,家庭料理としての焼肉調理の特色を考察した。要約すると次のようである。1.焼肉の利用度は,塊肉料理の通年出現頻度としては肉料理総数に対して約2割であり,肉種別では特に豚焼肉の利用度が高く焼肉総数の半数を占め,肉種別の最多例数を示す年代は牛焼肉では60年代,豚焼肉は40年代後半,丸鶏では30年代の後半であった。年代別の利用度は食肉の供給状況・消費傾向との関連が認められた。2.焼肉の調理形態は部位焼肉,中抜き丸鶏・七面鳥などの基本形態のほかに,特殊形態として背開き鶏,詰め巻・袋状詰め肉,鶏ガランティンなどの多様な形態がみられ,45年以降に多かった。3.調理法のうち焼肉で頻度の高い調理法は,1位ロースト,2位ゆで煮,3位煮込みの順であるが,肉種別では,牛肉はゆで煮,豚肉は煮込み,丸鶏では天火焼ローストが1位を占める料理であった。4.ゆで煮料理やロースト類にみる調味法の変化は,50年以後に顕著に認められ,醤油や複合調味料,香味材料だとが併用され,用い方には和風感覚が活かされ,より高度な味を求める嗜好の変化が,調味に多様性をもたらしている。5.執筆者別による焼肉の利用は他の婦人雑誌と異なって,プロ,セミプロなどによる料理よりも一般主婦による料理が多く,6割を占めていた。そしてそれは50年代に多くみられた。6.一般主婦の料理は多様であり,日常食と特別食の料理とに分けられ,ほぼ同じ程度に用いられていたが,牛焼肉の場合に日常食がやや多かった。7.一般主婦の焼肉料理はロースト,ゆで煮,煮込み,銀ロースト,の順に利用され,主にローストは特別食,他は日常食の利用形態であった。
著者
五十嵐 尚美
出版者
茨城県立医療大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1996

1. 性暴力について看護者の認識とその変化要因に関する調査研究目的:看護婦の性暴力に関する認識とその変化要因に関して明らかにし、看護ケアの方向性を探る。研究方法:平成8年度から継続している学習グループを計5回の学習会を開催し、そのうち1回は部外者によりファシリテーターを行い「性暴力被害者への看護の役割」に焦点をあてる「フォーカス・グループ・ディスカッション」を行い質的に分析を行った。また、学習グループ主催で、1回の看護婦対象にした講演会を開催し、参加者よりアンケートへの回答を得た。結果:「フォーカス・グループ・ディスカッション」においては、性暴力被害者の実態を理解するならば、被害者を見逃すことが少なく、最小限でも現実的なケアできる、という結果であった。講演会では、看護系雑誌に学習会主催という広告を出し、30名の看護婦が出席。地域は神戸から東京在住者であった。被害者へのケアに関する悩み、被害者経験を有する者もおり、看護ケアを積極的に推進するニーズが高かった。2. 医療機関における性・暴力被害者の受け入れ実態調査研究目的:医療機関における性・暴力被害者の受け入れ状況につい実態を把握する。研究方法:前年度の調査票を簡略化し、回収率を上げ、東京都2区にて医療機関の実態をより正確に把握する。警視庁のデータとのつき合わせをする。研究結果:3年間フォローしてきた東京都の2つの区における病院外来診療部、医療機関400箇所を対象に調査票を配布した。前年度は回収率25%であったが、今年度は35%と若干の伸びが見られた。医療機関における性・暴力被害者受け入れ状況は、警視庁報告より多いことがわかった。また詳細な事例報告の中には、ドメスティックバイオレンス(夫やパートナーからの暴力)の割合が7割をしめていた。今後とも実態を把握することの必要性がある。3. 医療機関における性暴力被害者への看護マニュアルの開発学習グループを中心に当該病院において実現可能なマニュアルを作成中である。マニュアルの評価も今後の課題として残るところである。
著者
下村 作次郎
出版者
天理大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、この3年間、台湾国内の第一線の台湾原住民文学の研究者と互いに連携を取りながら、研究を推進することができた。それゆえ、最前線の台湾原住民文学の創作と研究状況を充分に理解しながら、予期した以上の研究成果をあげることができた。具体的にあげると、次のようなものがある。1、国際学会での研究報告(4回)。会場は、下記の通りである。国立東華大学(2005.9)、国立中山大学(2006.5)、国家中央図書館(2007.9)、天理大学(2008.4)2、論考の学会誌への発表3、静宜大学および国立台湾文学館での鼎談と講演4、『台湾原住民文学選』の翻訳出版(現在7巻既刊)5、『高一生(矢多一生)研究』全10号の出版6、高一生生誕百年国際シンポジウムの開催の準備(2008年4月18日・19日に開催した)なお、本研究は、台湾原住民文学研究に関する基礎的研究であり、引き続き本研究を発展させる必要がある。幸い平成20年度から22年度まで「台湾原住民族における言語環境の変移および言語転換(日本語から漢語へ)の実相」」(基盤研究(C))を受けることができた。さらなる研究の深化と拡大を期したい。
著者
井鷺 裕司 村上 哲明 加藤 英寿 安部 哲人 藤井 紀行
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

生物多様性ホットスポットに生育する絶滅危惧植物を対象に、野生に生育する全個体の植物体の生育場所、繁殖状況、遺伝子型を明らかにすることで、絶滅危惧植物の状況を正しく評価し、適切な保全策を構築することを目的とした。本研究のアプローチにより、絶滅危惧種では、現存する個体数よりも遺伝的に評価した個体数が著しく少ない場合が多いことが明らかになった。また,種を構成する局所集団ごとに遺伝的分化しているため、それぞれを個別の保全対象とすべき種や、更新個体の遺伝解析により未知の繁殖個体の存在が明らかになった種など、生物保全上有用な情報が得られた。
著者
示村 悦二郎 青木 宗也 矢野 眞和 中西 又三 舘 昭 清水 一彦 今野 雅裕
出版者
北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1993

平成3年6月に改正された大学設置基準は、各大学がそれぞれの教育理念・目的に基づいて個性豊かな教育を自由に展開していくことを可能にするとともに、その教育研究活動を自らの手で点検・評価することを求めている。本研究は、大学設置基準の改正以降の各大学のカリキュラム改革や自己点検・評価の状況など大学改革の実施状況を把握し、これについて調査研究するものである。平成5年度は、既存の関連調査等の資料やデータの収集・分析をもとに、改正された大学設置基準及び大学審議会答申等の趣旨がどの程度実現されているか、各大学・学部の理念・目的が十分反映された改革が行われているか、という視点に立って、改革の具体的な内容や方法も引き出せるような設問と選択肢の作成を行った。平成6年度は、前年度から準備を進めてきた、わが国の全大学・学部を対称としたアンケート調査を実施した。回収率は約95%という高率であった。解答には自由記述が多く、定量的な調査ではくみ取れぬような改革状況をかなり正確に把握できるものであったので、可能な限り原票に忠実に調査結果の集計作業を進めた。平成7年度は、前年度実施したアンケート調査の集計結果をもとに分析・検討作業を進めた。その際、(1)学生の受け入れに関する改革、(2)教育課程の改革、(3)教育方法の改善、(4)教員組織の改革、(5)研究条件の改革、(6)生涯学習、(7)学生生活への配慮、(8)自己点検・評価といった項目ごとに分析・検討を行った。その結果、改革は各方面にわたっているが、とりわけ一般教養的教育をはじめとする教育課程の改革が進んでいること、また、自己点検・評価については、その組織体性が整い、実施に積極的な姿勢を見せてはいるものの、その結果の公表についてはどちらかといえば消極的であること、などが明らかになった。
著者
稲村 哲也 山本 紀夫 川本 芳 大山 修一 苅谷 愛彦 杉山 三郎 鵜澤 和宏
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

研究代表者らはこれまで中央アンデス、ネパール・ヒマラヤ山岳地域などで共同研究を重ね、高地環境における牧畜文化の研究を蓄積してきた。アンデス高地の研究から、リャマ・アルパカ牧畜の特徴として、(1)定住的であること、(2)乳を利用しないこと、(3)農耕との結びつきが強いこと、などを明らかになった。これらの特徴は相互に関係し、低緯度の高地に位置する中央アンデスの自然環境、生態学的条件と関係している。そして、アンデスには2種類のラクダ科野生動物ビクーニャとグアナコも生息している。アンデスの家畜種アルパカと野生種ビクーニャの遺伝的近縁性が解明されたことから、その両種の生態を把握することの学術的意義が明確になり、他の地域では困難な「家畜と近縁野生種の同一地域における共時的・通時的研究」がアンデスでは可能となった。そこで、本研究では、ラクダ科動物の家畜種と野生種に関する遺伝学的な分析をさらに精緻化すると共に、それらの生態、牧畜システムの実態をさらに検証し、また、より精度の高い自然環境に関するデータを踏まえて、野生種と家畜種、狩猟と牧畜、動物と農耕などの相互関係、ドメスティケーション等に関わる研究を推進し、新たな知見を得た。また、今後のドメスティケーション、牧畜成立過程、古代文明形成プロセスなどに関する新たな研究への基礎を構築することができた。
著者
崔 鐘吉
巻号頁・発行日
2005

筑波大学博士 (学術) 学位論文・平成17年3月25日授与 (甲第3577号)
著者
本村 一朗 中村 英雄
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

著者らはこれまでチタンの審美歯科補綴の応用に不可欠な前装技術の確立と向上のためにチタンと陶材の焼付けについて研究を行ってきた。本研究はチタン板表面に表面改質装置の出力および照射時間を変化させ、ぬれ性の変化からチタン表面への陶材焼付に最適な条件を求めることにある。前年度では表面処理前の使用金属、純チタンの板上試片の作成および表面改質の条件について検討を行った。本年度は表面改質としてプラズマエッチング処理のみ、プラズマエッチングを行いながらの窒化処理を行い、そのチタン板に陶材の築盛、を行った。なお表面改質を行った板上試片の作成は(1)現在歯科で用いられているロストワックス法による鋳造加工(チタン表面は鋳造時生成される反応層に覆われるため、陶材焼成を行うと界面からの破壊が起こりやすくなる)、(2)高エネルギー加工法としてワイヤ放電加工((1)による反応層の生成を排したもの)の2種類とした。表面改質ではエッチングおよび窒化時間条件により陶材焼成時の酸化が最小限に押さえられたが剪断試験測定時に剥離をきたし、焼付強さの向上には結びつかなかった。これは窒化により陶材築盛面への極度なぬれ性の低下によるものと考えられ、放電加工試片を用いぬれ性の向上のみに努めたプラズマエッチング処理が本研究において最適条件と考えられた。現在、金属コーピングの作成は鋳造が主流であるが今後鋳造以外の加工による歯科補綴物作製法を確立する事が急務と考えられる。チタンへの反応層を生成しない加工法とともにチタン用焼付陶材を用いた審美歯科技術の確立に、本研究で得られた結果はチタンの歯科応用の更なる発展に寄与できるものと考えられる。