著者
小西 一有
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.59, pp.54-57, 2009-06-26

イノベーションとは、多くの可能性を生み出す大きなアイディアである。しかしながら、イノベーションは、とらえどころのない存在であり、それだけを一心に追及しても、持続可能なビジネス成果が生み出される可能性は高くない。企業経営者は、イノベーションが、イノベーションであるがゆえにパラドックス(矛盾点)を抱える存在であることを理解し行動しなければならない。イノベーションに取組む多くの経営者は、再帰的なアプローチを採用している。アイディアを取捨選択するためのフィルタリング・プロセス、アイディア試行のための方法論、そして、社内でイノベーションの中心的役割を声高に訴求するためのイノベーション・プログラムを策定している。しかし、ガートナーが調査したイノベーション推進について先進的な企業は、再帰的なプローチとは、異なる方法でイノベーションを推進している。イノベーションには、パワー(Power)、プロセス(Process)、プレッシャー(Pressure)、プロパティ(Property)の四つのパラドックスが存在する。そして、これらを効果的に克服してビジネス価値を追及することが経営者には求められる。
著者
立山 暢人 鳥居 祥二 白井 達也 平良 俊雄
出版者
神奈川大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988

宇宙線中の一次反陽子の存在量の測定は、宇宙線の銀河中伝播及び、原始反物貭の存在を知る上で極めて重要である。特に100〜300MeVのエネルギ-領域の反陽子は運動学的理由により二次粒子としては殆んど生成されない為に、その観測結果が宇宙論のモデル等に与える意義は大きい。この低エネルギ-領域では、4つのグル-プにより結果が報告されているが、さらに今後の研究が待されている。本研究は原子核乾板を用い、原子核乳剤の中で静止した反陽子を観測する。この方法は(1)荷電粒子の飛跡を0.1μm精度で精密に測定できる(2)粒子の放出角・運動量等の精密の精密測定ができる(3)長期保存が可能で再現性がある。等の特長がある。本研究では(A)顕微鏡画像を画像解析システムにとり込み、反陽子相互作用を自動的に検出するシステムを開発すること。(B)一次反陽子の観測をすること、を目的とした。結果(A)250倍視野の顕微鏡画像を焦点探度を変え、一視野にフレ-ムをとり込む。この画像について背影雑音をとり除き、2値化画像にする。この画像を、ミニコンで荷電粒子飛跡のみの画像に再現する。荷電粒子飛跡を解析し相互作用を検出するシステムを開発した。 この方法は、背影雑音の除去の段でさらに検討してゆく必要がある。(B)一次反陽子の観測は1.18cm^3について完了し、二次粒子分布及び反陽子静止パタンに似たインベントの分布を得た。シミュレ-ションとの比較から、原子核乾板のスキャンが完了した時点での反陽子/陽子比の予想値を得た。この値は現存信用でき得る他の結果と同程度のフラックス値であり、精度はまさるものと考えられる。
著者
遠藤 辰雄 高橋 庸哉
出版者
鳥取環境大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

この研究目的と同じ内容の北極圏スバルバールのニーオルセン(北緯79度東経12度)で行った観測結果が未解析で残っていたので、その解析を詳細に進め、その結果から標題の目的の研究を行うことにした。この期間は1998年12月16日から1999年1月9日までの間であり、この地方は完全な極夜であり、大気化学的条件としては、光化学反応は考慮する必要がないという興味ある環境であった。また、この時期はこの地方では比較的降雪が見られ、この時期を過ぎると全く降雪がないとされている。その降雪も量が少なくかつかなりの強風であるといわれていたのであるが、この年は大雪に恵まれ、しかも余り強風でない状態続いた。解析によって得られた知見は以下の通りである。(1)降雪試料に含まれている化学成分はかなり低濃度ではあるが、これまでの観測結果の傾向が再確認された。それは、雲粒付の雪結晶と雲粒の全く付かない雪結晶雄である雪片は硫酸塩と硝酸塩を夫々卓越して含んでいた。(2)雲粒の付かない雪片だけが観測された時間に環境大気の硝酸塩はエアロゾルの粗大粒子よりは微粒子の方で枯渇した状態が発見された。(3)また雲粒無しの雪結晶が降る時の降雪試料にかなりの高濃度の硝酸塩が検出され、それと同時に同じ濃度の水素イオンが測定された。このことから、雲粒の付かない雪結晶の表面では硝酸ガスそのものを物理吸着の形でとりこんでいるものと考察される。(4)3日間に亘る長時間の連続する降雪の途中から硝酸塩が枯渇するする現象が発見された。これも光化学反応が起こらないためであると考えられる。以上のことを総合的に考察すると硝酸塩もまた長距離輸送される大気汚染物質であると考えることが出来る。
著者
小玉 徹 矢作 弘 北原 徹也 小長谷 一之 佐々木 雅幸 大場 茂明 桧谷 美恵子
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

研究代表は、2007年3月、「大不況以来で最悪の10年間」と表現されるニューヨークの深刻なホームレス問題について調査(自費)した。そこで明らかになったことは、1996年の福祉改革によるワークフェアへの移行により、住宅への補助が削減されるとともにジェントリフィケーションの影響で家賃が上昇し、ワークファーストを強いられたワーキングプアとなった母子世帯がシェルターでの生活を余儀なくされている、という事態であった。これに対してローカルな福祉システムが作動しているドイツでは、高い失業率にもかかわらず、失業扶助、社会扶助、住宅手当によりソーシャル・ミックスが維持されてきた。しかしながら2005年以降、ハルツ改革によりワークフェアへと移行したことで、住宅手当、就労支援の両方にかかわる変更がなされ、都市での社会的分離の進行が危惧されていることが、最近、刊行された論考で指摘されている(Kafner S.,2007,"Housing allowances in Germany".in Kemp P.A.ed.Housing allowances in comparative perspective,The Policy Press).。なおドイツでは1999年以降、問題地域の対応プログラムとして社会的都市(soziale stadt、全国200カ所)がスタートしている。ニューディール・コミュニティ、都市再生会社によるイギリスのインナーシティ再生では、ニュー・エコノミーによる雇用の拡大、住宅、雇用、小売り、コミュニティ・サービスとレジャー施設のコンパクトな配置、さまざまな住宅テニュアの混合によるソーシャル・ミックスが意図されている。しかしながらこうした主張は、物理的な改変が社会問題の解決につながる、というニュー・アーバニズムに依拠している。
著者
田中 久男
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、アメリカ文学を地方主義(regionalism)という観点から究明しようと試みたものである。東部、南部、中西部、西部という従来の合衆国の地域分けを本研究も踏襲した。しかし、E.エリオット編『コロンビア米文学史』(1988)で地方主義を担当したJ.M.コックスも、「西部は未来と移動性そのもの--つまりアメリカなのだ」と、西部を扱うことの難しさを歎いているが、本研究でも、西部の研究は言及程度に留まった。とはいえ、従来の地域分けにつきまとっていた、ニューイングランドを含む東部を合衆国文化の中心とする政治的、経済的力学と連動した地域文化観の偏りを意識して、4地域を平等の力学の中で捉えようと努めた。もっとも本研究者の関心が、W.フォークナー研究にあり、当然、南部に比重が大きく傾くことは避けがたかった。が、それでも、現今の批評の柱であるジェンダー、階級、人種という3視点に注意を払い、宗教やエスニシティや時代の要素にも目配りしながら、各地域のアイデンティティやイメージ、すなわち、その地方が意識し内面化しているアイデンティティと、文学や映画や写真などの外部のメディアや部外者が提供するイメージとが、どのように絡まって重層的に地方の特質を築きあげていくのかを考察しようとした。その際、F・ジェイムソンの『地政学の美学』(1995)やH.K.バーバの『文化の位置づけ』(1994)という文化唯物論的なポストコロニアリズムの視点に立つ研究書を参照することにより、場所の間にも歴史的に構築されたヒエラルキーが存在することを認識し、文学における地方主義の表象解釈が依拠していた審美的な要素に、彼らの先鋭なイデオロギー的な視線を呼び込むことにより、少しは新しい解釈を提供できたのではないかと自負している。

1 0 0 0 裁決事例集

著者
国税不服審判所 [編]
出版者
国税不服審判所
巻号頁・発行日
0000
著者
山下 亜紀郎
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理学会大会 研究発表要旨 2008年 人文地理学会大会
巻号頁・発行日
pp.405, 2008 (Released:2008-12-25)

2006年7月集中豪雨被害に見舞われた長野県岡谷市を対象に、公助(行政の防災施策)、共助(自主防災会を中心とした自治区レベルでの防災)、自助(世帯または個人レベルでの防災意識)の3つの側面から地域防災についての実態を調査し、総合的な地域防災力について検討した。
著者
西風 隆 治居秀法 小澤 一雅
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.43, pp.23-29, 1999-05-21
被引用文献数
1

前方後円墳は、約1500年以前(4世紀?6世紀)に造られた墳墓であって、われわれの遠い先祖によって築造された巨大モニュメントである。現在、約5000基の前方後円墳が確認されているが、残念なことにそのほとんどが長い年月の間に、様々な要因(雨風・地震や都市開発など)による崩壊をこうむり、当時の姿で保存されているものは皆無である。本研究では、それらの前方後円墳の形状復元問題をとりあげ、建造当時の復元形の推定と復元図生成システムの構築を行なった。復元図の生成には、前方後円墳の7つの部位のデータ(墳丘長および、後円部・くびれ部・前方部それぞれの幅と高さ)を必要とするが、データの一部が未知の場合、既知データにもとづいて推定する。本論文では、その推定法と前方後円墳復元図の生成結果を紹介する。The Keyhole-shaped Japanese ancient tomb mounds are the huge historical monuments which were built all over the country during 4th and 6th cneturies. About 5000 mounds have been recognized and registered in the database. Unfortunately, almost all the tomb mounds have been damaged, more or less, by the natural or artificial forces during more than 1500 years. In this paper, a procedural consideration towards pictorial restoration of damaged tomb mounds has been presented in terms of generating contour maps. An experimental system has also been implemented on a PC to depict contour maps of the restored tomb mounds using measured or estimated values of seven dimensions of the mound.
著者
警視廳保安部建築課
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
vol.53, no.647, pp.259-268, 1939-02-20
著者
高谷 富也 加登 文学
出版者
舞鶴工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、暴風雨時の波浪や潮流によって生じる繰り返し荷重や地震時における海底パイプラインの耐波・耐震安定性を評価することを目的として、パイプライン-地盤系の動的応答解析を通じて、パイプラインの変位挙動やその周辺における地盤剛性の低下との関連を検討し、耐波・耐震安全性に関する資料を得るために2年間の研究を遂行した。研究代表者は、既に遠心力模型載荷実験に基づいた繰り返し水平載荷を受けるパイプライン周辺地盤の間隙水圧応答の予測評価式を提案し、パイプライン周辺における地盤剛性の低下との関連を検討してきており、暴風時の波浪や潮流によって生じる繰り返し荷重を受けるパイプライン-地盤系の動的応答解析に基づいた耐波安全性についての検討を行った。その結果、パイプラインに作用する水平荷重と鉛直荷重の比、繰り返し水平荷重の大きさや周波数、パイプラインの初期上載圧や初期埋設深さ、パイプラインと地盤との接触面に設定したジョイント要素の力学特性などがパイプラインの変位挙動、周辺地盤内部の応カ-ひずみ履歴応答や間隙水圧応答に大きく影響することが明らかとなった。一方、研究分担者は砂の粒子形状に着目した非排水状態下におけるせん断特性を把握するために、LabVIEWによる単純せん断試験の計測支援システムを構築した。これにより、海底地盤の砂層に対するせん断特性が定量的に把握することができた。その結果、粒子形状が丸い砂は少ないせん断ひずみで、過剰間隙水圧比が増加から減少に転じるところの変相点に至るため、有効応力が回復しやすく高いせん断応力を発揮することが明らかとなった。
著者
後藤 敏行 田村 直良 立野 玲子
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.10, pp.1947-1957, 2010-10-01

電子楽譜の普及によりインターネットを経由して楽譜情報にアクセスできる環境が整ってきた.これに対して,視覚障害者が用いる点字楽譜はいまだ入手が困難である.筆者らは,電子楽譜( MusicXML )から点字楽譜を生成する自動翻訳システムを研究開発し,ホームページで公開するとともに,システムの評価と拡張を進めてきた.本研究では,交響曲などを含めた多様な楽譜に対応し,点字楽譜における短縮表現などの多様な表現形式を取捨選択できるように自動翻訳手法の機能拡張を行うとともに,インターネット上の電子楽譜を翻訳して提供する機能を開発した.本論文では,これらの機能と利用状況から示されたシステムの有用性について報告する.
著者
中神 和人 田中 治一
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.243-247, 1980-05-20

テクロフサラム[N-(2, 3-dichlorophenyl)-3, 4, 5, 6-tetrachlorophthalamic acid]を水田に施用して, イネ白葉枯病に対する防除効果を検討した.テクロフサラムは10アール当たり有効成分400gの土壌処理で, 相当遅効的ではあったが, 高い効果を示した.茎葉散布処理では, 100, あるいは50ppmの濃度で顕著な効果を示した.ことに, 病斑の拡大を長期間抑制した.人工暴風雨処理によって付傷感染をおこしたイネにおいても, テクロフサラムの茎葉散布は高い効果を現わした.
著者
藤津 揚一朗
出版者
山口大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

春季カタルにおける巨大乳頭は,その病態形成に重要な役割を果たしている。近年アレルギー疾患においてもMCP-1の関与が示唆されている。そこで結膜線維芽細胞におけるMCP-1受容体(CCR2)の発現を確認し,MAPKなどの細胞内シグナル伝達を介した反応をする事が分かった。さらに,MCP-1により細胞増殖がその濃度依存性に亢進し,かつ細胞外マトリックスであるフィブロネクチンやprocollagen type I C-peptide,III型コラーゲンなどの蛋白産生も濃度依存的に亢進させる事が分かった。
著者
倉門 浩二 大石 哲也 長谷川 隆三 藤田 博 越村 三幸
雑誌
研究報告データベースシステム(DBS)
巻号頁・発行日
vol.2010-DBS-150, no.12, pp.1-8, 2010-07-28

近年,インターネットの普及に伴って,膨大な文書を閲覧することが可能となり,適切な文書を探すために検索エンジンを利用する機会が多くなっている.しかし,検索エンジンを利用しても,求める情報を得ることが難しい場合も多い.本研究は,Wikipedia のリンク情報やカテゴリ構造を解析することで,検索クエリの関連語を抽出し,検索結果の適切なリランキングを行うことを目的としている.
著者
高久 雅生 江草 由佳
雑誌
研究報告データベースシステム(DBS)
巻号頁・発行日
vol.2010-DBS-150, no.14, pp.1-6, 2010-07-28

学術論文との出会いを促すツール 「ふわっと関連検索」 を提案する.国立情報学研究所が提供する論文データベース CiNii API を対象とした検索ツールを通じて,その有効性を示す.本手法の特長は,類似文書検索機能をもたない従来型の論文データベースに対して,特徴ベクトル抽出と検索クエリ発行方法を工夫することにより,簡易的な類似文書検索を実現する点にある.本稿では,新聞記事サイトに対する評価実験と検索結果例の分析を示し,論文との新たな出会いを得るための検索ツールの可能性を示す.