著者
カンウィパーラートサムルアイパン 中村 聡史 渡辺 知恵美
雑誌
研究報告データベースシステム(DBS)
巻号頁・発行日
vol.2010-DBS-150, no.15, pp.1-8, 2010-07-28

日本では料理や味覚を擬音語,擬態語を表すオノマトペを用いて 「ふわふわケーキ」 のように表現することが多い.そこで我々は,オノマトペを利用した料理レシピ推薦システムの開発をしている.これまで,オノマトペとレシピ用語の一対一の関連を求めてオノマトペをキーワードにしてレシピを検索するシステムを開発した.今後は,複数の用語やオノマトペと用語の組合せでも検索できるようにすべきである.そこで,本研究はオノマトペと用語の集合の関連を求め,これらの結果に基づいた検索システムのインターフェースを提案する.
著者
廣川 直 モーザー ゲーオグ
出版者
北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

探索やソートアルゴリズムを開発したとき、「入力の大きさに対しどれくらいの速度(ステップ数)で動作するか」という自然な疑問が生じる。現在に至るまで時間的計算量は、プログラムごとに手作業で解析するものと認識されていた。本研究では、関数型プログラムの計算モデルである項書き換え系に対して、解析を自動化する強力な理論を構築した。さらにそれに基づく計算量自動解析ツールを実装した。既存手法との比較実験を行った結果、解析精度の劇的な向上が確認された。
著者
池淵 周一 土屋 義人 VIEUX Baxter WAHL Iver M. CONNER Harol YEH Raymond CRAWFORD Ken 亀田 弘行 中北 英一 田中 正昭 桂 順治 村本 嘉雄 光田 寧 土屋 義人 SASAKI Yoshi EMERRY Garry w. SHARFMAN Mark GARY W. Emer HAROLD Conne BOXTER E Vie IVER N. Wahl KENNETH C. C 土岐 憲三 池渕 周一 YOSHI K. Sas RAYMOND W H IVAR M Wahr CRAIG St Joh MARK Sharfma STEPHAN Ewan GARY W Emery J R Cruz KENNETH C Cr YOSHI K Sasa
出版者
京都大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1992

弱点を改善する方策を見い出すために、いくつかの実験を行った.これらの研究を通して家の軒高における耐風速設計や,気象情報に応じた有効な避難方法,強風災害の予防策などを提言した.3)局地的に激しい気象災害の防止軽減に関する日米防災会議;科学技術庁防災科学技術研究所,京都大学防災研究所,オクラホマ大学国際災害研究センターなどが協力して上記国際会議をオクラホマ大学で開催し,日米あわせて約50名の参加のもと,メソスケールの激しい気象擾乱のメカニズム解明とその観測システム,洪水予測,土砂害予測,災害リスクの評価などについて研究の現状と今後の共同研究のテーマ等を議論した.風水害の防止軽減に関する世界戦略の研究討議;本共同研究のメンバーが2回会合をもち,3年間にわたる共同研究の成果とりまとめ方針を協議するとともに,とくに日米の暴風雨に伴って発生する風水害の軽減化の知見,技術をさらなるステップアップするため今後とも共同研究を継続していくことを合意した.戦略としては防災産業のコンセプトを提言し,今後はそのための研究予算を保険会社等の民間資金の導入も含めて日米双方とも鋭意努力することを確認した.なお,阪神・淡路大震災に関しても日米双方のメンバーが現地に入り,建物被害の実態を調査し,今後,日米双方の耐震設計のあり方を協議する素材を取得した.最終報告書は英文で100ページ程度にまとめて発行することにした.
著者
小野 三嗣 山田 茂
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.25-33, 1975-03-01

37才から44才までの未鍛練健康婦人13名を,夏の暴風雨中,26km急歩を実施させた。26kmを4時間30分で歩きつづけることに成功した8名の帰人,歩行開始後4時間,20kmの地点に到達した後疲労のため歩行を中止した5名の婦人の体格,体構成,脈拍,血圧,血液,尿所見の検査結果を平均的に比較検討した結果から,概ねつぎのような知見を得た。1)心拍数に対する歩行の影響では両群問に差がなかったが,早朝空腹時の平均収縮期血圧が131.5mmHgであった26km歩行群では歩行直後116.3mmHgまで低下していたが,開始前の値がI13.6mmHgであった20km歩行群では何の変化も観察されなかった。2)血中遊離脂肪酸の増加が特に顕著であったが,その程度は26km歩行群の方が著しかった。血中遊離脂肪酸の消長は積極的運動努力の指標のように恩われた。3)トリグリセライドは運動時間が長くなるほど減少する傾向が強まるように思われた。運動の強度とはそれほど関係がないように考えられる。4)コレステロールは8時間以内程度の運動では有意の影響を受けないように思われる。5)運動強度は26km群の方が大きく相応の負担がかかっていることは尿pHの変化からも示唆されたが,有害なストレスという点では体力的に劣る20km群の方に強くあらわれたようである。6)20km群の方が血液濃縮を強く受けLDHの増加が著しく血糖の減少度が強い。7)中年婦人の健康的体脂肪沈着度は25〜28%と考えたい。
著者
野原 精一 広木 幹也 井上 智美
出版者
独立行政法人国立環境研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

島嶼における河川水や地下水の物質輸送が,どの程度沿岸域に影響をおよぼすのかを評価することを目的として,東京都小笠原諸島と八丈島および伊豆大島の島嶼で,1997年~1999年及び2005~2008年に陸水及ひ、海水の採水.i海藻の調査を行った。小笠原父島や母島の河川水の栄養塩環境は夏期に低く,冬期に高い季節変化が見られた。伊豆の島岨の地下水の硝酸態窒素は高い濃度にあり,沿岸域の海藻の重要な窒素源となっているが,近年の生活形態や農業による水需要の変化によって,陸からの沿岸域への陸水供給減少に伴う栄養塩供給の減少と考えられた。海藻のi515N値から陸水の栄養塩の影響を受け沿岸域の富栄養化が時代とともに進んで、きたと推定された。その影響は伊豆大島,八丈島,小笠原と本州から離れるにつれて小さくなってきていた。近年の伊豆大島,八丈島の海藻のi5 15N値の低下は,陸からの陸水の栄養塩類供給が減少してきていることを示唆した。
著者
大橋 恭一 岡本 将宏
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.373-377, 1985-10-05

琵琶湖内湖の干拓地である細粒グライ土を畑転換し,1976年からおがくず入り牛ふん厩肥を10a当たり0〜8t毎作施用し,春作は美濃早世ダイコン,秋作はハクサイを栽培した.厩肥使用量と収量,土壌水分の関係について得られた結果は次のようであった.1.収量に対しては1t施用ではほとんど効果は認められず,2〜4t施用によって効果が高く,8t施用では逆に不安定となった.2.土壌pF値が低く経過している8t施用区の収量が低下する原因は以下のように考えられた.すなわち,ダイコン栽培時に深耕した際に心土が破壊され,大雨で冠水した際,下層土の構造・亀裂に土壌粒子などが詰まり,地下水と毛管連絡し過湿になった.3.厩肥を使用することにより土壌の易効性有効水分(pF1.8〜3.8)は増加し,pH1.8の個相率の低下と気相率の増加が認められるが,8t施用区では気相率が46.9%と高く,干害のおそれも考えられた.
著者
井上 中順 斉藤 辰彦 篠田 浩一 古井 貞煕
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.12, pp.2633-2644, 2010-12-01

本研究では,映像の中から「飛行機」や「歌っている人」といった高次特徴を検出するタスクに対し,SIFT特徴とMFCC特徴の混合ガウス分布(GMM)を用いた統計的手法を提案する.検出手法には,話者認識などで用いられてきたゆう度比による検出と,GMM Supervector SVM (GS-SVM)による検出の二つを用いる.ゆう度比による検出では,高次特徴が出現する部分としない部分のGMMをそれぞれ学習し,二つのモデルから得られるゆう度の比をもとに高次特徴を検出する.GS-SVMでは,各ショットに対するGMMを求め,GMM間の距離から定義されるRBFカーネルを用いたSVMで学習・識別を行う.最後に,各手法から対数ゆう度比を求め,その重み付き和により手法の融合を行う.TRECVID2009のデータセットを用いて評価実験を行った結果,Mean Average PrecisionはSIFT特徴とGS-SVMを用いた場合の0.141から,融合手法により0.173まで向上した.
著者
杉山 三郎 佐藤 悦夫 植田 信太郎 奥田 隆史
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

我々は平成16年度まで「月のピラミッド」を集中発掘し、内部に7時期のピラミッド基壇と5基の埋葬墓を発見した。ピラミッドの隣接区域からは住居址、黒曜石工房跡、5時期の中規模モニュメント遺構を確認した。本研究では、7年間のフィールドワークにより得られた膨大な発掘資料の整理と報告書の作成、また出土した遺物の分析・解釈・出版準備、そして副葬品の完形遺物のデーターバンクの作成を行なった。現在成果の出版準備中である。英語版はニューメキシコ大学出版社から、またスペイン語による詳細な発掘報告書はメキシコ政府の国立人類学歴史学研究所から出版する同意を得ている。さらに地上測量を基にしたテオティワカン中心部の三次元復元図作成のため、長期の現地作業を行なった。すでに「月の広場」から「城壁」まで「死者の大通り」に沿った建築群を2.5Kmにわたり、一部の住居群を除き、測量済みである。これにより、都市計画全体の空間配置も正確に把握可能となり、建築データはすでに様々な研究に使われ成果が出始めている。巨大化したモニュメントの資料は、国家形成と政治体制に関する直接的資料であり、政権の拡張と宗教的イデオロギーを反映する。また生贄体や戦士の副葬品、戦士の象徴であるジャガー、ピューマ、狼、鷲等の生贄動物体は、従来考えられていた平和的な神聖国家像と異なり、軍事的な覇権国家であったと示す。他に黒曜石製品、遠隔地からの貝製品、ガテマラのヒスイ製品などはテオティワカン国家の交易・政治的介入を暗示し、マヤ王朝と直接の関係を示す資料も出土した。一方でモニュメント周辺の諸活動に関する資料も得て、現テオティワカン国家像を大きく変える物的資料獲得と理論形成に貢献したと考える。
著者
堂寺 知成
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

古典結晶学で許されない回転対称性を持つ「準結晶」の発見は20世紀後半の物質科学上の大発見の1つであるが、その発見は合金系であり、高分子系では準結晶のような複雑な構造は発見されていなかった。本研究計画において研究代表者ははじめて高分子準結晶を発見し、さらに理論研究を推進することによって、金属(ハードマター)だけでなく高分子(ソフトマター)にも準結晶が存在することを明らかにし、準結晶構造の普遍性を示した。物理と化学の両業界から大きな反響を呼んだ。
著者
竹中 真希子 稲垣 成哲 黒田 秀子 出口 明子 大久保 正彦
出版者
日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.53-62, 2007-11-30
被引用文献数
1

本研究では,筆者らが開発したカメラ付き携帯電話を利用した情報共有システムであるclippicKidsの実践的な評価を行った。評価対象の学習活動は小学校2年生の「大発見プロジェクト」と呼ばれるもので,カメラ付き携帯電話とclippicKidsを使って,1年間の写真日記が作成された。実践的評価は「大発見プロジェクト」の中で撮影された一連の写真から「自然」が撮影されたものを素材として分析し,次の3つの課題について検討した。(1)子どもたちはカメラ付き携帯電話でどのような自然を撮影するのか,(2)その撮影において自然の何に気づくのか,(3)こうしたテクノロジに支援された活動を子どもたちはどのように評価するのか,であった。その結果,子どもたちは自然関連の写真を数多く撮影したこと,校内の樹木・雑草や栽培している野菜・草花といった植物が多いこと,既有知識とともに,対象の事実に即して具体的な観察や比較の視点を撮影の理由として記述できていたこと,子どもたちの主観的評価では,この活動が肯定的に受容されていたことなどが明らかになった。これらの結果に基づいて,カメラ付き携帯電話を利用した本システムは,自然観察の道具としての可能性と有効性を持つことが示唆された。
著者
堂寺 知成
出版者
近畿大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

研究題目「多元高分子配列ナノ空間物質の構造設計と物性理論」の研究目的は、多元高分子による全く新しい配列ナノ空間構造を設計構築すること、およびその新規物性の理論研究を行うことであった。特にコロイド結晶では作成できない充填密度が低いダイヤモンド構造創製の成果を世界に発信し、物性発現として未来のデバイス、フォトニック結晶への応用可能性を研究することであった。平成21年度は、新しく発見した階層シャイロイド構造の構造解析を進め、実施計画に基づき研究成果の公表準備をした。また、フォトニックバンド計算の精度を高めるべくコンパクト差分法を導入したFDTD法の開発を進めた。この研究には数値計算の専門家に援助を受け、共同研究に発展しつつある。方法論としての有効性を検証しているところである。次に、高分子の作るシングルジャイロイド構造の螺旋軸に注目し、コレステリック液晶あるいは甲虫などに見られる左右螺旋偏光の反射率が異なるという現象が、多元高分子配列ナノ空間物質でも生ずるという仮説を立て、数値実験で確かめた。この研究は継続する予定である。まとめると当該研究期間で、多元高分子による全く新しい配列ナノ空間構造を設計し、自己組織化を用いて2つの新規な構造(巨大ジンクブレンド構造、階層ジャイロイド構造)を構築することに成功した。これらの研究は物質科学、物理および高分子化学の進展に貢献し、学術的にも意義の高いもので、結晶学、数学への関連も重要だと考えている。また理論的には多元高分子のフォトニック結晶への応用可能性を広げた点、これまで議論されなかった偏光実験を提案するなど新しい物性発現の予言を行った点で当初の目標を達成したと言える。
著者
平尾 一郎 三井 雅雄 池田 修司 森山 圭
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

A-TとG-Cの塩基対に人工の塩基対を加えることにより、遺伝情報を拡張し、RNAやタンパク質中に新たな構成成分を部位特異的に導入する技術の創出を目指して、生物のシステム(複製・転写・翻訳)で機能する人工塩基対の開発研究を進めた。申請者は、既に、転写と翻訳で機能する人工塩基対(s-y塩基対)を開発しているので、その知見に基づいて、複製においても機能する人工塩基対の開発に挑戦した。その結果、ユニークな性質を示す種々の人工塩基対(v-y、s-z、s-Paなどの塩基対)を開発することができ、最終的に、複製と転写において相補的に機能する人工塩基対(Ds-Pa塩基対)を作り出すことができた。すなわち、このDs-Pa塩基対を含むDNAをPCRで増幅することもでき、また、どちらの人工塩基(DsとPa)もRNA中に転写で取り込ませることができる。さらに、申請者らが開発したyやPaなどの人工塩基に機能性の置換基(蛍光色素、ビオチン、ヨウ素、アミノ基など)を結合させた転写用の基質を合成し、人工塩基対による転写系でこれらの基質をRNA中に取り込ませ、種々の機能性RNAを作り出し、本技術の応用化の可能性を示した。以上のように、申請者は、従来の遺伝子操作技術に代わる遺伝情報拡張技術を可能とする人工塩基対の開発に世界に先駆けて成功した。今後は、この人工塩基対システムを幅広い分野に利用したベンチャー企業を設立し、本技術の普及を図ると共に医療に役立つ技術と製品を社会に提供したい。
著者
吉田 憲司 江口 一久 端 信行 和田 正平 栗田 和明 竹沢 尚一郎
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

アフリカにおいては、民族意識の高揚にともない、とくに1980年代以降、民族の伝統を再編し、民族独自の文化を創造しようという文化運動が各地で活発化している。本研究は、こうした文化運動に焦点をあて、その実態を明らかにするとともに、そうした運動によるエスニシティ形成のメカニズムを明らかにすることを目的として発足した。調査対象は、アフリカ全体を視野にいれた比較研究を実施するという視点から、地域的にはアフリカ各地にまたがり、また運動の形態の上でも、宗教運動から美術や音楽・舞踊、祭礼の創造・再編に代表される芸術運動から、さらには博物館建設運動に至るまで、多岐にわたった。それらの比較検討を通じて、エスニシティの編成を大きく左右する要素として、祭りやスポーツの展開、伝統工芸の処遇(交易や展示)、普遍宗教の動向、そして人口の移動といった事象が抽出されてきた。また、単にアフリカ内部だけでなく、ディアスポラにおける民族意識のありかたや、欧米における先住民権支援運動の動向も、エスニシティの編成に大きな影響をもっていることが明らかとなった。これまでの調査により、文化運動の基本的類型は概ね把握できたと考えられる。一連の研究を通じて、とくに芸術に焦点をあてた文化運動は、欧米人による介入が運動の成立とその後の展開の大きな要因になっていることが確認された。一方で、宗教運動や人口の移動や集中にともなう生活運動のなかには、外的な影響を契機としつつも、その後の展開においては極端に排他的な展開をみせる運動形態も存在する。ただ、いずれにせよ、文化運動の動向とエスニシティのありかたは、それぞれの民族の外部世界とのグローバルな相互関係の網の目のなかで編成されてきていることが浮き彫りにされた。いわば、アフリカ文化をめぐるグローバル・エスニック・ネットワークの存在を確認したことが本研究の最大の成果である。