著者
加藤 薫
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

西欧中心に理論化されてきたモダン・アートに対抗する形で1920年代に提唱されたメキシコ壁画運動の実態を徹底検証することによって、西欧美術モダニズムとは脱アカデミズムという点では通底するものがあるにせよ、非西欧地域におけるモダニティーの概念やモダナイゼーション過程には各国、各地域毎の固有の形態や歴史があり、脱-西欧モダニズム的性格があることを明らかにした。
著者
山崎 健介
出版者
経営行動科学学会
雑誌
経営行動科学 (ISSN:09145206)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.229-241, 2007-06-30

After obtaining the Msc in forest ecology, the author participated in forest management cooperation in Guatemala as a 2-year volunteer in the Japan Overseas Cooperation Volunteers (JOCV). The present administration of JOCV in cooperation with Japanese ODA activity suffers from a number of problems, including sectional divisions among administrative organizations, lack of monitoring by specialists, a weak presence of Japanese civilian control, and absence of Japanese political leadership. In this environment, JOCV environmental projects are unable to function effectively from the points of view of scientific accuracy, economic and financial efficiency, or political and cultural relations. The theme of the present analysis is to address these problems.
著者
吉田 栄人 桜井 三枝子 大越 翼 三澤 健宏 初谷 譲次 杓谷 茂樹 本谷 裕子
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、外部社会に対して語る優位なポジションを持たないマヤの人たちの日常生活において、外部の社会によって消費の対象として整形され直したマヤという文化がいかにマヤの人たち自身によって獲得され、かつ彼らのものとして領有されるのかその可能性とプロセスを、トゥルム市(メキシコ)のマヤ教会、チチェン・イツァなどの遺跡における観光産業、カルキニ村(メキシコ)の空間認識、ユカタン州(メキシコ)における言語復興活動、国境を越えた労働移動(メキシコおよびグアテマラ)、女性の機織りなどの事例を通じて記述・分析した。
著者
池田 光穂 太田 好信 狐崎 知己 小林 致広 滝 奈々子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

私たちの研究は、メキシコとグアテマラ両国における先住民(先住民族)について、先住民運動の中にみられる政治的アイデンティティについて現地に赴く民族誌調査を通して明らかにしてきた。具体的には、世界の他の地域での民主化要求運動、すなわち自治権獲得運動、言語使用の権利主張や言語復興、土地問題、国政への参加、地方自治などの研究を通して、(a)外部から見える社会的な政治文化としての「抵抗」の実践と(b)内部の構成員から現れてくる文化政治を実践する際の「アイデンティティ構築」という二つのモーメントと、その組み合わせのダイナミズムからなる資料を数多く得ることができた。
著者
二村 良彦 大谷 啓記 青木 健一 二村 夏彦
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.588-605, 1997-11-17
被引用文献数
1

長さnの順列を等確率,即ち1/n!で生成するO(n)アルゴリズムは知られている.しかし,整列アルゴリズム等の精密な評価のためには,このような一様乱順列による評価では不十分である.例えば,一様乱順列に含まれる葉数(自分よりも小さい隣人を持たない要素の個数),ランズ,および上昇部分の個数(即ちn-ランズ)は,平均各々約(n+1)/3,(n+1)/2,および(n-1)/2である.これは一様乱順列が極めて偏った特性を有することを意味する.アルゴリズムの性能に影響を及ぼす性質(例えば葉数)を制御しながらランダムに順列を生成し,それを用いてアルゴリズムの性能を評価する必要がある.本稿では,順列から非負の整数上への関数および関数値を順列の特性指標と呼ぶ.特性指標の中でも,順列の葉数,ランズ,上昇部分数等に対応するクラスを単純指標と呼び,それを形式的に定義する.そして長さn,単純指標mを持つ乱順列をO(nm)で生成する計算機オーバーフロー(またはアンダーフロー)無しの方法を提案する.また,単純指標が葉数である場合には順列をO(n)で生成する実用的近似方式について報告する.
著者
橋爪 真弘
出版者
長崎大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

インド洋熱帯域の海面水温の異常変動「ダイポールモード現象」とバングラデシュのコレラ患者数の関連を明らかにするため時系列解析をおこなった。エルニーニョ現象の影響とは独立して、ダッカ(都市部)およびマトラブ(農村部)でのコレラ流行が「ダイポールモード現象」およびベンガル湾海面水温と関連あることが明らかとなった。
著者
今堀 博
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

一般に、側壁への共有結合による化学修飾は、パイ共役性を破壊し、単層カーボンナノチューブ(SWNT)の電子状態を大きく変化させることが知られている。一方で、我々はこれまでに、SWNT側壁へのエノラートアニオンの環化付加反応、いわゆるビンゲル反応による修飾は、SWNTの電子状態にほとんど変化を起こさないことを実験的に見出した。本研究では、密度汎関数(DFT)法を用いて、ビンゲル反応修飾により得られるSWNTの構造や電子状態を理論的に考察した。ここで、チューブ軸に対して付加した3員環面が垂直あるいは垂直により近いものをType 1、平行あるいはより平行に近いものをType 2として表記する。Type 1およびType 2の(8,8)SWNTに対して構造最適化を行ったところ、Type 2では反応した側壁上の2つの炭素間の距離が1.57Aであるのに対し、Type 1では2.23Aとなり、結合の切断が示唆された。また、(10,5)SWNTを用いた場合にも、同様にType 1の場合に結合の開裂を伴うことが示唆された。さらに、無修飾およびType 1、Type 2のSWNTモデルに対して電子構造の考察を行ったところ、(8,8)および(10,5)SWNTのいずれにおいても、Type 1では、軌道のエネルギーが無修飾の場合と比べてほとんど変化せず、チューブ全体に電子が非局在化していた。一方Type 2では、付加基付近への電子の局在化が見られ、軌道のエネルギーが無修飾と比べて大きく変化していることがわかった。以上の結果とビンゲル反応修飾後に電子状態が保持されるという実験結果を考え合わせると、実験ではType 1の立体配置での付加反応が優先的に進行したと考えられる。今回、理論的結果とあわせて考察することで、SWNTの側壁化学修飾における結合様式の推定を行うことができた。
著者
冲中 健 増田 悟 菅原 恩
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.91-97, 1984-12-25
被引用文献数
2

風台風8218号の緑化樹におよぼした潮風害について,ケヤキとイチョウを指標樹として調査研究を行った.その結果,台風8218号の中心が関東西部にあるとき降雨が上がり,南寄りの潮風が関東平野に吹き込んだ.潮風害は東京湾岸から100kmの内陸におよんでいる.被害の度合いは湾岸からの距離に逆相関を示すが,関東平野の西部・中部・東部の地域によって被害の様相を少し異にする等がわかった.
著者
木島 梨沙子
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

気象庁気象研究所の高解像度全球気候モデル(GCM20)による現在気候再現ならびに100年後予測の出力時間雨量を用いて,100年確率降水量といった異常降雨指標の解析を行った.初めにGCM20による異なる時間スケールの極端降雨の再現性を検証し,その上で将来気候で起こりうる,時間スケールの異なる極端降雨現象の変化とその変化が洪水へ与える影響の評価を行った.具体的には,GCM20から推定された異なる時間スケールD(D=1,7,15日)の年最大雨量ならびにその100年確率降雨量の再現性を,全球雨量計観測情報の日雨量データを用いてさまざまな地域で検証を行った.その結果,日本やアメリカといった中・高緯度の国においてはD=1日スケールでの年最大雨量の再現性は良く,100年確率降雨の推定精度も良い一方で,アジアの低緯度域における極値降雨の評価には,D=15日程度の時間積分値が必要であることを明らかにした.またアジアモンスーン域を対象として,異なる時間スケールD(D=1,3,6,12時間,1,7,15日)の100年確率降雨量の将来変化を解析した.また,将来変化については100kmの空間平均値を用いた評価方法を提案し,多くの領域で将来変化の顕著なトレンドを抽出することに成功した.さらに,年最大D雨量の生起する季節(月)の変化にも着目し,降雨の時期の移動が将来の洪水に及ぼす影響を検討した.極値降雨が生起する時期についてはメコン河流域において顕著な将来変化を認め,将来,年最大15日雨量の生起する時期が9月から8,月に早まる傾向にあることを示し,将来,メコン河下流域の洪水のピークを早めることに寄与する可能性があることを提示した.またその15日雨量の将来変化をもたらした要因として,気象場の解析を行った.
著者
太田 和孝
出版者
大阪市立大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

私は、一昨年・昨年に複数の代替繁殖戦術を持つタンガニイカ産カワスズメ科魚類Telmatochromis vittatusの雄の精子形質についての研究を行った。この研究は、精子の形質はこれまで言われてきたことに加えて、「受精場所」の影響を受けることを新たに発見した(なお、この研究結果はEthology誌に投稿し、現在リバイス中である)。私は、この結果が一般的な現象であり、体外受精生物の精子形質は、配偶システムの進化と共に変異してきた受精場所の影響を大きく受けて進化してきたであろうという仮説を立てた。そこで、本年度は配偶システム・受精場所が様々な複数の種を対象に精子形質と受精場所の関係を調べた。この調査において、24種の行動観察・精子形質・DNAサンプルを採集した。現在、これらのサンプルを解析している最中である。具体的には、精子の寿命と運動性を撮影したビデオから測定し、鞭毛の長さをホルマリンサンプルから計測している。また、父性判定をおこない、どれぐらいの雄が1回の配偶に参加しているのかということを測定し、精子競争のリスクを評価している。これまでみられる全体的な傾向として、口内で受精が起こる種は精子の寿命が長いこと、基質で受精が起こる種は、受精場所と代替繁殖戦術との交互作用が精子の形質に影響を与えるように思われる。また、代替繁殖戦術を持つ種の精巣は非常に重いということが分かった。しかし、この傾向に矛盾する種も見られる。現在は父性判定が進んでいないため、行動観察によってのみ精子競争のリスクを評価している。それゆえ、この結果は精子競争のリスクは正しく評価されていない状態でものである。今後は父性判定を進めていく。
著者
大隅 淑弘 山井 成良
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.93, pp.49-54, 2007-09-21

近年,不正アクセスの侵入手口として,SSH などのサービスに対するパスワード総当たり攻撃が多くなっている.サービスによっては接続を受け入れる範囲を限定できないものがあり,また,登録ユーザには脆弱なパスワードを設定している者がある.このため,何度もの接続試行によってパスワードを破られ,計算機に不正に侵入される危険がある.本研究ではアクセスログを監視してこのような攻撃を検出し,ホスト間で連携して不正アクセスを防止する方式を提案する.Recently, as an invasion method of illegal access, brute force attacks for network services such as SSH, POP, and so on have been increasing. Since some users set vulnerable passwords for these network services, such brute force attacks have been real threats to unauthorized invasion. In this paper, we propose a countermeasure technique for brute force attack in collaboration with other hosts.
著者
山本 俊昭
出版者
日本獣医生命科学大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、北海道中西部に位置する厚田川にて外来種のニジマスが在来種であるサクラマスおよび在来生物群集に与える影響を評価した。その結果、河床勾配が緩やかであり、かつ標高が高い場所ほどニジマスが侵入する傾向が認められた。一方で、在来種の密度がニジマスの侵入に対して影響は認められず、サクラマスが選好する支流に多く分布していることが明らかになった。すなわち、ニジマスの侵入の可能性は、物理的要因に比べて非物理的要因が強く影響していることが示唆された。
著者
伊藤 龍 寺井 明子 林 聰 金子 憲司
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.188-196, 1994-03-28
被引用文献数
2 2

ブラッシング圧が歯ブラシ毛を介して,口腔内組織に伝達される応力分布を定量的に明らかにするために,非線形有限要素法を用いて2つのケースの歯ブラシ毛の挙動を動解析し,次の結果を得た。1.歯肉モデル上のブラッシング運動の解析毛先形態が新規な形状である高度テーパード毛とラウンド毛の2種類の歯ブラシについて,毛の強制変位量が1mmとなるように歯肉に押しつけ,水平方向に6mmの振幅の運動を加えた。この時,ラウンド毛歯ブラシでは,歯肉に発生する応力は300〜600g/cm^2であったのに対し,高度テーパード毛歯ブラシでは,130〜200g/cm^2となり,かなり小さかった。2.歯周ポケットモデルへの毛先侵入の解析毛先形態が高度テーパード毛とテーパード毛の2種類について,各々2本の歯ブラシ毛を歯周ポケットに侵入させた。この時,高度テーパード毛は容易に歯周ポケットに侵入するが,テーパード毛では容易に侵入せず,周辺歯肉に対し高度テーパード毛の6〜7倍の高い応力を発生させた。また,高度テーパード毛の滑らかな侵入は,角度を変えてもほぼ同じ結果であった。
著者
浅野 友子
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2001

1970-1980年代にかけて、北東アメリカや北ヨーロッパの国々ではpH4.7以下の酸性雨が降り、森林流域からの流出水のpHが5.0以下に低下するなど陸水の酸性化が顕在化する地域が見られた。日本では同程度の酸性雨が降っているのにもかかわらず、現在のところ流出水の酸性化は顕在化していない。将来予測を行なうためには、日本で酸性化が起こっていないメカニズムについて明らかにする必要がある。本研究では、これまで継続して行なっている滋賀県南部田上山地での詳細な水文・水質観測に基づいて、森林の成立と土壌生成にともなう流域の酸中和過程の時間変化について検討してきた。本年度は、これまでに得られた結果や、日本の他の地域で得られた結果それに北欧米との比較から、上述のように日本では陸水の酸性化が顕在化していない原因について検討した。その結果、日本の山地流域においても、森林土壌は北欧米の過去に酸性化した地域と同様に酸性化しているが流出水の酸性化は見られないこと、田上山地で得られた知見からその原因の一つとして岩盤中の流出経路における酸中和が卓越するためであることが明らかとなった。岩盤中の水移動についてはいまだ不明な点が多く、その流出経路とそこでの酸中和過程を明らかにすることが日本における酸性雨の陸水影響の将来予測をする上で重要であることが示された。また、山地森林流域からの流出水の水質は、斜面の浸透過程のみならず、渓流の流下過程における生物地球化学過程等によってもコントロールされる。それらの過程には、森林植生、土壌、地質、地形などさまざまな要因が関与していると考えられる。そこで、それらの要因の空間分布が山地斜面の酸中和機構に与える影響を評価するために、流域のスケールとの水質の分布を500ha程度の流域内で多点で調査し、実態を捉えた。その結果、多くの無機イオン、シリカ濃度については、集水面積の小さい採水地点では大きくばらつくが、集水面積が大きくなる(>10~100ha)とある一定の値に収束する傾向があることが明らかとなった。
著者
Stokes Aaron J. Matsuda Hideo Hashimoto Akihiro
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.202, pp.111-116, 1999-07-22

In our previous work, we introduced a novel method for exchanging and querying complete genome data by representing them as structured documents. We defined an XML-based genome language called GXML, and a genome-oriented query language called GQL for making biologically meaningful queries on GXML genome documents. In this paper, we extend GQL with aggregate functions and sorting capability to further increase the usefulness of our method. We discuss the additional syntax and present several examples of biological queries that require aggregation. We are currently investigating algorithms for implementing the new constructs in a prototype system.
著者
富士栄 登美子 Fujie Tomiko
出版者
三重県総合教育センター
雑誌
科学技術教育研究紀要 (ISSN:09166939)
巻号頁・発行日
no.5, pp.41-46, 1995-03

古来,人は,頭を使い,手を使って,数千年も前から編むことを覚えた。さらに,編むことにより線から面を作り出していった。本稿は,子供たちの被服への興味・関心は,編むことから始まると考え,身近なおやつなどに使われている着色料で染めた毛糸を使い,編むことをとおして,被服への興味を引き出し,あわせて着色料への関心をも高める教材と小・中学校の一貫性をもたせた指導についての考察を行ったものである。

1 0 0 0 OA 大蔵一覧集

出版者
京都大学附属図書館
巻号頁・発行日
2006-09-25

(明)陳実編,巻第2,3,刊(木活字版),,,,
著者
寺本 吉輝 中野 英一
出版者
大阪市立大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2003

広い範囲に降ってくる宇宙線を観測するための宇宙線観測ネットワークを構築した,観測装置は4台のシンチレーション検出器がら構成されるものを学校や科学館の屋上に置き,そこで検出された宇宙線空気シャワーをパソコンに取り込み,インターネットで大阪市立大学のサーバーに送って,そこから各サイトに観測データを配送するシステムを作った,これを連続的に稼動させて長期連続観測を始めた,いままで高校のネットワークはファイヤーウォールにさえぎられ,高校からデータを発信することが出来なかったが,大学にハイパーテキストトランスポートプロトコル(HTTP)のサーバーを置いてこれに対して高校側から交信することにより,高校からデータ発信が出来るようになった.宇宙線がこの装置で検出される頻度は各サイトあたり1分間に3現象程度であるので,全部のサイトを合わすと1年間に1000万現象ほどになる.現在までに取ったデータを解析した結果,ネットワークを通してデータ収集してもバイアスなくデータが取れていることが確認された.また2つのサイトで同時にくる現象を調べたところ,現在の統計精度では明確な現象の過剰は見られない.3つのサイトで同時にくる現象については,姫路高校と大手前高校と科学館に来た宇宙線現象のなかに1ミリ秒以内に来たものがあり,これはランダムに宇宙線が来ると仮定した場合よりも統計的に有意に多い,今後観測をつづけて統計的有意性をさらに高めたい.高校生の理科への興味を高めるための活動としては,高校への訪問・講義,高校の文化祭への出展,などを行った,高校での主な活動は科学クラブによるものである,また総合教育のテーマにも取り上げていただく予定をしている.また,高校の科学クラブが活動の一環として,大学と共同で宇宙線観測を行っていること自体が高校生にとって励みになると考えられる.現在の装置は値段が高いので,将来に向けて値段の安い装置を作る開発をはじめた.特にシンチレージョン検出器は高いので,これにかわる高抵抗板検出器を試作して,これが実用的に使えるかテストしている.この開発での最大の問題はガス封入型高抵抗板検出器の寿命である.現在までのところ1年程度は問題なく使えている.