著者
相良 二朗 種村 留美 長尾 徹 野田 和恵 田頭 章徳 見明 暢 ペイター ボンジェ
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

認知症者を含む独居高齢者(日中独居を含む)91名を対象に、スウェーデンのカロリンスカ研究所が開発したETUQ(日常生活機器使用状況調査表)を用いて訪問調査を実施した。その結果、高齢になり、家族環境の変化や認知力の低下などから、使用が中断された家電製品等の存在や、継続的に使用されている家電製品等が抽出され、それらの特徴が明らかとなった。また、認知力が低下した独居高齢者が抱えている日常生活上の問題が明らかとなった。これらの問題に対し、継続使用が可能な家電製品のインタフェース・デザインについていくつかの知見を得ることができ、適切な使用を促す音声ガイドの有効性が試作を通して明らかとなった。また、音声ガイドのあり方についての知見も得ることができた。
著者
深津 真二 北村 喜文 正城 敏博 岸野 文郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.83, no.9, pp.1905-1915, 2000-09-25
被引用文献数
10

広大かつ複雑な仮想環境内において, 利用者に自己位置や方向, 仮想環境全体の構造などを正確に認識させるためには, 仮想環境内の任意の位置から仮想環境を大局的に眺めた鳥瞰(かん)画像を利用者の視点から見た等身大画像とともに提示することが有効である.本研究では, 利用者の通常の視点(利用者視点)に加え, この仮想環境を大局的にとらえるための視点(鳥瞰カメラ視点)を自らの身体運動に関連づけて直感的に制御する手法として, 座標系対連動法を提案する.これは, 利用者視点と鳥瞰カメラ視点の動きを連動させる手法であり, 利用者の空間構造を理解しようとする行動に合致した直感的な方法により, 鳥瞰カメラ視点を制御することを可能とする.そして, 座標系対の連動を用いた仮想環境内ナビゲーションシステムを実装し, 鳥瞰カメラ視点の制御手法として従来手法を用いたシステムを比較対象に評価実験を行い, 提案手法の操作性と制御の直感性を評価する.
著者
秋山 いわき 瀧澤 直樹 大矢 晃久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.527, pp.9-16, 1999-12-21

著者らは狭開口のフェーズドアレイ(Narrow Aperture Phased Array: NAPA)を用いてパルスエコー方式により断層画像を映像化する新しい超音波イメージングを提案した。本研究では、計算機シミュレーションと実験によって本手法の有効性を検討する。シミュレーションでは従来のいわゆるBモード画像と比較して、分解能で3から4倍の改善が見られることを示す。また、実験では凹面音響レンズを用いて狭開口アレイを試作して、針先端の映像ならびにグラファイト粉末を寒天ゲルで固めた生体組織模擬ファントムの映像化を試みた。針先端の映像ではシミュレーションとほぼ同じ分解能の画像をえることができた。また、寒天ファントムの映像を示して本手法の有効性を確認した。
著者
長浜 克志 山田 拓己 一柳 暢孝 酒井 康之 鎌田 成芳 福田 博志 谷沢 晶子 渡辺 徹 斉藤 博 堀内 晋 町田 竜也
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.1-6, 2002-01

Hautmann型膀胱再建術中,癌死・他因死・追跡不能を除く20例(男16例・女4例,29~73歳)を対象に,術後の回腸新膀胱の蓄尿・排尿状態を尿流動態検査(UDS)とアンケート調査により解析した.排尿回数は夜間に2回以上起床し排尿している例が19例中8例と高率であった.また,尿失禁は19例中昼間2例,就寝後12例にみられたが昼間は尿パッド平均2枚,夜間は1枚で対処可能であった.排尿時間は18例中9例が1分以内に排尿を終えたが3例では3分以上を要した.排尿状態については18例中満足8例,不満3例であった.USDを施行できたのは11例で観察期間は平均34.2±21.9ヵ月であった.残尿量は27.8±28.2ml,新膀胱最大容量は395.2±96.8mlで膀胱内圧は充分に低値であった.排尿時,外尿道括約筋筋電図で明らかな電位増強を11例中10例と高率に認めたWe analyzed the functional and urodynamic characteristics in 19 patients with ileal neobladder by the Hautmann procedure. A questionnaire survey by mail was performed for functional information of neobladder. Seventeen of the 19 patients (89.5%) could voluntarily void via the urethra and the others needed clean intermittent self catheterization (CIC) because of their significant residual volume. Eight of the 19 patients (42.1%) micturated at least two times at night. Two of the 19 patients (10.5%) were incontinent in the day time and 12 (63.2%) in the night time. They needed 2 pads in the day time and one pad at night on average. Eight out of 18 patients (44.4%) were satisfied with their micturition state. A urodynamic study showed the neobladder to be a low-pressure reservoir with a mean capacity of 395.2 +/- 96.8 ml. The mean residual volume of the patients without CIC was 27.8 +/- 28.2 ml. In 10 out of 11 patients high frequency and high amplitude spikes were seen by the perineal electromyogram in the voiding phase.
著者
柳井 晴夫 椎名 久美子 石井 秀宗 前田 忠彦 池田 輝政 箱田 裕司 繁桝 算男 荒井 克弘 村上 隆 市川 伸一
出版者
独立行政法人大学入試センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

研究期間は2003年4月から2006年3月までの3年間であった。まず、一年目の2OO3年12月に、全国国公私立の教員2,5000名を対象にした、大学生の学習意欲と学力低下に関する調査を実施した。この調査は、2002年に本研究の研究代表者が実施した学生調査(柳井、2003)との比較を可能にするよう調査項目が設計され、被験者となった教員も学生調査と同一の大学に所属する教員が選ばれた。調査回収数は11,481名でこの数は全国の大学の教員(教授・助教授に限定)数の11.6%に相当する。上記の調査結果を2004年6月までに分析し、その結果報告に関する研究会を2004年7月に開催した。2004年度には、上記の調査結果の分析の他、東北大学、九州大学、名城大学に所属する分担者が、それぞれの大学における大学生の学力低下を示すデータを分析し、2005年8月に開催された研究会において、九州大箱田裕司氏より、「卒業論文テーマ選択にみる自主性の経年変化」、名城大学池田輝政氏より、「大学初年次調査からみた学力問題」についての研究発表があった。2006年2月には、長崎県の教育センターで開催された「大学入学前に培うべき資質・学習意欲に関するシンポジウム」を共催し、研究代表者(柳井)と研究分担者(渡部・石井)が2004年に実施した全国教員に対する学習意欲・学力低下に関する調査結果を発表した。2006年2月下旬に、研究会を開催し、3年間の研究のまとめとなる報告書作成のための打ち合わせを行い、下記の目次による報告書(全部で258頁)を作成した。さらに、2004年の教員調査の際に自由記述欄に記載されていた内容を、大学の設置形態(国立、公立、私立)、学部別に並べて記載した小冊子「大学生の学習意欲と学力低下に関する実証的研究」を補足資料として作成した。報告書の内容は以下の通りである。第1部 大学生の学習意欲と学力低下に関する調査結果第1章 総合報告第2章 大学生の学習意欲と学力低下に関する調査結果の分析-第3章 教員所属専攻別の分析第4章 学力低下の内容分析一非対称多次元尺度構成法を用いた分析第5章 長崎教育センター「大学入学前に培うべき資質・学習意欲に関するシンポジウム」-入試改善の視点を踏まえて-第2部 実証データを用いた学力低下の分析第6章 日本語基礎能力の経年変化第7章 卒業論文テーマ選択にみる自主性の経年変化第3部 学力低下問題再考-今後の課題第8章 教育接続からみた日本の学力低下問題再考第9章 今後の大学教育の在り方をめぐって-終わりにかえて
著者
鈴木 裕志 蟹本 雄右 岡田 謙一郎 石井 靖
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.269-277, 1995-04

精巣の血流遮断と解除,放射線照射,およびホルモン投与の3つの条件下で31P MRSを測定した。1)血流遮断後,ATPはすみやかに減少し60分以内に完全に消失した。2) 3時間までの血流遮断では遮断解除後にATPの回復が認められたが,4時間以上の遮断では解除後もATPの回復は認められなかった。3)放射線照射2週間後ではPME/β-ATP比およびPME/PDE比の減少が認められ,PMEの減少は造精機能障害の指標として有用と考えられた。4)ホルモン投与によるgonadotropin抑制モデルでは,PME/PDE比の減少とPDE/β-ATPの増加を認め,PDEの増加も造精機能障害の第二の指標となりうるTo evaluate the efficacy of 31P magnetic resonance spectroscopy (31P MRS) as a diagnostic method for abnormal testicular function, we examined three conditions using rat testes, ischemia, irradiation, and hormone manipulation. 1) Ischemia: Immediately after clamping of the feeding vessels, ATP signals began to fall and disappeared within 60 minutes. With the release of blood supply after 3 hours of ischemia, ATP appeared within 2 hours. However, after more than 4 hours of ischemia, ATP did not recover within 2 hours and the testis became necrotic after 1 week. 2) Irradiation: 31P MRS of the testis 2 weeks after irradiation with 10 Gy., 9 MeV showed a significant decrease (P < 0.05) in the PME/beta-ATP ratio from 1.30 +/- 0.11 (control level) to 1.11 +/- 0.12 and a decrease in PME/PDE ratio from 1.43 +/- 0.17 to 1.13 +/- 0.20. However 3 weeks later, the PME/beta-ATP ratio recovered to a control level. 3) Hormone manipulation: In the testes 5 weeks after weekly intramuscular injections of estradiol benzoate and testosterone enanthate, PDE/beta-ATP ratio significantly increased (P < 0.01) from 0.83 +/- 0.09 (control level) to 1.03 +/- 0.19. 31P MRS is a non-invasive method for evaluation of various testicular abnormalities, and ATP signals may be useful to evaluate an acute ischemic change for example testicular torstion and the changes of PME, PDE signals may be useful parameters in the assessment of the status of spermatogenesis.
著者
西村 修 水落 元之 稲森 悠平 山田 一裕 坂巻 隆史 徐 開欽 大村 達夫 金 主鉉 須藤 隆一
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究では干潟のもつ自然浄化機能として、干潟の陸側後縁を形成するヨシ原による栄養塩類の取り込み,干潟における栄養塩循環・脱窒、さらに藻場による栄養塩類の取り込みに着目し、それらの機能の評価・解析、機能を発揮させるための生態工学的手法開発を行った。本研究で得られた主な成果を以下にまとめる。1)ヨシ湿地に関する研究・下水処理水を高度処理するヨシ湿地の高機能化として充填担体の空隙率が栄養塩の除去能力に及ぼす影響を解析し、窒素除去には根圏微生物の硝化・脱窒作用が重要であり、適切な空隙率と水面積負荷で硝化・脱窒の同時反応が起こること、リンの除去は担体への吸着によるものがほとんどであり、空隙率の低いほうが適していることが明らかになった。2)干潟に関する研究・東京都内湾の護岸に生息する付着動物の浄化機能を評価し、護岸距離192kmで1日19tのCODを浄化していること、この値は東京都から流入するCOD量の23%に相当することが明らかになった。・葛西人工海浜の環境修復状況と、東西両なぎさの生態系の違いの要因について解析し、構造的な問題から降雨時に河川水の流入・停滞が発生して底生動物に大きな影響を及ぼすこと、そのための底生動物の種類数は造成前のそれに回復しているが安定していないことが明らかになった。3)藻場に関する研究・大型褐藻類アカモク(Sargassum horneri)の栄養塩吸収機能を解析し、温度、照度、栄養塩濃度、生育ステージと栄養塩吸収速度の関係を定式化した。そして,松島湾の栄養塩循環に及ぼすアカモクの栄養塩吸収機能の影響を評価し、5月におけるアカモク藻場は流入負荷の約7割を吸収し、水質改善に大きく寄与していることがわかった。
著者
山下 浩由
出版者
岡山大学大学院文化科学研究科
雑誌
文化共生学研究 (ISSN:18809162)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.181-192, 2005

10年以上にわたって継続した「ミロシェビッチ体制」は、2000年の終わりに崩壊した。これはユーゴスラビア連邦共和国(以下、FRYと略)及びセルビアの民主化にとって、大きな分岐点であった。しかしながら、新政権は前政権から受け継いだ多くの問題に直面していた。そのため、新政権はこの問題を解決してFRYに民主主義をもたらし、その定着を図らねばならなかった。セルビアとモンテネグロ両共和国の連邦再編をめぐる問題は、2000年以降のFRYが直面したこうした解決すべき問題の最もたるものであった。FRYは、1992年4月にセルビアとモンテネグロ両共和国によって設立された。しかし、後にセルビアとモンテネグロは政策の方向性をめぐって対立するようになる。契機となったのは、1997年にジョカノビッチ大統領率いる改革指向の政府がモンテネグロに誕生したことである。これ以来、モンテネグロは、権威主義的傾向を強めるミロシェビッチ体制から離れ、徐々に独立への動きを強めていった。ミロシェビッチは、このようなモンテネグロ政府に対して様々な嫌がらせをを行い、両国関係は悪化していった。では、2000年以降、新政権はこの問題にどのように対応したのか。この問題に対するミロシェビッチとコシュトニツァの対応の違いは、両体制間におけるFRYの民主主義の進展を図る上での大きな指標の一つとなるように思われる。本稿では、2000年以降のFRYの民主化を考察する前段階として、この連邦再編問題が発生した原因と2000年に至るまでの同問題をめぐる基本的経緯を明らかにしたい。以下、本稿では主に三つの時期に分けてこの問題に考察する。第一に、ユーゴスラビア社会主義連邦共和国(以下、SFRYと略)の崩壊が始まった80年代後半から92年4月のFRYの創設まで。この時期のモンテネグロとそれを取り巻く状況を考察することで、モンテネグロがFRYの創設を選択した理由を探る。第二に、FRYの創設から97年にジョカノビッチ政権が誕生するまで。この時期のモンテネグロを考察することで、モンテネグロがFRYの創設を選択した理由を探る。第二に、FRYの創設から97年にジョカノビッチ政権が誕生するまで。この時期のモンテネグロを考察することで、独立を志向するジョカノビッチ政権が誕生した背景を探る。そして、最後に、モンテネグロにジョカノビッチ政権が成立した時点から、2000年のミロシェビッチ体制崩壊の直前まで。セルビアとモンテネグロの関係は、この時期に最悪の状態を迎えていた。ここでは、コシュトニツァが連邦大統領に就任した時の両国関係を明らかにしたい。
著者
木村 博子 内田 浩二
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

酸化ストレスマーカーである過酸化脂質, 4-Hydoroxy nonenal(HNE)やニトロ化物の3-nitrotyrosine(NT), 6-nitrotryptophanの時間分解蛍光イムノアッセイを開発し, lipopolysaccharide(LPS)投与ラット(感染症モデルラット)の心臓・大動脈・腎臓・肝臓・腸管などにおけるHNEや他の酸化ストレスマーカーの生成量の測定, 酸化ストレス発生源の同定を行い, その感染症病態における関与の解明を行った. また高血圧を発症した自然発症高血圧ラット(SHR)に持続的な運動を行わせて運動がスーパーオキシドジスムターゼ(Mn-SOD)合成を増加させて酸化ストレスが減少する仕組みを解明した.
著者
山中 弘 木村 勝彦 木村 武史 笹尾 典代 寺石 悦章 松井 圭介 平良 直
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、特定の場所をめぐる宗教的集合記憶と観光的文化資源との多様な関係の在り方を検討するために、長崎県の平戸市根獅子町、新上五島町、山形県出羽三山、沖縄、中米グアテマラを対象とした調査を実施した。伝承された宗教的集合記憶は、ツーリズムを梃子にした集落の再生の試みの進展に伴って再編成されつつあり、その動きに大きな影響を持っているのがメディアと世界遺産指定である。また、聖地の持続的な管理とツーリストの倫理的行動を要請している。
著者
田中 法生 中野 紘一
出版者
国立科学博物館
雑誌
筑波実験植物園研究報告 (ISSN:02893568)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.1-2, 2005-12

Najas guadalupensis (Sprengel) Magnus var. floridana Haynes and Wentz (イバラモ科)が日本で初めて確認された。その分布域は,南フロリダ,グアテマラ,イスパニョーラ島である。
著者
神谷 充伸 WEST John A.
出版者
公立大学法人福井県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

世界各地から単離された広塩性紅藻セイヨウアヤギヌについて遺伝子解析と交雑実験を行った結果、以下のことが明らかになった。(1)異なる系統群で何度も無配生殖化が起こった;(2)解析した無配生殖株の7割以上はヘテロ接合体(フロリダとオーストラリアの株は異質3倍体);(3)遺伝子型がホモの無配生殖株は有性生殖を行うことがある;(4)遺伝的に分化した有性生殖株の間で交雑を行った場合、F_1胞子体が無配生殖化する場合がある。