著者
緒方 知美
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

1)平安時代に制作された紺紙金字経典((2)〜(5)、(7)〜(9))、および料紙装飾経典((1)(6))の調査を行った。東京・浅草寺本法華経并開結(11世紀)、(2)中尊寺交書一切経のうち賢劫経巻第十一・阿毘曇心経巻第二(3)神護寺一切経のうち諸法最上王経(4)伝藤原頼通筆無量義経断簡(11世紀)((2)〜(4)は兵庫・黒川古文化研究所所蔵)、(5)兵庫県歴史博物館保管中尊寺交書一切経のうち大般若経巻第二百九十八、(6)和泉市久保惣記念美術館本法華経方便品第二、(7)山口・遍明院本法華経、(8)静岡・妙立寺本藤原基衡発願法華経并開結(保延4年)、(9)福島・松山寺本紺紙金字法華経。(特に表記のない作品は12世紀)2)中国の蘇州・瑞光寺塔発見紺紙金字法華経に関する実地見学・資料収集を行なった。3)平安時代の紺紙金字経典制作に関する文献記録を収集した。作品調査の結果、(1)や(6)の料紙装飾経では、遠視点による細密画風という特殊描法が共通し、それ以外の紺紙金字経とは明らかに異なる系譜にあり、作者も別系統のものを推定すべきであること、本文書体は、11世紀((1)(4))の温雅なものから12世紀の扁平な典型的写経体へと変化すること、紺紙金字経典見返し絵の絵画様式としての完成期が12世紀にあること、が確認された。調査によって明らかとなった、書体と見返し絵の様式展開の並行現象、材質・技法上の共通性、そして当時の記録から考察して、書写をおこなう筆者と見返し絵や表紙絵を描く画家は別個の存在ではなく、経典制作を専門的に行う僧侶として共に活動し、院政期に僧綱位を与えられ社会的地位を確立される「経師」集団の一員として、作善業としての経典書写に自主的な意識をも持って参加していたという仮説を導いた。作者の自主的参与を可能にする経典制作環境が、平安時代の経絵様式の成立を導いた原因となったと結論した。
著者
須沢 かおり ユエルグ マウツ
出版者
ノートルダム清心女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

ユダヤ・キリスト教の霊性の古典的テキストを東洋の宗教である禅仏教の古典文献と比較し、そのテクストの源泉となる宗教体験がどのように類似し、交わるか、その接点を探った。特にユダヤ教のヘブライ聖書、キリスト教の旧約聖書のなかから神についての理解とその啓示をあらわすテキストを詳しく分析・解釈し、禅仏教の古典(道元、日蓮、臨済禅の公案集)と比較検討した。聖書に見られる定義の困難な神秘的意味をもつ句の背景には一神教独自の神体験、宗教体験があり、神についての表現、神体験を表わす記述の構成、動詞の態、頻出する隠喩ならびにイメージにおいては、二元的な分別認識の構造を打破するという点、あるいは時間性と歴史性の理解において禅の古典文献(道元、日蓮、臨済禅の公集)と類似するものがあることがわかった。また、神との霊的な交わりと宗教体験を深めたキリスト教神秘家(ゾイゼ、タウラー、ルドルフ・フォン・ザクセン、十字架のヨハネ、アピラのテレサ)の作品においても宗教的な言語表現の特徴が客観的で論理的な言語を越える次元のものを探求している点に注目し、ヨーロッパ中世から近代にかけてのキリスト教霊性の紺的にある宗教意識が東洋の禅の霊性とどのようなところで交わるか、を検討した。神の超越性という点はユダヤ・キリスト教の特徴をなすが、その超越性は日常的なもののなかに内在するという点においては禅的な理解との接点が見られた。この研究により、定式化された教義、理性主義的な神学、体系化しえない霊性というユダヤ・キリスト教の霊性の脈々とした源流が、まったく伝統を異にする禅仏教の思想と接点をもちうることを示すことができた。これらの研究成果は論文と書物にまとめ、発表した。
著者
北村 正敬 前田 秀一郎
出版者
山梨大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

センサー配列DRE(dioxin-responsive elemen;ダイオキシン応答配列)の下流にレポータータンパクSEAP(secreted alkaline phosphatas;分泌型アルカリフォスファターゼ)をコードする遺伝子を挿入した遺伝子構造を作製し、芳香族炭化氷素群に属する有害化学物質に反応するトランスジェニックセンサーマウスを作製した。樹立したDRE-based sensing via secreted alkaline phosohatase(DRESSA)マウスに5μg/kg体重の2,3,7,8-TCDDを強制経口投与したところ、血中のSEAP活性はべ一スの100倍以上に増加した。DRESSAマウスにおけるダイオキシンの検出限界は、2,3,7,8-TCDDを指標にした揚合、0.5μg/kg体重(強制経口投与)であった。また、雌雄差を比較検討したところ、雄のDRESSAマウスは雌のそれに比し高い反応性を示した。タバコ煙にはダイオキシンをはじめとするハロゲン化芳香族炭化水素や多環芳香族炭化水素など、ダイオキシン受容体を活性化する物質が数多く含まれる。われわれはまず遺伝子組換えセンサー細胞を用い、タバコ煙が極めて高レベルのダイオキシン受容体活性可能を有することを明らかにした。次に樹立したDRESSAマウスに能動喫煙の形でタバコ煙を曝露し、その後血中のSEAP活性を測定した。その結果、喫煙により有意かつ持続的な血中SEAP活性の上昇を認めた。同様の結果は、受動喫煙のモデルにおいても得られた。これらの検討結果は、樹立したセンサーマウスが環境モニタリングにおいて有用であること、すなわち有害化学物質を含む外気や室内空気に反応してSEAPを発現産生することを強く示唆するものであり、現在実験的喫煙環境および市中幹線道路近傍大気を用い、センサーマウスによる大気汚染検出の試みを継続中である。
著者
小林 優
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

ホウ素は植物の生育に不可欠の元素であり、欠乏すると組織の壊死や不稔など多様な生理障害が発生する。しかしホウ素が不足することでそれら障害が発生するメカニズムは明らかでない。このメカニズムを解明するため、植物の培地からホウ素を除去したときに生じる応答を詳細に解析した。その結果ホウ素が欠乏すると細胞に活性酸素が蓄積し、それが原因で細胞死に至ることが明らかとなった。また植物細胞は培地からのホウ素消失を直ちに感知することも明らかとなった。
著者
植松 茂男 里井 久輝
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では小学校英語活動の開始年齢が、中学校における英語学習や情意面での発達にどのような影響を与えるかを調査した。2007学年度から2009学年度に得られたデータの分析によると、小学校英語活動の開始年齢が下がり、履修時間が増加すると、中1の英語力テスト成績がリスニングを中心に全体的に向上し、さらに中2のみで実施したスピーキングテストスコアも毎年大幅に向上した。しかしながら、情意面への影響はほとんど検出できなかった。
著者
栗山 直人 鈴木 基之 伊藤 彰則 牧野 正三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.442, pp.55-60, 2006-12-15

PLSAは言語モデルの文脈適応に一般的に用いられる手法である.このPLSAの新しい利用方法を提案する.PLSA言語モデルの語彙を「話題語」「文型語」「汎用語」の3クラスに分割し,話題語PLSAモデルと文型語PLSAモデルを別々に学習・適応した後に3つのモデルを統合する.また新聞記事とCSJ間での品詞分類の出現パターン変化に基づいた,語彙分割基準の自動生成を提案する.評価実験では話題と文型の特徴が学習データで共起していないテキストについて,従来のPLSA言語モデルと比べ15.48%のperplexity削減が得られた.
著者
筒井 義郎 大竹 文雄 藤田 一郎 晝間 文彦 高橋 泰城
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

時間割引は多くの経済実験において、少額を早く受け取るオプションと多額を遅く受け取るオプションのどちらを選択するか、というタスクで測定される。本研究課題は、(1)遅れ(現在から最初のオプションまでの時間)と期間(2つのオプションの間の時間)を明示的に分離して、それぞれが時間割引に与える効果を特定する、(2)喫煙が時間割引に対してもたらす効果について明らかにする、という2つの課題を主たる目的とする。(1)については、これまでに行った実験の結果を論文にまとめ、本年度6月にJournal of Risk and Uncertaintyに掲載した。(2)については、昨年度早稲田大学で行った、非喫煙者と喫煙者、断煙者と非断煙者を比較する実験の結果を分析した。その結果、喫煙者は非喫煙者に比べて高い時間割引を示すことが明らかにされた。また、断煙者は非断煙者よりも、お金に対しては高い割引率を示すが、タバコについては、むしろ忍耐強くなるという結果を得た。この後者の結果の頑健性については疑問があり、詳細な実験条件設定に問題がある可能性を検討して、それらを改良した実験を本年1月と2月に大阪大学において実施した。その結果は現在解析中であるが、おおむね、喫煙者は非喫煙者に比べて高い時間割引を示す点にでは早稲田実験と同じである。断煙者と非断煙者を比べると、お金については両者の時間割引には差がなく、タバコについては、断煙者の方がよりせっかちになるという結果が得られた。今年度の実験結果の方が直観に整合的であるが、両方の結果をどのようにまとめていくかは検討中である。一方、fMRI実験については、早稲田大学健康科学部の正木教授の協力が得られ、本年2月と3月に、異時点間選択を行っている喫煙者の脳画像を撮像した。引き続き、行動実験の結果をまとめつつ、断煙者および非喫煙者についても撮像していく。
著者
杖田 浩二 田口 義広 勝山 直樹
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.197-204, 2007-08-25
被引用文献数
2 7

タバココナジラミバイオタイプBの成虫および未熟ステージを用いて, 25, 40, 45および50℃で一定時間処理することによって本種の高温耐性について調査した.その結果,温度が高くなれば,短い時間でも死亡率が上昇し,50℃で成虫は0.5時間,蛹は7時間,幼虫は5時間ですべての個体が死亡した.施設内部のトマトをすべて抜根し,施設をビニールで密閉して太陽熱処理を行ったところ,ほぼすべての個体を閉じこめ,死亡させることができた.しかし,施設内部で誘殺が確認されなくなるには3日かかり,室内実験の結果から予測されるよりも長い時間を要した.これは施設内部の高さによって温度差が生じるため,葉温が気温ほど上昇せず,高温を回避した成虫や低位置の葉に寄生する蛹が生存・羽化するためと考えられた.以上のことから,太陽熱処理でタバココナジラミバイオタイプBの防除をするには,十分な温度が確保される晴天日に, 3日程度施設を閉鎖する必要があると考えられる.
著者
澤田 むつ代 高橋 裕次 丸山 士郎 浅見 龍介 西山 厚
出版者
独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

東京国立博物館が所蔵する「正倉院頒布裂」を中心に、正倉院関係の「裂帖」、模写と模織、さらに正倉院関連資料について、研究成果報告書を制作した。これには各作品の名称、素材、技法、用途等の基本情報に加え、織物では文丈、〓間幅を、染物にあっては文様一単位の寸法も付して作品本体を立体的、かつ詳細に掲示した。各作品については、染織品の微妙な色合いを重視して、カラーで掲載した。これらの公開は今後の正倉院裂研究には欠かせぬものとなる。
著者
三吉 一光
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

市販の4倍体コチョウラン品種3点ならびに2倍体品種5個体を供試して、半数体を誘導する条件の検討を行った。コチョウランでは体細胞多倍数性(polysomaty)が観察されるので、倍数性の検定は根端約1mmの若い組織を用いた。4倍体から偽受精胚珠培養によって得られた幼植物体の半数近くが2倍性半数体であり、染色体の半減が認められた。2倍体を供試した場合、得られた個体の殆んどが2倍体であったが、コチョウランにおいて初めて人為的に誘導した半数体を一個体獲得した。
著者
谷口 円香
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究は、ランボーの詩がもつ強いイメージ喚起力に焦点をあて、詩表現そのものに内在する絵画性を文体論および記号論的アプローチから解明することを目的とする。詩的言語の働き方と絵画の表現構造の共鳴を探り、19世紀後半から20世紀初頭にかけての詩と絵画の関係の変遷という広い視野から、ランボー詩の言語記号の自律が絵画の分野での線と色彩という記号の働き方の刷新に先行し、影響を与えているという領域横断的な考察を提示する意義を持つ。本年度はまず、ランボーのイメージ造形が、昨年度考察したロマン主義的ピトレスク詩、および高踏派の詩の絵画的イメージ造形とどう違うのか分析した。その結果、それら先行詩人の手法を学んだ上でその主観性を批判し、当時の政治戯画といった同時代の視覚イメージの暗喩に満ちた表象の2層構造を意味伝達のレベルにおいて抽出し、手法に取り込むことで、語る自己を巧みに隠し、意味伝達記号として自律した言語表現が喚起するイメージが浮き上がる表現構造が構築され、それが詩的イメージの視覚性を強め、ランボー詩に内在する絵画性を形成していることが明らかになった。ついで、ランボー詩における言葉という記号の革新的使用方法がどの程度後世に認識されていたのか、詩人のみならず画家にも具体的な影響が見られるかを検討した。既に先行研究のある19世紀末の象徴主義の再評価を確認した上で、20世紀初頭の受容に注目し、キュビスムの画家、ロジェ・ド・ラ・フレネが詩人コクトーを通してランボーの詩を知り、『イリュミナシオン』に挿絵をつける予定で制作した版画の存在に着目した。画家のカタログ・レゾネにも載っていない、フランス国立図書館に所蔵されている貴重なリトグラフを参照し、キュビスムと抽象の間で揺れる画家の創作上の進化の過程でランボー詩に対する考察が大きな意味を持っていたことを見出した。その成果をカナダの学会にて発表した。
著者
大川原 竜一
出版者
明治大学学芸員養成課程
雑誌
MUSEOLOGIST・明治大学学芸員養成課程年報 (ISSN:09124330)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.64-73, 2004-03-25

京都府南東部に位置し、昭和六(1931)年に伏見市・深草町・醍醐村など、九市町村の合併・編入によって誕生した伏見区は(昭和二十五(1950)年に羽束師村・久我村を、昭和三十二(1962)年に淀町を編入)、市内最大の約28万8千人の人口を擁する行政区である。区内には、桂川、宇治川など主要な河川が流れ、古くから伏見港などを中心に京都・大坂の水運の拠点として発展している。また耕地面積市内第1位の農業も、区画整理が進む中で、米、野菜、花等が生産され、市民への新鮮な農産物提供に大きな役割を担っている重要な地域でもある。この他、神社仏閣、酒蔵や名所史跡などの歴史資源やかつての城下町、門前町、港町としての風情を残した町並み、祭りや伝統行事などが受け継がれ、伏見と聞くと、多くの人は、醍醐寺・伏見稲荷大社、淀城や伏見城、幕末動乱の舞台となった寺田屋などや、伏見の清酒を連想させる。
著者
鶴井 一純 野崎 忠 佐藤 朗好 長谷部 昭雄 前田 貴 渡部 一郎 丸山 進平
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.120-129, 1998-11-30

プロピオン酸は、香料及び保存料として使用できる食品添加物であるが、独特の香気のため添加使用量は少い。食品添加物であるプロピオン酸の純度試験の一つである易酸化物試験について、第6版食品添加物公定書(Japanese Standards for Food Additives (JSFA))及びFAO/WHOによるConpendium of Food Additive Specification (CFAS)では「本品2.0mlを量り、水10mlを加えて溶かし、0.1N過マンガン酸カリウム溶液0.10mlを加えるとき、液の紅色は、30分以内に褐色に変わらない。」とされている。この試験法においては「液の紅色が褐色に変化しない限り無色であっても合格」としばしば誤って判定されるケースが起こっている。過マンガン酸カリウムが速やかに消費され反応液が無色透明になることは逆に「易酸化物」が多いということを示すものであり、石綿等は、「易酸化物」含量がより明確に測定できるFCC試験法への転換を提案している。本研究では、プロピオン酸の純度試験として、より適した易酸化物試験法を検討することを目的に、日本国内及び広く海外で食品添加物として流通しているプロピオン酸を試料としてJSFA、CFASおよび米国Food Chemicals Codex(FCC)に収載されているプロピオン酸の「易酸化物」測定法について比較検討を行った。同時に「易酸化物」を特定することも試みた。検討の結果、食品添加物として日米欧で流通しているプロピオン酸において含量の多い不純物は、プロピオン酸エチル、エタノール、酢酸等であり、「易酸化物」に相当すると考えられるギ酸やアルデヒド類、ケトン類等の含量は極めて少ないことが判った。なお、本検討からは原料であるプロピオンアルデヒドの存在をGC分析によって確認することができなかった。一方「易酸化物」を測定する方法の検討結果からは、臭素法(FCC)はプロピオン酸中の「易酸化物ギ酸」を定量的に測定できる方法であるが、一方アルデヒド類に対しては定量性が全くない方法であること、これに対し過マンガン酸カリウム法(JSFA, SFAS)は、ギ酸以外の「易酸化物類」を測定できる方法であるが、ギ酸は全く測定できない方法であること等が判った。
著者
渡邊 智子 小田 恒郎 高居 百合子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.951-957, 1995-10-15
被引用文献数
1

The study was undertaken to determine the effects of lactulose syrup on the growth and intestinal microflora of rats at different levels of dietary protein. Male rats of the Wistar strain (at 6 weeks of age and weight 97 g) were fed two control diets (15% casein and 35% casein) containing no lactulose syrup and two experimental diets (15% casein and 35% casein) containing 19% lactulose syrup for 35days. The following results were obtained : 1) The two lactulose groups showed a decrease in body weight gain and total feed intake for 35 days. 2) The growth ratio (body weight gain/initial body weight), the feed efficiency ratio and protein efficiency ratio were lower in the two lactulose groups than in each control group. 3) The weight of liver, kidney, small intestine and cecum with contents were increased in the two lactulose groups. The weight of retroperitoneal fat pads were decreased in the two lactulose groups, and this effect in rats fed the 35% casein diet was affected significantly. 4) In the fatty acid composition of retroperitoneal fat pads, linoleic acid was increased and palmitic acid decreased. 5) In the cecum, pH was decreased, and thiamin, riboflavin and Bifidobacterium were increased in the two lactulose groups. These effects in the 35% casein diet group were demonstrated significantly.
著者
恵多谷 雅弘 下田 陽久 坂田 俊文
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

砂漠下に埋もれたエジプト王朝時代遺跡を対象として、乾燥した砂漠地域における遺跡探査での衛星SARの有効性の検証を行った。具体的には、JERS-1とSIR-CのLバンドHH偏波のSARによりその存在が確認されているサッカラ(Saqqara)の未発掘遺跡SiteNo.29およびSiteNo.39をテストサイトとして、入射角、観測方向の異なるALOS/PALSAR(LバンドHH偏波)画像から、両遺跡の検出におけるSARの観測パラメータの影響を検討した。また、PALSARの観測日と連動し、テストサイト地点を主体に土壌水分率を計測することで、地表の誘電的性質がSARの後方散乱係数に与える影響を調査した。その結果、オフナディア角35度のJERS-1/SARで発見されたSiteNo.29に関しては、上昇軌道(Ascending)、2偏波(HH/HV)、オフナディア角34.3度の観測モードで撮影されたPALSARで同定できる可能性が認められた。大入射角(オフナディア角61.5度)のSIR-Cで発見されたSiteNo.39に関しては、オフナディア角50.8度のPALSARで検出を試みたが、PALSARのセンサ特性に起因する問題から、同遺跡発見における入射角の影響については結論に至っていない。その一方で、SARの観測方向が両遺跡発見に影響している可能性は少ないとの結論が得られた。SARの後方散乱係数と土壌水分率の関係に関しては、PALSARの観測画像と同観測日に計測した土壌水分率データを比較検討した。計測された土壌水分率は最大で8.3%、最低は0.0%であり、SiteNo.29、SiteNo.39地点における後方散乱係数と地表の土壌水分率の間に特徴的な関係は見られなかったことから、両遺跡発見において地表の土壌水分率が影響した可能性は少ないと考えられ、この見解は2時期のJERS-1/SARの比較検討結果とも一致していた。
著者
永野 真理子
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1994

全身疾患を有する患者に対して,緩和精神安定材を用いる静脈内鎮静法は有効であるが,薬剤静脈内投与の場合,過量投与や覚醒遅延などの問題が生ずることがある.最近では,緩和精神安定剤の拮抗薬フルマゼニルが市販されるようになった.これを有効に利用することは,静脈内鎮静法のリスクを低くするばかりではなく,患者の帰宅可能時間の短縮,帰宅時のさまざまな問題の解決にもつながる.フルマゼニルについては多くの研究があるが,実際の応用方法は,歯科麻酔領域での基準確立には未だ至っていない.また,フルマゼニルの副作用として,頭痛,興奮などの精神神経症状や血圧上昇,頻脈などの循環器系症状が知られている.本研究では,静脈内鎮静法をより安全に行なうためのフルマゼニル投与法の確立を目的とし,今回は虚血性心疾患を有する患者に対するフルマゼニルの投与を行なって投与後の循環器系副作用について検索した.虚血性心疾患を有する患者のうちミダゾラム(ドルミカム^<(8)>)による静脈内鎮静法を行う患者のうち,本研究に対しての充分な理解と承諾を得られた症例を対象とした.ドルミカム^<(8)>による静脈内鎮静法下治療終了後フルマゼニル(アニキセート^<(8)>)0.5mgを静脈内投与した.術中および術後2時間は,BP,ECGなどをモニタリングし,バイタルサインを記録,帰宅許可時にホルターECGを装着し,術後24時間のECG変化を記録した.なお,帰宅許可にあたっては,平衡機能計(1G06SP)を用いた重心動揺を測定、平衡機能回復をもって帰宅許可した.以上より,虚血性心疾患患者に対するフルマゼニル(アネキセート^<(8)>)0.5mg静脈内投与は,術後24時間心電図上では影響を及ぼさなかった.虚血性心疾患患者に対するフルマゼニル使用は,術後平衡機能回復時間を短縮させ帰宅時間を早くするのみならず,安全に使用できると考えられた.今後は,症例数を増やし,安全な投与方法についてさらに多方向から研究する予定である.
著者
石村 宇佐一
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究は大別して二つになる。A. トランポリン選手における心理的スキルトレーニングの縦断的検討。トランポリン選手に対する長期間のメンタルトレーニングの効果を明らかにする目的で、全日本選手権9連覇しているFuru Akiko選手を対象に、心理的スキルについて検討した。その結果は以下のとおりであった。1. 心理的スキルトレーニングの一つである目標設定の成果は、自己動機づけのレベルも高まり、自分の目標と練習すべきか活動がより明確になった。2. 六年間に渡る三つの心理検査(PPI,DIPCA2,POMS)は、自己の心理的スキルの効果やオーバートレーニングの状態を把握することができた。さらに、自分の進歩に関する情報の活用と自己認識を見直し、継続的改良に取り組むことが認められた。B. バスケットポール選手におけるFoulshot時とイメージ想起時の脳波活動の検討。本研究の目的は、金沢大学女子バスケットボール選手を対象に、バスケットボールのFoulshot時とイメージ想起時の脳波活動を脳波含有量から検討することであった。Foulshot時とイメージ想起時の脳波を頭頂部(C3,C4)後頭部(O1,O2)において、α1、α2、α3,β波の4帯域に関して測定した。同様に、安静時の脳波含有量も測定した。結果を要約すると以下のとおりである。1. バスケットボールのFoulshot時の脳波はイメージ想起時及び、安静時と比較して、頭頂部、後頭部すべての部位でβ波に有意な増加が認められた。2. イメージ想起時の脳波は、安静時と比較して後頭部位においてα2が常に有意な増加を示し、α-blockingは認められなかった。