著者
富樫 賢一 江部 達夫 佐藤 和弘 斎藤 博之
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.3-9, 1998-02

原発性肺癌に対する外科治療の安全性をより向上させるためにはどうすべきかを,術後死亡(手術死亡十病院死亡)例を分析することにより検討した.対象は1979年より1996年までに手術を施行した1032例である.手術死亡(術後1ヵ月以内の死亡)は10例(1.0%),病院死亡は9例(0.9%)で,術後死亡率は約2%であった.高齢者ほど,また,手術侵襲が大きいほど術後死亡率は高い傾向にあった.手術死亡10例の原因は,心破裂1例,消化管出血1例,脳出血1例,脳梗塞1例,肺炎1例,気管支痩1例,ARDS2例,突然死2例であった.病院死亡9例の原因は腎不全1例以外すべて呼吸器系の合併症であり,気管支痩3例,ARDS2例,その他の呼吸不全3例であった.これらの死因は必ずしも予側や予防が可能とは思われなかったが,厳密な手術適応の決定と術後管理における迅速な対応が肝要と思われた.
著者
花房 泰子 趙 庚五 兼丸 卓美 和田 隆一 杉本 千尋 小沼 操
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.1127-1132, s・iv, 1998-10
被引用文献数
16

Babesia caballi実験感染馬の病態解析を行った.病理学的検索の結果, 直接の死因は肺水腫による呼吸不全と考えられ, 腎臓の特殊染色を行った結果, 増殖性糸球体腎炎が認められた.2頭の成馬にB.caballiを接種し, 末梢リンパ球におけるサイトカインmRNAの発現を調べた結果, 1個体においてはinterferon-gamma, tumor necrosis factor-alpha (TNF-α), interleukin (IL)-2, もう1個体においてはTNF-α mRNAの発現が増強されていた.両個体において, IL-4 mRNAの発現に変化は見られなかった.また, B.caballi感染馬における血清中の一酸化窒素(NO)の産生量を調べたところ, 3頭のデキサメサゾン(DX)投与馬の死亡直前(感染末期)にNOレベルの上昇が認められた.DX投与馬の1頭にNO合成酵素の阻害剤であるアミノグアニジン(AG)を投与して感染経路を調べたところ, AG投与馬では非投与馬と比較して高い寄生率と低いNOレベルが観察されたが, ウマは最終的に死亡した.本研究の結果より, B.caballi感染症においてサイトカインとNOが病態形成に強く関与している可能性が示された.
著者
小野寺 秀記 竹村 周平 笠松 美宏 辻本 庄司 西山 勝彦 土橋 康成 杉本 尚仁 中原 梨佐 土井 たかし 杉野 成 近藤 元治
出版者
日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.185-193, 1993-03-25

心嚢炎で発症し, 約1年の経過をもって胸膜炎と気管支転移を合併した悪性胸腺腫の55歳男性症例について報告した。心嚢炎と胸膜炎に関した病理学的確診はえられなかったが, これらは共通の性状と治療経過を示したことから悪性胸腺腫の直接浸潤と考えた。原発巣と気管支病変に関しては病理学的確診がえられ, 画像診断より, 原発巣と気管支病変の連続性が認められないことから, 気管支病変は転移と考えた。治療に関して, 本例では多剤併用療法により部分的寛解後, 縦隔を主とした根治的放射線療法を行い, その後約1年の経過を通じて原発巣の縮小を維持できた。また漿膜浸潤の増悪も局所の化学療法により対処しうるものと想定された。転移を伴った悪性胸腺腫の延命には, 化学療法のdose intensificationが必要と考えられ, G-CSFをはじめとした補助あるいは併用療法の検討が今後の重要課題となるものと思われた。本例の死因は, 心嚢炎の再燃と肝転移に伴う多臓器疾患であった。
著者
森本 委利 宮下 実
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
Japanese journal of zoo and wildlife medicine (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.67-71, 1997-02

1994年10月, 当園で検疫中の若齢アルダブラゾウガメ(雌)1頭が死亡した。病理学的ならびに細菌学的検査の結果, 当該動物の死因は, Aspergillus fumigatus感染を伴った非定型抗酸菌Mycobacterium nonchromogenicum complex(M.terrae complex)感染によることが判明した。感染はまず抗酸菌に始まり, それによる衰弱後, アスペルギルス感染に至ったと病変から推察された。しかし抗酸菌の感染時期は推定できなかった。本症例は, アルダブラゾウガメにおけるM.nonchromogenicum complex(M.terrae complex)感染の最初の報告である。
著者
秋葉 隆
出版者
日本文化人類学会
雑誌
季刊民族學研究 (ISSN:00215023)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.13-16, 1949

In Korean, Manchurian and Mongolian shamanism there are found various forms of fire rites. Those in Korean shamanism may be classfied as follows : 1) The burning of paper : a) at the first part of the rite (purification) b) at the end of the rite (divination) 2) The burning of the following sacred objects : a) burning paper dolls which represents the dead man's soul invited to the ceremony. b) burning paper tablets which symbolize the god in the family protection rites. 3) The burning of the following objects in healing rites : a) burning paper in the rites for eye disease. b) moxibustion (burning the moxa plant on the skin) in rites for the insane. c) burning a hut in which a curing ceremon for the insane is performed. 4) The ritual use of words and characters repre senting "fire" : a) words representing "fire" as found in the sacred songs of the female shaman b) magical characters which contain the lette "fire" written in red by the male shaman Generally speaking, these performances of fin rites in Korean shamanism seem to be rather mill in comparison with those of Manchuria and Mongolia. In the latter we frequently find vigorous and unusual performances ; for example, the rite involving the manipulation of red-hot iron by the Mongolian shaman or the rite of eating burning incense sticks by the Manchurian shaman. Such self-punishing and violent rites tend to be foreign to Korean psychology.
著者
Kobayashi Takao Sai Risa Shibata Kazuya
出版者
日本経済国際共同センター
巻号頁・発行日
2008-06

This study examines life-cycle optimal consumption and asset allocation in the presence of human capital. Labor income seems like a "money market mutual fund" whose balance in one or two years is predictable but a wide dispersion results after many years, reflecting fluctuations in economic conditions. We use the Martingale method to derive an analytical solution, finding that Merton’s well-known "constant-mix strategy" is still true after incorporating human capital from the perspective of "total wealth" management. Moreover, the proportion in risky assets implicit in the agent’s human capital is the main factor determining the optimal investment strategy. The numerical examples suggest that young investors should short stocks because their human capital has large market exposure. As they age, however, their human capital becomes "bond-like", and thus they have to hold stocks to achieve optimal overall risk exposure.
著者
中別府 温和
出版者
宮崎公立大学
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.283-308, 2006

小論の目的は、宗教を理解するために宗教的象徴をめぐる事実を厳密に取り出し、それらとの関連でどこにどのような意味が共有され分有されているかを解明することである。ここでは、ゾロアスター教徒パーシーの聖なる火を材料とし、宗教的意味の残存性と太古性という視点と、宗教的なものの地域や社会による分有という視点から分析を試みた。その結果、(1)聖なる火はその構成過程にアヴェスター時代の要素を保っていること、(2)太陽、月、水、土、樹木、動物(犬、牛、など)などの要素と複合した体系の中で聖性が意味づけられていること、(3)死体および死体悪魔への抵抗と忌避の手段として働いていること、(4)穢れを落とし浄められた状態を確保する手段として意味づけられていること、(5)聖なる火は故人および死者の魂を記念することを目的として作られること、(6)聖なる火を納ある聖火殿の建設ならびに聖なる火を維持するために香木を捧げる儀礼も、故人および死者の魂を記念することを目的にしていること、(7)したがって聖なる火は一度作られたらそれを二つに割ったり、二つの火を一つに統合したりすることはできないこと、(8)聖なる火を共有する主体はそれぞれ異なっていること、が明らかになった。また、(9)聖なる火は祭司によって維持がなされていくが、その世話は聖なる火の聖性の高低に応じて定められた清浄度を達成した祭司以外はできない。その制度にもとづいて、聖なる火は現実には祭司を中心に構成される社会的組織であるパンタークをとおして共有され、その機能を果たしていることが明らかにされた。
著者
野原 精一 広木 幹也
出版者
独立行政法人国立環境研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

水循環機能と微生物の分解機能からモニタリングを行い、自然の干潟・湿地である盤洲干潟・小櫃川河口湿地の比較し、事業規模でより現実的な自然再生の事業評価手法を開発することを目的とした。本研究では、小櫃川河口干潟における現存の相勘植生図を過去の資料及び航空写真から判読した地形変化と比較しながら、植生変化及びその要因について検討した.1974年、1984年、2001年の相勘植生図を比較した結果、後背湿地全体の面積は1974年で24.89ha、1984年で29.18ha、2001年で29.29haと拡大した.1974年、1984年、2001年の各植生タイプの面積を比較した結果、塩湿地植物群落ではシオクグ群落、ハママツナ群落、ヨシ群落などの満潮時冠水型は縮小し、アイアシ群落の満潮時非冠水型は拡大した.コウボウシバ群落、ハマヒルガオ群落などの砂丘地植物群落、チガヤ群落、オギ群落などの草原性植物群落、テリハノイバラ群落、アズマネザサ群落などの木本類群落は縮小した.(景観生態学9(2):27-32,2005)沿岸帯の2つの典型的な沿岸帯である砂質浜および塩生湿地において二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素の放出速度を2003年夏に測定した。地球温暖化ガスの純放出量の定量的把握と2地点でのガス放出量の変動に関与する重要因子を明らかにする目的で実施した。二酸化炭素とメタンの放出量の大きさや変動は2地点でことなっており、塩生湿地より砂質浜で低かった。亜酸化窒素の放出の大きさと変動は2地点で類似していた。砂質浜での温暖化ガス放出の時空間的な変動は潮の干満による水位変動により強く支配されていた。塩生湿地では3種類のガスの空間的変動は地上部現存量と関係しており、二酸化炭素とメタン放出量の時間的な変動は土壌温度に相関が高かった。観測した温暖化ガス放出量から推定した塩性湿地における地球温暖化ポテンシャルの合計は砂質浜に比べて約174倍高かった。(Chemosphere68:597-603,2007)
著者
金子 日威
出版者
立正大学
雑誌
立正大学文学部論叢 (ISSN:0485215X)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.105-107, 1976-03-25
著者
永島 二郎
出版者
日本医療機器学会
雑誌
醫科器械學雜誌 (ISSN:00191736)
巻号頁・発行日
vol.35, no.12, pp.944-945, 1965-12-01