著者
布施谷 千穂 浅香 亮一 小野 元紀 塩沢 丹里
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

我が国の子宮体癌患者数は急増しているが子宮体癌治療に使用できる薬剤は限られており、新規薬物療法の開発が急務である。抗癌剤や分子標的薬は時に強い副作用がみられるため、近年、古来より摂取し安全性が高いと予想される天然化合物の抗腫瘍効果が注目されている。6-(methylsulfinyl) hexyl isothiocyanate(6-MITC)は、日本原産の本ワサビから抽出される天然化合物であり、抗炎症作用や抗酸化作用などが報告されているが、子宮体癌に対する抗腫瘍効果は報告されていない。本研究では6-MITCの抗腫瘍作用と腫瘍免疫に対する作用を明らかにし、新規治療薬候補となるか検討する。
著者
福家 辰樹
出版者
浜松医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

アトピー性皮膚炎に対する長期寛解維持療法として近年欧米で提唱されるプロアクティブ療法(ステロイド外用薬による予防的間欠塗布法)について、当大学皮膚科学講座および国立成育医療研究センターアレルギー科の研究協力のもと、ランダム化並行群間比較試験を行い安全性および有効性を検証した。1 年間の研究期間において、両群とも明らかな副腎抑制を来さず局所副作用に差を認めなかったが、症状スコアや血清 TARC 値はプロアクティブ療法群で有意に低下し維持された。さらに同群では総 IgE の上昇が抑えられ、ダニ特異的 IgE の感作を有意に予防した。 「抗炎症外用薬の予防的間欠塗布によって湿疹の無い状態を維持する」という新たなアプローチによって、アレルギーマーチの原因の1つであるダニアレルギーに対し経皮感作を予防する可能性が示唆された。
著者
西塔 由貴子
出版者
京都精華大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、ホメロスの作品を中心に西洋古典に著された[色][色彩修飾語]を精査・分類・整理し、詩句の文学的効果を考察することによって、詩人の創造性および「色彩」の象徴性や社会的役割の解明を探究した。英国リヴァプール大学等訪問先の大学でも充実した調査を実施し、当初の予測をより実証的に検証することができた。多分野に関連する色彩表現の深層について一定の見解を提示し、さらに、停滞していた文献学的研究に新たな活路、つまり〈色-音-動き〉という次につながる方向性を見出だせたことは大きい収穫であった。国際的動向を見据えて研究を発展・展開させていくための今後の基盤を築くことができ、有意義な研究であった。
著者
柿原 泰 藤岡 毅 山内 知也 濱岡 豊 高橋 博子 中原 聖乃 林 衛 徳永 恵美香
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究は、放射線影響をめぐる科学的な調査研究をもとにした放射線防護の体系(その理論、基本原則の考え方、諸概念等)がいかに形成されたのか、そして実際に社会的な場面で放射線防護の実践がいかになされたのか、その実態と問題点について、科学史・科学論的研究を基に明らかにしつつ、とくにこれまでの放射線防護に欠けていると考えられる市民的観点からの再検討を加え、あるべき姿を提示すべく調査研究を進める。
著者
小牧 元 小林 伸行 松林 直 玉井 一 野崎 剛弘 瀧井 正人
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

近年、ストレスに対する生態防御の観点から、免疫系と視床下部-下垂体-副腎系との関連が注目されてきた。特にサイトカインの一種であるインターロイキン‐1β(IL-1β)がこの免疫系と中枢神経系を仲介する、主要な免疫メディエーターの一つであることが明らかになっている。このIL-1βの同系に対する賦活作用には、視床下部の室傍核(PVN)におけるCRFニューロンの活動が促される必要があるが、血中のIL-1βがいかにして同ニューロンを刺激するのか未だ確定した結論には到っていない。我々は視床下部の終板器官(OVLT)が、その血中のIL-1βが作用する主なゲートの一つである可能性を、同部位にIL-1レセプター・アンタゴニストを前処置することにより確認したところ、血中IL-1β投与によるACTHの上昇は有意に抑制された。一方、一酸化窒素(NO)が脳内でニューロトランスミッターとして働いていることが判明し、特に、NOがアストロサイトからのPGE2産生やCRFやLHRH分泌調節に直接かかわっている可能性がある。そこで、マイクロダイアリシスを用いて、同部位のNO産生との関わりをさぐるために、L‐Arginineをチューブ内に流し、IL-1βによるPGE2産生の変化を見たところ、有意な抑制傾向は認めなかった。しかし、フローベの長さの問題、L‐Arginineの濃度の問題もあり、容量依存生の確認、他の部位との比較まで至っておらず、結論は現在まで至っていない。今後、容量、他のNO産生関連の薬物投与も試みて、確認して行く予定である。
著者
佐々木 尚之 毛塚 和宏 斉藤 知洋 宍戸 邦章
出版者
津田塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2023-04-01

人々のライフスタイルや価値観の変容により、社会調査をめぐる環境は著しく悪化した。本研究では、無作為抽出した対象者に対して、オンライン調査または郵送調査、配偶者票の有無をそれぞれランダムに割り当てることにより、調査モードならびに配偶者票の有無が回答に与える影響を分析する。ICTの活用を代表とする今後の社会調査の可能性を検証し、新たな調査手法導入の是非、導入にあたっての課題、状況に適した調査手法の有無を解明することを目的とする。
著者
加藤 博史 小澤 亘 小川 栄二 マーサ メンセンディー 山田 裕子 石川 久仁子 牧田 幸文 森田 ゆり
出版者
龍谷大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

在日コリアンや中国からの帰国者は、言葉や習慣の壁を持って地域で生きている。中でも、高齢者、障害者は特別な生活支援が必要であり、その充実の方策を探る調査を京都市において行った。調査の結果、「福祉関係者を知っている人」は、日本人43%、コリアン32.6%、中国帰国者20%、「不幸感をもつ人」は、日本人6.4%、中国帰国者10%、コリアン20%であった。また、「幸福感をもつ人」は、日本人44.5%、コリアン35.7%、中国帰国者10%であった。その他のデータからも、日本に暮らす外国籍の人や外国の風習を身につけた人たちの生活支援の必要性と地域の人たちとつなぐ機能の必要性を明らかにしえた。
著者
大谷 崇仁
出版者
福岡歯科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

平成31年度は平成30年度までに明らかにした細胞・分子レベルでの高濃度GluOCによる脂肪細胞の細胞死(ネクロトーシス)調節をマウス個体で再現可能かというテーマに挑戦する予定であったが、分子レベルでの思わぬ発見もあり、平成30年度に引き続き、高濃度GluOCが脂肪細胞に与える影響について解析を行った。明らかになった点は大きく2つである。1つ目はGluOCが脂肪分解に大きな役割を果たしているという点である。GluOCはその受容体であるGPRC6Aに結合することで、cAMP-PKA-ERK-CREBシグナルカスケードを活性化させ、脂肪分解の律速酵素として知られるATGL(adipose triglyceride lipase)の発現量を亢進させることは以前明らかにしたが、さらにその他の脂肪分解関連酵素であるペリリピンやHSL(hormone sensitive lipase)のリン酸化を亢進させ、脂肪分解を促進させることを明らかにした。2つ目は高濃度GluOCが脂肪細胞の細胞接着を調節しているという点である。脂肪細胞の細胞膜上には接着分子の1つであるACAM(adipocyte adhesion molecule)という分子が発現しており、これらはhomophilicに脂肪細胞間の接着を調節するのと同時に、脂肪細胞の大きさを調節することが知られている。高濃度GluOCはこのACAMの細胞膜上の発現を亢進させることが分かった。以上の2点から、GluOCは糖代謝のみならず、脂質代謝においても重要な役割を果たし、かつ脂肪細胞間の細胞接着を亢進させることで、脂肪細胞に肥大化しにくい性質を付与する可能性が示唆されたことは、今後の研究の新展開として重要な1年となったと考える。
著者
佐谷 秀行 齋藤 潤
出版者
慶應義塾大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

Benzaldehydeは古くからがん細胞抑制作用があることが知られているが、その作用機序は全く分かっていなかった。研究代表者らはこれまでの研究で、膵臓がん細胞では14-3-3ζが高発現することで細胞増殖シグナル分子が活性化し、その機能をBenzaldehydeが抑制していることを見出した。14-3-3ζはこれまでにもがん治療の標的として注目されてきたが、その阻害剤の開発には至っていない。本研究ではBenzaldehydeの効果と毒性をマウスモデルを用いて検証し、新たな膵臓がん治療薬開発の端緒とすることを目的とする。
著者
武田 志乃
出版者
独立行政法人放射線医学総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

劣化ウラン弾汚染や原子力エネルギーが再注目されていることなどを背景に、ウランの生体影響研究の必要性が生じている。ウランの組織局在性と組織障害との関係は十分に理解されておらず、ウランの生体影響評価に資する科学的根拠は乏しい。本研究では、ナノビームを用いた新たなウラン測定手法を確立し、これを用いてウラン蓄積と毒性発現の関係を調べた。ウランは腎臓の下流部位の近位尿細管に選択的に蓄積し毒性を生じること、そのウラン局在量は投与量の500倍以上に匹敵し、標的細胞においては高濃度にウランが濃集していることが明らかとなった。
著者
山岸 蒼太
出版者
関西学院大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2019-04-25

本研究は、教育・職業・当事者組織を中核に構成されてきた従来型の視覚障害当事者コミュニティと日常的に接点をもたない視覚障害者の経験に着目し、彼らのアイデンティティのあり様を社会学的に考察することを目的とする。健常者あるいは障害当事者間でどのような関係を取り結んでいるのかをライフヒストリーインタビューや参与観察を通じて明らかにする。
著者
松口 義人
出版者
福島工業高等専門学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

【研究目的】化石燃料の代替え品として水-植物油エマルジョン燃料をディーゼル機関で使用するために,以下の項目を調査・実験・評価し,最適なエマルジョン燃料を精製する.(1)植物油の基礎特性調査,(2)エマルジョン燃料の基本的性質の調査,(3)エマルジョン燃料の燃焼評価.【実験方法】渦流室ディーゼル機関を用いて,軽油,大豆油100%,エマルジョン燃料について,各燃料の温度による粘度変化の測定並びに燃焼実験を行った.粘度変化は音叉型の粘度計を用いて,10℃から70℃までの変化を測定した.また,燃焼実験は全負荷で行い,回転数1000〜3000rpmまでの範囲でデータを採取した.【実験結果】各燃料ともに温度が上昇するに従い粘度が低くなる傾向が見られた.特に,植物油,エマルジョン燃料は温度による粘度変化が大きく,大豆油は10℃から70℃の範囲で90〜13.7mPa・s,エマルジョン燃料で81.4〜11.9mPa・sとなり,軽油よりも温度による依存性が高い結果となった.また,若干ではあるが植物油に水を加えることで粘度が低減されたことが伺える.また、燃焼実験では,各燃料ともに回転数が増加するに従って,トルクが減少し出力が増加する傾向となった.中でも,エマルジョン燃料はトルクの減少が少なく,トルク,出力は最も高い値となった.また,低出力時ではエマルジョン燃料の燃料消費率が最も多くなったが,出力が高くなるに従い各燃料ともほぼ同等の値となった.熱効率では,軽油に比べてエマルジョン燃料の方が高い値となった。水を加えることでミクロ爆発を起こし,油滴が微粒子化され燃焼していると考えられる事から,窒素酸化物や粒子状浮遊物質を削減する効果があるものと推測できる.今後,エマルジョン燃料の実用化を実現させるためには,適正な水と植物油の混合割合の見極めとともに低い燃料温度での特性を調査していくことが必要であると考える.
著者
田近 周 (2023) 田近 周 (2020-2022)
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2023-03-08

海洋の酸性化は海洋生態系に大きな影響を与えるといわれており、近年盛んに研究されているテーマである。過去の大量絶滅事変は、海洋酸性化等の環境変動とそれが生態系に与えた影響を直接観察できる絶好の研究材料である。本研究では、特に良好に保存された化石試料を採取・分析することによって白亜紀末の大量絶滅事変における海洋酸性化を復元し、それが当時大繁栄していたアンモナイトの絶滅とどのように関連していたのか、について検証を行う。
著者
森 誠之 南 一郎 七尾 英孝 南 一郎 七尾 英孝
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

表面化学の立場から潤滑油添加剤の反応を制御し、より適切な潤滑特性を得るために表面形状の影響を検討した。鋼試験片表面に適当な粗さを与えることにより、摩擦係数が徐々に低下し、安定で低い値を示すことを見出した。表面分析の結果、表面の突起部で金属新生面が生成し、ここで添加剤が反応するとともに潤滑性の境界膜を形成したことを明らかにした。
著者
西山 雄大
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

身体と自己の関係に関する研究は哲学的探求のみならず、神経疾患や精神疾患に伴う身体感覚変容の病理解明や療法応用のためにも発展が望まれる領域である。最近では身体的自己意識研究が加速しており、特に代替物を自身の身体だと感じさせる錯覚実験が主に行われている。しかし、従来の実験はその手続き上の制約により、錯覚の生起過程を検証できず、錯覚強度も弱いという問題がある。本研究ではこの問題に対するひとつの解決策を提案するために、宙吊りの視点だけに自己を感じる『身体不在』体験を生み出す新規実験系を開発し、身体不在のまま体験者が歩行することで生じる感覚を心理・生理・行動の側面から検証・分析する。
著者
飯田 崇史
出版者
筑波大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2022-04-01

ニュートリノを放出しない二重ベータ崩壊が発見出来れば、ニュートリノの粒子-反粒子同一性(マヨラナ性)が判明し、物質優勢宇宙の謎に決着がつく。二重ベータ崩壊は、通常のベータ崩壊がエネルギー、スピンにより禁止・抑制されている特定の原子核でのみ観測可能である。核種による遷移確率(核行列要素)の理論的不定性もあるため、様々な原子核で実験することが必要となる。本研究では、既存の技術を応用して大型かつ高純度のCe:Gd3(Ga,Al)5O12(GAGG)結晶を開発し、それを用いてGd-160の二重ベータ崩壊探索の研究を高感度で行う。
著者
大野 民生
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

研究代表者は糖尿病モデル動物の腸管に膜様条虫というにサナダ虫を寄生させると、感染後2週間程度で他に病的な症状を一切呈さないまま高血糖状態だけが正常化するという現象を見出した。その原因は「膜様条虫は腸管細胞のインクレチン分泌を誘導してインスリン分泌を亢進させ高血糖を正常化する」と考え、その機構を遺伝子改変マウスを用いて解明する。
著者
有賀 妙子 吉田 智子 真下 武久
出版者
同志社女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

男女ともに同様な関心と意欲をもってプログラミング学習に取り組める、インクルーシブ教材を開発する。それをWeb上で公開し、高等学校の情報、大学の一般情報教育のプログラミング教育において、たとえ教員がプログラミングに詳しくなくても、学生・生徒が性別に関係なくワクワクするクラスの教材として活用できる、活用しやすい環境を整えることを目指す。教材や実施成果を公開し、教育内容の普及を図る。教材の題材として、ジェスチャや表情、音声によるインタラクションを使ったメディアコンテンツあるいはインスタレーション作品を制作するプロジェクトを中心に据えた教育プログラムを開発する。
著者
園田 潤
出版者
仙台高等専門学校
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

落雷により生じる電磁界の伝搬を,高速かつ実際の地形や構造物を考慮した高精度モデルで解析するために,本研究では電磁界解析で広く使用されているFDTD法を拡張したWM-FDTD法の3次元かつCPUやGPUで並列計算するプログラムを開発した。実際に地形モデルだけではなく,ビルや住宅等の構造物をモデル化した実際の問題に近いモデルの解析として,仙台市のモデルを考え,山間部で生じた落雷による電磁界が都市部の都市構造で大きく変化することを解析で明らかにし,実際の問題により近い問題で雷放電電磁界を解析できることを示した。
著者
加藤 聖子
出版者
九州大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2015-04-01

着床における子宮内膜の幹細胞の果たす役割を解明することを目的とし、マウスやヒト臨床検体を用いて研究を行い下記の成果を得た。網羅的解析(RNA-sequence)は研究領域の技術支援を受けた。1) マウスモデルを用いた解析各週齢のC57BL/6マウス(5週・8週・60-75週)及びklotho早老マウスの子宮よりRNAを抽出し、RNA-sequence並びにGene Ontology・Pathway解析を行った。年齢毎に発現が増加あるいは減少する遺伝子群やPathwayを明らかにした。この中で老化マウスとklothoマウスで共通に変化する因子も見出した。2)臨床検体を用いた解析同意取得後、不妊治療中の採卵時に採取した子宮内膜検体や血液を用いて、その後の着床率との関連を解析したところ、着床不成功例では成功例に比較し、老化細胞率・p21の発現・細胞周期でのG0/G1期の割合が有意に高かった。また、両者の間で分泌が亢進しているサイトカインの種類に違いが見られた。興味深いことに、幹細胞マーカーの一つであるALDH1の発現はマウスでは老化により減少し、着床不成功例で老化細胞数増加とともに、減少していた。また、SASPに関連することが報告されている複数のサイトカインの発現や分泌が老化マウスや着床不成功例でそれぞれ亢進していた。以上の成果により、老化に伴い子宮内膜幹細胞が減少し、増加する老化細胞から分泌されるサイトカインによるSASPが着床不全の病態に関与することが示唆された。これらの結果はステムセルエイジングに伴う子宮内膜幹細胞の枯渇・劣化・内膜機能の低下が受精卵の着床を阻害していることを意味しており、がんや神経・筋肉の変性疾患だけではなくステムセルエイジングが引き起こす病態の中に子宮内膜機能低下による着床不全も含まれることを示すことができた。