著者
與那嶺 敦 Willcox D.Crag
出版者
沖縄県立看護大学
雑誌
沖縄県立看護大学紀要 (ISSN:13455133)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.33-39, 2005-03

本研究の目的は、本学の学生が英語に対してどのような意識をもっているか等を調査することにより、より効果的な「動機付け」への手がかりとし、今後の本学における英語教育を改善していくための基礎的資料とすることであった。平成16年度の看護学部看護学科1年次入学生80名を対象に、1年前期「英会話I」の第1回講義時間を利用して28項目からなるアンケート調査への記入を依頼した。本調査から、平成16年度の本学の新入生には全体として次のような特徴がみられる。英語自体については、「好きで興味はあるものの苦手意識をもっている」「受容的側面(Reading、Listening)に比べて行動的側面(Writing、Speaking)に苦手意識がある」「入学時点の英語力は、センター試験を受験した全国の大学新入生の平均レベルに達している」などである。英語の講義については、「学習意欲を十分もっており講義を楽しみにしている」「大部分の学生が英語の運用能力、特に会話力を伸ばすことを重視している」「楽に単位をとりたがっている」「講義時間の中では映画や音楽などを利用したエンターテイメント性が期待されている」などである。これらの結果から、新入生が概して大学英語に取り組む意欲や能力を備えていることをふまえ、今後は講義の中で行動的側面をより丁寧に指導して自信をつけさせるとともに、視聴覚教材を効果的に利用しながら講義をより活性化していきたい。
著者
森田 敦郎
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.491-517, 2007-03-31

第二次大戦後、タイでは地元の機械工や農民たちによってさまざまな農業機械が開発されてきた。本論文ではこの技術発展とその担い手となった機械工集団の形成の相互的な関係を記述するとともに、実践と社会性に関する人類学的概念の再考を試みる。タイの農業機械は輸入された機械類を環境に合わせて修理・改造する中から生み出されてきた。輸入された機械類が先進国と異なるタイの環境のもとで稼動し続けるためには、部品交換や修理、環境に合わせた改造などが必要であった。こうした需要に応えるために農村部では独学の修理工たちが誕生し、彼らの実践はその間を流通する人工物によって都市部や海外の工場と結び付けられたネットワークを形成してきた。タイの農業機械は、このネットワークで行われる修理や改造を通して発展してきた。ここでは、修理や改造を依頼した農民と機械工の間で機械の不具合をめぐる交渉が行われ、両者の知識が結び付けられることによって地域に適応した機械が生み出されてきた。さらに、この技術的実践は独学で技術を学んできた多様な人々の間に共有された次元を生み出し、社会集団としてのまとまりを作り出してきたのである。本論文では、近年の実践理論の展開とエスノメソドロジーおよびウィトゲンシュタインの後期哲学の知見に依拠しながら、このような技術的実践を通した社会性の生成のプロセスを考察していく。この考察を通して筆者は、実践に先立って存在する社会関係が実践を社会的にするのではなく、実践を構成する異種混交的な要素のつながりの中から社会性が生成することを明らかにする。技術的実践が社会性を生み出しうるという本論文の主張は、技術と社会の二分法だけでなく、従来の実践と社会性の関係をも問い直すものとなろう。
著者
広瀬 雄二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICM, 情報通信マネジメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.120, pp.35-37, 2009-07-02

東北公益文科大学では,2年次にRubyを用いた基本的なプログラミングを必修科目としている。計算機技術者を目指すための講義とは異なり,そこでは仕事を遂行する手順の組み立て,考え方,レポート文書の構成法を深く学ばせることを目的としている。全くの初心者を対象に実際に重ねて来た講義を基に,ゆとり教育世代の学生に対する情報処理基礎教育のあり方進め方になどについて展開する。
著者
岡田 憲治
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土と基礎 (ISSN:00413798)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.5-8, 2007-06-01

In this paper, relation between rain and disaster was shown. Especially, various problems originating in the uncertainty of the rain observation and their solutions and findings of generation timing of landslide and debris flow due to rainfall were shown. And the relation between rainfall and landslide disaster by using the concept of weathering was described.
著者
田島 孝治 安藤 公彦 大島 浩太 寺田 松昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.92, no.7, pp.1084-1097, 2009-07-01
被引用文献数
1

本論文では,我々が開発した情報提示システム「水晶珠」について述べる.水晶珠とは,個人の現在位置と時刻情報から,そのとき,その場所で,その人だけに必要と思われる情報を生成し,携帯端末に自動的に映し出す情報提示システムである.提案システムは,近年注目されているContext-Awareの考え方を利用しており,秒単位で生じる位置情報による膨大な行動履歴の保存と,多種の予測方式や携帯端末固有の環境に柔軟に対応できる必要がある.そこで,個々の履歴を圧縮するのではなく,地域の特性を利用した行動履歴保存方式を提案する.提案方式により,その地域で意味のある点を抽出し,行動履歴の保存に利用することでデータ量を削減する.また,行動の予測はインタフェースのみを定義することにより,多種の予測方式へ適応可能なシステムを実現した.提案システムに実際の行動履歴を入力した検証実験により,行動履歴の保存に必要なデータ量の削減とプロトタイプシステムによる動作を確認した.提案システムの試作により,事前のユーザ登録のみで,情報提供を受けるときには利用者は入力作業を行う必要のない情報提示システムの可能性を示唆した.

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著者
大森 志郎
出版者
東京女子大学
雑誌
史論 (ISSN:03864022)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.2-10, 1953
著者
竹内 倫和 竹内 規彦
出版者
日本経営学会
雑誌
日本経営学会誌 (ISSN:18820271)
巻号頁・発行日
no.23, pp.37-49, 2009-05-25
被引用文献数
1

There has been a growing attention among researchers and practitioners regarding how newcomers adjust themselves to their organizations that can be influenced by multiple factors including both pre- and post-entry factors of their organizational entry. In this study, we proposed an integrative model of newcomers' adjustment that subsumes pre- and post-entry factors on newcomers' adjustment. The model was then tested with our unique dataset collected from several waves of survey at different time points. This paper was organized into Studies 1 and 2 for examining pre- and post entry factors influencing newcomers' adjustment process, respectively. Firstly, our analyses in Study 1, using a cross-sectional survey data of 297 newcomers from 56 companies, uncovered that firms' early recruitment practice, especially advertising practice as perceived by newcomers during pre-entry period, was related positively to organizational commitment and negatively to turnover intentions among newcomers as of their organizational entry. Secondly, our findings in Study 1 clarified that an individual's career self exploration was positively related to his/her organizational commitment and achievement motivation to work after organizational entry. Thirdly, a structural equation modeling analysis of our longitudinal data in Study 2, including 74 newcomers' matched data collected at the first and second years of their entry, revealed that the degree of newcomers' organizational adjustment had increased over one year via the mediating effect of their mastery of socialization learning contents. Finally, our Study 2 also explored that firms' socialization tactics had facilitated the newcomers' adjustment via the mediating effect of socialization learning contents. Findings have contributed to extant career studies by proposing and testing a more integrative model of newcomers' socialization that includes both pre- and post-entry factors as predictors of their adjustment processes.
著者
伊藤 雅弘 中山 浩太郎 原 隆浩 西尾 章治郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.48, no.20, pp.39-49, 2007-12-15
被引用文献数
2

近年,知識処理の有用なコーパスとして,ユーザ同士が協調してコンテンツを編集するWeb事典である「Wikipedia」に多大な注目が集まっている.筆者らはこれまでの研究において,Wikipediaに対してリンク構造を解析することで精度の良いシソーラス辞書が構築できることを示してきた.しかし,膨大な記事数を持つWikipediaを解析するためには,高い精度を保ったままスケーラビリティのさらなる向上が技術的な課題であった.そこで,本研究ではリンクの共起性解析に着目し,スケーラビリティの高いシソーラス辞書構築手法を提案する.提案手法の性能評価のために行った実験の結果,共起性解析を用いた手法は従来手法よりも少ない計算時間で,高精度なシソーラス辞書を構築できることを確認した.さらに,共起性解析とtfidfを融合させることによって,より高い精度が実現できることを確認した.Wikipedia, a huge scale Web based encyclopedia, attracts great attention as a valuable corpus for knowledge extraction. We have already proved how effective it is to construct a Web thesaurus. However, we still need high scalability methods to analyze the huge amount of Web pages and hyper links among articles in the encyclopedias. In this paper, we propose a scalable Web thesaurus construction method from Wikipedia by using link co-occurrence. Experimental results show that the proposed method based on link co-occurrence analysis was better on scalability and accuracy than previous methods. Moreover, the method combining tfidf with link co-occurrence analysis brought higher precision.
著者
佐藤 浩史 山崎 敬広 高橋 紀之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.289, pp.37-41, 2008-11-06

GPSなどによる位置情報は主にナビゲーションサービスで利用されてきたが,昨今は,各種のSNSやTwitterに代表される緩いコミュニケーションサービス,マーケティングなどにおいても重要なものとなってきている.しかし一方で,一般ユーザが自分の位置や行動の詳細を公にすることはプライバシ保護の意味で問題がある.そこで,コミュニケーション目的の公開に適した情報を生成するため,コンテクスト全体を曖昧にしつつ,位置とユーザの関連の強さを定量化する手法を提案する.この値は「におい」をメタファとして説明することが出来る.さらに適用イメージとして,お互いの「におい」をユーザ間で共有するSNSを例示する.
著者
小林 広和 寺田 実
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.1948-1955, 2000-07-15

世代別ごみ集めは,ごみ集めの実行によって起こるプログラムの通常処理の停止時間を短縮できるので,対話的なアプリケーションや実時間的なアプリケーションに適している.しかし,世代別ごみ集めを実装する場合には,プログラムの通常処理で起こる古いオブジェクトへの書き換えの検出を行う必要があり,その書き換えの検出のために必要なプログラムの修正コストや,書き換えの検出によって起こる通常処理の実行時のオーバヘッドが問題となる.本論文では,テキストエディタであるGNU Emacsに,古いオブジェクトの書き換えの検出にダーティビット情報を用いた世代別ごみ集めを実装し,プログラムの修正のコストやプログラム実行時のオーバヘッドの問題を回避できることを実験によって示す."Generational garbage collection can reduce mutator pause times due to garbage collection,so it is appropriate for a interactive application and a real time application.But to implement a generational garbage collector,we must keep track of rewritings of old object by mutator,so it is a problem that the cost of program's modification due to tracking ofrewritings and the overhead of mutator due to it.In this paper,we implement a generational garbage collector to text editor GNU Emacswhich uses dirty bit information for tracking old objects rewritings,and we present the result of experiment which shows its problem is avoided.
著者
増井 武士 池見 陽 村山 正治
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.243-248, 1983-06-01

フォーカシングにおいて, ある問題全体についての身体の感じ(フエルト・センス)とか, 漠然としたままでいることとか, そこから現われてくる何かを待つこと, など前言語的な体験に注意を向けることが大きな特徴である. また, その特徴は必然的に, フォーカシングにおけるある時点での体験をフォーカシング過程全体の流れの中で位置づけたり,自律性陰反応らの他の類似した体験との弁別を困難なものにしている.それ故フォーカシング体験を, あるstepごとに点検したり, その体験の質を吟味することが必要となる. 本論では, フォーカシングの提唱者である. E.T.Gendlinらがワークショップ利用している"Focusing Check"をより具体的で, かつ日本においても実用可能な形に作成しなおしたものを報告する. この点検の利用により, フォーカシング体験の推進の一助となりえる.(1983年2月21日 受付)
著者
奥乃 博 グプタアヌープ
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.822-831, 1990-06-15
被引用文献数
1

プロダクション・システム(あるいはルールベース・システム)は広くエキスパート・システム構築用ツールとして使用されている.広範な応用あるいは実時間応用にプロダクショシ・システム高速化が不可欠であり 並列処理による高速化が研究されている.従来の研究では低レベル言語を使用しているため 他のシステムとの融合が難しかった.また OPS5 はエキスパート・システム構築用ツールであり その並列度はユーザ・プログラムに大きく依存している.本論文では OPS5 を共有メモリ型マルチプロセッサ上で高級言語を用いて並列処理する上での様々な問題点について議論する.本論文の主要な主張点は(1)並列 Lisp 言語 QLisp による並列処理の記述 (2)実行時に並列度を決定する制御方式 (3)プロタクション・システムの競合解消と行動段階での新しい並列処理アルゴリズムの提案 である.とくに実行時並列度制御方式は 個々のタスクの処理時間にばらつきのある記号処理では 資源の有効利用には不可欠である.また 行動段階での並列処理は競合解消で選択される可能性のあるルールを先行実行するという概念に基づいている.高級言語を用いることにより多様な並列性は容易に記述することができた.
著者
川崎 道雄
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.281-284, 2009-06-01

本稿では,中国の雑誌流通の特徴と海外から中国発行の雑誌を入手する場合の現状を述べ,今の中国で重加速的に進んでいる雑誌の電子化の現状と今後の展望を考える。