著者
金 徳謙
出版者
日本島嶼学会
雑誌
島嶼研究 (ISSN:18847013)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.1-11, 2023-03-31 (Released:2023-05-02)
参考文献数
7

After the 1950s, when have heightened interest in islands, the high interest in islands has affected research, and similar upward trends have continued in islands research that focuses on islands and tourism. It is no longer easy to even grasp the actual trends of research. This study intended to clarify research trends on islands tourism. The author collected all research papers which are searched using Web scraping with the keywords ‘Island’ and ‘Tourism’ on Science Direct. The research methods in this study are Bibliometrics and Text mining. Specifically, the author conducted four analyses, in order to clarify research trends in this study. First, the author conducted a Frequency analysis from Bibliometric point of view based on 6,967 papers from 1998 to 2021. As a result, it was clarified that annual amounts of research papers have changed to an increasing trend from 2005. Second, the author conducted a Correspondence analysis based on the top 60 most frequent words, and clarified the time-series changes from 1998 to 2021. As a result, research trends could be classified into five categories: ‘Development / Resources’, ‘Carrying Capacity / Sustainability’, ‘Risk / Disaster’, ‘Network’, and ‘Nature / Landscape’. Third, the author conducted a Cluster analysis based on the top 60 most frequent words, and summarized research trends into three clusters: ‘Tourists / Travel Destinations / Travel Experiences’, ‘Tourism Industry / Economic Growth’, and ‘Conservation / Development (SDGs) / Policy / Community’. Fourth, the author performed a Co-occurrence Network analysis based on the top 60 most frequent words, and classified the co-occurrences and relationships between the words into three categories: ‘Economic Revitalization / Regional Development and Related Policies’, ‘Behavior and Experiences of Individual Tourists’, and ‘Environmental Problems and Conservation’. Finally, based on the results of these analyses, the author concludes that research trends in islands tourism have shifted from ‘Development’ to ‘Economy’ of island regions, to ‘Nature Conservation’ since the mid-2010s, and from 2018, it was concluded that there are trends to focus on ‘SDGs’.
著者
秋吉 大輔
出版者
日本近代文学会
雑誌
日本近代文学 (ISSN:05493749)
巻号頁・発行日
vol.102, pp.55-70, 2020-05-15 (Released:2021-05-15)

六〇年代後半から寺山修司は月刊受験雑誌『高3コース』『高1コース』の文芸欄の選者を務める。文芸欄での活動は、寺山の創作源の一つでもあった。実際、文芸欄での経験をもとに詩論『戦後詩』(一九六五)が書かれ、文芸欄の投稿者たちによって天井桟敷公演『書を捨てよ町へ出よう』(一九六八)が生まれていく。本稿では、寺山の詩論=制作論を参考に、投稿者の作品空間において何が起こっているのかを内在的に分析する。投稿者たちが文芸欄で「書くこと」によって、自らの環境を相対化し実際に移動しながら、固有の領域を制作していたことを明らかにする。そして、そのような文芸欄の制作空間が、同時代の「町」とも地続きであることを示した。
著者
玉井 久光 田中 敏子
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.1091-1099, 2000-12-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
42
被引用文献数
1

北九州市内の歯科医院において抜去収集された乳歯350本を対象として,乳歯のエナメル質及び象牙質に含まれるSr,Al及びMn濃度と齲蝕との関連性を検討した。乳歯は齲蝕経験のない健全歯群,齲蝕未処置の齲蝕歯群及び充填歯群の3群に分類し,エナメル質と象牙質とに分離した。両歯質中のSr,AI及びMn濃度はフレームレス原子吸光分光光度計を用いて測定した。健全歯エナメル質中のSr,Al及びMn濃度はそれぞれ,71.1±24.0μg/g,37.0±27.3μg/g,3.03±1.53μg/gであった。また,象牙質中のSr,AI及びMn濃度はそれぞれ,67.4±23.0μ;g/g,33.9±28.2μg/g,0.92±0.74μg/gであった。健全歯群で性差を検討したところ,エナメル質,象牙質ともSr,Al及びMn濃度に性差は認められなかった。次に,健全歯群で歯種別差を検討したところ,Sr濃度に差は認められなかったが,AlとMn濃度については歯種別差が認められ,エナメル質,象牙質とも,乳犬歯に比べ乳切歯は約1.7-2.1倍も高かった。健全歯群,齲蝕歯及び充填歯群の歯質中Sr濃度は近似しており,齲蝕との関連性は認められなかった。Al濃度については,健全歯群は齲蝕歯群及び充填歯群と比較して有意に高く,エナメル質でそれぞれ1.6倍,1.4倍,象牙質でそれぞれ1.6倍,2.3倍であった。また,乳切歯のみを用いて検討しても,健全歯群は,齲蝕歯群及び充填歯群と比較してそれぞれエナメル質で15倍,1.4倍,象牙質で1.6倍,25倍と有意に高かった。健全歯群,齲蝕歯及び充填歯群の歯質中M11濃度は近似しており,齲蝕との関連性は認められなかった。乳切歯のみを用いて検討しても同様であった。以上のことから,SrおよびMnには齲蝕との関連性は認められず,Alは抗齲蝕作用を持つ元素であることが強く示唆された。
著者
村上 美華 梅木 彰子 花田 妙子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.4_29-4_38, 2009-09-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
28

本研究は,外来通院中の2型糖尿病患者を対象として自己管理を促進する要因,および阻害する要因を明らかにすることを目的とした。研究方法は,質的記述的研究である。研究参加者は糖尿病患者16名で,半構成的面接調査を行った。 その結果,糖尿病患者の自己管理を促進する要因は,【糖尿病と向き合う】【自己管理の実行を意識化する】【取り組んだ効果を実感する】,医療者や同病者などと【支援環境を形成する】であった。反対に,患者の自己管理を阻害する要因は,【糖尿病と向き合えない】【糖尿病である自分自身や生活が重荷になる】【支援環境が広がらない】であった。 糖尿病患者が主体的に自己管理を継続できるために,看護者は糖尿病と向き合えるように支援すること,実施した効果を実感できるように働きかけること,負担感や孤立感を緩和することが重要である。
著者
梅田 圭司 川嶋 浩二 佐藤 友太郎 伊庭 慶昭 西浦 昌男
出版者
日本食品照射研究協議会
雑誌
食品照射 (ISSN:03871975)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.91-100, 1969-06-30 (Released:2011-07-04)
参考文献数
11
被引用文献数
3 2

(1)緑かびの胞子をミカンの果皮に接種して, 5℃に貯蔵後,1MeVの電子線で処理すると, 電子線照射前の貯蔵期間が長いほど殺菌効果は小さくなる。(2)電子線照射線量が高くなると,果皮の軟化,油胞陥没が起こり, これに伴い褐色の斑点が発生し果皮の褐変化が起きる。この油胞陥没から褐変までの現象は, 収穫から照射処理までの経過時間が短いほど発生しやすい。(3)電子線照射による軟化→油胞陥没→褐変といった果皮の放射線障害は照射後の常温貯蔵によって促進され, 3~5℃の低温貯蔵で抑制される。また電子線処理前のキュアリング(予措)は放射線障害の発生に抑制効果はない。(4)ミカン果皮の表面殺菌に, 0.5MeVの電子線は,1MeVの電子線と同様な殺菌効果を示し, 0.5~1.0MeVのエネルギーでは差がなかった。1MeVの電子線と60Coのγ 線を比較すると, 殺菌効果は同程度であるが, γ線処理では50Kradの低線量でオフフレーバーが発生し,電子線では250Kradまで外観,食味はなんら悪影響を与えない。(5)長期貯蔵後の電子線処理ミカンの成分と, 未照射試料との間に差はなかった。また貯蔵後の官能検査では, 照射処理によってフレーバーが劣化した例はなく, 逆に100~300Kradでは未照射区よりも高いスコアーを示した。

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1929年12月16日, 1929-12-16
著者
桑原 俊介
出版者
日本シェリング協会
雑誌
シェリング年報 (ISSN:09194622)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.60-71, 2017 (Released:2019-08-06)

In diesem Artikel werde ich die „Akzeptabilität der Fiktion“ hinsichtlich des Begriffs der „Wahrscheinlichkeit (εἰκός, verisimilitudo, probabilitas)“ diskutieren. Dieser Begriff hat sich nach der Einführung der Leibnizschen Theorie der möglichen Welten drastisch verändert. Aristoteles’ Poetik zufolge bedeutet die „Wahrscheinlichkeit (εἰκός)“ die Korrespondenz der poetischen Ereignisse mit den Annahmen, welche der Leser (Hörer) von dieser realen Welt hat, nämlich: die jeweiligen Analogien dazu. Aber nach Leibniz gründet sie sich auf zwei verschiedene Arten der Kohärenz: 1) die innere Kohärenz oder Widerspruchsfreiheit der poetischen Welt, oder 2) die Kohärenz derselben mit der herkömmlichen „Welt der Dichter (mundus poetarum)“ (Mythologie, Sage usw.). Wir können hier auch die grundlegende Veränderung der poetischen Theorie von der Nachahmungs- zur Kreationstheorie bemerken.
著者
金澤 裕之
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.47-53, 2007-04-01 (Released:2017-07-28)

近年、主に話しことばで、例えば「多くの方が来ていただき…」というような、「○○(=相手)が△△していただく」という表現をよく耳にする。授受を表わす部分が「てくださる」ではないこの表現は、現在一般に「誤用」と考えられているが、使用場面の急速な広がりの背景には、これまでの言語ルールを超えた何らかの理由があるように感じられる。本稿では、話しことばの実際の用例において、「てくださる」と「ていただく」の両者が入り得る場面でも「ていただく」の方が遥かに高い割合で選択されていることを確認しつつ、そうした現象の背景にあるものとして、現代人の敬語意識における一つの心理的な傾向について考察し、併せて、複雑な体系を持つ日本語の授受表現における単純化の方向への一つの兆しが、こうした現象に現われているかもしれない可能性について言及する。
著者
小坂 洋明 渡辺 嘉二郎 永岡 秀一
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.31, no.11, pp.1880-1888, 1995-11-30 (Released:2009-03-27)
参考文献数
13
被引用文献数
3 1

A comfortable man-machine interfaces are required for current advanced systems. Keyboard switches as one of the most frequently used man-machine interfaces should provide comfortable feeling for operation. This paper aims at investigating the relation between reaction force of keyboard switches and human switch operation feeling.We investigate how each reaction force of switches effects to the touch feeling of keyboard switches via sensory test. We made a switch that is assisted by a servo mechanism and can generate arbitrary reaction force characteristics for the sensory test.The results of factor analysis for the questionnaire data obtained in the sensory test show that the most substantial factor is the feeling expressed by the words “Clear”, “Smooth”, “Stiff”, and “Clicking”.Further quantitative relations between the reaction force and feelings are obtained by regression line for the questionnaire data. This quantitative relation provides a sensory guideline for keyboard switch design.Finally, each feeling described by each word is directly evaluated by reaction forces or vice versa on dual scales. The dual scale for reaction forces and degree of feeling can be directly used for designing comfortable keyboard switch.
著者
大橋 洋士
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.71, no.7, pp.450-451, 2016-07-05 (Released:2016-10-04)
参考文献数
5

現代物理のキーワードフェルミ超流動とボース・アインシュタイン凝縮の統一描像
著者
柳 淳也
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.18-31, 2023-03-20 (Released:2023-06-02)
参考文献数
48

本研究は,日本のLGBTQ運動の拡大の象徴である東京レインボープライドを取り上げる.当初はLGBTQの人権を主張する場としての機能・目的を果たしていた組織が,その存続・拡大を目的とするようになり,企業からの資金的支援を取り込むことで,結果的に当事者の正当な抗議活動を排除するに至ったプロセスを記述する.こうしたミッション・ドリフトの 抑止には,組織から周縁化された主体こそが重要な役割を果たしうる.
著者
鈴木孝則
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.1983, no.44(1983-ARC-029), pp.1-10, 1983-11-28

近年のコンピュータの発展はめざましく、とりわけ、パーソナルンピュータの性能は日毎に大きく向上している。漢字ディスプレイ、漢字プリンタなど日本語を扱える環境が整い、日本語処理が声高に叫ばれている。このような状況から生れた日本語ワープロの利用は、この一年をとっても急速な伸びを示している。この日本語ワープロは、パソコンがうまく利用されている例ともいえる。それでは、自分のさせたいプログラムを書くことは、どうであろうか。ワープロが使えるからといって、一般の人が簡単にプログラム作成できるものではない。たとえ、パソコンで最も普及している"BASIC"言語を使っても、むずかしいものである。とりもなおさず、"BASIC"を含めて、これまでのプログラミング言語が英文表記であったため、プログラムの習得を一般的なものとなしえてはいなかった。日常使いなれている言葉を利用したものつまり、日本語でプログラムできればよりコンピュータ利用の層が増すと考えられる。松下技研(株)では、この日本語でプログラミングできる「日本語AFL」(注1)を、概に開発済の対話型高級言語「AFL」(注2)を用いて開発に成功した。国際データ機器では、これを採用、改良して、”ワープロ感覚でプログラミングできる!”日本語プログラミング言語「和漢」(注3)として商品化した。
著者
高野 良一
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.65-89, 2014-05-31 (Released:2015-06-03)
参考文献数
37
被引用文献数
2

日本でも学際的に社会関係資本の研究が進み,研究は中間総括期に入っている。本稿もささやかな知的企てを通して,この中間総括の一端を担いたい。その企てとは,社会関係資本の理論的な原型といえる言説を取り上げて,その理論装置を分解し組み立て直すことだ。パットナム,ブルデュー,コールマンの言説を理論的原型と見なすことに,異議は出ないだろう。だが,彼らの理論装置を比較し,その交錯(共通点と対立点)を整理する知的作業は皆無に近い。小論では,資本の性格付け(捉え方・扱い方),社会関係資本の位置付け(外延),構成要素(内包)の諸点からその装置を解析し,彼らの理論的特質の抽出を図った。その結果,コールマンを物象的親ネットワーク論と,ブルデューをハビトゥス「再生産」ゲーム論,パットナムを参加・互酬・信頼「三位一体」論であると総括した。加えて,ヒューリスティックな言説分析の中から,エートス,ハビトゥスや心の習慣という一群の理論的・思想的カテゴリーを再発見した。エートスの社会存在論は,教育目的,教育実践や教育改革の根幹である主体像を問い直し再構築を迫る。ハビトゥスは教育分野でも旧知に属するイシューであるが,エートス論と交差させれば脱構築への道も開ける。社会関係資本とエートスは,教育の社会理論を進化させる「可能性の中心」となる光源に他ならない。