著者
藤後 悦子 大橋 恵 井梅 由美子 川田 裕次郎
出版者
東京未来大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、スポーツに関わるいやがらせを「スポーツハラスメント」ととらえ、親要因を含めたスポーツハラスメントモデルを構築し検証した。1年目は、スポーツペアレンティングや親同士の人間関係に関するレビューを行い、続いて質的調査として親インタビューとコーチインタビューを実施した。2年目は、量的調査として親および親を対象としたオンライン調査を実施した。3年目の最終年度は、アメリカ人の地域スポーツのコーチを交え、アメリカの現状と日本の現状の比較を行った。最後に1年目、2年目の調査結果とアメリカでの現状を踏まえスポーツハラスメント防止のためのオンライン教材を開発し社会的還元を行った。
著者
脇山 俊一郎 藤原 和彦 矢島 邦昭
出版者
仙台高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

エリア放送を地域情報発信基盤として活用する場合の2つの課題、現実的な視聴エリアの把握と、視聴者ニーズに沿った放送コンテンツ制作を低コストに実現する手法を提案し実装した。視聴エリアの把握は、既存のテレビ受信アンテナの方向を考慮した受信電波強度のシミュレーションを行い、それを可視化するツールを開発した。また公的機関等がWeb等で公開している二次利用可能な情報を取得し、それらを組み合わせることで住民が必要としている地域情報をタイムリーに自動生成して放送する地域情報発信基盤システムを開発した。
著者
佐浦 宏明
出版者
岩手医科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

髄膜腫は、形態や発生母地に加え、硬さによって手術の難易度は異なる。術前に髄膜腫の硬度を計測する方法としてMRIを用いて直接振動を加えながら撮影する方法があるが、振動を加える特殊な装置が必要があり、どの施設でも撮影できるわけではない。近年、拡散強調MRIの基礎的概念であるintravoxel incoherent motionを外部振動による組織の動きを含む概念へと拡張し、腹部臓器の弾性率を術前画像から推定する手法が確立された。本研究では、この方法を基礎にしてMRIを用いて新たな術前髄膜腫硬度推定法の確立を目指す。
著者
酒井 直人 竹原 康雄 山下 修平 馬場 聡 難波 宏樹
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

脳神経外科手術において頭蓋内腫瘍の硬さは手術の難易度を左右する。核磁気共鳴エラストグラフィー(MRE)は非侵襲的に生体内に組織の弾性率、すなわち硬さを測定することができる画期的な方法である。我々は、MREを用いて代表的な4つの頭蓋内腫瘍:髄膜腫、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫、グリオーマに対してMREを用いて術前に弾性率を評価し術中の硬さとの相関について研究を行った。その結果、術前のMREの弾性率と術中の腫瘍の硬さは相関した。MREは術前に硬い腫瘍を鑑別するのに有用と考えた。
著者
漆 さき
出版者
大阪経済大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

国境を越えた税務調査は困難であるため、国際的脱税の横行の可能性が指摘されてきた。これに対抗するため、条約に基づく租税に関する国際的情報交換が急速に発展している。しかし、それに対応する納税者保護の手段は十分に整備されていない。情報交換のための条約の中には納税者保護のための規定は設けられておらず、国内法は国内での調査・課税を前提としており、国際的情報交換に対応できない。このような状況の下、プライバシー権やデータ保護の観点から納税者保護及び情報交換に対する制約を検討し、日本法における納税者の権利保護の在り方を提案することが本研究の目的である。
著者
高橋 実鈴
出版者
国立遺伝学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

植物は長期にわたって成長を続けることができ、地上部の成長は茎頂分裂組織の持続的な器官分化により支えられている。長期間、器官分化を続けた茎頂分裂組織において、茎頂分裂組織の機能はどのように維持されているのか又は変化しているのであろうか。本研究は栄養繁殖により長年維持している植物個体と種子から発芽した1年目の通常個体の茎頂分裂組織の機能を比較することで、茎頂分裂組織の永続性や老化の仕組みを理解することを目指す。本研究ではイネを多年生のモデル植物として利用し、栄養繁殖個体と種子由来の通常個体の成長やゲノムを比較することで、栄養繁殖の長期化が茎頂分裂組織の機能やゲノムに及ぼす影響を明らかにする。
著者
森下 義隆
出版者
独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、近年、野球現場において多くの選手が取り組んでいる「増量」に着目し、打者の体重が打撃パフォーマンスに及ぼす影響について検討した。その結果、①即時的な増量は通常の打撃よりも全身の回転運動の勢い(角運動量)を増大できるものの、それをバットに伝達することができず、スイング速度を低下させてしまうことが示唆された。また、②体重そのものではなく除脂肪量(筋量)を増加させることがスイング速度の向上に寄与することが明らかとなった。以上のことから、打者の競技パフォーマンスの向上を目的に増量を行う場合、脂肪量ではなく除脂肪量によって体重が増加するように食事やトレーニングを調整することの重要性が示された。
著者
宮田 佳樹 吉田 邦夫 中村 俊夫 南 雅代 堀内 晶子 久保 謙哉 北野 博司 上條 信彦 遠部 慎 村本 周三 リチャード エバーシェッド
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

①土器付着炭化物の炭素年代測定や安定同位体分析による食性解析法,②土器残存有機物組成や分解生成物を同定するバイオマーカー分析,③土器から抽出した炭素数16,18の直鎖状飽和脂肪酸の炭素同位体比を現生生物と直接比較することにより,起源物質を推定する手法,これら三つの手法(①,②,③)を法補的に組み合わせることにより,土器付着炭化物と土器胎土吸着物を用いて,土器で調理された食材を復元することができた。つまり,新しい縄文土器を用いた古食性研究手法を確立した。
著者
飯塚 崇 神谷 和作
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

遺伝性難聴は1600出生に一人と高頻度に発生するが、その根本的治療法はなく次世代の治療法開発が期待されている。遺伝性難聴の原因遺伝子として世界中で圧倒的に検出頻度が高いのがギャップ結合タンパク質Connexin (CX) 26をコードするGJB2遺伝子である。CX26は蝸牛ギャップ結合の主要構成要素として蝸牛リンパ液のイオン組成を高電位に維持することで音の振動から神経活動への変換を可能としている。申請者はアデノ随伴ウィルス(AAV)ベクターを用いたCX26欠損マウス内耳への遺伝子治療実験により、CX26欠損マウスにおける高度難聴を優位に回復させることに初めて成功した。しかし、この実験において聴力回復に成功したマウスは生後0日齢であり、ヒトの内耳では胎生期に相当する。当時の方法による遺伝子治療法では成熟マウスの聴力回復には至らなかった。本研究ではベクター投与法を改良することによりヒト臨床応用への対象として現実的である成熟マウスでの聴力回復を実現させる新たな遺伝子導入法の開発を目指す。当該年度は従来型のAAV1-Gjb2との比較実験により感染能と感染指向性の解析をおこなった。生後4日齢のマウスから蝸牛を摘出し、蝸牛器官培養を行った。この培養系にて既存の血清型AAVでのin vitro感染を行った。これにより標的細胞への感染効率の良いベクターを選抜した。蝸牛器官培養での結果を元にAAVベクターの配列を比較し標的細胞であるCX26ギャップ結合形成細胞への効率の良いベクターが選抜された。このAAVベクターをマウス蝸牛に効率よく導入するための投与法の検討を行い5~10ulのウィルス液を効率よく外リンパ液へ導入する手技を確立した。
著者
小林 茂夫 細川 浩 前川 真吾
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

ほ乳類や鳥類は,環境温が低下すると,ふるえによる産熱反応を起こして体温を保つ。一方,爬虫類,両生類,魚類は,環境温が低下しても産熱反射を生まず体温が下がる変温動物である。しかし,ふるえが系統発生上いつ生じたのかわかっていないここでは,低温でふるえ様の反応がサカナで生まれるとの仮説を立て,それを検証する実験をおこなった.受精後3日齢のゼブラフィッシュの稚魚を,28.5℃から12℃の水に移すと,尾ひれを律動的に振る相(ON相,約10Hz)と静止する相(OFF相)が,約3秒の周期で断続的に生じた(ON-OFF相)。しかし,サカナに前進運動は見られなかったので,その運動は産熱のための考えられる.ここでは,発砲スチロールで熱流を遮蔽した試験管に少量の12℃の水を入れ,その中に稚魚をいれ,ふるえで生じる水温の上昇を産熱の指標として測定した。一匹の稚魚を入れたときの温度上昇は,対照群の温度上昇と差はなかった。5匹の稚魚を入れると,水温は,対照群の上昇速度より高い速度で上昇した。10匹の稚魚を入れると,水温は,5匹の上昇速度のほぼ2倍の速度で上昇した。魚類の麻酔薬MS222で処理した5匹の稚魚を入れたとき,温度上昇は対照群と差はなかった。これらの結果は,尾びれのふるえ様の動きで熱が生まれたことを示す。間欠的な動きを生む発振器の場所を探るため,脳神経系のレベルで切断しふるえの変化を見た。後脳と脊髄の間を切断すると,間欠的な動きが連続的なものに変わった.これは,脳の発振器が,連続的なふるえを周期的に遮断していることを示す。
著者
栗林 佳代
出版者
佐賀大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

まず、フランス訪問権に関する法理論および立法過程に関する検討を行った。1970年の訪問権の立法は判例および学説を承認するかたちでなされた。それゆえ、フランスの訪問権は実社会に要請にそうものであり、訪問権の主体は父母・祖父母・第三者と広い。さらに、特に父母の訪問権は、1987年および1993年の法改正により離婚後の共同親権制度が導入されたことにより、訪問権は例外的に単独親権となった場合にのみ機能するものとして変化した。そして、フランス法の検討をもとに、わが国の面接交渉権について批判的に検討し、法理論の再構築をした。
著者
加藤 一郎
出版者
国立音楽大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究はバッハ演奏の際に行われるテンポの微細な変動の基本原理を明らかにし、今後のバッハ演奏への示唆を得ることを目的とした。そのために、主にバッハ当時の演奏理論書やバッハのオリジナル資料を基にテンポの変動と拍との関係、テンポの変動とアーティキュレーションとの関係について検証し、更に20世紀の演奏家によるバッハ演奏のテンポを解析することによって、テンポの変動の多様性や、今後のピアノによるバッハ演奏への応用等について考察した。
著者
小谷 斉之 大内 茂人 稲葉 毅
出版者
釧路工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本事業は災害現場等の危険領域探査や遠隔地への自律搬送への利用が期待できるCMG搭載型無人二輪車の開発を目的とし,CMGを疑似荷重移動装置として応用した高機動化制御の制御系設計と制御手法の確立および外界センサ測定による周囲環境に応じた自律走行制御を目指している。2輪バイクによる旋回走行では予め車体をバンクさせる必要があるため,適切なタイミングでCMGによる疑似荷重移動によって車体のバンク動作をさせながら滑らかな旋回走行が実現可能となる。そこで,適切なタイミングを図れるように,走行可能な領域と回避すべき障害物を事前に把握するための周囲環境測定を行う。昨年度の研究計画では,自律走行制御のための周囲環境測定手法としてステレオカメラを用いた自己位置推定を当初予定していたが,研究に遅れが出たため,膨大なデータ容量管理と構築に時間がかかる本方式から修正し,レーザー測域センサ方式を用いて処理を軽減した周囲環境構築を行うように研究計画を変更して実施した。しかしながら,コロナウィルス予防による度重なる自粛要請の影響によって実験機を用いた実験データを取得することができなかった。このため,十分な実験に基づいた有効性を検証できていないため,国内外での発表ができていない現状である。
著者
千田 俊哉
出版者
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

多段階で複数の種類のクライオプロテクタント溶液にソーキングする「多段階ソーキング法」の手法を確立し、CagA結晶の質を10オングストローム分解能から3.1オングストローム分解能に改善した。CagA結晶の場合には、二段階で二種類のクライオプロテクタント溶液(トレハロースとPEG1000)にソーキングした場合に最も分解能が改善された。さらに、この手法を他のいくつかのタンパク質結晶にも適用し、当初3.5オングストローム分解能の回折しか生じなかった結晶の質を最終的には2.1オングストローム分解能まで改善することができた。
著者
三成 美保 粟屋 利江 村上 薫 小浜 正子 鈴木 則子 小野 仁美 長 志珠絵 山崎 明子 桃木 至朗 河上 麻由子 野村 鮎子 久留島 典子 井野瀬 久美惠 姫岡 とし子 永原 陽子 落合 恵美子
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

「アジア・ジェンダー史」の構築に向けて、次の3つの課題を設定して共同研究を行う。①「アジア≪で≫問うジェンダー史」に関する史資料の収集・整理、②高校「歴史総合」のための「アジア≪を≫問うジェンダー史」教材の作成、③アジア諸国の研究者と協力して「アジア≪から≫問うジェンダー史」研究を発展させることである。研究成果は書籍として刊行するほか、比較ジェンダー史研究会HP(https://ch-gender.jp/wp/)を通じて広く国際社会に成果を公表する。とくに②については、高校教員との対話や共同作業を通じて、ジェンダー視点から歴史教育の発展をはかるためのテキスト・資料を作成・提供する。
著者
山本 武史
出版者
広島女学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

音節とは母音を中心とした音のまとまりであり、音韻論的に有用な単位である。この音節を分類する視点に音節量、もしくは音節の重さというものがあり、この概念を用いて例えば英語の語強勢(語アクセント)の位置が説明される。一般的に音節量は母音の長さ(短母音か長母音・二重母音か)と尾子音(母音の後に来る子音)の数によって決まるとされるが、尾子音の種類や頭子音(母音の前に来る子音)も少なからず影響することが分かった。
著者
山崎 康一郎 水藤 昌彦 我藤 諭 脇田 康夫 益子 千枝 池 愼太郎 菅原 美穂
出版者
大阪人間科学大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

非行・犯罪行為のあった障害者への司法と福祉の連携による対応が必要であることが指摘されているが、性犯罪・性加害行為のある知的障害者については日本には支援状況や支援方法に関する十分な知見がない。そこで、支援の状況について明らかにし、今後の支援における示唆を得ることを目的として、障害福祉事業所職員への質問紙調査および面接調査を実施した。その結果、性加害行為の要因や支援方法に関する見立てが十分になく、また多機関連携が不十分な状況が示された。今後の支援では、支援の必要性は広く認識されているが、専門的な知識や支援方法がないなど支援者が困難を感じている状況が示唆された。
著者
岡田 茂弘 千田 嘉博 山本 光正
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

近世において将軍家(大御所・世子を含む)が旅行や外出する際の宿泊・休憩のために、御殿・御茶屋と呼ばれる施設がつくられていた。その用途は旅行用と遊楽用であり、前者には上洛・駿府往復・日光社参等があり、後者には鷹狩等の狩猟や湯治等がある。特に頻繁に外出・旅行を行った徳川家康・秀忠・家光が造営した御殿・御茶屋は関東から近畿にかけて約100ヶ所が史料上で知られている。わずかに残る施設絵図や廃止以降の村絵図等から、それが比較的単純な居館的な構造であったと判るが、中性以来連綿と続いてきた武士の居館の最末期の姿であるとともに、近世の武家屋敷へ繋がるものでもある。しかし、17世紀末までに廃止されたため関連史料が少ない上、近代以降に開発で遺跡も破壊されてきたために、実体の解明はほとんどなされていなかった。このため、本研究では、比較的遺跡の保存が良好である千葉御茶屋御殿跡の発掘調査を契機として、近世初期の将軍家御殿・御茶屋跡の史料を集成し、遺跡の現状調査を行うと共に、千葉御茶屋御殿跡・鴻巣御殿跡・浦和御殿跡の発掘を伴う遺跡の現地調査を実施した。遺跡全体を発掘調査できたのは、千葉御茶屋御殿跡だけであり、他の2ヶ所は部分的な調査にとどまったが、立地や規模の大小に違いはあっても、主として土塁・空堀による外郭施設内に簡単な書院造り風の建物群を中心とした諸施設が配置されているなど、共通性を有することが明らかになった。さらに、多数の施設が列記されている17世紀中葉(寛永年間)以降の御殿目録や御殿絵図と比較すると、17世紀初期の御殿等はより単純であることが判った。このことは、家光治下で御殿・御茶屋の大規模な修築が行われたことを暗示しており、近世史の分野でも文献史料や絵図資料と考古学資料との対比の必要性が明らかとなった。
著者
塩見 大輔
出版者
大阪市立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

DNAの塩基配列を使えば,何らかの機能性を持った分子を望みの配列様式で並べて,分子集合機能系を構築することが可能になる.本研究では,一本鎖DNAと小分子の核酸塩基誘導体との組み合わせで,分子スピン集合系を構築することを提案した.いくつかのモデル系について,分子力場計算による配座探索と構造最適化の計算により,最安定構造を明らかにした.アデニンとシトシンの代わりにそれぞれ,ジアミノトリアジンとイソシトシンを導入(置換)したニトロニルニトロキシドラジカル誘導体を用いた系では,一本鎖DNAと小分子の組み合わせであっても,擬似的な二重鎖構造は保たれることがわかった.
著者
阪口 翔太
出版者
京都大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

平行進化では共通の遺伝変異で類似表現型が生じたのか,異なる変異が関与したのかが問題となる.アキノキリンソウはもともと秋に開花する植物だが,北海道の高山と蛇紋岩地では夏前に開花する性質が進化している.本研究ではこの2生態型について早期開花性の遺伝基盤を特定し,その進化過程を解明することを目的とした.蛇紋岩型で著しく分化したゲノム領域を調べたところ 2つの開花遺伝子が抽出された.しかしこれらの候補遺伝子は高山型では分化していなかった.また共通圃場で2型間でも開花期のずれが確認され,開花遺伝子の発現にも時間差があったことから,早期開花性は高山と蛇紋岩地で別個の遺伝変異に基づいて進化したと考えられた.