著者
Eiko Saito Manami Inoue Norie Sawada Hadrien Charvat Taichi Shimazu Taiki Yamaji Motoki Iwasaki Shizuka Sasazuki Tetsuya Mizoue Hiroyasu Iso Shoichiro Tsugane
出版者
Japan Epidemiological Association
雑誌
Journal of Epidemiology (ISSN:09175040)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.140-148, 2018-03-05 (Released:2018-03-05)
参考文献数
46
被引用文献数
25 36

Background: We examined the associations of alcohol consumption and liver holidays with all-cause mortality and with mortality due to cancer, heart disease, cerebrovascular disease, respiratory disease, and injury using a large-scale prospective study in Japan.Methods: We followed 102,849 Japanese who were aged between 40 and 69 years at baseline for 18.2 years on average, during which 15,203 deaths were reported. Associations between alcohol intake and mortality risk were assessed using a Cox proportional hazards model, with analysis by the number of liver holidays (in which a person abstains from drinking for several days a week).Results: A J-shaped association was observed between alcohol intake and total mortality in men (nondrinkers: reference; occasional drinkers: hazard ratio [HR] 0.74; 95% confidence interval [CI], 0.68–0.80; 1–149 g/week: HR 0.76; 95% CI, 0.71–0.81; 150–299 g/week: HR 0.75; 95% CI, 0.70–0.80; 300–449 g/week: HR 0.84; 95% CI, 0.78–0.91; 450–599 g/week: HR 0.92; 95% CI, 0.83–1.01; and ≥600 g/week: HR 1.19; 95% CI, 1.07–1.32) and in women (nondrinkers: reference; occasional: HR 0.75; 95% CI, 0.70–0.82; 1–149 g/week: HR 0.80; 95% CI, 0.73–0.88; 150–299 g/week: HR 0.91; 95% CI, 0.74–1.13; 300–449 g/week: HR 1.04; 95% CI, 0.73–1.48; and ≥450 g/week: HR 1.59; 95% CI, 1.07–2.38). In current drinkers, alcohol consumption was associated with a linear, positive increase in mortality risk from all causes, cancer, and cerebrovascular disease in both men and women, but not heart disease in men. Taking of liver holidays was associated with a lower risk of cancer and cerebrovascular disease mortality in men.Conclusions: Alcohol intake showed J-shaped associations with the risk of total mortality and three leading causes of death. However, heavy drinking increases the risk of mortality, which highlights the necessity of drinking in moderation coupled with liver holidays.
著者
Masaharu Kyo Momoko Hagiya Madoka Tada Akemi Matsura
出版者
Japanese Society for Plant Biotechnology
雑誌
Plant Biotechnology (ISSN:13424580)
巻号頁・発行日
pp.22.1124a, (Released:2023-02-09)
参考文献数
9

A binary vector carrying two WUSCHEL-related homeobox (WOX) genes, WOX2 and WOX8, under the control of a chemical-inducible expression system, worked in the transformation in N. paniculata, a recalcitrant species of Nicotiana. The resulting transformants exhibited improved culture performance in regeneration from leaf segments and suspended cells. Multicellular masses generated from freely suspended cells showed a specific cell division pattern similar to that of somatic embryo, likely owing to the function of the two WOX genes.
著者
前田 ケイ
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.23-28, 2004-03-31 (Released:2019-04-06)

本稿ではSST(social skills training)の実施を集団で行う場合、集団のもつ潜在的な治療教育的力動を生かしつつ、参加メンバーの行動学習を効果的に助けるために、どのような工夫ができるかを具体的に論じた。SSTは幅広い利用者に対して有効な方法であるが、ここではおもに精神障害者のSSTについて述べた。精神障害者のSSTは医師、看護師、臨床心理士、作業療法士、精神保健福祉士など、多職種が行っているので、ここではそのような人々を総称して「スタッフ」とよんだ。SSTにはいろいろな進め方があるが、本稿で紹介するのは基本訓練モデルとよばれる方法である。基本訓練モデルによる指導過程のうち、特に「学習に適切な環境をつくる段階」と「学習を効果的に進める段階」の2つに焦点を絞って、いくつかの集団技法について論じた。
著者
西野 明樹
出版者
日本コミュニティ心理学会
雑誌
コミュニティ心理学研究 (ISSN:13428691)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.199-218, 2014-03-28 (Released:2019-05-24)
参考文献数
21

Individuals with gender dysphoria experience incongruence between their experienced and assigned genders. Despite the dire needs, there is currently little research on professional services for reducing the psychosocial problems experienced by people with gender dysphoria. Therefore, the author explored the process of re-constructing psychosocial identity by examining 16 participants’ accounts of their male-to-female transitions (or transitions to an alternative, non-male gender; M to F/X) using the modified grounded theory approach.Results indicated that (a) sex dualism causes serious self-loathing in people with gender dysphoria; (b) such people often experience pleasure when acknowledged by others; and (c) people with gender dysphoria can achieve a sense of psychosocial well-being by discovering a unique position for themselves within the community,Thus, people with gender dysphoria can experience psychosocial well-being during the M to FIX transition if they find their unique positions within society and feel recognized by others. Psychologists should aim to further help people with gender dysphoria connect with those without it and integrate into the cultural and social frameworks; this can be done through psycho-education, raising awareness about sex/gender dualism, and enhancing the advocacy and empowerment of people with gender dysphoria, allowing them to live with support for their alternative identities.
著者
吉武 理大
出版者
福祉社会学会
雑誌
福祉社会学研究 (ISSN:13493337)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.157-178, 2019-05-31 (Released:2019-10-10)
参考文献数
27
被引用文献数
3

日本では母子世帯の貧困の問題に対して利用可能な社会保障制度として,児童扶養手当や死別の場合の遺族年金のほか,生活保護制度があるが,母子世帯の貧困率の高さに比べ生活保護の受給率はきわめて低い.先行研究では,貧困であるにもかかわらず,生活保護を受給していない世帯が存在することが示唆されてきたが,受給を抑制する要因を計量的に分析した研究はほとんど存在しない. 本稿では,全国の中学3 年生及びその保護者を対象とした,内閣府による「親と子の生活意識に関する調査」を用い,母子世帯の生活保護の受給状況とその規定要因の検討を行った.分析の結果,相対的貧困層であるにもかかわらず生活保護を受給していないケースが多く存在した.相対的貧困層の母子世帯(貧困母子世帯)では,母親が高卒以上,就労している場合に加え,内的統制傾向が強い,すなわち物事の結果は自身の行動に起因し,自分の努力や行動次第であると考える人ほど,生活保護を受給していない傾向が示された.貧困母子世帯における内的統制傾向の強さと生活保護の非受給との関連から考えると,「自立や自助」に高い価値を置き,生活保護の受給を控えている可能性が示唆される.母子世帯において,貧困であるにもかかわらず生活保護を受けないことが貧困を持続させうるという点では,生活保護を受給しつつ長期的な「自立」をめざすことが現実的かつ子どもの貧困の問題に対しても有効であると考えられる.
著者
三村 春奈 伊藤 里恵 岡田 あゆみ 瀬戸 静恵 進藤 順治 杉浦 俊弘
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.125-128, 2013-12-19 (Released:2014-03-14)
参考文献数
12

北海道千歳市周辺で捕獲され,う蝕様病変のみられた54頭のアライグマについて,歯種ごとの発生調査と年齢査定を行った。う蝕様病変は,臼歯に集中し,特に後臼歯が重篤な状態であった。また,歯石の付着は49頭で観察され,う蝕様病変と同様に臼歯に集中していた。病変のみられた年齢の個体は,1.5歳未満と5.5歳以上で少なく2.5歳から4.5歳が約60%を占めていた。さらに,う蝕様病変の病態は加齢に伴い重症化する傾向がみられた。
著者
谷口 守
出版者
一般財団法人 運輸総合研究所
雑誌
運輸政策研究 (ISSN:13443348)
巻号頁・発行日
pp.TPSR_25B_05, (Released:2023-01-31)

本書の原題はWALKABLE CITY: How Downtown Can Save America, One Step at a Timeで,原著は2012年に米国で出版されている.著者のジェフ・スペック氏は全米の都市デザイン市長協会を主宰してきたコンサルタント会社のトップで,ジェイン・ジェイコブスらも受賞した「シーサイド賞」を受賞している.全体がわかりやすい日本語に翻訳され,サブタイトルの通り10ステップに整理されているため,興味のあるところだけを飛ばし読みできる構造になっている.ただ,この中身のアンコもさることながら,それを包む前後のガワが秀逸だ.お勧めの読み方は,まず巻末の監訳者の松浦氏らによる解説を読むことだ.ここだけで直近の日本国内の政策やコロナ禍での対応に関する俯瞰も含め,本書を取り巻く現状と課題の短時間でのアップデートが可能となる.そして,次に読むべきが,最初のPARTⅠ「ウォーカビリティがなぜ重要か」だ.都市構造や人口動態の変化,価値感の転換など,ウォーカビリティの重要性を具体の数値データから見事に解きほぐしている.これらのガワだけで実は本書の元が取れてしまうのである.一方,アンコに相当する10ステップ全部の紹介はネタバレになりそうなので,試しに4つだけ抜き出すと,1)車を適切に迎え入れよう,2)用途を混在させよう,4)公共交通を機能させよう,9)親しみやすくユニークな表情を作ろう,といったことが整理されている.ステップ全体を通じて納得できることばかりだが,読んでいて何かが心に引っかかる.記憶をたどると,これらはすべて昭和の日本の都市が実現していたことではなかったか.粗っぽい表現をお許しいただければ,本書は昭和の日本の都市空間をお手本として目指せと言っているように私には読めてしまう.先住民を隅に追いやり,広い国土で自動車前提のまちづくりを進めてきた米国は,ようやく自動車前提ではないまちづくりの重要性に今「論理的に」気付いたのだ.このため,著者は現在まで自動車道整備を進めてきた交通エンジニアに対し痛烈な批判を展開している.一方,日本ではかつて身近に溢れていたウォーカビリティを市民自らが積極的に放棄してきた.ちなみに,わが国では大型ショッピングセンターのある自治体の居住者の方がそうでない者より居住満足度が高いことが有意に示されている.日本人が求めているのは,実際の都市空間ではなく,車が無いと行けないショッピングセンターでのウォーカビリティなのだ.その意味で本書のアンコから受ける示唆は,マグドナルドやスタバが席捲するわが国において,接する機会の減った和食のすばらしさを海外から指摘される感覚に近い.ウォーカビリティの重視は何も米国だけの話ではなく,たとえばフランスのベルアペゼ(穏やかな空間づくり)など,今や世界の潮流である.そこでは単に道路や交通手段に着目するだけでなく,本書の問いと同じくまちづくり全体を見直す動きと連動している.車前提の大型ショッピングセンターの中の方が歩きやすくてそれでいいやと思っている限り,わが国のウォーカビリティ整備の多くは空を切るだろう.その意味で「本書は交通の専門家にお勧め」,などという生ぬるいコメントではなく,日本人として今まで我々が何を自ら進んで放棄してきたのか,一人でも多くの国民が本書に触れることで厳しく自省すべきである.余談だが,個人的には地域選別の概念を示す「アーバン・トリアージ」という用語が本書で提案されていて驚いた.実は評者も全くの同用語を地域の破綻を事前回避するための概念として2006年に学会発表したが,集中批判を浴びて大炎上した経験を持つ.その後,分析対象であった夕張市が実際に破綻したために結果的に溜飲を下げることにはなった.本書より,無理筋の総花的成長を追うのではなく,適切な選別・撤退を行うことに,ようやく社会的な認知が得られるようになってきた空気の流れを感じる.そしてそれは素直に喜ばしいことである.
著者
石村 友二郎
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.93-103, 2014-06-20 (Released:2017-05-01)

本研究では,重回帰分析の統計量をグラフで表現したボンサイグラフを提案する.決定係数を盆栽の幹の太さ,標準偏回帰係数の絶対値を枝の長さ,偏相関係数を枝の角度といったように,重回帰分析の統計量を盆栽に見立てたグラフ上に表現することにより,重回帰モデルの良さを評価することができる.さらに,枝の角度に偏相関係数を用いる場合と単相関係数の場合とのグラフを比較することにより独立変数間の影響の程度をグラフ上から読み取ることができる.また,独立変数間に共線性がある場合とない場合とではボンサイグラフの形が異なって表現される.このように重回帰分析の統計量をグラフ化することで,一度に多くの情報量を含めることができ,総合的にモデルの評価をすることが可能になる.
著者
橋本 剛 吉田 琢哉 矢崎 裕美子 森泉 哲 高井 次郎 Oetzel John G.
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.91-103, 2011 (Released:2012-03-24)
参考文献数
62
被引用文献数
1 4

日米の大学生を対象とした質問紙調査によって,高親密/低親密関係それぞれにおける対人ストレッサー頻度,それらとソーシャルスキルの関連,およびディストレスへの影響の文化差について検討した。対人ストレッサー頻度に関して,対人葛藤(ケンカや対立)の文化差は示されなかったが,対人過失(迷惑をかけること)と対人摩耗(本音の抑制や気遣い)については文化と親密性の効果が見いだされ,なかでも日本・高親密条件では他の条件と比較して対人過失の頻度が最も高く,一方で対人摩耗は相対的に低かった。対人ストレッサー頻度の文化差に対するソーシャルスキルの影響として,日本のほうがアメリカよりも高親密関係の対人過失頻度が高いという文化差に対するスキルの媒介効果が有意であった。また,高親密関係における対人葛藤頻度とスキルの関連について,アメリカでは高スキルほど対人葛藤頻度が低いという負の関連が示されたが,日本ではそのような関連は示されないという文化の調整効果が見いだされた。対人ストレッサーとディストレスの関連については,高親密関係の対人ストレッサーについて,アメリカより日本の方がディストレスとの関連が強いという文化差が見いだされた。
著者
佐野 仁美 Hitomi SANO 聖隷クリストファー大学介護福祉専門学校 Seirei Christopher University College of Care Work
雑誌
聖隷クリストファー大学社会福祉学部紀要 = Bulletin of the School of Social Work Seirei Christopher University
巻号頁・発行日
no.19, pp.89-93, 2021-03-31

資料福祉・介護福祉の科学的な根拠ある実践のためには、課題解決思考と支援技術が必要である。一つとして同じ支援場面はなく、専門性を修得するプロセスは個々の環境や経験の違いの影響を受けるものであることがわかる。先行研究のキーワードを軸にして、福祉・介護福祉の専門性の修得に関わる経験の整理を試みた。領域に共通する特徴(繰り返し実践、他者や利用者との関わりから得るものがある、自ら自分の経験や体験を振り返り言語化する、その過程が福祉専門職の実践である)等の整理ができたが、多様な人材で担われる福祉現場での専門性の確立に向けた実践や、世間一般の方の福祉・介護福祉の専門性の理解促進のためには、更なる"専門性の見える化"が必要である
著者
中俣 均
出版者
The Human Geographical Society of Japan
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.20-31, 1997-02-28 (Released:2009-04-28)
参考文献数
71

Hogen-kukaku-ron, the theory of the 'dialectal region', developedas a subdiscipline of the study of Japanese language, established at the beginning of this century, by Japanese linguist Tojo Misao (1884-1966). He tried to classify Japanese language into some localdialects, by considering various factors including phones, vocabule, idiomatic usage, and so on, as a whole. He believed it useful to geta better comprehension of the Japanese language.It was a very unique method to Japan, but the discipline was disputed by Yanagita Kunio, the author of the book Kagyu-ko. First, the criteria of demarcation are neither clear norobjective. Second, the regional differences language exist actually, not in the dialect itself, but in each phenomenon of the language. And third, it was ambiguous whether the standpoint of Tojo's method was synchronic or diachronic.Since the 1970's, Hogen-kukaku-ron became less popular, and now it only is reviewed in some introductions and anthologies about Japanese language studies. There, some Japanese linguists, particulary linguistic geographers, criticize the idea that the 'dialectal region' is equal to the division of regions, not of language itself. Nevertheless, the language can be divided into some dialects, but never into some regions. Such misunderstanding or abuse hasderived from the fact that Tojo first expressed his idea concerning-division of dialects by using maps.The dialectal region is not a regional division, because there is not any causal relation at all between the dialects as divided and the region as expressed on a map.