著者
増田 俊夫 早見 崇 中條 大志 Hayami Takashi 中條 大志 Nakajo Hiroshi 原 道寛 Hara Michihiro 佐藤 潤一 Sato Junichi 寺本 好邦 Teramoto Yoshikuni 西尾 嘉之 Nishio Yoshiyuki
出版者
福井工業大学
雑誌
福井工業大学研究紀要 Memoirs of Fukui University of Technology (ISSN:18844456)
巻号頁・発行日
no.43, pp.284-292, 2013

Ethy1cellulose (EC) exhibits interesting behavior in the formation of liquid crystals. Early observations indicated that most cellulosics formed right-handed cholesteric structure. However, EC in chloroform and acetic acid (AA) solutions took left-handed cholesteric liquid crystals, whereas EC in dichloroacetic acid (DCA) solution had right-handed ones. In the present study, (phenylacetyl)ethylcellulose (PA-EC) was prepared by the reaction of phenylacetyl chloride with EC having a degree of ethyl substitution (DSEt) of 2.26 in N,N-dimethylacetamide solution using triethylamine as proton scavenger. Reactions were usually carried out at room temperature for one week, which provided a variety of phenylacetyl contents (degree of substitution of phenylacetyl (DSPa) = 0.02, 0.11, 0.32, and 0.43). The chloroform and AA solutions of PA-EC with DSPa = 0.32 displayed a right-handed cholesteric liquid crystalline phase, while the DCA solution showed a left-handed one.
著者
櫻井 準也
出版者
尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 = Shobi University (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.65-75, 2019-09

1988年に公開された『となりのトトロ』はわが国だけでなく、世界中の子どもたちに根強い人気を誇るわが国を代表するアニメ映画である。また、この作品の主人公の父親が考古学者であること、トトロの寝床に縄文土器があること、そして作品の自然観にわが国の縄文時代のナラ林文化や照葉樹林文化が影響していることなど、本作品には多くの考古学的要素がみられる。本稿では、作品の概要や父親のモデルとなったと思われる実在の考古学者について説明し、父親が所蔵する書籍や縄文土器などの映像分析を行うことによって、本作品と日本考古学との関わりについて指摘した。
著者
日本健康学会理事会
出版者
日本健康学会
雑誌
日本健康学会誌 (ISSN:24326712)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.i-vi, 2019-07-31 (Released:2019-08-23)
参考文献数
24
被引用文献数
1 2
著者
守 如子
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Sociology, Kansai University (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.137-158, 2017-10

There are two significant genres of pornographic manga for young female readers in contemporary Japan. One is called "Teens' Love" (or "Ladies' Comics"), and the other is called "Boys' Love". The purpose of this study is to clarify the characteristic traits of female consumers of pornographic manga, focusing on the Seventh National Survey of Sexuality among Young People (2011). These surveys are conducted every six years by the Japanese Association for Sex Education (JASE). The study compares the girls aged 12 to 22 whose source of information about sex was manga with those who cited other sources. The former had a positive image of sex and sexual open-mindedness, and demonstrated more knowledge of sex. Extrapolating from this data, I argue that pornography for young female readers can have a positive effect. 日本には女性向けのポルノコミックがジャンルとして成立している。一つは、「レディコミ」あるいは「TL(ティーンズラブ)」で、もう一つは「BL(ボーイズラブ)」である。そのほかにもさまざまな少女・女性向けコミックのうちに性的表現が広く広がっている。本稿は、少女・女性向けマンガのうちに広がる性的表現の女性読者に着目し、その実態にせまる。具体的には、「第7 回青少年の性全国調査」のデータに基づき、性の情報源がマンガである女子とそうではない女子を比較する。性の情報源がマンガの女子は、セックスに対するポジティブなイメージと、性に対する寛容性をもつと同時に、性知識も高かった。このようなデータを通じて、ポルノグラフィが女性の読者にもつ有用性を明らかにする。
著者
田川 拓海
出版者
筑波大学大学院博士課程文芸・言語研究科応用言語学コース
雑誌
筑波応用言語学研究 (ISSN:13424823)
巻号頁・発行日
no.9, pp.15-28, 2002

最近、次のような表現が日本語母語話者によって使用されることがある。(1)イチゴが売っている。(2)今日買い物に行くと氷砂糖が売っているのを見つけた。「売る」は他動詞であるから、「[対象]ガ~他動詞(以下Vtと略す)テイル」という ...
著者
久恒 靖人 松下 恒久 野田 顕義 天神 和美 佐治 攻 榎本 武治 民上 真也 福永 哲 大坪 毅人
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.35, no.7, pp.875-878, 2015-11-30 (Released:2016-03-02)
参考文献数
8

性的嗜好により経肛門的異物挿入で直腸穿孔となった症例を経験した。症例1,64歳男性。以前よりホースを肛門に挿入する自慰行為を行っていた。受傷当日も,ホースを使用した自慰行為を施行していたが,行為後より腹痛を認め,経過観察するも症状悪化したため近医へ救急搬送された。近医で処置困難と診断され当院へ紹介となった。精査にて直腸穿孔を認め,ホースによる直腸穿孔と診断し,緊急開腹術を施行した。症例2,75歳男性。友人に肛門へソーセージを挿入された。その後,ソーセージの排泄は認めず,腹痛増悪したため近医を受診された。イレウスと診断され,当院紹介受診。精査にてソーセージによる直腸穿孔と診断し,緊急開腹術を施行した。性的行為による経肛門的直腸異物挿入での直腸穿孔はまれであるため若干の文献的考察を加え報告する。
著者
柳原 良江
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.79-92, 2019-04-20 (Released:2020-04-20)
参考文献数
21

代理出産は1976 年に米国で発明された商業的な契約である.当時の批判的な世論に影響された結果,商業的要素の低い人助けとしての位置づけがなされた.その後ベビーM事件により下火となるも,1990 年代に体外受精を用いる形で普及し,2000 年代からは生殖アウトソーシングと呼ばれる越境代理出産が流行し,世界的な一大市場を形成してきた. このような代理出産には,乳児売買,かつ女性の赤ちゃん工場化であるとの批判がなされてきたが,後者は女性の〈妊娠・出産というサービス〉と解釈されることで,身体の商品化を免れるレトリックが構築されてきた.しかし代理出産の現状は,それが女性の生命機能全体の商品化であることを示している. これら代理出産を支える論理は,生命科学知により分節化されつつ発展する「生-資本」が機能する社会の中で構築されている.そして代理出産市場は,このような社会で人の潜在的な〈生殖可能性〉を喚起しながら拡大を続けている.
著者
下村 忠弘 山本 一彦 栗原 都 柳生 貴裕 高野 梨沙 桐田 忠昭
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.600-603, 2012-10-20 (Released:2014-11-20)
参考文献数
18
被引用文献数
2

A case of sting wounds of the oral mucosa caused by spermatophores of a raw squid is reported. The patient was a 61-year-old woman. She noticed pain of the oral mucosa immediately after eating part of a raw squid. Several milky white, club-shaped foreign bodies measuring 3 to 5 mm were stuck in the tongue, buccal mucosa, and floor of the mouth. These were not mobile and were hard to remove. The clinical diagnosis was sting wounds of the oral mucosa caused by spermatophores of a squid. These foreign bodies were excised together with the surrounding tissue under local anesthesia. Wound healing was uneventful. Histologically, the foreign bodies contained numerous spermatozoa and were identified as spermatothecae, which were ejected from the spermatophores of a raw squid.
著者
坪井 潤一 片野 修 水本 寛基 荒木 仁志
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
pp.2224, (Released:2023-09-08)
参考文献数
38

オオクチバスMicropterus nigricansは水圏生態系に大きな影響を与えることからIUCNの世界の侵略的外来種ワースト100に指定されている。オオクチバスの駆除は多くの湖沼や河川で行われているが、小規模な水域における池干しを除くと、完全駆除に成功した事例は少ない。そこで本研究では、長野県の金原ダム湖において2007年からオオクチバス根絶のため、シュノーケリングによる産卵床の除去、仔稚魚のすくい取り、未成魚と成魚のカゴ網、投網、刺し網、手づかみ、釣り、水中銃による捕獲を行い、シュノーケルを用いた潜水調査や環境DNAの解析により個体群のモニタリングを行った。幼魚の捕獲にはアイカゴが、大型魚を除く未成魚、成魚については岸の水深変化に対応した「かけ上がり用刺し網」が、大型魚については水中銃が効果的であった。年間捕獲個体数は2010年に1,472個体に達した。産卵床数は2012年に131箇所に達したが、その後急速に減少した。2014年には産卵床の見逃しにより約5,000個体の稚魚が生じた。しかし、陸上および水中から、たも網を用いて捕獲を行い、その大部分が捕獲された。興味深いことに、オオクチバス駆除にともなって、トウヨシノボリRhinogobius kurodaiが増加し、オオクチバスの卵を捕食するところが確認された。2016年以降産卵床は形成されず、成魚についても、2018年に1個体が捕獲されてから観察されなくなった。以上の結果から、金原ダム湖のオオクチバスは完全に駆除されたか、わずかに生息していたとしても残存個体が高齢化するなどして新たに繁殖することができず、機能的に根絶したものと考えられる。一方、オオクチバスの種特異プライマーを用いた環境DNA解析は2018年から2022年にかけての計4回全てで微量ながら陽性となっており、少なくともダム湖周辺にはオオクチバス生息の可能性が示唆された。このことから、ダム湖のオオクチバス根絶後も再導入リスクは依然残されており、今後も継続的・定期的なモニタリングが重要と考えられる。