著者
Teruhisa Shimada
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
SOLA (ISSN:13496476)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.191-195, 2021 (Released:2021-10-22)
参考文献数
18

This study investigated the distributions of strong surface winds in the vicinity of Cape Erimo and the synoptic conditions favorable for inducing the strong winds by using scatterometer wind measurements and atmospheric reanalysis data. The wind around Cape Erimo is highly constrained by the topography, and the prevailing wind directions are split between westerly to west-northwesterly winds during the cool season and the easterly to northeasterly winds during the warm season. The zonal wind components in the region surrounding Cape Erimo are significantly correlated with the east–west sea level pressure gradient, which works as an index for the strong winds in the vicinity of Cape Erimo. Using composite analysis based on the index, the following atmospheric fields are presented. The low-pressure system passing over the Okhotsk Sea induces the northwesterly winds to the south of Cape Erimo during the cool season. The well-organized southwesterly winds are observed in the east of Cape Erimo when the southwesterly winds dominate during the warm season. The low-pressure system passing over Japan enhances the easterly winds around Cape Erimo during the cool season. The developed Okhotsk high induces strong winds to the southwest of Cape Erimo during the warm season.

3 0 0 0 OA 震度と震度階

著者
河角 廣
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第1輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.6-12, 1943-01-18 (Released:2010-11-17)
被引用文献数
7
著者
Syuichi Itahashi Junichi Kurokawa Toshimasa Ohara Itsushi Uno Shin-ichi Fujita
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
SOLA (ISSN:13496476)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.184-190, 2021 (Released:2021-10-14)
参考文献数
44
被引用文献数
1

Precipitation chemistry was observed at the remote background site at Ryori, Ofunato in northeastern Japan, from 1976 to 2011 as the part of World Meteorological Organization-Global Atmospheric Watch (WMO-GAW). During this period, anthropogenic emissions in East Asia varied widely, which affected the precipitation chemistry. The precipitation amount also affects the wet deposition amount. Thus, to eliminate the effect of the precipitation amount, we used the ratio of nitrate (NO3−) to non-sea-salt sulfate (nss-SO42−) concentration in precipitation on an equivalent basis (Ratio). The historical trend of NO3− and nss-SO42− concentrations in precipitation was not clear; however, Ratio showed a strong increase in the 1990s, a sudden drop in 2001, and an increase again after 2007. Based on the analysis of the historical emission dataset, the increases in Ratio during the 1990s and after 2007 were attributed to anthropogenic emission changes in Japan and China. The drop in Ratio in 2001 was explained by the massive SO2 release from Miyakejima volcano from mid-August 2000, rather than by anthropogenic emissions. The 36-year historical record analysis of precipitation chemistry at Ryori detected both anthropogenic and natural emission changes and indicated the transition from local to transboundary air pollution in Japan.
著者
福田 節也 余田 翔平 茂木 良平
出版者
日本人口学会
雑誌
人口学研究 (ISSN:03868311)
巻号頁・発行日
pp.2101001, (Released:2021-07-07)
参考文献数
50

「『誰が誰と』結婚するのか」という問いは,結婚における重要な問題でありながら,日本の人口学における知見は限られている。また,この問題に中心的に取り組んできた階層研究者の間でも,日本における学歴同類婚の趨勢については必ずしも一致した見解が得られてこなかった。本稿においては,1980年から2010年までの国勢調査の個票データを用いることにより,日本における学歴同類婚の趨勢を描き出し,その趨勢の変化と社会的・人口学的な含意について解説を加えた。妻30–39歳の日本人夫婦を対象として,記述統計ならびにログリニア分析を行ったところ,われわれの分析結果は,1)学歴同類婚ならびに女性の学歴上方婚の連関が弱まっていること,そして2)女性の学歴下方婚の連関が強まっていることを示した。また,学歴同類婚の連関の強さを学歴別にも分析したところ,3)大学卒の女性において下方婚の連関が強くなっているという結果を得た。これらの結果は,日本や中・先進諸国における学歴同類婚の世界的な新潮流と一致するものであった。本分析で示された学歴同類婚における変化は,どのように説明することができるのであろうか。本稿では,女性の高学歴化と前後して生じた,①グローバル化による労働市場の二極化(雇用の非正規化)と②ジェンダー革命による女性の経済的役割の変化という2つの社会変動との関連を指摘した。加えて,日本で大卒女性の下方婚がより生じやすくなっていることについては,大卒男性において非正規就業の割合が増えたことに伴い,大卒男性の所得分布が下方に推移し,大卒とそれ以外の学歴の者との経済的な境界が一部曖昧となりつつあることも一因ではないか,との見方も示した。すなわち,これらの社会情勢の変化によって,高学歴女性をはじめとする稼得能力の高い女性の結婚市場における魅力が向上した。また,従来よりも男性の学歴と収入の関係が曖昧となった結果,高学歴の女性の一部においては,結婚相手の学歴にこだわらずに結婚する者が出てきた。そのため,最近の研究にみられるように大学卒女性の婚姻率が上昇し,女性の学歴下方婚,とりわけ大学卒女性の下方婚がより生じやすくなった(Fukuda et al. 2019)。現時点においては仮説にすぎないが,本稿における分析は,このようなシナリオと整合的であった。最後に,本稿における分析が示す社会的含意について述べる。今日,多くの中・高所得国においては,男性よりも女性の大学進学率が高い状況にある。先行研究によると,世界的な傾向として高等教育進学率における男女差が逆転することにより,かつて伝統的なパターンであった女性の学歴上方婚が減少し,学歴下方婚が増加している。日本においては,4年制大学への進学率で見る限り,その差は縮まりつつあるものの,これまでのところ従来の男女差は逆転していない。しかし,われわれの分析結果は,夫妻の学歴選好の面において,すでに日本においても同様の変化が生じつつあることを示した。欧米では高等教育への進学における男女差の逆転により,女性を主な稼ぎ手とする世帯の増加,平等主義的なジェンダー態度の拡散,妻学歴下方婚カップルにおける離婚率の減少といった社会規範の変化がみられるという(Esteve et al. 2016)。女性の高学歴化に加えて,わが国では人口減少局面への転換によって労働力人口が先細りつつあり,主に男性のみが就業して家族を養う性別役割分業モデルは日本のマクロ経済にとって望ましいものではなくなっている。長期的な人口減少のトレンドは,政策(例:女性の活躍推進,保育所定員の拡充等)や人々の経済合理性(例:共働き志向)に作用することによって,ジェンダー規範の変容を今後も不可逆的に推進していく一因となるものと思われる。女性の高学歴化のさらなる進展によって,日本においても欧米と同じような社会規範の変化がみられるのか注視していく必要があるだろう。
著者
太田 成男 WOLF A. M. MARTIN Wolf Alexander WOLF Alexander Martin
出版者
日本医科大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、老年病および生活習慣病におけるミトコンドリアからの活性酸素の放出機構を明らかにすることである。初年度で検討した方法に加え、酸化還元状態により鋭敏に蛍光強度が変化する新しく開発されたGFPタンパク(roGFP)を用いて細胞内の酸化還元状態を測定した。ミトコンドリア移行シグナルを有するroGFPによって生細胞のミトコンドリア内酸化還元状態をリアルタイムに検出することができた。この方法を用いて、生理的低濃度のアスタキサンチン(抗酸化剤でカロテノイドの一種)がミトコンドリア内を正常な還元状態に向かわせることを明らかにした。アスタキサンチンは、培養細胞に過酸化水素を添加したときの酸化ストレスとそれに伴う細胞死を抑制した。この時、ミトコンドリア膜電位の低下が抑制され、細胞の呼吸活性も維持されていた。これらの結果は昨年度第7回日本ミトコンドリア学会で発表し、現在、論文を投稿中である。さらにこのroGFPを用いて本研究の課題である活性酸素放出量(スーパーオキシド放出量)のミトコンドリア膜電位依存性について検討した。微量の脱共役剤(mild uncoupling)を使って膜電位を僅かに下げることで酸化ストレスが減少し、ミトコンドリア内が還元状態に向かう。しかし、膜電位の下げ幅が大きすぎるとATP合成ができなくなり、細胞がエネルギー危機に陥ることによってNADHが低下し、還元状態を維持できなくなることも分かった。これらの結果は7月のEBEC2008会議(アイルランド)で発表予定である。
著者
相庭 達也
出版者
北海道大学大学院文学研究科北方研究教育センター
雑誌
北方人文研究 (ISSN:1882773X)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-17, 2019-03-25

本稿は、西南戦争へ従軍し、出征から帰道までの期間に「戦闘」「病気」「事故」で亡くなった屯田兵の慰霊について、その実態と特性について考察したものである。 その数は37名に及ぶが、戦闘死とされる者8名の内3名は「溺死」であった。病死とされる者は28名で、ほとんどが「コレラ」によるものであった。出征当日に同郷出身の兵士によって殺害された者が1名いたが、それを開拓使は「横死」と位置づけた。 それぞれの「慰霊」について、当時病死者は合祀対象ではなかった東京招魂社に対して、開拓使は溺死者を戦闘死とし、病死者を合祀対象にとする意向があった。一方現地(札幌)に「屯田兵招魂碑」の建立を計画し、その碑文には横死者1名を含めた37名全員の戦没者を記した。それが札幌護国神社の特性を生むことになった。 上記の慰霊に対する開拓使の意向は、陸軍とは異なる屯田兵の特殊性によるものであった。そして、その最も重要なポイントは、屯田兵は1兵士であると同時に「戸主」であった点にある。したがって、屯田兵士の死は戸主の死であり、屯田兵が一方で担う北海道開拓に大きな支障を来すものであったのである。 戦没した屯田兵士の慰霊とは、その名誉を顕彰することだけでなく、遺族への保護といった観点が含まれており、緒についたばかりの北海道開拓を確実に進めるためのものであったのである。
著者
滝澤 恵美 内山 英一 片寄 正樹 泉水 朝貴 鈴木 大輔 藤宮 峯子
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第29回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.239, 2010 (Released:2010-10-12)

【目的】股関節内転筋群としてグルーピングされている長内転筋や大内転筋は作用が筋名に付与されている。しかし、人が股関節の内転運動を行うことは稀であり、この作用以外の理解が荷重股関節では重要と考える。そこで本研究は、内転筋群の中でも特に大内転筋に注目し、股関節に対するモーメントアーム(以下、MA)を調べ、「矢状面(屈曲・伸展)」「水平面(内旋・外旋)」の作用を検討することを目的とした。 【方法】87歳女性の未固定遺体を第4腰椎の高さから脛骨近位端で切断し用いた。関節包と大内転筋以外は切離した。大内転筋は、貫通動脈と骨の付着部を目安に上部、中部、下部の3つに肉眼的に分類した。上前腸骨棘と恥骨結合部が床と垂直になるように骨盤の矢状面傾斜角度を決定し、骨盤をjigに固定した。大腿骨の自重による自然下垂位(垂線に対し約10°屈曲位)をゼロポジションとし、左側の大腿骨を屈曲・伸展方向に験者がゆっくり動かした。この際、骨上の任意点の座標は3D磁気式デジタイザー(Polhemus社製、FASTRACK)を用いて追従した。サンプリング座標の値を用いて関節角度、大腿骨骨頭中心、MAを算出した。大腿骨骨頭は球体として扱い、骨頭表面上3点の座標と日本人女性の平均骨頭半径(r=2.16cm)を使用し、非線形最小二乗法で推定した。MAは、推定骨頭中心座標と大内転筋の各部分の起始部と付着部を結んだ作用線との垂直距離を求めた。なお、本研究は札幌医科大学の倫理委員会で承認され、生前の本人と遺族に対しては身体の一部を解離して研究に用いることが説明され同意が得られている。 【結果】大内転筋の上部、中部、下部ともに股関節屈曲範囲では、伸展MAと外旋MAを有していた。矢状面のMAは、ゼロポジションにおいても伸展MAを有していた。なお、水平面のMAはゼロポジション付近を転換点とし伸展範囲では内旋MAとなった。 【考察】筋は「収縮」しかできず関節への作用は、関節中心に対する筋の位置によって決まる。すでに大内転筋の下部(坐骨結節~内側上顆)については「伸展作用」が示されている。今回の結果より、上部・中部についても下部と同様に伸展に作用するMAを含有する可能性が推察された。水平面上の回旋作用においては、股関節ゼロポジション付近を変換点に作用方向を変える特徴を持ち、内旋・外旋双方に作用を持つ可能性があった。大内転筋は、恥骨部~坐骨部に起始を持ち関節中心を前後に広く被う構造的特徴があり、多様な作用を含む筋であると予想される。今回は1股関節のデータによる結果であり今後も検討作業を行う予定である。
著者
松本 雄一 丸田 沙織 駒場 あすか 柘植 圭介 渡邉 啓一
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.217-223, 2021 (Released:2021-06-30)
参考文献数
30
被引用文献数
1

血糖値の上昇抑制などの機能が期待されるイヌリンを豊富に含むキクイモについて,収穫期間中のイヌリンおよびカリウム含量の推移について調査を行い,収量の推移と併せてイヌリン含量が高くかつカリウム含量が低くなる収穫適期を検討した.イヌリン含量は11月から12月にかけて急激に減少した.一方カリウムは11月から1月にかけて増加傾向にあった.これらの結果から,九州地域におけるキクイモの収穫適期は11月上旬など収穫始めの時期と考えられた.また,収穫後の貯蔵方法について検討を行った結果,低温貯蔵ではイヌリン含量の低下を抑制できないものの,カリウム含量の増加は抑制できた.このことから,低温貯蔵はキクイモ消費時のカリウム摂取量の抑制のためには有効と考えられた.
著者
飯田 治行 大前 潤 西村 崇
出版者
日経BP社
雑誌
日経systems (ISSN:18811620)
巻号頁・発行日
no.234, pp.41-43, 2012-10

─お二人は、RedmineとTracのどちらもよくご存じだとのことですが、飯田さんはRedmineを、大前さんはTracを選んで現場で使っている。両ツールのユーザー代表として、どんなメリットを感じているのか教えてください。飯田 私はかつてTracを使っていましたが、2008年からRedmineに乗り換えました。Redmineは標準機能が充実しているのがいいですね。

3 0 0 0 OA HLAの基礎知識1

著者
小川 公明
出版者
日本組織適合性学会
雑誌
日本組織適合性学会誌 (ISSN:21869995)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.115-122, 2016 (Released:2016-09-17)
参考文献数
8
被引用文献数
2

HLAは,ヒトの主要組織適合遺伝子複合体(MHC)として,1900年代中ごろに発見されましたが,免疫応答を制御する重要な要素でありヒトの遺伝子の中で最も多型に富むことが知られています。今回はHLA抗原の多型性および,HLA抗原と遺伝子の解説を行います。
著者
吉井 文美
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.122, no.7, pp.1183-1217, 2013-07-20 (Released:2017-12-01)

This article discusses shifts in the Japanese Ministry of Foreign Affairs' understanding regarding the Open Door Principle following the establishment of Manchukuo, as exemplified by the issue of "treaty rights" claimed by foreign countries. Immediately following the establishment of Manchukuo, although both the Japanese Ministry of Foreign Affairs and the Manchukuo government emphasized that 1) the legal order previously established by the Republic of China would be preserved and 2) the new state would respect the Open Door Principle, in actuality economic regulation, not in line with Open Door were put firmly in place. Since the world powers continued to demand that it support Open Door, forcing Japan to take nominal steps to demonstrate its respect for international law, the Ministry of Foreign Affairs set itself to the task of bridging the gap between what had been put in place in the governance mechanism Japan had created for Manchukuo and the actual fluidity of the situation there. The author then proceeds to an analysis of the specific case of the negotiations between Japan and world powers that arose over the regulation of Manchukuo's oil and tobacco industries. Both Great Britain, which was the holder of huge interests from central China southward and had instituted a boycott of Japanese goods throughout its commonwealth, and the United States, which was the original supporter of the Open Door Principle and left the decision of whether to do business in the region up to individual enterprises, did react to the "treaty rights" issue as an invasion of their Manchurian interests, but did not go as far as taking a decisive stance on the matter. The Japanese Foreign Ministry responded to the "treaty rights" issue by revising its interpretation of the Open Door Principle itself. However, in the process, a state of affairs was created making it difficult for Japan to pursue its campaign for the international recognition of Manchukuo. Ultimately, the Foreign Ministry ended up announcing the "natural death" of the Nine-Power Treaty and proposing a new international order. Under the conditions of its escalation of military action without a declaration of war and its assumption of governance over the territory it had so occupied, it is ironic that Japan would be put in a position of having to show such high respect for the "treaty rights" of foreigners in China.
著者
溝渕 雅広 濵内 朗子 佐光 一也
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.8, pp.1388-1394, 2016-08-10 (Released:2017-08-10)
参考文献数
15

妊娠適齢期の女性に対する抗てんかん薬治療で注意することは,1)結婚以前から催奇性を含めた情報を伝える,2)挙児希望するときは早期から投薬の調整を行う,3)安全な妊娠の継続・出産ができるよう発作の抑制に留意し,産科医と連携する,4)母乳の授乳は可能である,5)催奇性,低IQ(intelligence quotient)児・自閉症スペクトラム障害の頻度が増加するため,できる限りバルプロ酸は避ける,6)産後うつに注意し,周囲の協力を助言する.

3 0 0 0 OA 古事記傳

著者
本居宣長 撰
巻号頁・発行日
vol.巻1, 1785