著者
南 友紀子 岩瀬 梓 宮田 洋輔 石田 栄美 上田 修一 倉田 敬子
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.163-180, 2016 (Released:2016-12-07)
参考文献数
48

本研究では,van Deursen らの「デジタルスキル」を基礎に,従来の情報検索の専門的なスキルを組み込んだウェブ環境における情報検索スキルの現状を明らかにすることを目的とする質問紙調査を行った。2014 年8 月にオンライン調査を実施し,1,551 名から回答を得た。その結果,ウェブ環境で検索を行う人々は,(1)ブール演算子などの高度な情報検索技法は用いない,(2)ウェブ上の情報の形式は理解している,(3)検索語の選定に対する意識は高い,(4)一定の評価方針のもとに複数の検索結果を閲覧する,(5)インターネットから恩恵を受けていると感じている,ことが明らかになった。階層的クラスタリングにより回答者を8 クラスタに分割し,高い情報検索スキルを持つクラスタを特定した。この高能力者群は,比較的若く,男性が多く,学歴が高く,批判的思考能力と自己認識が高かった。高能力者群は全てのスキルの平均得点が最も高いが,検索技法に関するスキルのみ得点は大幅に低かった。

3 0 0 0 OA 態度と随伴性

著者
中丸 茂
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.105-117, 1998-06-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
45

本論文は, 態度研究を随伴性の観点より分析することを目的とする。社会心理学において, 態度は, 内的な, 説明変数であり, 質問紙法や尺度法によって, 言語行動として測定されている。行動分析学では, 態度は随伴性の観点から研究され, タクト, マンド, インタラバーバル, エコーイック, オートクリティックとして取り扱われる。そして, 言語行動としての態度は, 随伴性形成行動の目的行動として, ルール支配行動のルールとして, ルール支配迷信行動の偽ルールとして取り扱われる。また, 態度は, 感情的側面をもち, 条件性刺激として, 感情を制御する。同じ表現型をとる言語データでも, 違う成立過程で形成されていることが考えられる。随伴性の観点から態度研究を 条件づけの手続きに還元することによって, 態度についての知見をより単純に捉え直すことが可能となるだろう。
著者
長谷川 裕峰 寺井 良宣 藤平 寛田
出版者
大阪大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2017-08-25

本研究課題の調査対象とした未翻刻史料群『阿弥陀房抄』は各研究機関に散在しており、その存在は知られていたが、本格的な研究は僅少であった。そこでまず、叡山文庫円覚蔵19冊、叡山文庫真如蔵13冊、叡山文庫天海蔵『義科抄』の内4冊、西教寺文庫正教蔵27冊、早稲田大学図書館教林文庫所蔵19冊を史料収集し、考察対象とした。また、その撰述者である阿弥陀房宗厳の来歴等に関して、同時代史料から検討を進めた結果、本史料群は当時の天台学における最高水準であった探題職が残した論文集としての性格を読み取ることに成功した(「『阿弥陀房抄』覚書」、『坂本廣博博士喜寿記念論文集 佛教の心と文化』、2019年)。
著者
細谷 実
出版者
関東学院大学経済学部教養学会
雑誌
自然人間社会 (ISSN:0918807X)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.1-25,

本稿では、絵画や写真などの視覚的表象が何らかの弊害をもたらす条件およびその弊害の査定について考察する。表現は、一方で、あれこれの弊害をもたらすとされ、批判や規制の対象になっている。他方で、表現の自由は、近代社会における大切な原理として尊重されている。J.S.ミルを代表とするリベラリズムの考え方では、「言論の自由市場」での批評や非難はともかく、法的禁止という強い措置をおこなうには他者危害の存在が要件となる。他者危害として、自然・社会環境の破壊のような社会への危害を主張する論者もいるが、本稿では、個人への、しかも心理的な危害に焦点化して論じる。また、特定個人を名宛人にする加害には名誉棄損や侮辱での刑罰があるが、「女性」や「韓国人」といった一般名詞あるいは広範囲の集合への加害については、数的考慮によって問題視しないのが、従来の司法判断である。この点についても批判的考察をおこない、視覚的表象による個人に対する危害とそれへの対応について論じる。
著者
北野 尚美 鈴木 啓之 西尾 信宏 垣本 信幸
出版者
和歌山県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

川崎病は乳幼児に好発する急性の全身性血管炎で、後天性の心障害の原因となる。病因は解明されておらず、その疫学的特徴から感染性因子の関与が示唆されている。本研究では、発症に感染性因子が関与するならば、宿主の年齢は重要な条件の1つと仮説を立て、罹患者の発症時の年齢層によって、性別の分布や発症した季節に特徴があるかを調べた。和歌山川崎病研究会が年1回実施した和歌山県内の小児科病床を有する医療機関を対象とした川崎病新規症例の調査(回収割合100%)の資料をもとに電子データベースを構築した。本研究では連続する1945例を対象に疫学的記述を行った。発症時年齢は5分割(4か月未満、4-10か月、11-47か月、48-83か月、84か月以上)し、その特徴を分析した。全体では、男女比は1.4で、年齢は1か月から212か月に分布を認めた。年齢層別に観察した結果、4か月未満で男女比は2.0で、年齢が大きくなるにつれて罹患者に占める男児の割合が小さくなる線形の関連を認め、7歳以上の年齢層では男女比が逆転して1未満であった。川崎病発症の季節性については、全体では冬が33%を占め、秋は19%であった。年齢層別に観察すると、4か月未満の6割が夏と秋に発症していた。本研究の特徴として、研究対象としたデータの選択バイアスが小さいことがある。和歌山県は疫学研究に有利な地理的条件を備えており、県内全域から17年間に報告された全症例を対象として研究を実施した点が本研究の強みである。川崎病発症時の患者年齢と発症の季節性については、年齢層によって発症のトリガーとなる環境要因(ここでは感染性因子を仮定している)が異なることを示唆する結果と考えている。
著者
森原 和之
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.9, pp.632-636, 1975-09-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
54

味噌, しょう油はもとより清酒醸造においてもプロテアーゼは重要な地位を占めている。微生物起源のプロテアーゼだけでもおびただしい数にのぼるし, 基質蛋白質の構造も複雑であるため, その基質特異性の決定は困難を極めるものである。最近酵素蛋白質の構造上からの分類がなされ, また合成基質に対する一次特異性の研究が急速な進歩をとげかなり整理がつくようになった。ここに一次特異性および二次特異性についての知見をまとめて頂いた。
著者
石黒 浩 中村 泰 西尾 修一 宮下 敬宏 吉川 雄一郎 神田 崇行 板倉 昭二 平田 オリザ 開 一夫 石井 カルロス寿憲 小川 浩平
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

人と関わるロボットの自律動作と遠隔操作の機能を統合することで,人間やロボットが存在する社会的で現実的な場面において, 発話やジェスチャーなどの社会的振る舞いを行い, 社会に参加できるロボットシステムの実現を目指すとともに, 社会的な対話の認知心理学的な理解とモデリングに取り組んだ.今年度は, 以上の取り組みを開始したところであったが, 本提案をさらに発展させた, 人間に酷似したロボットであるアンドロイドの機構の改良や BMI の導入を含む基盤研究 S "人のような存在感を持つ半自律遠隔操作型アンドロイドの研究" が採択されたため,5月31日をもって,本研究課題を廃止し, 基盤研究 S の一部として研究を推進している.本研究課題実施時の具体的な研究内容としては, 1. 対人状況における注意制御機能と遠隔操作機能の統合の一部として, 学習アルゴリズムに基づくロボットの自律制御に関する研究, 及び, 2. 社会的状況における対話の認知科学的モデル化の研究の一部として, ロボット演劇中のロボットが人にアプローチするシーンの演出データからの社会的振る舞いの抽出に取り組んだ.現在, 基盤研究 S として, 物理的なインタラクションをも自然にするための電磁リニアアクチュエータを用いたアンドロイドの開発,複数人による雑談などの具体的な社会的状況における対話とそれに伴う行動の記録と分析に基づく対話モデルの構築や, 遠隔操作の記録を基にしたアンドロイドの自律化に取り組んでおり, 今後,行う予定のブレインマシンインターフェースによる遠隔制御の導入などとともに, 人との多様な相互作用を行うアンドロイドの開発, 社会的存在としての機能の実現, 現実社会におけるアンドロイドの社会参加の実現に取り組む.
著者
前川 恵司
出版者
亜細亜大学アジア研究所
雑誌
アジア研究所所報
巻号頁・発行日
vol.154, pp.10-11, 2014

3 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1928年09月22日, 1928-09-22

3 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1926年09月22日, 1926-09-22
著者
上杉 昌也 矢野 桂司
出版者
一般社団法人 人文地理学会
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.253-271, 2018 (Released:2018-07-02)
参考文献数
51
被引用文献数
1 2

本稿は,都市内での教育水準の空間的不均衡とジオデモグラフィクスに基づく居住者特性との関係を明らかにし,近隣地区における社会経済的要因の影響を除いた教育水準の学校間格差について評価するものである。対象地域として社会経済的な居住分化が比較的明瞭で,2013年から「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)の学校別の結果が公表されている大阪市を選んだ。全国学力テストの平均正答率を教育水準とみなすと,都市の空間構造に対応した教育水準の不均衡が存在し,近隣スケールにおいてもジオデモグラフィクスに基づく社会地区類型と通学先の学校の教育水準には一定の関係が見出された。また社会地区類型間で教育水準格差が存在することも示唆され,社会地区類型の差異により学校間の教育水準の変動の約半分が説明された。そのため学校の教育水準の評価においてはその学校の置かれた地域条件を考慮することが不可欠であるといえる。さらに,実際の学力テストに基づいて計測される教育水準からこの地域条件の影響を取り除いた実質的な学校効果は,教育水準が高い学校ほど大きいことも明らかになった。これらの知見は,ジオデモグラフィクスが地域間や社会集団間の教育格差を明らかにするだけでなく,空間的公正の観点からそれらの格差解消に向けた政策ターゲットの特定においても有用であることを示すものであるといえる。

3 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1937年03月17日, 1937-03-17
著者
佐藤 俊光 佐藤 成登志
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1050, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】四肢の動きに連動した腰部の固定を提供する動作として,Abdominal Hollowing(以下,AH)とAbdominal Bracing(以下,AB)が提唱されている。この動作は,関節運動を起こさずに体幹深部筋を随意的にはたらかせることが可能なエクササイズである。第49回日本理学療法学術大会にて,健常者を対象にAHとABが腰部多裂筋に与える影響を検討した結果,ABは腰部多裂筋の筋厚を有意に増加させることが明らかとなった。腰痛患者において,腰部多裂筋に機能不全が生じる報告が多数されている。近年は,腰部多裂筋の筋内圧上昇による腰椎背筋群コンパートメント症候群による筋・筋膜性腰痛も挙げられている。関節運動を起こさずに行える本エクササイズは,関節組織への負担軽減,非疼痛下での介入が可能であり,腰痛患者に有用なエクササイズになると考えられる。よって,本研究の目的は腰部安定化エクササイズが,体幹深部筋の筋厚に与える影響について超音波診断装置を用いて明らかにすることである。【方法】対象は,当院を受診している女性腰痛患者6名(年齢63.3±14.1歳,BMI 21.8±3.7,罹患期間14.2±13.6ヵ月),神経症状や手術歴のない非特異的腰痛患者である。使用機器は超音波診断装置とした。プローブは,周波数7.5MHzのリニアプローブを使用した。測定筋は,腹横筋と腰部多裂筋とした。測定肢位は,AHは背臥位で股関節・膝関節90°となるよう台の上に下肢を挙上させた。ABは腹臥位にて腹部と下腿にクッションを入れ,安楽な姿勢をとるようにした。いずれも測定筋における重力除去位で行った。測定は,エクササイズ毎に左右の筋厚を2回ずつ計測し,疼痛の訴えがある部位を疼痛側,反対側を非疼痛側とした。問診時に疼痛が両側と答えた対象者は,測定者が評価を行い,疼痛側を同定した。得られたデータは,統計学的解析を行い,有意水準を5%とした。筋厚測定の信頼性は,級内相関係数(以下,ICC)を用いて,検者内信頼性を確認した。【結果】各筋厚測定のICC(1.1)は0.829以上あり,高い相関を認めた。エクササイズ間の筋厚変化率において,腹横筋は疼痛側でAH 139.7±26.1%,AB 134.2±21.7%,非疼痛側で,AH 159.7±22.9%,AB 149.5±20%であり,疼痛側・非疼痛側ともにAHとABでは有意な差は認められなかった。腰部多裂筋では,疼痛側でAH 101.9±2%,AB 105.7±2.8%でありAHと比較してABで有意に高値を示した(p<0.05)。非疼痛側では,AH 100.8±1.9%,AB 105.8±1.4%であり,同様にAHと比較してABで有意に高値を示した(p<0.01)。各エクササイズでは,腹横筋,腰部多裂筋ともに疼痛側・非疼痛側において有意な差は認められなかった。また,罹患期間と各筋厚変化率の相関関係も認められなかった。【考察】本研究より,腰部安定化エクササイズにおいて,ABはAHより腰部多裂筋の筋厚を増加させ,体幹筋の同時収縮を高めることが示唆された。Richardsonらによると,AHは腹横筋を中心に体幹深部筋の収縮を促すことで腰部安定化が図られると報告されている。しかし,McGillらは,腹横筋だけでは腰部の安定性は不十分であり,腹斜筋群の収縮も用いることで安定性を高められると報告している。さらに大江らは,下肢挙上動作前にABも用いることで腰椎部の可動性が小さかったことを報告している。本研究は,超音波診断装置を用いて,定量的にエクササイズ間の体幹深部筋の筋厚変化率を明らかにした。各エクササイズでは,腹横筋,腰部多裂筋ともに疼痛側・非疼痛側において有意な差が認められず,また罹患期間と各筋厚変化率の相関関係も認められなかった理由としては,運動療法が慢性腰痛患者に効果的であることや,痛みに応じた活動性の維持を早期から行うことで,安静期間の縮小,運動の再学習が筋厚に影響を及ぼしたと考える。しかし,本研究の限界として,横断的研究であり,対象は運動療法が効果的な慢性腰痛患者であること。また,リハビリ目的に通院しているため,治療介入因子が関与していた可能性が考えられる。今後は,急性期・亜急性期におけるエクササイズの効果および,縦断的研究における継時的変化を明らかにする必要がある。【理学療法学研究としての意義】本研究により,ABを用いることで腰部多裂筋の筋厚を増加させ,体幹筋の同時収縮を高めることが明らかとなった。これにより,腰部への負担軽減,および腰痛予防の観点から意義のある研究であると考えられる。
著者
新山 喜嗣
出版者
秋田大学
雑誌
秋田大学医学部保健学科紀要 (ISSN:13478664)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.31-39, 2005-10-31

筆者は,これまでカプグラ症候群の本質規定にあたって,本症候群では他者において「このもの性」としての<私>の変更が行われるものとする小論を発表してきた.しかし,本来は自分自身のものとされる<私>が他者においても存立するか否かという問題にっいて,それらの小論では充分な検討がなされないまま議論が進められていた.したがって,本稿では他者における<私>の存立の是非に焦点を当てた検討を試み,同時に,カプグラ症候群で変更する<私>がもつ存在論的な意味についても検討した.最初に,ここで意図されている<私>概念を最初に提起した永井均の所論から,他者における<私>の存立を否定する彼の主張を概観した.永井によれば,<私>とは自分自身だけがもつ唯一性であって,それが誰もが持ちうる唯一性一般に歪曲されることは許されないことであった.続いて,このような永井の他者論に対して否定的な見解をもつ3名の論者による主張を概観した.しかし,これら論者の主張においても,他者における<私>の存立が充分な根拠をもって確保されているとは言い難いものと思われた.したがって,カプグラ症候群に関する先のような本質規定が妥当なものであるたあには,他者での<私>が存立するための根拠を,異なる視点から新たに探し出すことが必要であると思われた.
著者
新山 喜嗣
出版者
日本医学哲学・倫理学会
雑誌
医学哲学医学倫理 (ISSN:02896427)
巻号頁・発行日
no.25, pp.99-109, 2007-10-18

Patients with Capgras syndrome complain that real persons close to them have been replaced by identically looking imposters. This syndrome is interpreted as the total replacement of the "haecceity" that is distinct from one's attributes. Capgras syndrome suggests that possible worlds around a person come in two different series: one of possible worlds in which the attributes of the real person change in a variety of forms with his "haecceity" unchanged, and the other of possible worlds in which the "haecceity" of the real person is replaced by something else with his attributes unchanged. Possible worlds involving these two series could develop without limitations, and hence impart unlimited diversity to the variants of myself living in possible worlds. Thus, the variants in possible worlds must include some who possess both haecceity and attributes that are identical to those of others in the real world. It can thus be speculated that others in the real world are nothing but variants of myself who have turned up in the real world from possible worlds they originally inhabited. In this context, it may be assumed that I am keeping in touch with my own variants every day here in this real world. In the real world, I myself always create a singular point characterized as "I," "now," and "here". In a certain possible world, however, another person generates this singular point. As a result, I myself become the other to him. Such worlds where I turn up as the other probably include ones whose contents are exactly the same as those of the real world. Because these worlds are perfect mirror images of the real world, we mistakenly assume that they are the same one world. Because of this confusion, we see many generators of the singular points coexisting in the real world.
著者
倉田 真由美 宮田 久枝 樋口 善之 松浦 賢長
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 = Maternal health (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.468-475, 2009-01-01
参考文献数
14

【目的】本研究は現代の高校生と大学生の男女を対象にダイエットの実施状況について調査し,「ダイエットの経験の有無とその結果」と「自己肯定感」との関係を明らかにすることを目的に調査研究を行った。【方法】高校生235人,大学生305人の男女合計540名(有効回答数511名)を対象に,ダイエットの状況とあわせて,4つの下位領域からなる自己肯定感尺度を用いて質問紙調査を実施した。【結果】(1)学校別,性別のいずれも「ダイエットの有無とその結果」と「自己肯定感得点」との交互作用が有意であり,(2)高校生・大学生の「ダイエットに成功した」と答えた群の自己肯定感得点と他の2群(ダイエットをして失敗した・ダイエットをしたことがない)との間に有意な差は認められず,ダイエットの成功が自己肯定感得点を高める要因となるということは示されなかった。また,ダイエットの失敗が自己肯定感得点を引き下げるという逆効果も認められなかった。(3)男性の「ダイエットに成功した」と答えた群の「自己肯定感得点」が,他の2群(ダイエットをして失敗した・ダイエットをしたことがない)よりも有意に大きく,男性にのみ,ダイエットに成功した者の自己肯定感得点が高い傾向にあることが示された。以上の結果から,男性の体重変動に基づいた,健康目的のダイエットの成功経験のみ,自己肯定感得点を高める効果をもたらすことが示されたが,高校生・大学生のダイエットの結果(成功・失敗)のいずれも,自己肯定感を変動させる要因にはならないことが示唆された。
著者
大澤 広嗣
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.493-516, 2004

本論は、宗教研究史の視点から、トルコ学者の大久保幸次が所長を務めた回教圏研究所について、昭和前期のイスラーム研究史における意義と位置付けを試みたい。日本のイスラーム研究は、一九三七年の日中戦争勃発を機に組織化され、「大東亜共栄圏」建設を目的として、複数の機関で調査研究された。一九三八年に大久保は、小林元や松田壽男と共に回教圏攷究所を創設した。一九四〇年回教圏研究所と改称後、一九四五年の敗戦で解散した。しかし戦後以降、昭和前期のイスラーム研究は、国策や時局と結び付いて研究された側面だけが語られ、その全般的な研究史が軽視されてきた傾向があった。だが回教圏研究所の活動を検証すると、大久保は大正期よりトルコやイスラームを研究し、研究所からは戦後も活躍する中東研究者を輩出したなど、研究史上において重要な意味を持つ研究機関であることがわかるのである。