著者
鷲野 翔一
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.2_13-2_20, 2007-10-01 (Released:2011-03-01)
参考文献数
27
被引用文献数
4 3

日本のITSについて若干の歴史的概観をした後,第3開発分野である安全運転支援システムの普及が芳しくないことを示し,その原因の一つに安全運転支援システムのコンセプトに問題があることを示す. 従来のコンセプトはドライバの運転負荷を少なくする形式のコンセプトで,どちらかと言えば,自然科学者が作ったコンセプトであった.しかし,よく調べると,運転負荷が増える方が事故も少なくなり,燃費も良くなるというデータもあり,交通心理学者をはじめとする社会科学者がこの現象に注目している.交通事故は注意をすればなくなるという簡単なものではなく,統計的な現象としてとらえる方がよいという説明もなされつつある.こういった社会科学者の力とITSの技術者が結集して安全運転支援システムのコンセプトを早急に作り,システムの開発と今後普及を図るべきことを述べる.
著者
Yoshihiro Yoshimura Takahiro Bise Fumihiko Nagano Sayuri Shimazu Ai Shiraishi Makio Yamaga Hiroaki Koga
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
Progress in Rehabilitation Medicine (ISSN:24321354)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.20180011, 2018 (Released:2018-05-18)
参考文献数
53
被引用文献数
1 43

Objective: The aim of our study was to investigate how systemic inflammation relates to sarcopenia and its impact on functional outcomes in the recovery stages of stroke. Methods: A retrospective cohort study was performed in consecutive patients admitted to convalescent rehabilitation wards following stroke. Patients with acute or chronic high-grade inflammatory diseases were excluded. Systemic inflammation was evaluated using the modified Glasgow Prognostic Score (mGPS). Sarcopenia was defined as a loss of skeletal muscle mass and decreased muscle strength, with the cut-off values set by the Asian Working Group for Sarcopenia. The primary outcome was the motor domain of the Functional Independence Measure (FIM-motor). Univariate and multivariate analyses were used to determine whether mGPS was associated with sarcopenia and FIM-motor at discharge. Results: The study included 204 patients (mean age 74.1 years, 109 men). mGPS scores of 0, 1, and 2 were assigned to 149 (73.0%), 40 (19.6%), and 13 (6.4%) patients, respectively. Sarcopenia was diagnosed in 81 (39.7%) patients and was independently associated with stroke history (odds ratio [OR] 1.890, P=0.027), premorbid modified Rankin scale (OR 1.520, P=0.040), body mass index (OR 0.858, P=0.022), and mGPS score (OR 1.380, P=0.021). Furthermore, the mGPS score was independently associated with sarcopenia (OR 1.380, P=0.021) and FIM-motor at discharge (β=−0.131, P=0.031). Conclusion: Systemic inflammation is closely associated with sarcopenia and poor functional outcomes in the recovery stage of stroke. Early detection of systemic inflammation and sarcopenia can help promote both adequate exercise and nutritional support to restore muscle mass and improve post-stroke functional recovery.
著者
大山 英明 前田 太郎 舘 [ススム]
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.59-68, 2002-03-31 (Released:2017-02-01)
参考文献数
78
被引用文献数
3

Telexistence, tele-existence, or telepresence, is an advanced form of teleoperation, which enables a human operator to remotely perform tasks with dexterity, providing the user with the feeling that he or she is present in the remote location. Although tele-existence/telepresence as an engineering concept was proposed in 1979-1981, a comic titled " Jumborg A " proposed and illustrated a primitive tele-existence robot control system in 1970. As a matter of fact, some fictitious robot control systems in novels, comics, animations, and movies precede real robot control systems. In this paper, we will introduce the history of telexistence robots, both in terms of current technology and science fiction
著者
飯田 龍 小町 守 井之上 直也 乾 健太郎 松本 裕治
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.2_25-2_50, 2010 (Released:2011-06-23)
参考文献数
25
被引用文献数
5 7

本論文では,日本語書き言葉を対象とした述語項構造と照応関係のタグ付与について議論する.述語項構造解析や照応解析は形態素・構文解析などの基盤技術と自然言語処理の応用分野とを繋ぐ重要な技術であり,これらの解析のための主要な手法はタグ付与コーパスを用いた学習に基づく手法である.この手法を実現するためには大規模な訓練データが必要となるが,これまでに日本語を対象にした大規模なタグ付きコーパスは存在しなかった.また,既存のコーパス作成に関する研究で導入されているタグ付与の基準は,言語の違いや最終的に出力したい解析結果の粒度が異なるため,そのまま利用することができない.そこで,我々は既存のいくつかのタグ付与の仕様を吟味し,述語項構造と共参照関係のアノテーションを行うためにタグ付与の基準がどうあるべきかについて検討した.本論文ではその結果について報告する.また,京都コーパス第 3.0 版の記事を対象にタグ付与作業を行った結果とその際に問題となった点について報告する.さらにタグ付与の仕様の改善案を示し,その案にしたがい作業をやり直した結果についても報告する.
著者
梅川 莊吉
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.18, no.8, pp.449-452, 1954 (Released:2008-04-04)
参考文献数
6
被引用文献数
2

Young’s modulus and its change accompanied by heat-treatment and by cold-working in gold-silver and gold-copper alloys has been measured by lateral vibration method of a cantilever under small amount of stress. The composition dependence of Young’s modulus is monotonous in both alloy systems. Young’s modulus of Cu3Au increases and of CuAu decreases the superlattice formation. The effect of cold work on Young’s modulus is similar for some gold-silver alloys, but it differs considerably with some gold-copper alloys.
著者
向野 晃弘 中根 俊成 樋口 理 中村 英樹 川上 純 松尾 秀徳
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.334b-334b, 2014 (Released:2014-10-07)

【背景】抗ganglionicアセチルコリン受容体(gAChR)抗体は自律神経節に存在するgAChRを標的とし,一次性自律神経性ニューロパチーの約50%で検出されることが報告されている.一方,シェーグレン症候群(SS)に認められる自律神経障害の原因は未解明である.今回我々は著明な自律神経症状を合併したSSにおける抗gAChR抗体陽性例と陰性例間の臨床症状について比較検討を行った.【対象】SSと臨床診断された11症例の血清および各種臨床情報を対象とした.【方法】ルシフェラーゼ免疫沈降法(LIPS法)を用いて抗gAChR抗体測定を行った.また,提供された各種臨床情報をもとに抗gAChR抗体陽性例と陰性例の自律神経症状等を比較検討した.【結果】SSを合併した検体11例中,5例(45.5%)で当該抗体が陽性であった.抗体陽性群5症例では先行感染ありが3例(60%)で,全例で起立性低血圧を合併していた.陰性群6症例では起立性低血圧4例(66.7%)見られた.両群とも消化器症状,排尿障害を合併していた.【考察】著明な自律神経障害を呈するSSのうち45.5%もの症例で本抗体が陽性であったことは,この抗体の病態における役割を考える上で興味深い数値である.抗体陽性と陰性の臨床像の違いを見出すには今後更に症例を蓄積し,他の検査所見や合併症の確認や免疫治療の有効性を検討する必要がある.
著者
菅原 良孝
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.530-535, 2001-05-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
12

SicパワーデバイスにはSiの物性限界を打破した飛躍的な高性能が期待でき,電力変換装置に適用した場合について試算すると,電力損失と体積の大幅な低減が図れる.この結果,装置の大幅な省エネ化や省資源化が期待できる.開発レベルでは,すでにダイオードやFETでは,おのおの19kVや6kVの高耐圧が達成されるとともに, Siの性能限界もはるかにりょうができており,実用化の機運も高まりつつある.実用化にあたっての主要な課題は,コストに直接影響する歩留まりの向上と高温高信頼稼働の実現である.特に,前者に関してはSicウエ八一とエピタキシャル層の結晶品質の問題が深刻であり,実用レベルの電流容量を実現するうえで大きな障害になっている.
著者
加藤 弘之 胡 振江 日高 宗一郎 松田 一孝
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.2_44-2_56, 2014-04-24 (Released:2014-06-24)

双方向変換とは,ソースデータをターゲットデータに変換した後,ターゲットデータ上の更新をソースデータに反映させることが可能な計算の枠組みのことである.双方向変換の考え方は,古くはデータベース分野におけるビュー更新問題として扱われてきたが,近年は新しいプログラミングモデルと進化的ソフトウエア開発の手法として注目を浴び,プログラミング言語の観点から様々な双方向変換言語が提案されてきた.この解説論文は,会話の形で,プログラミング言語,ソフトウェア工学,データベースの視点から,双方向変換の歴史,基本原理,実践,応用,そして今後の課題について概説する.
著者
森内 茂 堤 正博 斎藤 公明
出版者
Japan Health Physics Society
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.121-128, 1990 (Released:2010-02-25)
参考文献数
13
被引用文献数
21 26

A practical conversion factor to estimate the value of effective dose equivalent rate in Sv unit from absorbed dose rate in air in Gy unit was examined for natural gamma radiations. The experimental examination was carried out by two methods; one measures the effective dose equivalent rate directly by using a measuring instrument having effective dose equivalent response for isotropic gamma radiations and the other obtaines it from calculation applying the gamma flux-to-effective dose equivalent factor to actual gamma energy spectrum measured in various indoor and outdoor places.From these investigations the value of the quotient of effective dose equivalent to absorbed dose in air was found do be 0.748±0.007 Sv per Gy for natural radiation exposures in various environments. The value of the quotient 0.7, which is adopted to applied to environmental gamma radiations in the UNSCEAR 1982 and 1988 Reports, was clarified to be about 7% lower than the one obtained experimentally for natural gamma radiations.
著者
原井 直子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.592-601, 2013-12-01 (Released:2013-12-01)
被引用文献数
1

国立国会図書館(NDL)は,2013年2月におおむね5年間を対象とする書誌データ作成および提供に関する方針を公表した。これは,先行する書誌サービスに関する方針を発展させると同時にNDLの全体戦略の中に位置づけられたものである。その最も重要なポイントは,Web環境に適応して,従来の図書館資料と電子情報を一体として扱うことと,書誌データの多様な利用者・利用方法に対応することである。
著者
堀端 章 松川 哲也
出版者
近畿作物・育種研究会
雑誌
作物研究 (ISSN:1882885X)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.11-17, 2017 (Released:2017-12-22)
参考文献数
13

和歌山県の紀の川流域で古くから栽培されてきた薬用のアカジソ遺伝資源を地域の特産品として活用しようとしているが,そのためには類似の特徴をもつ他のシソ品種との間の優位性を明らかにしておく必要がある.そこで本研究では,強いシソ特有の香りを特徴とする和歌山県の在来シソ2系統と,「芳香性」をうたう市販の3品種,および,一般的なチリメンジソ1品種を供試して,形態的特徴および機能性成分含有量の調査を行って,和歌山県の在来シソ系統の遺伝的および商業的優位性の評価を行った.その結果,和歌山県の在来シソ系統はアカジソであったが,「芳香性」シソ3品種はいずれもチリメンジソであった.和歌山県の在来シソ系統は,供試した「芳香性」シソ品種よりも多くの機能性香気成分を含んでおり,この点で商業的有意性が認められた.もう一方の機能性物質である水溶性ポリフェノールの含有量については,生葉では供試した品種・系統間で差がみられなかったが,乾燥葉では品種間差が拡大した.乾燥期間中にも水溶性ポリフェノールの生合成が行われていることが示唆された.
著者
成瀬 厚
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.78-95, 2013 (Released:2013-09-13)
参考文献数
34

日本国内の航空旅客数は減少傾向にあり,国や地方自治体が管理する多くの空港は赤字経営が続いている.さまざまな空港利用促進事業が行われるなかで,近年は空港に愛称や通称をつける動きがある.本稿はこの動向を中心に地方空港の運営状態を地理学的に考察することを目的とする.本稿では,地理学における場所論と地名研究,場所のプロモーション研究を参照することで,空港を一つの場所としてとらえている.国内の政治的階層,地理的スケールにおいて中間の位置を占める地方自治体は,下位の地域住民から意見を集約し,決定した名称を上位の国家から公認を取得する形で公式化する.空港名の愛称化の目的は日本全体に対する地方空港の認知度や親しみやすさの向上であり,それに付随して空港で開催されるイベントの目的は地域住民に対するイメージの向上であると同時に空港施設の多目的利用化であるといえる.
著者
織田 涼 服部 雅史 八木 保樹
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
pp.1611, (Released:2017-08-19)
参考文献数
32

本研究は,意図されない情報の想起を介した検索容易性の逆説的効果が,処理資源を要するプロセスであるという仮説を検証した。二つの実験では,全参加者に他者の行動リストを呈示して記銘を求めた。行動リストには,後で行う判断の肯定事例と否定事例が含まれており,肯定事例だけを1個(容易)または4個(困難)想起することを求めた。実験1では,二重課題法を用いて想起課題中にかかる認知負荷を操作した。負荷が小さいと,肯定事例の想起が困難な時に想起内容に反する判断がなされ,意図しない否定事例の想起がこの効果を媒介することが示された。しかし負荷が大きいと,この媒介パタンが観察されなかった。実験2では,課題遂行への動機づけ(認知欲求)の強い参加者だけが,意図されない想起を介した検索容易性効果を示した。これらの結果は,困難さが促す事例想起の方略が努力を要する処理であることを示唆する。肯定事例の想起が困難であると,連合記憶内の事例が網羅的に走査され,この走査の過程で意図せず想起された情報に基づいて判断が形成されると考えられる。
著者
渡辺 満久
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.734-749, 1989-10-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
69
被引用文献数
2

北上低地帯は,その西縁を逆断層に限られる典型的な構造性の内陸盆地であり,鮮新世以降に奥羽山地から分化してきたと考えられる.北上低地帯は活断層,第四系基底面の形状,および地質構造によって, O-typeの地域 (同低地帯の北部と南部)と hypeの地域 (中央部)とに分類される. O-typeの地域では,新第三系,第四系基底面,および第四系 (厚さ数丁十程度以下)に東方へ緩く傾斜する構造が認められる.この地域の西縁部は,活断層がきわめて直線的であることから,比較的高角の逆断層で限られると推定される. I-typeの地域では,第四系基底面は西縁の活断層系に向かって数度以内の傾斜で一方的に傾き,第四系の層厚は奥羽山地では 200m以上に達する.西縁部には東へ凸な多数の活断層線が認められることから,低角の逆断層から成る複雑な断層系が形成されていると考えられる. これらの構造的な特徴と,半無限弾性体に対する食い違いの理論に基づく計算結果から想定される地震時の地殻変動,および地殻とマントルの非弾性的な性質に起因して地震後に現われる地殻変動とを比較した.その結果,西縁断層系への傾動が認められる 1-typeの地域では,断層活動によって低地が奥羽山地から分化してきたと結論した. 0-typeの地域に認められる構造を得るには,地表で確認できる断層活動以外の要因を想定する必要がある.
著者
北村 聖
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.363-373, 2013-09-01 (Released:2013-09-01)

日本医学雑誌編集者会議(JAMJE)は,日本医学会112分科会の機関誌の編集委員から構成される。JAMJEは,2008年の設立総会で,医学雑誌と編集者の自由と権利の擁護,医学雑誌の質の向上への取り組み,倫理規範の策定,国際的な連携という4項目を活動の目標とした。この目標に即した医学雑誌の編集方針のためのガイドライン(案)を作成した。ガイドラインには,世界医学雑誌編集者協会(WAME)による「方針書」と「編集者候補および新任編集者を対象としたシラバス」および国際医学雑誌編集者会議(ICMJE)の「統一投稿規程」に記載されている内容を盛り込み,さらに国内事情を反映させた。JAMJEの4つの目標に準じた章立てとしている。