著者
多喜 義彦
出版者
日経BP社
雑誌
日経ものづくり (ISSN:13492772)
巻号頁・発行日
no.600, pp.160-162, 2004-09

多喜義彦氏 1951年生まれ。1988年システム・インテグレーション設立,代表取締役に就任し現在に至る。現在40数社の顧問,NPO日本知的財産戦略協議会理事長,宇宙航空研究開発機構知財アドバイザー,日本特許情報機構理事,立教大学大学院講師などを務める。引き続いてJAXAの話である。筋書きは先月号と同じだ。
著者
帝国興信所 編
出版者
帝国興信所
巻号頁・発行日
vol.第20版(昭和7年), 1935
著者
白倉 一由
出版者
山梨英和大学
雑誌
山梨英和短期大学紀要 (ISSN:02862360)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.13-30, 1997-12-10

『源五兵衛おまん 薩摩歌』は『曽根崎心中』に次いで世話浄瑠璃二作目の模索期の作品である。時間的・空間的に近松の時代から離れた事件を題材にした作品なので、事件の真相は不明で、既成の僅かの歌謡又は西鶴の『好色五人女』巻五「恋の山源五兵衛物語」によってイメージを得、近松独自の世界を創造したのである。この期の近松は浄瑠璃から離れた観客を呼び戻すかに創作意図があった。浄瑠璃から離れた観客を引き寄せるには娯楽性・滑稽性・大衆演劇性がなければならない。この構想によって創作されたものが『源五兵衛おまん薩摩歌』である。従って特に構成を考えた作品である。二組の恋物語を複合する事によって、内容の展開を複雑にさせ、又歌舞伎のやつしなどの歌舞伎の方法を用いて観客に魅力を出そうとしている。主題は男女の誠実な恋であるが、エロスが極端に表現されている箇所があり、主題を分裂させているように思われる。人物は類型化されており、展開に現実性が希薄で、仮構された作品であり、『曽根崎心中』よりも後退した模索期の作品である。
著者
平川 真 森永 康子
出版者
対人コミュニケーション研究会
雑誌
対人コミュニケーション研究 = The Japanese journal of interpersonal communication (ISSN:21874433)
巻号頁・発行日
no.2, pp.19-30, 2014-03

本研究の目的は、間接的要求を使用することによって、使用者の目標は達成できるのかどうかを検討することであった。検討対象となった使用目標は、平川・深田・塚脇・樋口(2012)が整理した、他者配慮、応諾獲得、明確拒否の回避、印象管理、申し訳なさ伝達、の5つである。大学生80名を対象に、直接的要求、丁寧な要求、そして間接的要求によって頼み事をされるシナリオを用いた実験を行った。それぞれの目標の達成と関連する、感情、認知、行動意思を測定し、間接的要求を基準条件、直接的要求と丁寧な要求を比較条件とした条件間比較を行った。その結果、直接的要求と比べた場合、間接的要求の使用は応諾獲得以外の目標を達成することが示された。しかしながら、その効果は丁寧に頼む場合よりもおおむね低く、他者配慮、応諾獲得、印象管理に関しては、間接的要求よりも丁寧な要求を使用した方が目標を達成できることが示された。したがって、平川他(2012)が整理した目標の達成という観点からすれば、間接的要求ではなく丁寧な要求を使用することのほうが望ましいといえる。
著者
岸 玲子 伊東 一郎 石津 澄子 原渕 泉 三宅 浩次
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業医学 (ISSN:00471879)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.241-250, 1991-07-20
被引用文献数
5

メチルブロマイド(MB)の人体に対する影響についての報告は少なく,特に長期暴露の影響を適当な対照と比較して調べた報告はほとんど見られない.本研究は現場での健康管理やスクリーニングに役立たせる目的でMB作業者の自覚症状についてのケース・コントロール研究を行った.対象は某MB製造工場でMB取扱い歴のある者全員(56名)である.対照は同工場内に暴露歴のない作業者が少なかったため国鉄および関連企業の170名の中から性・年齢(±3歳以内)で1対1にマッチさせ選んだ.自覚症状77項目についてサインテストによりMB群と対照の比較を行った.作業者のMB取扱い歴は6.7±7.4年(Range:1〜25年)であった.MB作業者の平均年齢は40.6±14.0(Range:18〜62年)であった.サインテストによる対比較で有意の差が認められた質問項目別に訴え率をみると,作業中(当日や翌日)に見られた症状では「手がかゆい」,「刺激で鼻がつんつんしたり鼻水が出る」,「手に水疱ができたり赤くはれたりする」の各項目の訴えが多かった.最近(6か月以内)またはそれ以前の症状では「身体がだるい(最近)」,「立ち上がるとフラフラすることがある(以前)」,「食欲がない(以前)」,「いやな夢をよくみる(最近)」,「めまいがしたりぐらぐらする(以前)」,「指先や足裏の感じが鈍い,しびれる(最近・以前)」等の訴え率が高かった.現在MB取扱い者(37名)と過去にMB取扱い歴のあった(19名)を比較すると大きな差は認められず,同様の傾向を示したが,作業中の自覚症状では,「現在MB取扱い者」では前掲の3症状がいずれも対照に比べ有訴者が多かったものの,「過去取扱い者」では「手がかゆい」の項目のみ有意差が見られた.普段の症状では,逆に「現在取扱い者」のほうが有意差のあった項目が少なく,「めまいがしたりぐらぐらする(以前)」のみ有意であった(p<0.02).「過去取扱い者」では「つまずきやすい(最近)」,「いやな夢をよくみる(最近・以前)」,「身体がだるい(最近)」,「指先や足の裏がしびれる(最近・以前)」,「身体の感覚がおかしい(以前)」,「暗いところでは見づらい(最近)」の各項目でMBを以前に使用していた者のほうに強く症状が見られた.ケース群とコントロール群の病名の頻度に大きな差異はなく,年齢も±3歳以内でマッチしているので本調査で認められた自覚症状の出現頻度の差は,基礎疾患による差異や年齢による差とは思われず,MB長期暴露による影響の現われと思われる.現在MB取扱い作業者の尿中Br濃度は18.9±10.4μ9/mlであった.尿中Br濃度と暴露年数の間には関連は見られなかったが,暴露年数と自覚症状の間では有意の関連が認められた.
著者
本田 新九郎 富岡 展也 木村 尚亮 大澤 隆治 岡田 謙一 松下 温
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.1472-1483, 1998-05-15
被引用文献数
17

本稿では,3次元返想空間を利用した在宅勤務環境を提供する仮想オフィスシステムValentineについて述べる.Valentineは,地理的に分散したユーザをネットワーク上に仮想的に構築したオフィスに出勤させ,そこで他のメンバの雰囲気・気配を伝達し,コミュニケーションを支援するシステムである.物理的なオフィスは存在せず,ユーザはすべて仮想オフィスに通うことを想定している.遠隔地にいる他の社員の気配を伝達するために,「周辺視ビュー」および「効果音」を実現し,アウェアネスの提供を行った.またアウェアネスの過度な提供が効率的な個人作業の妨げとなることから,ユーザの「集中度」を定義し,集中度に応じたアウェアネス提供環境を実現した.集中度は「キーボード,マウスの利用頻度」「椅子を動かす頻度」という2つの要素からシステムで自動検出され,作業環境に反映される.評価実験を行った結果,気配の伝達および集中度に応じた環境の提供について,良好な結果を得た.In this paper,we describe a virtual office system named Valentine that provides a "work-at-home" environment based on 3D virtual space.Users can go to the virtual office built on network virtually,feel the existence of each other,and communicate with each other by using Valentine.We assume that we have no physical office and all members go to the virtual office.In order to transmit the feeling of other members' presence at the virtual office,we have realized "Around View" and "Sound Effect" for supporting awareness in Valentine.On the other hand,for avoiding too much awareness information that bothers workers,we have defined "degree of concentration" and provided appropriate office environment to workers according to their state.The degree of concentration is automatically detected from two elements "the frequency of key stroke and mouse use" and "the frequency of rotating a chair".The system evaluation demonstrated that we have gained a better result on transmitting the presence and providing an environment according to the degree of concentration.
著者
張 忠峰
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大学学術報告. 人文・社会 (ISSN:13433946)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.119-126, 2006-12-25

普段の生活の中で、<明日のこと>に関して、日本人は、なぜ「明日は日曜日です」と言うのに、同じ<明日のこと>でも、「明日は雨です」とはあまりに言わず、むしろ、「明日は雨じゃないかな」、「明日は雨かもしれない」、「あしたは雨ですって」といった言い方をよくするのか。実は、これは日本人の思惟方式と密接な関係があると思われる。本論では、かの有名なアメリカの人類学者Ruth Benedictの名作『菊と刀』と関連させて、日本人の思惟方式の形成について述べるとともに、その特殊性を浮き彫りにしながら、それが日本語の表現に如何に影響を与えたか、ということについて、日本語の肯定文を中心に説明する。本論の目的は、より日本語らしい日本語を身につけるためには、日本語の背後に存在する日本人の思惟方式を理解することが、中国人日本語学習者にとって、如何に重要であるか、ということを再提起するところにある。
著者
喜多 彩 中原 崇人 竹内 雅博 木野山 功 山中 堅太郎 峯松 剛 光岡 圭介 伏木 洋司 三好 荘介 笹又 理央 宮田 桂司
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.136, no.4, pp.198-203, 2010 (Released:2010-10-08)
参考文献数
13
被引用文献数
6

正常細胞に何らかの異常が生じると,生体は異常な細胞を修復あるいは除去することによって,その恒常性を維持する.また,正常細胞において,アポトーシスによる細胞死誘導機構が破綻すると,異常な細胞は除去されることなく,がんに代表される様々な疾患の引き金となる.アポトーシス制御に重要な因子の1つとして,IAP(Inhibitor of Apoptosis)ファミリータンパク質が知られており,これまでに8つのIAPファミリーが同定されている.IAPファミリーの中でも特にサバイビンは,発現抑制による細胞死誘導の他に,がん特異的発現,細胞の有糸分裂制御,そして既存抗がん薬の感受性を増強させるという点で注目を集め,がん治療のターゲットとして今日まで多くの研究がなされている.YM155はアステラス製薬株式会社で創製されたサバイビン発現抑制薬であり,各種ヒトがん細胞株に対して増殖阻害作用を示した.またヌードマウス担癌モデルにおいて,体重に影響を与えることなく腫瘍の退縮をともなう抗腫瘍作用を示した.siRNAやリボザイムによるサバイビンの機能抑制によって,既存抗がん薬の感受性が増強することが知られているが,YM155は既存抗がん薬との併用投与により,毒性の増悪化なく既存薬の薬効を増強させた.さらに,臨床で広く診断に用いられているpositron emission tomography(PET)を用いた評価においてはYM155の薬効が非侵襲的に検出でき,臨床におけるPET診断の有用性が確認された.以上から,YM155はサバイビン発現抑制作用により,がん細胞に対し選択的に抗腫瘍効果を発揮するユニークな新規抗がん薬となることが期待される.
出版者
沖縄県
巻号頁・発行日
vol.明治13年,
著者
望月 博之 藤澤 隆夫
出版者
日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.1166-1174, 2008
参考文献数
22
被引用文献数
2

【背景・目的】これまで未就学児の呼吸器症状の有症率についての検討は十分ではなかった.【方法】未就学児の母親を対象に,呼吸器症状の有症率等について全国規模のアンケート調査を実施した.【結果】発送数1375,有効回答数1168,有効回答率84.9%であった.最近1年間の呼吸器症状では鼻水・鼻づまりが最も多く,乾性咳嗽,湿性咳嗽,喘鳴の順であった.呼吸器症状による医療機関の受診率は高く,湿性咳嗽で91.9%,喘鳴で94.0%であった.いずれの呼吸器症状も8月に最も少なくなり,12〜3月の期間に最も多くなる傾向が認められた.呼吸器症状が悪化する時間帯は,乾性咳嗽と湿性咳嗽では寝入り後,喘鳴では深夜,鼻水・鼻づまりでは昼間が顕著であった.呼吸器症状の出現で困ることは,患児では「症状のために夜眠れなくなる」,保護者では「介抱のために夜眠れない」が多かった.【結語】未就学児の呼吸器症状の有症率は高く,季節的変動や夜間の悪化が認められ,低年齢児を取り巻く呼吸器症状の現状が確認された.