著者
武藤 大祐
出版者
群馬県立女子大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

サルドノ・W・クスモの活動をめぐって、インドネシアでの現地調査および国内での文献調査を行った。結果として比較的豊富な映像資料、詳細に記された活動履歴、文献を入手した他、多くの貴重な証言を得た。とりわけサルドノ本人の証言は、広く流布するサル・ムルギヤントの言説と食い違う部分が多く、アメリカのモダンダンスの影響よりもむしろインドネシアの政治・社会状況との深い連関をふまえた、より内在的な歴史記述の可能性が見えてきた。
著者
川端 輝江 兵庫 弘夏 萩原 千絵 松崎 聡子 新城 澄枝
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.161-168, 2008 (Released:2009-01-30)
参考文献数
27
被引用文献数
2 6

女子大学生25名を対象として,7日間の食事調査を実施し,積み上げ法によるトランス脂肪酸摂取量を計算した。さらに,そのうちの特定の1日を選び,調査者側で食事を再現した。得られた食事サンプルはフードカッターで細砕し均一化後,脂質およびトランス脂肪酸含有量を分析した。計算,あるいは実測から求められた総トランス脂肪酸摂取量の平均値(±標準偏差値)は,それぞれ,0.95±0.31 g,1.17±0.84 gであった。総トランス脂肪酸摂取量の分布は正の歪度を示し,はずれ値が1名(2.82 g),極値が2名(3.13 g,3.27 g)であった。若年女性のトランス脂肪酸摂取量はWHOの基準値であるエネルギー比率1%未満を下回っており,したがって,トランス脂肪酸摂取の血清脂質に対する影響は懸念されるものではないと考えられる。しかしながら,トランス脂肪酸を高濃度に含む加工食品を摂取することで,1日のトランス脂肪酸摂取量が予測の範囲より高くなる可能性のあることが明らかとなった。
著者
石原 寿
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
no.70, pp.1-14, 1964-01-25

丹沢山塊は主として中央部の石英閃緑岩休とそれをとりまく緑色凝灰岩の厚さ約10,000mにおよぶ中新統からなる。この中新統は丹沢層群と愛川群に大別される。丹沢層群の岩相は比較的塩基性からより酸性の火山活動への推移を示し,層厚は,中心部できわめて厚く,南・北へむかっていちぢるしくうすくなる傾向を示し,地向斜堆積層の性格をよくあらわしている。この中心部に石英閃緑岩の貫入をうけている。この層群にみられる東西性の褶曲構造は,石英閃緑岩体の形態とよく調和しており,造山時深成岩活動を表現している。またこの層群にみられる東西性の断層は地向斜の沈降期のものと上昇期のものにわけられる。愛川層群の岩相は塩基性・中性の火山活動をあらわしており,層厚は,調査地において,北にうすく南にあつい傾向を示し,山塊の縁辺部に発達している。丹沢層群にみられるような東西性の褶曲構造や断層構造はみとめられない。丹沢山塊の中新統にみられる造山運動の経緯は,丹沢層群堆積の中央部沈降の時期から石英閃緑岩体の貫入をともなう中央部上昇の時期にうつり,それとともに沈降の中心は縁辺部にうつって,愛川層群の堆積をもたらしている。この沈降地域の移動は,丹沢層群の下部から上部への層厚の変化,中・下部が火山岩類からなり,上部に泥岩・砂岩・礫岩をともなうという岩相変化,丹沢層群の中・下部に脈岩をともない上部には欠けていること,愛川層群中・下部が火山岩類堆積物であり,脈岩をともなっていること,つまり火山活動の中心部が移動していること等で論理づけられる。愛川層群堆積後,山塊全域の上昇があり,その後,小仏層群が山塊に衝上し,藤ノ木一愛川断層を形成している。
著者
長野 順子
出版者
東京大学文学部美学藝術学研究室
雑誌
研究 (ISSN:09163379)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.127-155, 1984-03-25
著者
小林 紀子
出版者
小田原短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:03860892)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.85-93, 2007-03-25
著者
久保良英 述
出版者
目黒書店
巻号頁・発行日
1913
著者
TAKASHI GAKUHARI HAJIME KOMIYA JUNMEI SAWADA TOMOKO ANEZAKI TAKAO SATO KENICHI KOBAYASHI SHIGERU ITOH KOICHI KOBAYASHI HIROYUKI MATSUZAKI KUNIO YOSHIDA MINORU YONEDA
出版者
日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (ISSN:09187960)
巻号頁・発行日
pp.150309, (Released:2015-06-11)
被引用文献数
3 10

Two complete dog skeletons were recovered during archeological excavations from 1961 to 1970 at the Kamikuroiwa rock shelter, a site that yielded a series of cultural entities from the Late Pleistocene, Incipient Jomon, and Early Jomon periods. Since two dogs were buried close to human skeletons, it was thought that these dogs had been buried by Jomon people, and hence provided the oldest direct evidence of Canis domestication in Japan. However, the stratigraphic information and archeological contexts of these dog skeletons are incomplete due to the lack of detailed excavation reports and technical limitations of excavations at this site. Because the date of the dog burials has not been fully discussed in the context of modern chronology or recent discussions on Canis domestication, we directly measured radiocarbon ages and stable isotope analysis on two dog burials and one set of human remains from the Kamikuroiwa rock shelter. These data are important for reconstructing the relationship between humans and dogs in the Jomon period. Our results show that the human thought to have been buried with the dogs was assigned to the middle Initial Jomon period (8977–8725 calBP), whereas, on the other hand, dates for the dog burials are very close to each other and were assigned to the latest Initial Jomon or the initial Early Jomon periods (7414–7273 calBP). Although these results are not consistent with previous archeological interpretations for this site, they remain important because these two dog burials are among the oldest evidence of Canis domestication in East Asia.
著者
落合 知美 綿貫 宏史朗 鵜殿 俊史 森村 成樹 平田 聡 友永 雅己 伊谷 原一 松沢 哲郎
出版者
Primate Society of Japan
雑誌
霊長類研究 (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
2015
被引用文献数
2

The Great Ape Information Network has collated and archived information on captive chimpanzees within Japan since 2002. As of July 1<sup>st</sup>, 2014, a total of 323 chimpanzees were housed within 52 facilities across Japan, all registered in the Japanese Association of Zoos and Aquariums (JAZA) studbook. JAZA has recorded information on captive chimpanzees within Japan since the 1980s. However, for individuals unregistered and/or deceased prior to this period, JAZA holds scant information. There are very few surviving reports on living conditions and husbandry of such individuals, particularly for the years preceding the Second World War (WWII) (up to 1945). Here we present the first detailed history of captive chimpanzees in Japan before WWII, following a systematic investigation of disparate records. The first record of any live chimpanzee within Japan was a chimpanzee accompanying an Italian travelling circus in 1921. The history of resident captive chimpanzees in Japan began in 1927 when a chimpanzee, imported into Japan by a visitor, was exhibited in Osaka zoo. In the 1930s, many chimpanzee infants were imported to Japanese zoos until in 1941 imports were halted because of WWII. By the end of WWII, there was only one single chimpanzee still alive within Japan, "Bamboo", housed in Nagoya. In 1951, importation of wild chimpanzees into Japan resumed. In total, we identified 28 individuals housed within Japan before 1945, none listed previously in the JAZA studbook. Of these 28 individuals: 6 entered Japan as pets and/or circus animals, 21 were imported to zoos, and one was stillborn in zoo. Of the 21 zoo-housed individuals, 7 died within one year and 9 of the remaining 14 were dead within 5 years of arriving in Japan. Four individuals are recorded to have lived 7-8 years. Only one male individual, the aforementioned "Bamboo", lived notably longer, to about 14 years.
著者
鈴木 重忠 能登谷 晶子
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.257-263, 1993
被引用文献数
6 5

主として重度聴覚障害児の言語指導法の確立のために, 私どもが20余年前から開発してきた金沢方式 (従来の聴覚-口話法に加えて, 文字や手指言語をも早期から指導する) に関する研究結果を総括し, 金沢方式を支持する先人の見解や最近の文献を紹介した.その結果, 次の原則を得た.1) 手指や文字言語も健聴幼児が音声言語を発達し始める時期とほぼ同時期から発達させることが可能.2) 音声・文字・手指言語モダリティ間の機能移行が可能であり, かつ多様の移行ルートを持つ.したがって, 3) 早期から親子間のコミュニケーションを成立させ, 音声言語の発達を促進するためには, 文字や手指言語を早期から活用することが必要.4) 個々の聴覚障害幼児と発達の特性を考慮した言語指導法の選択が重要.また, 聴覚障害幼児の言語指導と人工内耳や聴能の鑑別との関連および聴覚障害幼児の選別システムなどについての将来展望を述べた.
著者
服部 英治
出版者
日経BP社
雑誌
日経ヘルスケア (ISSN:18815707)
巻号頁・発行日
no.255, pp.95-97, 2011-01

O耳鼻咽喉科診療所には開設以来、職員が独自に始めた互助会制度がある。一方で診療所も慶弔見舞金規定を設けており、一部の職員からは「互助会制度は不要ではないか」という声が強まってきた。院長のO氏は制度の廃止について、顧問の社会保険労務士に相談した。(編集部)O院長 新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
著者
南部 春生
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, 2005-07-01

子どもたちはさまざまな「しぐさ」で自分の心のうち, ときにはSOSを親や大人たちに発信しています. とりわけ乳幼児期は情緒の発達がめまぐるしく分化し, 端的にいえば快適な刺激で微笑み, 喜び, 甘え, 不快な刺激には不満, 怒り, 恐れの表現を示し, その程度はさまざまです. もし, 自分の今の思いを「しぐさ」や「ことば」で表現できないときは, むしろその心のうちとは逆の「しぐさ」「ことば」で表現することにもなり, その場合には成長とともに自己表現をなしえないままに積み重なって, 気になる行動, 長じては不登校, 行為障害などの表現が"これも「しぐさ」"で, 親, 大人に訴えてくるはずです. 本書は2部で構成されており, 第一部は子どもの心は「しぐさ」にあらわれるとし, その「しぐさ」の1つが"子どもが意図的に出すしぐさ"つまり相手に何かを伝えたい, 察してほしいときに出すしぐさです. もう1つは"無意識に出すしぐさ'であり, 例えば「チック」などはその代表的なもので, 子ども自身は出そうとして出しているのではないのですが, それはSOSの表現であることがたびたびあるのです. しかも親, 大人にはよくわからない「しぐさ」のあること, それを理解するには一日の生活の中で子どもとゆっくり向き合う「ゆとり」があまりにも少なく, むしろその忙しさにより叱りつけたり, 聞き出しすぎたり, 放っておいたりで, まったく「しぐさ」をつかみ, 理解するに至らないことが多いことを指摘しています. その意味でも親, 大人たち, 特に子どもにとっては話をしやすい, 甘えやすい母親が節目節目で, 例えば一日の生活では朝食時, 元気に遊んでいるとき, 夜食, 寝るときにもう少しゆっくり優しく向き合うこと, またいつもと違うなということを, いろいろの生活部分ですぐに感じとる必要のあることが強調されています. 第2部では「しぐさ」の代表的なものを40アイテム用意し, このすべてをわかりやすいイラストで表現し, その中で子どもが"どんな気持ちなのか"を洞察し, "どうすればよいか"について解説しています. その「しぐさ」としては"やたらと「甘える」", "自分からやろうとしない", "反抗的な態度をとる"……"集中力がない", "不登校となる"などが取り上げられています. 特に愛情の表現ともいわれる「甘える」は物欲しげな態度, 例えば, おっぱいがほしい, ごはんを食べさせてほしい, そばにいてほしい, 遊んでほしい, 一緒に寝てほしい, と多彩で, またこれらは, 下の子の妊娠, 出産の際にも赤ちゃん返りの表現としてよく出してくるもので, それをそのまま優しく許すことでむしろ子どもは安堵し, 健やかな心とからだの成長発達が期待できるのです. 本書は「しぐさ」をテーマにその内容の深さを知るのには格好の参考書であり, 親, とりわけ母親, また多くの大人たち, 児童精神科医, 子どもの心身医学医, そして一般の小児科医にとっても子どもと対応する場合の術を学ぶことができ, また, 少しでも多くの時間を費して, 子どもの「しぐさ」を理解することの重要性を示唆している好著といえます.