著者
高橋 大地 鈴木 秀男
出版者
一般社団法人日本品質管理学会
雑誌
品質 (ISSN:03868230)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.139-145, 2005-01-15

国民的人気を得たプロ野球も,現在その球団経営は大きな岐路に立たされている.プロ野球チームは現在まで親会社の広告塔としての役割が強かった.しかしながら,近年の不況の中,親会社に頼って赤字経営を続けることは難しい立場となり,自立を迫られるようになってきている.このような状況の下,プロ野球界はファンと球団の距離を縮めるためにマーケティングとプロモーションをもっと有効に活用すべきであり,顧客であるファンの要望を把握することが重要であると考えられる.本研究では,従来のサービス品質,顧客満足度,ロイヤルティの研究を踏まえて,プロ野球チームに対するロイヤルティと満足度に関する調査研究を行う.具体的には,ファンの意識や要望を把握するために,特定のプロ野球チームを応援しているファンを対象にアンケート調査を行い,プロ野球チームに対する愛着心(チーム・ロイヤルティ)や満足度にどのような要因がかかわっているのか,また,ファンが球団に対して何を望んでいるのかを,因子分析,共分散構造分析,そしてテキストマイニング手法を用いた解析によって検証する.
著者
塚 佳織 山本 信次
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 = Journal of Rural Planning Association (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.231-236, 2010-02-28
参考文献数
4
被引用文献数
2

Currently, revitalisation of communities is a common issue both in urban and rural areas in Japan. Social capital (SC) has beenattracting attention as a key to solve this problem and this study focuses on festivals that are common community resources both to urban and rural areas. The research target is 'Kenka Tanabata Festival' of Kesen Cho, Rikuzentakata City in Iwate Prefecture. Ananalysis is made in the perspective that new SC is formed and existing SC is reinforced during the process of attempting tosupplement necessary human and economical resources within and from outside the community.
著者
梶原 羊一郎
出版者
静岡大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

勝負手探索の理論的考察を深め,従来の相手モデル探索[Iida 1993]で必要とされる相手プレイヤに関する詳細なモデルが得られない状況でも勝負手探索が可能となるアルゴリズムを考案した。ここでいう相手の詳細なモデルとは,相手の棋風に相当するが,対戦者が計算機である場合には,評価関数や先読みの深さなどを意味する。主たるアイデアは,最善応手手順周辺の探索ノード数が最大化するようにすることで局面の複雑化をはかることである。AND/OR木探索の視点では,証明数が大きな値となるような変化に誘導することに相当する。こうすることで劣勢において,相手は最善を選択するのが最も困難な状況になることが期待できる。複雑なゲームでは,提案するアイデアを適用することで,特別な相手のモデルを得ていなくても,自然な意味での勝負手を行うことができる。これまで劣勢の大小に関係なく,通常のミニマックスのセンスで着手を選択すると,全体的レベルにそぐわない奇妙な指し手を選ぶのが計算機の大きな特徴の一つであった。しかし,今回の研究成果により最後まで勝負手を放ち,計算機が人間エキスパートのような振る舞いを示すことが可能となったと言える。通常の意味での探索アルゴリズムや評価関数の調整を実施して将棋プログラムを作成し,世界選手権などに参加し,その成果を評価した。世界大会で二次予選を2位で予選通過し決勝へと進むことができた。たくさんの試合を行う大会では,優勢な試合を確実に勝ち,劣勢において逆転の可能性を最大化することが欠かせない。そのような意味で,大会の成果は本提案アイデアの有効性を示している。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.427, pp.72-73, 2007-07-13

今年も熱中症が気になる季節がやってきた。1997〜2005年の熱中症による労働災害は,死亡事例だけで毎年約20人前後。その約4分の3は建設業で発生している。 熱中症の原因となる熱ストレスは気温によるものだけではない。気温があまり高くなくても,湿度が高いと熱中症が発生しやすい。
著者
片桐 俊彦
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

気象庁から提供されている緊急地震速報は遠方地域を緒言とする地震情報を他の地域に早期に知らせる事で各所到達するまでの時間を有効利用することで防災行動時間が稼げる。一方、直下型地震では被害が甚大になり、緊急地震速報を有効活用できないケースが多々ある。そこで、人的被害の回避を少しでも考える観点に立つと、特に生活空間レベルにおいて早期の緊急予報を出せる状況が望ましく、仮に緊急地震速報が得られなくともパソコンから情報を得られる事で対処すべき危険回避行動が可能となる。以上の事項を踏まえ、近年普及率の高い一般的なパソコンを用い、MEMS型加速度計を利用して、初期微動を感知した時点でパソコンからトリガー信号を発信、制御回路を経由して危険回避モデルへの信号伝達を行い、主要動到達までは地震予報装置としての活用(パソコン内での音声による警戒宣言・非常灯の点灯・モーターなどの振動)、また直下型地震が発生した場合は電気系統制御(電磁石などで机の上の物が飛ぶ等防御)を即を行うことを軸に、1台のパソコンで無人地震観測(地震観測データの蓄積と解析)と並行して、地震時に警報や危険回避動作を行うシステム開発(制御ソフト・危険回避モデル等の製作)を行った。実際にはパソコンとAD変換器を通じた加速度計からの地震波(初期微動)情報を得て、パソコン内での開発ソフトによる地震発生の警告音声出力を行うと同時に危険回避モデルに無線信号伝達し、制御回路を介して危険回避モデルを起動する。以上の事柄についてシステムを組み上げ、実際に動作確認を行い、目的通りの一連の動作が確認できた。今後目的を絞り、危険回避モデルを如何に有効的に利用するかの検討・研究を継続したい。この研究では汎用性があり社会にも貢献できる有用なシステム構築が達成でき、これを土台に更なる研究を重ね利便性を高めたい考えである。
著者
古賀 佑彦
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.39-42, 1989 (Released:2010-02-25)
参考文献数
8
著者
中本 敦 佐藤 亜希子 金城 和三 伊澤 雅子
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.45-53, 2011-05-30
参考文献数
28
被引用文献数
1

沖縄島におけるオリイオオコウモリPteropus dasymallus inopinatusの個体数の長期モニタリング(2000年から実施)において、近年個体数の増加傾向が見られた。調査はルートセンサス法を用いて、沖縄島の都市部と森林部の2ヶ所で行った。都市部では2001年9月から2009年8月に、森林部では2004年と2008年の2年間調査を行った。両調査地ともにここ4〜8年間の間で個体数がおよそ3倍に増えていた。またこの目撃個体数の増加は全ての季節で見られた。これらの結果は、オリイオオコウモリの目撃数の増加が空間的な偏りの変化ではなく、沖縄島個体群自体の増大を意味するものであることを示す。沖縄島に接近した台風の数は2005年以降減少しているが、これは個体群の成長率の上昇のタイミングと一致していた。以上のことから沖縄島のオリイオオコウモリの個体群サイズは台風による攪乱頻度によって調節されている可能性があることが示唆された。今後、地球温暖化により台風の攪乱が不規則になると、本亜種の個体数変動が不安定になり、個体数増加による農業被害の拡大とともに地域個体群の絶滅が起こる可能性が高まることに注意する必要がある。
著者
和知 剛
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
no.65, pp.16-20, 2003-06

Wachi, Tsuyoshi
著者
村上 信一郎
出版者
イタリア学会
雑誌
イタリア学会誌 (ISSN:03872947)
巻号頁・発行日
no.25, pp.88-104, 1977-03-20

Mussolini, che era stato uno dei capi piu prestigiosi del partito socialista dopo il congresso di Reggio Emilia nel 1912 divenne poi ardente interventista durante la prima guerra mondiale e piu tardi fondo a Milano i Fasci italiani di combattimento, e cioe nel marzo 1919. Cosi si avverte sensibilmente il mutamento della posizione di Mussolini, il quale pero, si deve notare, rimaneva sempre nei limiti del socialismo, in un senso che solo Mussolini gli voleva dare. Per articolare precisamente tale mutamento mussoliniano nella posizione di "sinistra", l'Autore analizza le tracce della sua concezione della religione, rappresentata in particolare come anticlericalismo, prendendo il fatto che per gli uomini di "sinistra" del suo tempo l'anticlericalismo si presentava come un minimo comun denominatore. Con cio l'Autore conclude che la svolta ideologica di Mussolini consiste in una risposta al programma dannunziano per una insurrezione e relativa marcia, la cui data si puo collocare all'incirca il 25 settembre 1920. Questo non significa immediatamente il semplice rovesciamento della sua posizione in un senso reazionario, ma la realizzazione dell'inserimento per Mussolini stesso nel gioco politico-parlamentare a livello nazionale, per cui fin dall'inizio si verificava una frattura profonda fra il fascismo-movimento o fascismo rurale squadristico e il fascismo di Mussolini.
著者
松戸 宏予
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.410-422, 2013-03-01

英国を構成するイングランドの大学49校のサイトを対象に,大学図書館の特別な支援の傾向と特徴を明らかにすることを目的とする。結果として,特別な支援の傾向として(1)図書館の日常業務を基本にした人的支援,(2)障害特性を考慮したソフトの分散提供,(3)支援テクノロジーツールによる学習環境整備が挙げられた。また,特徴として,人的支援では個のニーズを尊重した支援,支援テクノロジーソフトの提供では合理的配慮にもとづいた支援,学習環境整備では障害種別により提供ツールが異なることが挙げられた。
著者
柴田 松太郎
出版者
地学団体研究会
雑誌
地学教育と科学運動 (ISSN:03893766)
巻号頁・発行日
no.41, pp.43-48, 2002-11-05
被引用文献数
3
著者
佐藤 孝和 黒川 信重 川内 毅 田口 雄一郎 黒川 信重 川内 毅 田口 雄一郎
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ペアリングに基づく楕円暗号に特有の解読法としてペアリング反転を解く方法が知られている。本研究ではヴェイユペアリングの反転写像の明示公式を与えた。この式は密な有理式であり、このペアリング反転公式をそのまま計算してしまう方法に対してはペアリングに基づく楕円暗号は安全であることが示された。また、ペアリングに基づく暗号に適する超楕円暗号をペアリングに基づく暗号に適さないある種の楕円暗号から構成する方法を開発した。
著者
林 衛
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.311-316, 2004
参考文献数
14

研究者コミュニティのなかで日々みられるインフォーマル・コミュニケーションに加えて,いま,研究者コミュニティと社会全体とのインフォーマル・コミュニケーションが求められるようになってきているのはなぜだろう。それは,基礎研究(科学)はやがてその応用である技術を通して社会に還元されると考える「リニアモデル」優位の時代が終焉を迎え,また,市民の無知を前提とした「欠如モデル」が見直されているからだ。両者に代わる双方向コミュニケーションとして,産学連携および狭義の科学コミュニケーションの充実が必要となる。たんにわかりやすいだけでなく,科学を広く深く魅力的に表現するサイエンス・ライティングの理論化も進んでいる。