3 0 0 0 IR 菅野惟肖考

著者
滝川 幸司
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
no.39, pp.188-145, 2011-03

『菅家文草』に道真との贈答が見される菅野惟肖について、伝記考證を中心に考察を加えた。道真の交流を明らかにするとともに、平安前期の儒者のあり方を追求するためである。策判、日本紀講書・竟宴、道真との贈答、太政大臣職掌問題について論じた。
著者
高橋公海 佐藤進也 松尾真人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告データベースシステム(DBS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.24, pp.1-6, 2013-07-15

Web 上の blog 記事や Twitter などのテキストには,日常生活における人々の行動や出来事と,その繋がり (行動パターン) が記述されている.それらのテキストデータを元に行動パターンをモデル化することが出来れば,人間の行動や思考の予測が可能となり,ユーザに対して状況に即した行動提示 (ナビゲーション) や推薦,といったコンテキストアウェアサービスへの応用が見込まれる.とり得る行動は状況により異なるため,モデル化する際にはどのような状況において成立する行動パターンであるかを考慮することが望ましい.そこで本稿では,blog 記事集合を対象として,キーワードに関連する状況毎に文書集合をクラスタリングし,文書集合全体から推定した行動パターンの頻度と,クラスタ内の文書集合から観測される頻度の差を利用して重み付けすることにより,状況に依存した行動パターンを抽出する手法について検討を行った.実験では,本手法を用いて blog 記事集合から抽出した状況ごとの行動パターン例についても報告する.The ability to understand our daily behaviors has long been regarded as enabling a variety of useful applications(e.g. activity-based actuation, recommendation). In this paper, we present an approach to extract context-dependent human behavior models from weblogs. At first, we apply clustering method to weblogs, and then extract important behavior patterns from each cluster using word frequency. We estimated our method by experiment and made sure the effect of it.
著者
安村 典子
出版者
京都大学西洋古典研究会
雑誌
西洋古典論集 (ISSN:02897113)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.22-37, 2010-03-28

The motherless goddess Athene is more like a man than a woman; or, as J. Harrison suggested, she is rather a sexless thing, neither man nor woman. She appears as an equal to Zeus, and shares several qualities with him, including intelligence. The most telling, and curious, correlation is their sharing of the aegis. The phrase 'aegis-bearing' (αἰγιόχος) is one of Zeus' most common epithets, and the aegis itself is made by Hephaestus for Zeus in the Iliad (15.309-10). However, in the Chrysippus fragment, Metis makes the aegis for Athene. Also, in the fragment of the Meropis, the aegis is made by Athene herself from the skin of the Giant Asteros whom she killed in the Gigantomachy. In the Iliad, Athene wears the aegis to encourage the Achaeans (2.450-2 and 5.738-42) and to fight with Ares (21. 400-414); she also casts it over Achilles' shoulder (18.203-4). Two of these passages, 5.738-42 and 21.400-414, in particular merit our attention for their connection with Zeus. In these two passages, Ares' challenge is quite easily beaten off by Athene, who is backed up by Zeus' aegis. By giving birth to Athene, Zeus acquires a counterpart who fights on his side and as his deputy, defeating his son, Ares, who might prove a challenger to his power. It is a marker of Athene's functional affinity to Zeus that, as Zeus becomes more remote from human beings, she eventually replaces him as the chief guardian of the state and people. Athene is the symbolic representation of the rule of Zeus; she is the symbol of a new kind of state, or of the cultural renewal of Zeus' world. The concept of a strong alliance between Zeus and Athena fits perfectly both with Panhellenic ideals and Greek societal and moral norms, thus ensuring the continued popularity and success of Homer and Hesiod. The sharing of the aegis between Zeus and Athene could be interpreted in this context.
著者
一森 哲男
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.3127-3135, 2009-12-15

人口に比例して議員定数を配分することは一見簡単な問題と思えるが,実は意外と難しい.この問題はアメリカ合衆国憲法に記載されているが,200年以上にわたり議論が続いており,解くことのできない問題ともいわれている.しかしながら,現時点では,この問題はヒル方式かウェブスター方式で解かれると考えられている.両方式間の最大の争点は,大州と小州間の配分議席数による偏りである.どちらの配分方式がより小さな偏りを与えるのか.本論文では,従来の考え方の矛盾点を明らかにし,新しい考え方により,ヒル方式だけでなくウェブスター方式も絶対的に小州に有利なこと,さらに,従来の定説どおり,ヒル方式がウェブスター方式より相対的に小州に有利なことを示し,ウェブスター方式の優位性を与えた.The problem of assigning seats in the U.S. House of Representatives based proportionally on the population of states is seemingly simple but to solve it is not. The U.S. Constitution poses this apportionment problem and the issues of which is the best method have been debated for more than 200 years. In fact, it might be considered to be unsolvable. However, at least at this moment, only one of Hill's and Webster's methods is believed to solve the apportionment problem. First it is shown that both methods favor the small states in our model, which appears to disagree with an established opinion. Since Hill's method favors the small states more than Webster's also in our model, the author's conclusion is that Webster's method is the best, which is outwardly the same as Balinski and Young's assertion.
著者
大西 裕 品田 裕 曽我 謙悟 藤村 直史 高橋 百合子 稲継 裕昭 遠藤 貢 川中 豪 浅羽 祐樹 河村 和徳 仙石 学 福島 淑彦 玉井 亮子 建林 正彦 松本 俊太 湯淺 墾道
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、選挙ガバナンスが民主政治に与える影響を、比較政治学的に解明しようとするものである。本研究は、国際比較と日本国内の自治体間比較を通じて、選挙管理という研究上の大きな空白を埋める。調査結果、常識的見解と異なる二つのことが明らかになった。第1に、選挙の公平性、公正性は、国際的に推奨される選挙管理機関の独立性のみでは達成できず、より複雑な扱いが必要である。第2に、日本では選挙管理委員会の業務は画一的で公平、校正であると考えられてきたが、委員会や事務局の構成のあり方によって大きく左右される。それゆえ、市区町村によってバリエーションが発生している。
著者
藤崎 英一郎 太田 和夫 岡本 龍明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ
巻号頁・発行日
vol.93, no.208, pp.7-21, 1993-08-30
被引用文献数
2

電気通信システムで選挙を行なえる、投票所を用いた電子無記名投票方式を提案する。本方式では、投票者は自分の投票内容が選挙の集計結果に正確に反映されていることを個人毎に確認でき、反映されていない時は、無記名性を保持したまま、第三者が納得できる公開手順で、異議を申し立てることが出来る。本方式は、投票所を利用した「電子投票システム研究会」提案の電子投票方式[1]の安全性を高めることができる。また、本方式は仕様が公開であり、かつプログラムバグや、選挙管理者のような内部の者による集計値の改ざん、水増しの不正も検出できるので、市民の総意が得られやすいと思われる。
著者
安永 一典
出版者
宝塚造形芸術大学
雑誌
Artes : bulletin of Takarazuka University of Art and Design : 宝塚造形芸術大学紀要 (ISSN:09147543)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.37-56, 1996-03-31

イギリスのヴィクトリア時代,そのデザインは過去のデザイン,即ち古典主義,ゴシック,ルネサンスやロココ等のリバイバルが主たるものであったが,一方ではモダン・デザインの模索がなされるといった混迷の時代でもあった。20世紀に残されたそれらのデザインを,その体験若は如何に考え共存させていたのか。本稿では背景としてヴィクトリア期のデザインを屡々描くアガサ・クリスティの小説の中からそれらを探り,検索を試みたものである。
著者
田中 法生 福田 陽子
出版者
国立科学博物館
雑誌
筑波実験植物園研究報告 (ISSN:02893568)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.53-58, 1999-12

筑波実験植物園において,サクラソウの遺伝的多様性を維持できる自生地外保全のための基礎データを得るために,園内3カ所のサクラソウ個体群の自然交配による結果率,種子生産量を調査した。これらを自生地2カ所のデータと比較したところ,送粉者が制限され種子生産量が低いと報告されている田島ヶ原の個体群よりも多く,送粉者が多く種子生産量が高いと報告されている北海道の個体群と同程度であることが示された。園内での種子生産は,送粉者の豊富な自生地と同様の良好な状態と評価できる。また,園内において何らかのマルハナバチ類が頻繁にサクラソウを訪花したことが推測された。今回,サクラソウを訪花するマルハナバチ類は確認できなかったが,園内の他の植物に訪花する2種類のマルハナバチ,コマルハナバチとトラマルハナバチが観察された。
著者
福田 陽子 田中 法生
出版者
国立科学博物館
雑誌
筑波実験植物園研究報告 (ISSN:02893568)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.13-18, 2000-12

筑波実験植物園において,サクラソウの遺伝的多様性を維持できる自生地外保全のための基礎データを得るために,サクラソウの主要ポリネーターであるトラマルハナバチによる,春から秋にかけて園内で開花する植物への訪花状況を調査した。その結果,4月下旬から10月上旬までトラマルハナバチが利用する14種類の植物が連続的に開花し,花蜜及び花粉収集行動が観察されたことから,トラマルハナバチが恒常的に活動を行い,コロニーの生活史を全うするのに良好な環境であると評価できた。7月中旬から8月中旬の気温の高い期間に,マルハナバチの減少がみられたが,これは園内の花資源の不足ではなく,夏の高温が原因と考えられた。また今回,サクラソウでビロードツリアブによる花蜜収集が観察されたが,トラマルハナバチの訪花は観察されなかった。しかし花弁に見られた多数の爪痕はマルハナバチ類の訪花の可能性を示した。
著者
佐藤 翔
巻号頁・発行日
pp.1-34, 2009-07-09

平成20年度CSI委託事業報告交流会(コンテンツ系)
著者
室井 研二
出版者
香川大学
雑誌
香川大学教育学部研究報告. 第I部 (ISSN:04549309)
巻号頁・発行日
vol.126, pp.1-16, 2006

2003年7月19日〜20日にかけて九州一帯を記録的な集中豪雨が襲い、福岡県太宰府市、飯塚市、熊本県水俣市等で甚大な被害が発生した。以前、筆者はこの災害について太宰府市を対象に調査する機会を得た。その一応の成果は室井(2005)でまとめたが、その後、調査対象地に飯塚市を加え、現在は両地域の比較を念頭に置きつつ調査を継続している。本稿では両地域がこの災害でどのような被害を受け、どのように対応し、現在どのような復興状況にあるのかを概観する。調査データの整理と記述を主眼とした作業論文であるが、最終節では両地域における地域防災の課題について社会学的な観点から論及してみることにしたい。