著者
荒井 紀一郎
出版者
中央大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、選挙における「雪崩現象」のメカニズムを実験によって明らかにすることであった。実験の結果、多くの有権者は自分が少数派になる危険性を認識すると、それまで有していた政策選好とは異なっても多数派に従う傾向にあり、選挙を繰り返すことで、「選挙に勝つ」こと自体が有権者の投票目的になる可能性があることが示された。このことは、定期的に選挙を行うという現代の選挙民主主義システム自体が、「雪崩現象」を引き起こしやすくさせるメカニズムを有していることを示唆している。
著者
菊田 怜子 牟田 博光
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.177-185, 2001-12-20

国際化が急速に進む中,小学校においても,2002年度から外国語会話を教えることが可能になった.このことより,英会話活動を行う公立小学校が増加するものと予想される.そこで,本論文では,公立小学校での英会話活動の効果を高める要因を明らかにすることを目的とする.英会話活動に携わっている公立小学校の学級担任を対象として,郵送による質問紙調査を行い,共分散構造分析を行った.その結果,教師とALT(英語指導助手)の指導上の相互理解はALTの指導行動に影響を与え,児童にALTへの親近感を持たせる指導行動が,英会話活動の効果を高めることが示された.さらに,ALTが児童に英語を多く聞かせる指導行動は,児童の英会話活動への楽しさやコミュニケーション態度の育成を抑制することが明らかになった.
著者
坂田 奈々絵
出版者
上智大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

シュジェールの文書についての読解をすすめると同時に、シュジェールや同時代人たちの祭儀とそれにまつわる装飾観について、当時の資料を参照し、研究を進めた。加えてビザンツから擬ディオニュシオス文書がどのような形でパリへと伝播したのかという点について、主に翻訳史と祭儀における聖歌について着目した研究を行い、それを早稲田大学の中世ルネッサンス研究所にて発表した(6月)。またシュジェール研究の現在の世界的状況についてのまとめを、西洋中世学会にてポスター発表し(同月)、意見交換や幅広い交流の場を得た。8月から9月にかけて、イル=ド=フランス及びノルマンディ地方のゴシック建築群、またクリュニー修道院をはじめとしたブルゴーニュ地方のロマネスク-ゴシック過渡期における修道院建築/思想についての実地調査を行った。またそれと並行して、先の「祭儀」と「装飾」の関係性を中心とし、パリにて資料収集を行った。同時に、先年度に教父研究会にて発表した、サンドニ修道院における擬ディオニュシオス文書の受容とシュジェールのテキスト分析について資料等で補完し、雑誌『パトリスティカ』にて発表した。また12月には教父研究会・上智大学共生学研究会が共催する三日間にわたるシンポジウム「闇-超越と認識」の企画、運営をおこなった。3月には彼の同時代人であるクレルヴォーのベルナルドゥスの「清貧」に対する思想との対比について、単に「財貨」の問題だけではなく、そこには「祭儀」をそのようなものとして見るかについての違いがあったのではないか、と仮定し、原典と補助的な先行研究に基づいた研究を進めた。その結果については、美学会東部会にて発表、意見交換を行った。
著者
高橋公海 佐藤進也 松尾真人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 情報学基礎研究会報告
巻号頁・発行日
vol.2013, no.24, pp.1-6, 2013-07-15

Web 上の blog 記事や Twitter などのテキストには,日常生活における人々の行動や出来事と,その繋がり (行動パターン) が記述されている.それらのテキストデータを元に行動パターンをモデル化することが出来れば,人間の行動や思考の予測が可能となり,ユーザに対して状況に即した行動提示 (ナビゲーション) や推薦,といったコンテキストアウェアサービスへの応用が見込まれる.とり得る行動は状況により異なるため,モデル化する際にはどのような状況において成立する行動パターンであるかを考慮することが望ましい.そこで本稿では,blog 記事集合を対象として,キーワードに関連する状況毎に文書集合をクラスタリングし,文書集合全体から推定した行動パターンの頻度と,クラスタ内の文書集合から観測される頻度の差を利用して重み付けすることにより,状況に依存した行動パターンを抽出する手法について検討を行った.実験では,本手法を用いて blog 記事集合から抽出した状況ごとの行動パターン例についても報告する.

3 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1920年02月25日, 1920-02-25
著者
OHMI Hikoei
出版者
北海道大学水産学部
雑誌
北海道大學水産學部研究彙報 (ISSN:00183458)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.199-208, 1968-11
著者
千葉 繁生 大山 恭史 播磨 和幸 近藤 和夫 篠原 邦夫
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.412-415, 1996-03-10
参考文献数
4
被引用文献数
1 4

Agglomerates of 100250 μm consisting of Si<SUB>3</SUB>N<SUB>4</SUB> primary particles of 0.76 μm were made with a rotary vibrating sieve. Si<SUB>3</SUB>N<SUB>4</SUB> fine particles were coated with AlN by gas phase reaction with AlCl<SUB>3</SUB> and NH<SUB>3</SUB> in some fluidized beds of the agglomerates. The cross sectional distribution of AlN in the agglomerate was measured by EPMA analysis. As a result, uniform deposition of AlN was obtained at a relatively low reaction temperature and low gas velocity.
著者
筒井 義郎
出版者
名古屋市立大学
雑誌
オイコノミカ (ISSN:03891364)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-34, 1986
著者
平田 秋彦 陳 明偉
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.326-331, 2011-10-31 (Released:2011-11-20)
参考文献数
24

Local structural order in a metallic glass was investigated by Angstrom beam electron diffraction using an aberration corrected scanning transmission electron microscope. The coherent electron probe with a diameter of 0.3 - 0.4 nm was successfully obtained by using Ronchigram method. The fine electron probe enables us to pick up Angstrom-scale local structure information which cannot be obtained by conventional diffraction methods and thereby provide a direct evidence of short- to medium-range order in metallic glasses with the help of ab-initio molecular dynamics simulation.
著者
相澤 伸依
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

本年も昨年に引き続きミシェル・フーコーの方法論についての研究を進めた。特に、言語行為論に関する文献を読み進めた。また、フーコーとカントをつなぐテーマである啓蒙についての研究も進めた。カントの歴史哲学と啓蒙論は、フーコーが自身の方法を練り上げる上で強く意識していた事柄である。というのも、フーコーは自身の研究を現代における「批判哲学」と位置づけ、自己創出のプロセスとして系譜学を構想しているからである。哲学における自己創出という問題は晩年のフーコーの研究テーマでもあり、2008年に出版された講義録Gouvernement de soi et des autresでパーレシア概念の研究という形で展開されている。そこで、カントの歴史哲学について概観するとともに、フーコーの前述講義録に依拠しつつ、フーコーと啓蒙について研究会で発表した(社会哲学研究会)。フーコー研究と平行して、セックスの哲学についての研究も行っている。英米圏で展開されているPhilosophy of sexは、「性的」とはどういうことかといった原理的問いから売買春やセクシュアル・ハラスメントのような応用倫理学的な問いまで含んだ興味深い領域であるが、日本での受容はさほど進んでいない。そこで、本年はセックスの価値に関する研究や売春合法化論をめぐる議論の検討などを行い、発表した(京都生命倫理研究会)。
著者
Hidenori Arai Akira Yamamoto Yuji Matsuzawa Yasushi Saito Nobuhiro Yamada Shinichi Oikawa Hiroshi Mabuchi Tamio Teramoto Jun Sasaki Noriaki Nakaya Hiroshige Itakura Yuichi Ishikawa Yasuyoshi Ouchi Hiroshi Horibe Nobuo Shirahashi Toru Kita
出版者
一般社団法人 日本動脈硬化学会
雑誌
Journal of Atherosclerosis and Thrombosis (ISSN:13403478)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.202-208, 2006 (Released:2006-08-15)
参考文献数
15
被引用文献数
87 126

To determine the prevalence of metabolic syndrome in the Japanese general population, we analyzed data from a nationwide survey conducted in 2000. According to the Japanese new diagnostic criteria for metabolic syndrome in 2005, we analyzed 3,264 people aged from 20 to 79 (men, 1,917; women, 1,347) from the total participants. The incidence of metabolic syndrome was 7.8%. Men had a higher incidence (12.1%) than women (1.7%). Most of the women satisfying the criteria were 50 years old or over, while the incidence in men started to rise from their 30s. When we applied the criteria of Adult Treatment Panel III, the incidence was about 3-fold higher. In this population visceral obesity was associated with metabolic abnormalities, such as higher LDL-cholesterol, triglyceride, glucose, and blood pressure and lower HDL-cholesterol. Thus we determined the incidence of metabolic syndrome and each metabolic abnormality in the Japanese general population in 2000 and found an association of visceral obesity with metabolic abnormalities. Intervention to reduce the incidence of metabolic syndrome in Japan is necessary to reduce the risk of cardiovascular disease.
著者
泉 健司 加納 一三 佐々木 健二
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.155-162, 1984
被引用文献数
1

従来,翅の形態の比較検討は数個所の測定値の相互比などにより行われてきた.筆者らはカラスアゲハの翅形の地理的変異を比較検討する目的で前後翅9部位の長さを測定し,さらに理論性と客観性を加える目的で主成分分析を行った.その結果,第1より第4主成分(Z_1〜Z_4)に意義のあることを確かめることができた.Z_1は大きさを表わす主成分で,台湾産の集団は小型であることがわかった.また他の地域集団間では,差異はほとんど認められなかった.形を表わすZ_2〜Z_4では地域差が認められた.Z_2は前翅の細長さを,Z_3は後翅の細長さを,そしてZ_4は後翅の幅を表わす主成分であった.Z_2とZ_3を座標軸として得られた個体の散布図をみると,地理的に近接する地域集団は互いに似た形態を示すことが多い.しかし,中国の上海,韓国のソウル,済州島,日本の本州,中之島,および台湾から得られた個体は,F(後翅基部から第4脈末端までの長さ)が長く後翅が比較的細長い傾向がみられ,前翅は細長いものからずんぐりしたものまであったのに対し,奄美より西表にかけての島娯群,紅頭喚および八丈島から得られた個体は,いずれもC(前翅翅端から第1b脈末端までの長さ)とFが短く,前後翅ともにずんぐりとした傾向を示すことがわかった.
著者
武田 宙也
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科
雑誌
人間・環境学 (ISSN:09182829)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.51-64, 2009-12-20

本稿は,鏡という形象について,それがミシェル・フーコー(1926-1984)の思想のなかで持っ意味を明らかにしたものである.彼は,その生涯に著した数々の論考において,ことあるごとにこのモチーフに言及している.さらにそれらは,単なる周縁的な言及というよりも,より彼の思想の本質にかかわる形でなされているように思われる.したがって本稿では,フーコーの諸言説の中で鏡が見せる多様な形象をつぶさに見ていくことによってその本質にせまろうとした.ところで,一方で鏡は,西洋の歴史の中で古くからさまざまな意味を付与されてきた,それ自体多義的な存在である.したがって考察のなかでは,こうした鏡自体のもつ多義性とそれがうつしだす彼の思想の多義性とに同時に光を当てることにより,その歴史のなかに「フーコーの鏡」を位置づけることを試みた.以上のような試みを通じてわれわれは最終的に,この形象が彼の統治および現代性をめぐる考察と内在的な連関を持つものであることを明らかにした.
著者
箱田 徹
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究はミシェル・フーコー(1926-1984)の1960年代後半から1970年代にかけての著作を分析し、不連続性や差異を強調する独自の方法論が明確化される過程を論じた。とくにフーコーが言説分析にかかわる諸概念を実践の問題系に位置づけたことに着目し、この時期以降のフーコー思想にとって政治的主体性の問いが重要性を占めていくことを指摘した。また一連の思索の展開が「六八年五月」と深い関わりがあることも示した。
著者
兼高 聖雄 小林 ポオル 槇田 仁
出版者
慶應義塾大学産業研究所
雑誌
組織行動研究
巻号頁・発行日
no.20, pp.3-41, 1991-04

慶應義塾大学産業研究所社会心理学班研究モノグラフ ; No. 29本論では, 筆跡を,表出行動の結果としての側面から捉えている。そこで, この表出行動(ないし, 行動の表出的側面)について, まず述べておきたい。人間の行動には様々なものがあるが, そうした行動には2つの側面があると考えられる。一つは,「どのような行動か」「何をするか」といった, 内容や目的の側面, いわぽwhatにあたるもので,これを「対処的側面」と呼ぶ。他方は, 「どのように行動するか」「どんなふうにするか」といった,様式や仕方の側面,howにあたるもので, 「表出的側面」とよぽれる。