著者
村山 稔 加辺 憲人
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.91-95, 2014-04-01 (Released:2015-04-15)
参考文献数
8
被引用文献数
5

回復期リハビリテーション病棟に入院中の脳卒中患者139名を対象に,単変量解析と信号検出分析法を用いて,回復期病棟へ入院後1週間以内に行われる臨床評価のうち,入院より1カ月以上にわたり長下肢装具を使用する場合を効果的に予測できる評価要因の組み合わせと,その最適カットオフ値を分析した.採択された要因は,年齢とFIMのベッド・椅子・車いすの移乗の得点および機能的バランス指数で,組み合わせの1例としてFIMのベッド・椅子・車いすの移乗1点かつ年齢63歳以上の場合には,87.5%が長下肢装具を1カ月以上使用すると予測された.入院から1カ月以上,長下肢装具を使用するか否かの予測が可能になると長下肢装具の処方の遅延が減少することが期待される.

2 0 0 0 OA CANCER投稿規定

出版者
日本甲殻類学会
雑誌
CANCER (ISSN:09181989)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.77-81, 2023-08-01 (Released:2023-09-06)
著者
福田 道雄
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.S25-S28, 2014 (Released:2015-01-07)
参考文献数
12
被引用文献数
2

カワウ Phalacrocorax carbo の骨格標本の性別判定を行うため,頭骨の 7部位(上嘴長,眼窩間面最小幅,後眼窩突起幅,大脳隆起最大幅,頬骨突起幅,旁後頭突起幅,頭骨長)を計測して,判別関数式を作成した.計測したカワウは,福島県から兵庫県にかけての 1都12県から新鮮死体で収集した51個体で,剖検によってオス23個体とメス28個体と判明していた. 7部位の計測値はすべて有意にオスが長く,上嘴長と頭骨長では計測範囲が重複していなかった.判別関数式は上嘴長と頭骨長に残りの 1部位の計測値を加えた 3部位の計測値を用いた 5組の式と,上嘴長と頭骨長が計測できない場合で,残りの 5部位の計測値を用いた 1組の式を作成した.全ての判別関数式の判別的中率が 100.0%であった.これによって,破損などによって一部の部位の計測が困難な頭骨の骨格を含めて,性別判定ができるとわかった.
著者
有山 啓之
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
CANCER (ISSN:09181989)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.57-60, 2023-08-01 (Released:2023-09-06)
参考文献数
2
著者
奥村 隆
出版者
東北社会学研究会
雑誌
社会学研究 (ISSN:05597099)
巻号頁・発行日
vol.96, pp.11-38, 2015-07-10 (Released:2022-01-21)
参考文献数
11

ロバート・N・ベラー(Robert Neelly Bellah)は二〇一三年七月三〇日に八六歳で逝去した。宗教社会学者として知られる彼は、同時代に強い問題関心を抱き、アメリカ社会を痛烈に批判する「リベラルな知識人」として生きた人だった。本稿は、ベラーが二〇一二年一〇月四日に東京大学駒場キャンパスで行った講演「丸山眞男の比較ファシズム論」を手掛かりに、「日本」と「軸」という観点から「知識人であること」について再考を試みる。丸山眞男が「無責任の体系」と性格づけた日本社会をベラーは「非軸的」ととらえ、アメリカ社会を「ポスト軸的」と論ずる。このふたつの異なる社会で知識人である条件を考えるには、「軸」とはなにかを検討する必要があるだろう。本稿後半では、カール・ヤスパースがいう「軸の時代」に普遍的倫理を説いたプラトンなどの「世捨て人」たちを論じたベラーの論考を通して、知識人が社会のどのような場所にいる存在なのかについて考えたい。
著者
熊谷 匡晃 岸田 敏嗣 稲田 均
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Cd0839, 2012 (Released:2012-08-10)

【目的】 股関節疾患に伴う跛行としてよく経験するデュシャンヌ跛行は股関節外転筋力の低下で起こると定義されており,経験則的にそのように捉えてしまうことが多い。しかしながら,筋力に問題がないにも関わらず跛行がみられるなど,MMTの結果との不一致を感じることがあり,単なる股関節周囲筋の筋力評価では解釈に難渋することがある。実際には疼痛,関節拘縮(股関節内転制限),脚長差,大腿骨頚部の短縮や骨頭の外上方変位などの骨形態異常による力学的要因などの原因で起こっている可能性もある。本研究の目的は股関節内転制限および外転筋力が跛行に及ぼす影響を明らかにすることである。【方法】 対象は2010年7月~2011年6月までに当院を受診し,大腿骨近位部骨折および変形性股関節症により手術を施行され,転院または退院時に杖なし歩行が可能となった21名とした。疾患内訳は大腿骨近位部骨折16名,変形性股関節症5名であった。荷重時に体幹の代償が見られない正常歩行群をN群(男性1名,女性9名,平均年齢72.9±12.1歳),荷重時に体幹を患側へ傾けるデュシャンヌ跛行群をD群(男性1名,女性10名,平均年齢65.3±9.9歳)の2群に分けた。検討項目は,1)N群とD群における股関節外転筋力,2)N群とD群における股関節内転角度,3)股関節内転角度の違いによる跛行出現率,とした。股関節外転筋力については,徒手筋力測定装置(酒井医療社製,EG‐200)を使用し,側臥位での股関節外転筋力を最大等尺性収縮で3回測定し,平均値を体重で除して標準化(kgf/kg)した。統計処理は両群間の外転筋力と内転可動域の検定にはウェルチのt検定,股関節内転角度の違いによる跛行出現率にはχ2検定を用い,有意水準は5%未満とした。【説明と同意】 被検者には,事前に本研究の主旨と内容について説明し,同意を得た。【結果】 患者背景として年齢,性別には両群間で有意差を認めなかった。1)股関節外転筋力は,N群0.17±0.04kgf/kg,D群0.15±0.07kgf/kgで有意差は認められなかった。2)股関節内転角度は,N群14±3.2°,D群6.8±5.1°であり,N群で有意に内転域が大きかった。3)股関節内転角度の違いによる跛行出現率は,股関節内転が5°以下では100%,10°では40%,15°以上では22.2%と内転域の増大とともに跛行出現率が有意に低下した。【考察】 股関節疾患の術後症例において,股関節内転角度の減少がデュシャンヌ跛行の出現に影響を及ぼすことが明らかとなった。一方,股関節外転筋力はデュシャンヌ跛行の直接的な関連因子とは言えなかった。しかしながら,徒手筋力計を用いた等尺性の筋力は時間的要素や空間的要素が考慮されていない出力のみの評価であり,必ずしも筋機能の低下を示しているとは言及できず,今後の検討を要する。股関節内転制限の原因として,変形性股関節症に対するTHAの場合は,骨頭を引き下げることによる外側軟部組織の緊張増大,手術侵襲による筋スパズムおよび術創部の伸張刺激,皮下の滑走性低下などが考えられる。一方,大腿骨近位部骨折の場合は,変股症とは異なり筋の変性はないため,基本的には術後の筋攣縮が考えられる。本研究の結果より,股関節内転角度が5°以下のケースで全例跛行を認めたことは,可動域とデュシャンヌ跛行が関連する可能性を示した上で意義深い。正常歩行における股関節の内転角度は踵接地から足底接地にかけて約4°必要とされているが,立位では外転筋の遠心性収縮の強要とともに筋内圧が高まるため,背臥位で測定した内転角度以下になる可能性が考えられる。デュシャンヌ跛行の原因を筋力の観点からみると,体幹を患側に傾けることは骨頭から重心線までの距離を短くし,弱い筋力で歩行する代償運動と言えるが,股関節内転制限の場合は,骨盤が外方移動できない状態を体幹の側屈で相殺しているという反応と解釈される。つまり,外観は同じでも原因は全く異なる病態であるため,それらを見極める理学療法士の観察力や適切な評価が大切であると考えられた。【理学療法学研究としての意義】 股関節は腰椎や骨盤アライメントとの関連の中で評価することが大切であるが,代償運動を見逃さず,局所としての股関節機能の評価が適切にできることも大切である。エネルギー効率がよく安定した歩行を獲得するためには,股関節内転制限も含めた適切な評価と運動療法を展開していくことが重要である。変形性股関節症に対するTHAと大腿骨近位部骨折に対する人工骨頭置換術では,手術内容はほぼ同様であるが,外傷と変性疾患の違いや年齢,脚長差など患者背景に影響を及ぼす因子が存在するため,今後は症例数を増やした上で疾患別の比較検討についても加えていきたい。
著者
宮地 英彰 梅崎 俊郎 山口 優実 安達 一雄 澤津橋 基広 清原 英之 菊池 良和 小宗 静男
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.Suppl.2, pp.S138-S144, 2010 (Released:2011-12-01)
参考文献数
16
被引用文献数
2

ゼリー状の食塊は液体に比べて誤嚥しにくく、喀出しやすいために嚥下障害患者の経口摂取開始において頻用されている。その要因として液体と異なりゼリー状の食塊はその物性(硬さ、付着性、凝集性を持つ)のために咽頭への流入速度が遅いことが考えられる。しかし、現在までに嚥下造影検査においてその仮説を裏付ける目的であらかじめ物性の分かっている二つの嚥下物の咽頭期嚥下動態の違いを、嚥下惹起遅延を評価するのに有用と考えられているパラメーターを用いて比較した報告はない。そこで進が 1994 年に報告した laryngeal elevation delay time (LEDT) という咽頭期嚥下の遅れを評価するパラメーターを用いて、異なる物性を持つ二つの嚥下造影剤における咽頭期嚥下動態の違いを検討した。その結果、われわれが用いた LEDTは、1) 液体造影剤とゼリー状造影剤の二つの物性の違いをよく表し、2) 低粘性造影剤を用いることで咽頭期嚥下の遅れを評価する有効なパラメーターであることが確認され、3) ゼリー状の食物形態が咽頭期嚥下惹起遅延による誤嚥を来す症例の食事に有用であることを裏付けるパラメーターであると考えられた。
著者
加藤 美砂子
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.377-379, 2001-08-15 (Released:2011-03-14)
参考文献数
9
被引用文献数
1
著者
平野 滋 杉山 庸一郎 椋代 茂之 金子 真美
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.122, no.8, pp.1113-1117, 2019-08-20 (Released:2019-09-05)
参考文献数
30
被引用文献数
1

喉頭・咽頭逆流症 (LPR) は, 慢性的な咽喉頭炎から音声障害を来し得る. 胃酸による逆流性炎症が後部声門の肉芽腫や潰瘍の原因となることは広く知られているが, 近年, LPR では胸焼けや吃逆などの胃食道逆流症 (GERD) 症状は10~20%程度であるのに対し, 音声障害は約70%にまで起こるとされる. 音声障害の病因は, 慢性的な酸暴露による上皮, 粘膜固有層の損傷が主体で, 上皮の肥厚・角化, 潰瘍, 肉芽, 溝の形成, 粘膜固有層の炎症と乾燥などが指摘されている. 動物モデルにおいては, 喉頭に酸やペプシンを暴露すると, 肉芽腫の発生や粘膜上皮内の炎症, 扁平上皮の過形成や潰瘍, 線維化を来すことが確認され, また, LPR 患者の咽喉頭の生検組織において, 声帯上皮, 喉頭前庭, 後部声門の上皮内のペプシンの存在, 細胞間間隙の増大, 粘膜保護作用のある炭酸脱水素酵素やカドヘリンの減少などが報告されてきた. これらの炎症が音声障害を引き起こすと同時に, LPR 患者の発声はしばしば過緊張となり, 筋緊張発声障害を招くことが多い. 最長発声持続時間 (MPT), jitter, shimmer, 雑音成分などの異常を来す. 歌手は LPR の高リスク群とされている. 歌唱に腹圧のサポートが必須で, 高い腹圧によって胃酸の逆流が生じやすいこと, パフォーマンスの前は常に強いストレスにさらされること, 食事や飲酒に無頓着であることなどが原因で, 嗄声のほか音声疲労や歌唱中の声の途切れ, 痰の引っ掛かりなどを訴えることが多い. LPR による音声障害の治療は, 食事様式の適正化, ライフスタイルの改善, 胃酸逆流の抑制で, 胃酸分泌を強力に抑えるプロトンポンプ阻害薬 (PPI) は多くの場合奏効する. これらの治療により, jitter, shimmer, HNR, VHI, GRBAS, RSI, RFS などの改善が多数報告されている. 音声障害患者において, 酸逆流の関与の有無について的確に診断し治療することが重要である.
著者
菅沼 慎一郎 中野 美奈 下山 晴彦
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.89, no.3, pp.229-239, 2018 (Released:2018-08-28)
参考文献数
46
被引用文献数
3 1

Recently, the adaptive function of resignation in psychological health is widely noted, especially from the standpoint of its relationship with mindfulness and acceptance. In this study, we developed two scales: one for measuring the stress-monitoring intention and one for measuring adaptive resignation. Then, we examined the relationship between stress-monitoring intention and psychological health in the light of the adaptive function of resignation. A questionnaire study was carried out with 600 Japanese workers in their 20s to 40s (300 males and 300 females: mean age = 35.37 years, SD = 7.66 years). The questionnaire’s reliability and validity were demonstrated. Mediation analysis revealed mediated effects of adaptive resignation in the relationship between stress-monitoring intention and psychological health. This result suggested that stress-monitoring intention has a dual face to psychological health, and the adaptive resignation eases the negative relationship, and amplifies the positive relationship. Finally, the meaning of this study’s results in terms of cognitive behavioral therapy and stress education in Japan are discussed.
著者
萬成 哲也 戸田 和成 小川 俊介 佐藤 千怜 中嶋 礼子 細川 博史 大西 日出男
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.187-196, 2018-09-20 (Released:2018-09-21)
参考文献数
18
被引用文献数
1

ヘッドスパは数種類の頭皮マッサージ基本手技の組み合わせによって構成される。本研究では,5種類の基本手技(圧迫法,指圧法,揉捻法,強擦法,軽擦法)をそれぞれ3分間実施した際の心身に及ぼす影響を,各種生理的・心理的指標を用いて評価した。その結果,副交感神経の活性化によって生じる脈拍数の低下はすべての基本手技に共通してみられた一方で,他の指標においては各基本手技で異なる効果がみられた。生理的指標において,圧迫法,指圧法,軽擦法では顕著なストレスの軽減がみられ,揉捻法ではすべての測定部位での皮膚表面温度の上昇と顔面部位の形状変化がみられた。Visual Analogue Scale(VAS)を用いた心理的指標に関しては「,気持ち」の改善は圧迫法「,リラックス度」の向上は揉捻法,「覚醒度」の向上は軽擦法において顕著であった。このように,われわれはマッサージ基本手技による3分間の短時間の施術においても,基本手技ごとに異なる効果が得られることを証明した。本研究結果は,科学的根拠に基づく最適なヘッドスパメニュー構築において,重要な手掛かりになると考える。
著者
Hirohito OGAWA Haruko HIRAYAMA Satsuki TANAKA Norio YATA Hikaru NAMBA Nobuko YAMASHITA Kenzo YONEMITSU Ken MAEDA Katsumi MOMINOKI Masao YAMADA
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.81, no.8, pp.1191-1196, 2019 (Released:2019-08-24)
参考文献数
28
被引用文献数
1

Hepatitis E virus (HEV) is known to cause zoonotic infections from pigs, wild boars and deer. Domestic pigs have been used as an experimental animal model in medical research and training; however, the risks of HEV infection from pigs during animal experiments are largely unknown. Here, we retrospectively investigated the seroprevalence and detection rates of viral RNA in 73 domestic pigs (average 34.5 kg) introduced into an animal experimental facility in a medical school during 2012–2016. We detected anti-HEV immunoglobulin G antibodies in 24 of 73 plasma samples (32.9%), though none of the samples were positive for viral RNA. Plasma samples of 18 pigs were sequentially monitored and were classified into four patterns: sustained positive (5 pigs), sustained negative (5 pigs), conversion to positive (6 pigs) and conversion to negative (2 pigs). HEV genomes were detected in 2 of 4 liver samples from pigs that were transported from the same farm during 2016–2017. Two viral sequences of the overlapping open reading frame (ORF) 2/3 region (97 bp) were identical and phylogenetically fell into genotype 3. A 459-bp length of the ORF2 region of an amplified fragment from a pig transported in 2017 was clustered with the wbJYG1 isolate (subgenotype 3b) with 91.5% (420/459 bp) nucleotide identity. Based on our results, we suggest that domestic pigs introduced into animal facilities carry a potential risk of HEV infection to researchers, trainees and facility staff. Continuous surveillance and precautions are important to prevent HEV infection in animal facilities.
著者
吉敷 由起子 チン ギルバート シー 岡村 航 岩﨑 慧 古川 玲 杉山 健斗 呉 聖屹 白川 正之 川村 雅彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.11, pp.862-871, 2022-11-01

Society5.0の時代では,サイバー・フィジカル空間が相互に作用し,電波システムに関しても新たな設計・評価,検証を短時間で実現することが求められる.本論文ではサイバーフィジカルシステム上でエミュレーションを可能とする電波伝搬モデルの開発を目的として,レイトレーシングベースでの研究開発を行っている取り組みについて紹介する.広域環境として,ドローンによる橋梁のインフラ点検業務などを対象としたシナリオでの電波伝搬モデルの検討を,狭空間では,スマート工場を想定して,人や機械が動く環境を対象としたシナリオでの伝搬モデルの検討について述べる.また電波伝搬の解析には構造物の3Dモデル化が重要になってくるので,点群データからレイトレーシング解析用の3Dモデル化の研究内容についても述べる.
著者
清水 研
出版者
日本行動医学会
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.2-6, 2014 (Released:2014-04-17)
参考文献数
6

がん罹患に伴う精神的苦痛は大きく、患者がうつ病などの病的な状況に陥ることも少なくない。心のケアを含めた緩和ケアが推進される中、精神腫瘍医(精神腫瘍学の専門性を持ってがん患者の精神・心理面の症状緩和を担当する医師)への要請は大きい。精神腫瘍医は精神保健における専門性を持ちつつ、身体状態を十分理解したうえで他職種と十分に連携することで、全人的な医療の提供を可能にし、その仕事の内容はまさに心身医学が目指す方向性の延長線に存在する。
著者
Nobuaki Suzuki Tatsuru Yokoi Takahiro Kimura Yoshiyuki Ikeda Shinji Takahashi Takashi Aoyagi Yoshitaka Shiratori Noriyuki Hayami Ken Kozuma
出版者
The Japanese Circulation Society
雑誌
Circulation Journal (ISSN:13469843)
巻号頁・発行日
pp.CJ-23-0266, (Released:2023-10-12)
参考文献数
29
被引用文献数
1

Background: The slow-flow phenomenon is associated with worse clinical outcomes after percutaneous coronary intervention (PCI), so our goal for this study was to see how predictive how near-infrared spectroscopy (NIRS) could be.Methods and Results: We enrolled 179 lesions from 152 patients who had de novo coronary stent implantation guided by NIRS-intravascular ultrasound (IVUS) (male: 69.1%, mean age: 74.3±11.5 years, acute coronary syndrome: 65.1%, diabetes: 42.1%). NIRS automatically determined the maximum 4-mm lipid core burden index (maxLCBI4 mm) value at pre- and post-PCI procedures. The slow-flow phenomenon was defined as the deterioration of TIMI (Thrombolysis in Myocardial Infarction) flows on angiography during the PCI procedure in the absence of mechanical obstruction. The slow-flow phenomenon occurred in 13 (7.3%) lesions, and the slow-flow phenomenon group had a significantly higher maxLCBI4 mm(740±147 vs. 471±223, P<0.001). The best maxLCBI4 mmcutoff point in both acute and chronic coronary syndrome was 578 and 480, with sensitivity of 100%, for predicting the slow-flow phenomenon. In the receiver-operating characteristics analysis, the area under the curve for acute and chronic coronary syndrome was 0.849 and 0.851, respectively.Conclusions: The results of this study support the utility of NIRS-IVUS-guided PCI for the prediction of the slow-flow phenomenon.

2 0 0 0 OA P300基礎

著者
加賀 佳美 相原 正男
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.80-85, 2013-04-01 (Released:2015-02-25)
参考文献数
41
被引用文献数
2

事象関連電位P300は刺激提示後, 潜時約300 ms付近に生じる陽性波で, 刺激に対する比較, 評価, 判断, 選択的注意, 認知文脈の更新に関与しているといわれている。1965年Suttonによって発見され, オドボール課題がP300の測定法としてよく知られている。いわゆるP300は頭皮上Pzで最大振幅が記録され, 刺激の種類, 刺激間隔, 提示数, 頻度, 強度, 類似度で振幅や潜時が変化する。その発生源は大脳皮質説と皮質下説など諸説がある。性差はないという報告もあるが, 女性で振幅が大きく潜時が短いという報告が多い。その年齢変化については, 聴覚P300では年齢とともに潜時が短縮し, 15∼18歳で最短縮年齢に達し, 以後加齢とともに潜時は延長する。視覚P300では, 課題の種類に依存し, 比較的難しい文字の課題では20代後半から30代で最短潜時となる。P300の測定法, 性差, 年齢変化を中心に解説した。