著者
石田 健二 岩井 敏 仙波 毅 福地 命 當麻 秀樹
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.460-464, 2018 (Released:2020-04-02)
参考文献数
13

本稿では脱分化(リプログラミング)というプロセスをとらずに,甲状腺がんの発症を説明する「芽細胞発がん説」を解説し,従来から一般的な発がんモデルとして使用されてきた脱分化に伴う甲状腺がん多段階発がんモデルとの相違性ならびに関連性について解説する。
著者
湯村 颯悟 蒲池 みゆき
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.291-300, 2022-12-28 (Released:2022-12-28)
参考文献数
31

It is still unknown how the viewer perceives the self-body in virtual space. In this study, we investigated the differences in performance of a simple motor task in a virtual space when the visible type of the 3D self-body model was changed to one of three types: “the whole body visible,” “the body partially visible,” or “the body invisible.” The quantitative data of the motor were used to analyze the durations and accelerations of the motor task. The results showed that the duration of the motor task varied depending on the visibility of the body models. The results also suggested that visual body information, particularly the self-body, continuously provides a potential interference to the smoothness and quickness of human motor control.
著者
平松 隆円
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.750-757, 2007-11-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
24
被引用文献数
3

本研究の目的は, 化粧の日常的な感情調整作用に注目し, 男女別に化粧を含む日常生活行動の心理的負担や化粧 (スキンケア) の感情調整作用について検討し, それらが個人差要因といかに関連しているのかを明らかにすることである日常生活行動では, 男女とも「友人とのおしゃべり」「睡眠」「音楽」などが気晴らしになり, 「テスト勉強」「通学」「学校の授業」は負担になることがわかった.スキンケアの感情調整作用には, 『やすらぎ』と『はずみ』があり, 朝と夕という一日の活動の始まりと終わりといった生活サイクルと感情調整作用が関連し, 公的自意識と私的自意識が影響していることがわかった.
著者
室田 昌子 北島 謙吾 岩脇 陽子 滝下 幸栄 松本 賢哉
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.4_83-4_95, 2014-09-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
20

アーユルヴェーダを基盤とした専門的な頭部へのマッサージ技術(ヘッドトリートメント)が心身に与える影響を明らかにする。対象者は健康な女性25名である。洗髪後に5分間,坐位を保つ統制群,ヘッドトリートメントを行う介入群Ⅰ,アロマオイルヘッドトリートメントを行う介入群Ⅱの3群を,同一対象者に1週間以上の間隔をあけて行った。生理学的指標として腋窩温,血圧,LF/HF,ストレス値を,心理学的指標として倦怠・活動的快・非活動的快,STAI状態不安を測定した。 その結果,統制群に比べてヘッドトリートメントおよびアロマオイルヘッドトリートメントは,副交感神経優位の傾向が示唆され,倦怠感や不安が減少し,のんびり感が増加した。とくに爽快感の獲得および倦怠感の軽減の持続は,アロマオイルヘッドトリートメントに特徴的であった。以上のことから,ヘッドトリートメントおよびアロマオイルヘッドトリートメントのリラクセーション効果が示唆された
著者
瀬尾 匡輝 瀬尾 悠希子 米本 和弘
出版者
言語文化教育研究学会
雑誌
言語文化教育研究 (ISSN:21889600)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.83-96, 2015-12-30 (Released:2016-03-21)

近年,各教育機関が日本語・日本語学習の魅力を高め「商品化」に努めたり,学習が商品として「消費」される傾向が強まっている。本稿では,日本語教育の商品化が顕著な香港の語学学校で働く池田さん(仮名)の意識を中心に,教師がどのように教育の商品化を経験しているのかを探った。非常勤講師である池田さんは,自分の雇用を守るために,学習者の満足度を重視し,商品化を試みる教育機関の方針に従わざるを得ず,目指したい教育実践・学習者が求めるもの・教育機関の方針の間で葛藤を抱いていた。そして,学習者の満足度を高めることが最優先され,学習者の表面的/一時的な興味・関心に偏った教育実践が生み出される構造が教育の商品化にはあることが浮き彫りとなった。今後は,商品化の利点と弊害について教師の視点も含めて議論を深め,どのように日本語教育の商品化と消費に対峙していくかを考えなければならない。
著者
澤木 啓祐 鯉川 なつえ
出版者
順天堂大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

低酸素環境下におけるトレーニングは、現在心肺機能や造血機能などの効果を期待し、マラソンをはじめ水泳、スキーやスケート等様々なスポーツで取り入れられている。しかし、高地の環境は低圧。低酸素・低温および低湿度であるため、冷たい空気は水分を多量に含むことができない。平成17年度に本研究グループは、高地での運動中は、平地に比べ、呼吸や発汗の促進に伴い身体から大量の水分が失われ、水分の喪失が多く、血液量が減少する原因になる可能性について報告した。そこで本研究では、長距離ランナーの高地滞在中に、水を2リットル/日の適正なウォーターローディングブログラム群(以下Water群)と水を自由に摂取する群(Control群)で、血液データおよび血液レオロジーがどのように変化するかを検討することとした。研究方法は、長距離走を専門とする男子学生ランナー5名を対象に、標高2300mの高地で5泊6日の高地トレーニングを2回実施した。被験者はWater群とContro1群にわけ、1ヶ月以上あけて再度実施する、オーバークロス方式とした。そして、高地トレーニング前後に血液検査と、(株)エムシー研究所製MC-FAN HR300 Bloody7にて血液レオロジー測定を実施した。なお、両群に差がでないよう研究期間中の食事、練習量を統制し、健康調査を実施した。その結果、以下の知見が得られた。1.Water群、Control群ともに高地トレーニング後において、RBC、Hgb、Hctおよび血小板が有意に増加した。2.Control群は、高地トレーニング後において、Na、C1が有意に低下した。またKは有意に高まり、Water群との間に有意な差がみられた。3.高地トレーニング後の血液通過時間は、両群の間に有意な差は認められなかったが、Water群(52.1秒/100μl)に比べControl群(67.1秒/100μl)の方が延長する傾向がみられた。これらの結果から、両群とも高地トレーニング後に血液通過時間が延長したのは、血放生化学的酸素運搬能の向上と、軽い脱水症状によるものと考えられる。しかし、高地滞在中にウォーターローディングを実践することで、血液流動性を改善させ、高地トレーニング効果を高める可能性が示唆された。
著者
三上 亮
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.85-95, 2021-07-31 (Released:2022-07-31)
参考文献数
47

本研究では、理学療法士の資格制度形成過程における、政策推進の背景や、アクター間の相互作用を記述し、そのプロセスが専門職化にどう影響したかを考察した。大正年代、リハビリテーションの理念を持った整形外科医によって初めて資格制度案が形成されたが、政策課題として浮上しないまま沈下した。その後、戦時下の戦傷病者対策や、占領期の米国式福祉政策がこの理念と結合することで、リハビリテーション専門職の必要性が認識される土壌ができ、再び資格制度案が浮上した。しかし、政策案の浮上は同時に、既得権者やその隣接職種、内科系医師、視覚障害者などの参入を招き、それぞれが贔屓の政策課題をこの資格制度案と結合させることで解決を図った。その結果、資格制度案に内在していた理念は変質し、整形外科医が望んだ高度な教育や役割への関心が低下した。このことは、理学療法士の専門職化に少なからず影響を与えていると考えられる。
著者
竹本 雅憲
出版者
成蹊大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、信号交差点左折時において多方向から横断歩道に進入する自転車に対して、自動車運転者の危険予測能力を高めて安全な確認行動を誘導する運転支援システムの開発を目指した。そして、具体的なシステムを設計して支援効果を実験的に検証するとともに、システムの設計要件を示した。特に、運転に合わせて確認行動を誘導する即時支援システムと、運転後の運転診断アドバイスによって次回運転時の確認行動を間接的に誘導する事後支援システムとを併用することで、高い支援効果が得られた。
著者
大谷 多加志 清水 里美 郷間 英世 大久保 純一郎 清水 寛之
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.142-152, 2019 (Released:2021-09-30)
参考文献数
17

じゃんけんは日常生活の中で,偶発的な結果に基づいて何らかの決定や選択を得るための一つの手段として広く用いられている。本研究は,子どもがどのような発達過程を経て,じゃんけん課題の遂行の基礎にある認知機能を獲得していくかを「三すくみ構造」の理解に関連づけて検討することを目的とした。対象者は,生後12ヵ月(1歳0ヵ月)超から84ヵ月(7歳0ヵ月)未満の幼児と児童569名であった。本研究におけるじゃんけん課題は,じゃんけんの「三すくみ構造」をもとに「手の形の理解課題」,「勝ち判断課題」,「負け判断課題」の3種類の下位課題から構成された。また,じゃんけん課題の成否と子どもの発達水準との関連を調べるために,対象者全員に『新版K式発達検査2001』が併せて実施された。本研究の結果,「手の形の理解課題」は2歳7ヵ月頃,「勝ち判断課題」は4歳9ヵ月頃,「負け判断課題」は5歳4ヵ月頃に平均的に達成されていくことが明らかとなった。また,「手の形の理解課題」,「勝ち判断課題」,「負け判断課題」の3種類のじゃんけん課題の成否および反応内容から評価したじゃんけんに関する知識や技能の獲得の段階(5段階)と『新版K式発達検査2001』の発達年齢との間で統計的に有意な相関が認められた。よって,本研究のじゃんけん課題は子どものじゃんけんの理解の段階を評価し,幼児の発達水準を査定するために有用であると考えられる。
著者
平野 実 進 武幹 吉田 義一 三橋 重信 吉田 哲二 大久保 洋
出版者
The Japan Broncho-esophagological Society
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.285-290, 1980-08-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
16
被引用文献数
8 3

Dynamic disorders of swallowing are caused by lesions of the neuro-muscular system that participates in swallowing. Aspiration resulting from such disorders can be classified into four types. This classification is helpful for selecting surgical treatments for aspiration as well as for difficulty in swallowing.Type I. In this type, aspiration occurs when the larynx is elevated and closed during swallowing. It results from incomplete laryngeal closure. Mediofixation of the paretic vocal fold, suture of the bilateral ventricular folds, and/or fixation of the larynx in a high position yields good laryngeal closure. Cricopharyngeal myotomy leads bolus easily into the esophagus.Type II. Aspiration takes place when the larynx descends and opens at the end of the second stage of swallowing. This type of aspiration results from a weak propelling force and/or a strong resistance at the entrance of the esophagus. The weak propelling force is attributed to an incompetent velopharyngeal closure, disturbances of tongue movement and/or a weak pharyngeal peristalsis. Pharyngeal flap operation, infrahyoid myotomy and/or reinforcement of the pharyngeal wall is the choice of treatment. In order to reduce the resistance at the entrance of the esophagus, cricopharyngeal myotomy and a fixation of the larynx in an antero-superior position are effective.Type III. Aspiration occurs in both phases of laryngeal rising and falling.Type IV. This type is observed in those patients who are unable to execute the movements of the second stage of swallowing. The inability of the second stage movements seems to be caused by one of the following two: a severe paralysis of the swallowing muscles and strong inhibitory stimuli to the swallowing center of the medulla oblongata. The latter is observed in those patients who would have a very severe aspiration if their swallowing center allowed them to execute swallowing. In this type, the bolus is transported from the mouth to the pharynx by the gravity and weak tongue movements. The larynx closes in reflex but does not present such rising and falling as are executed in normal second stage. When the larynx opens, the bolus staying in the pharynx enters the airway.
著者
日本地学史編纂委員会
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.101, no.2, pp.133-150, 1992-04-25 (Released:2010-12-22)
参考文献数
31
被引用文献数
3 1