著者
内藤 勲
出版者
愛知学院大学
雑誌
経営管理研究所紀要 (ISSN:13413821)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.17-34, 2007-12
被引用文献数
1

組織化の問題は,単に新しい組織を形成する際だけでなく,組織を変化させる場合にも考慮すべき理論的問題を多くはらんでいる。本稿では,組織あるいは組織化を構成している最小単位としての行為に注目し,その行為を導き,同時に行為によって形成される知について議論した。単に組織だけでなく,社会現象を考える際の行為概念は,それを導く意図性とその過程と結果を記憶する意識性からなっていること。したがって,知は行為を通じて獲得し,行為を通じて表現される概念であることを指摘した。
著者
澁谷 真二 今野 和夫
出版者
秋田大学
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 (ISSN:13449214)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.53-62, 2006-04-28

友達関係は人生においてなくてはならないものだが,障害のある人にとっては,ノーマライゼーションの実現ということにおいて障害のない人との友達関係も欠かせない.この重要なテーマについての試行的・探索的な本研究では,作業所に福祉就労する知的障害者(41名,うち31名が20歳台)の保護者に対して質問紙調査を実施した.その結果,彼らには友達が少なく,特に障害のない友達をもっている人は僅少であること,保護者たちは子どもが就学前や学童期の頃は障害のない友達ができるようにといろいろ取り組んでいることが示唆された.また現在,程度に強弱はあるが,半数を明らかに上回る保護者(6割強)が,子どもに障害のない友達がいればよいと思い,一方でその実現を容易でないと考えていることが示された. さらに本研究では,筆者の一人(渋谷)が友達関係を深めてきている知的障害(ダウン症候群)の青年の母親に面接し,母親が友達関係の大切さを認識し,障害の有無を問わず友達ができるようにと青年の幼い頃から何かと配慮と行動を重ねてきていることが確認できた. 以上の結果を踏まえ,友達関係の構築に向けた支援のあり方について,また研究上の課題について言及した.
著者
村田 昌俊 及川 雄一郎 古川 宇一
出版者
北海道教育大学
雑誌
情緒障害教育研究紀要 (ISSN:0287914X)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.79-90, 1994-03-10

従来,わが国の心身障害児の療育は主に彼らの発達をいかに促進し,社会的適応能力を高めるかということに視点がおかれ,健常者にとって好ましい価値感によって彼らを囲いこんでしまう傾向が強かった。しかし,医療・教育・福祉のそれぞれの分野ではその視点を転換し,彼らのライフステージを見すえ,たんに社会適応をめざすのではなく,彼らの生活の質の向上や家族支援に視点をおいた総合リハビリテションシステムを進展させつつある。障害児に対する地域福祉が究極的にめざすものはクオリティ・オブ・ライフであり,「誰もが豊かな生活を追求することができるような社会」を市民レベルで地域の中に作り出して行く営みが重要である。筆者らは障害のあるなしにかかわらず,子供たちの生活が潤いと豊かさを持って活動できるような場面を作りたいと思っている。今回は,その一つの段階として,もっとも遊び環境が疎外されやすい障害児とその家族についての遊び・遊び場についての実態調査を行なった。今回の調査では(1)「子供の日常生活や生活環境」,(2)「子供の遊びや余暇活動」,(3)「遊び環境」,(4)「親の余暇活動」,(5)「将来の生活に目をむけた遊び・遊び環境」という5つの観点から調査を行った。その結果を参考にし,今後の具体的な基盤整備に向けた実践的な課題を見つけて行きたいと思う。
著者
鈴木 正崇
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.174, pp.247-269, 2012-03

長野県飯田市の遠山霜月祭を事例として、湯立神楽の意味と機能、変容と展開について考察を加え、コスモロジーの動態を明らかにした。湯立神楽は密教・陰陽道・修験道の影響を受けて、修験や巫覡を担い手として、神仏への祈願から死者供養、祖先祭祀を含む地元の祭と習合して定着する歴史的経緯を辿った。五大尊の修法には、湯釜を護摩壇に見立てたり、火と水を統御する禰宜が不動明王と一体になるなど、修験道儀礼や民間の禁忌意識の影響がある。また、大地や土を重視し竈に宿る土公神を祀り、「山」をコスモロジーの中核に据え、死霊供養を保持しつつ、「法」概念を読み替えるなど地域的特色がある。その特徴は、年中行事と通過儀礼と共に、個人の立願や共同体の危機に対応する臨時の危機儀礼を兼ねることである。中核には湯への信仰があり、神意の兆候を様々に読み取り、湯に託して生命力を更新し蘇りを願う。火を介して水をたぎらす湯立は、人間の自然への過剰な働きかけであり、世界に亀裂を入れて、人間と自然の狭間に生じる動態的な現象を読み解く儀礼で、湯の動き、湯の気配、湯の音や匂いに多様な意味を籠めて、独自の世界を幻視した。そこには「信頼」に満ちた人々と神霊と自然の微妙な均衡と動態があった。Yudate is the boiling water ritual dedicated to Kami ( deities) and Hotoke ( Buddhas) based upon the combination of sacred water and fire. This paper analyses the meaning and function of Yudate Kagura consisting of dance, music and Yudate, held at Tōyama valley in November by lunar calendar. Tōyama is located on the mountain area in the southern part of Nagano prefecture of Japan. Shinto priests or Shugenja ( mountain ascetics) has conducted these rituals on the occasion of annual cerebration called Shimotsuki Matsuri ( November festival) to activate the diminishing power of the sun and human body in the winter solstice. The topics to be discussed in this paper are local history, origin myth, syncretism of Shintōism & Buddhism, ritual process and status of religious practitioners. The main purpose is to make an interpretation of folk religion under the historical perspective. Yudate Kagura is conducted to express the gratitude for Kami and Hotoke to get the good harvest and make sure the future in next year. The villagers want to fulfill the vows of curing the disease, solution of unfortunate troubles and big accidents. Yudate Kagura is the spectacle to become into rebirth through the purification of the body by boiling water based upon the folk knowledge to live with the severe nature.
著者
松村 昌廣
出版者
桃山学院大学
雑誌
桃山法学 (ISSN:13481312)
巻号頁・発行日
no.19, pp.51-81, 2012-03-26
著者
藤高 和輝 フジタカ カズキ Fujitaka Kazuki
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科 社会学・人間学・人類学研究室
雑誌
年報人間科学 (ISSN:02865149)
巻号頁・発行日
no.34, pp.163-180, 2013

ジュディス・バトラーがスピノザの熱心な読者であるということはあまり知られていない。しかし、スピノザは彼女にとってきわめて重要な思想家である。実際、彼女は『ジェンダーをほどく』(2004)で「スピノザのコナトゥス概念は私の作品の核心でありつづけている(198 頁)」と述べている。本論はこの言葉の意味を明らかにしようとするものである。バトラーがスピノザの『エチカ』に最初に出会ったのは思春期に遡る。その後、彼女はイェール大学の博士課程でヘーゲルを通して間接的にスピノザと再会する。この二番目の出会いは、彼女の学位論文『欲望の主体』(1987)を生み出すことになる。最後に、このスピノザからヘーゲルへの移行によって、彼女は「社会存在論」を確立することができた。バトラーの著作におけるスピノザのコナトゥス概念に着目することで、私はこれらの運動を明らかにするだろう。そして、このような考察を通して、バトラーの思想においてコナトゥス概念が持つ意味も明らかになるだろう。It is not well known that Judith Butler is an avid reader of Spinoza. However, Spinoza is a very important philosopher for her. Indeed, she said in Undoing Gender (2004) "the Spinozan conatus remains at the core of my own work (p.198)." This paper tries to elucidate the meaning of this sentence. Butler rst encountered Spinoza's Ethics during her adolescence. Afterwards, she indirectly met Spinoza again through Hegel during her doctoral studies at Yale University. This second encounter led to the production of her dissertation, Subjects of Desire (1987). Finally, by this journey from Spinoza to Hegel, she could establish "social ontology." I will make these movements clear by paying attention to the Spinozan conatus in Butler's works and we can understand what is meant by conatus in Butler's thought.
著者
中根 洋治 奥田 昌男 可児 幸彦 早川 清 松井 保
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D2(土木史)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.22-37, 2012

本稿では,静岡県の赤石山脈の南端にある,我が国の代表的な尾根を通る秋葉古道を研究対象とした.この古道について,中世以前のことがこれまで明らかにされていないので,その成立過程と果たしてきた役割などを研究した.秋葉古道は時代と共に黒曜石・巨石信仰・塩・修験道・秋葉信仰・戦いの道などに使われてきたが,文献調査,現地踏査及び聞き取り調査により,その成立過程とともに浜松市を代表とする遠州と飯田市を代表とする南信州を結ぶ古道の役割についても研究した.その結果,最古の道は兵越峠を越えていたこと,そして,時代が下がるにつれて利用されたルートが低い位置に推移していること,また秋葉古道の役割として,物や人の運搬に関することおよび信仰などのために使われてきたことを明らかにした.
著者
上澤 美鈴 加我 宏之 下村 泰彦 増田 昇
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集
巻号頁・発行日
vol.23, pp.263-268, 2009

本研究では,小学校校庭の土運動場と芝生運動場におけるビデオ撮影調査を通じて,休み時間の児童の行動を捉え,校庭の芝生化が児童のあそびの種類や身体動作に与える影響を探った。結果,校庭の芝生化によって児童のあそびの種類が多様化し、あそびに含まれる身体動作も活性化していることが明らかとなった。特に,芝生運動場では,面積規模に関わらず,「あたる」や「押す・押さえる」などの児童同士が接触る動作や「座る」,「寝転ぶ」や「転ぶ・転がる」などの地面に接する動作が誘発されていることが明らかとなり,芝生の校庭は児童の身体能力の向上や健康に効果を発揮しているものと考えられる。
著者
神田 敬 杉本 孝公 上野 健一 萩野谷 成徳 堀 晃浩 川島 儀英
出版者
日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.241-250, 2008-04-29
参考文献数
13

プロ野球球場として有名な千葉マリンスタジアム(千葉県千葉市)では他球場に比べて強風が頻発する.本研究では,千葉アメダスデータを解析し,暖候期に卓越する強風の原因は,関東以北に位置する低気圧や寒冷前線通過時に吹き込む南西風が,粗度の小さい東京湾上から直接千葉市沿岸に侵入するためである事を特定した.また,現地観測により,海側から吹き込む風系は千葉アメダスと幕張で良く一致している事を確認した.次に,スタジアムのようなドーナッツ型の建築物周辺で発生する気流系の特徴を,大型風洞を利用した実験により明らかにした,作成したスタジアム模型の内部には明瞭な逆流が発生し,順流との境界およびスタジアム後面で乱れの大きな領域が発生した.逆流域の範囲は模型前方の粗度や屋根の高さに依存していた.現地観測により,スタジアム内では実際に逆流が発生している事を確認した.
著者
レザーイ アリレザー
出版者
名古屋大学
雑誌
国際開発研究フォーラム (ISSN:13413732)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.175-196, 2013-03

Language is born out of actual societal relationships. As swear words are a part of language, it goes without saying that these can be used as one portal to investigating the non-material culture of a community. This article examines how the concept of 'phallus' can be used as an indicator of concepts of 'masculinity' in a culture, and how ideas of both of these appear in sexual swear words. This article will focus on why Japanese language does not possess the same sexual swear words that hint violating a man or the women in his family, as appears in many languages in the Middle East(e. g. Arabic, Persian, Turkish) and Mediterranean regions(e. g. Italian, Spanish, French).
著者
一ノ瀬 俊也
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.131, pp.51-84, 2006-03

戦場における佐倉歩兵第五七連隊の行動は、いくつかの連隊史や回想録で比較的よく知られている。しかし、兵士たちの平時の日常生活、意識については不明な点も多いように思われる。本稿は一九三四(昭和九)年に連隊のある上等兵がほぼ毎日書いていた日記帳の内容を分析して、連隊の兵士が毎日どのような訓練・生活を送っていたのかを再構成することを目的とする。日記の筆者は(おそらく)三三年一月現役入営し、翌三四年七月一九日除隊している。日記帳にはこのうち三四年一月一日から除隊後の同年八月一八日までの記述がある。具体的に千葉での演習・勤務、富士山麓での演習、対抗競技と連隊への帰属意識、日常の衣食住、私的制裁、連隊と地域社会との関わり、といった諸テーマを設定して、兵士たちの〈日常〉の再構成に努めるとともに、彼らが自己の所属する軍隊をどうみていたのか、それは帝国軍隊の支持基盤たりえたのか、といった問題にも展望を示したい。なお、参考資料として、本日記の全文を連隊生活とは直接関係のない除隊後のものを除き、翻刻した。The activities of the 57th Sakura Infantry Regiment on the battlefield are relatively well known from a number of regimental histories and memoirs. However, little is known about the daily life and thoughts of soldiers during peacetime. The aim of this paper is to reconstruct the daily training and life of soldiers in the regiment from the study of a diary written virtually everyday by a private first class in the regiment in 1934. The diarist most likely took up his position in January 1933 and then left the regiment on July 19, 1934. The diary contains entries from January 1 through August 18, 1934, by which time he had been discharged from the regiment.This paper attempts to reconstruct the daily lives of soldiers and covers the topics of exercises and duties in Chiba, exercises at the foot of Mt. Fuji, competitive sports and loyalty to the regiment, everyday clothing, food and shelter, un-offirial forms of punishment, and the relationship between the regiment and the local community. It also takes a look at how the soldiers regarded the regiment they were attached to and whether this constituted support for the Imperial Army. It may be noted that this diary, with the exception of the part following the writer's discharge from the regiment which is not directly related to the daily activities of the regiment, has been republished in full to provide background information.
著者
菅田 勝也 佐藤 鈴子 永田 朝子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.75-81, 1997
被引用文献数
2

夜間介護を行うための睡眠中断が介護者の睡眠に及ぼす影響を調べる目的で, 45歳の女性を被験者として, 試行2夜に続き, 病院の個室で夜間介護をした3夜と介護をしなかった自宅での1夜の連続4夜, および2週間後に自宅で2夜, 計6夜の睡眠ポリグラフィを実施し, 以下の結果を得た.<BR>1) 非介護3夜の睡眠時間のレソジは356~367分と安定していたのに比べ,介護した3夜は日による差が大きく,271~391分であった.<BR>2) 介護のための睡眠中断は, 強制覚醒によるものではなかったが, 3夜とも睡眠周期のリズムに乱れが認められた.<BR>3) 介護第1夜と第2夜は睡眠率が低く, 各睡眠段階率が類似していたが, 介護第3夜は前の2夜よりもむしろ介護をしなかった夜の睡眠に近かった.<BR>4)入眠潜時は介護第1夜から非介護第1夜にかけて日毎に短縮し, 介護第3夜と非介護第1夜は, 被験者の通常の睡眠である非介護第2夜, 第3夜と比べても短かった.<BR>これらは, 夜間介護による疲労の蓄積の影響の大きさを示唆するものである.