著者
高野 牧子 堀井 啓幸
出版者
山梨県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

身体表現による幼小連携カリキュラム構築の基礎資料を得ることを目的に、日本、イギリス、キューバでインタビュー及び実態調査を行った。その結果特にイギリスでは、(1)小学校開始を低年齢化した「レセプションクラス」の遊び中心から徐々に学習へとつなぐ「なだらかな」接続、(2)接続期の人的支援体制、(3)信頼関係に基づいたダンス教育のおける専門家の活用の実態を明らかにした。このような幼児期から小学校への教育内容の連続性は、現在の日本では未着手であり、今後「幼小連携」のカリキュラム構築にむけて、貴重な資料となったと研究成果を評価する。
著者
梶原 克教
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究において発見できたのは、アフリカ系およびカリブ系の文化が修辞法の面において強く示す傾向が、先進的技術革新を通じて広く環大西洋にみられるようになった文化的側面と緊密な親近性を持つという点であった。それは、言語における形体的修辞法と、身体が示す擬態性との、さらにはサンプリングテクノロジー等により可能となった反復性との関連においてである。すなわち、地理的・人種的・民族的に後進的とされるアフリカ・カリブ系の文化が、先進テクノロジーと強い親近性を示し、新たな文化的潮流を生み出していることが立証できたのである。
著者
荒川 章二
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、近年の軍事史研究の一つの特徴をなす<軍隊と地域社会>の研究の一環に位置づけられ、首都東京の軍都としての歴史的性格を解明することを目的とする。軍都研究は、昨今いくつの地域事例を積み重ねているが、首都圏・関西圏等の巨大都市の軍事的性格・特質に関する研究は、時期的にも対象領域的にも断片的成果にとどまる。本研究では、東京の、巨大都市圏の中枢(大阪と共通)、かつ帝都(首都、かつ宮城の所在地=東京独自の性格)という両側面に注目しつつ、軍事都市としての形成期から大正・昭和初期の陸軍軍縮期に至る時期を主たる対象にして、軍都としての帝都東京の特質、変遷を明らかにする。
著者
丸山 征郎 川原 幸一 伊藤 隆史 大山 陽子 橋口 照人
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

HMGB1 はDAMPsの代表的分子であるが、多くの壊死細胞、あるいは活性化上皮系細胞などからは生細胞からも放出されて、TLR-2, -4, RAGEに作用する。この場合、先行する刺激によって活性化状態(プレイミング)となっている細胞にセカンド刺激となって作用すると、一挙にinflammasome 活性化とNF-kB 活性化により、IL-1β, IL-18を産生放出して、生体防御的反応を惹起する。しかしこれはまたSIRS,DIC 等の原因ともなる。セカンド刺激としてはトロンビンやエンドトキシンなども活性を発揮する。
著者
浅野 秀重
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

公民館は,地域における重要な拠点として,学習活動を通じて地域の担い手を育てるとともに,地域の状況や住民のニーズに応じて,地域課題の解決のための取り組みを行っている。震災後における公民館職員へのヒアリングにおいて,公民館職員は,地域住民の「つながり」形成に重要な役割を果たしていると述べるとともに,利用する地域住民は,公民館が,住民と住民,住民と地域,地域と他の地域を結ぶ機能を果たしている,と応えている。公民館における社会教育事業が,魅力的で活力ある地域コミュニティの再生に寄与している。
著者
瀬名波 出 小西 照子 平良 東紀 玉城 史郎 藤村 弘行 石川 正明 若井 謙介 大城 尚紀 小田 拓也 平岡 雅規 原田 周作
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では火力発電所や下水処理施設などから排出される二酸化炭素(CO2)を海藻を育てるための資源として再利用した。高濃度の CO2を海水に人工的に溶かし、それを海藻に与えることで藻類の光合成(成長速度)を飛躍的に高めた。通常の海水に比べて約 1.9 倍以上に成長が高まる結果を得た。また海藻を原料としたバイオエタノールの試作を成功させた。このようにCO2を減らし,また CO2を新たな資源として再利用する「炭素回生システム」研究開発を行った。
著者
長谷 俊治 有賀 洋子
出版者
大阪大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

マラリア原虫には、植物のプラスチドと類似のアピコプラストがある。マラリアゲノム中に植物Fdとその還元酵素であるFNRと相同な遺伝子があり、アピコプラストは光合成に依存しない還元力の供給系として、植物の非光合成プラスチドと類似したNADPH→FNR→Fdの電子の流れをもつはずである。組換え蛋白質の発現手法でマラリアFdとFNRを調製し、電子伝達活性及び特異抗体によるマラリア原虫細胞中での存在を確認した。結晶化と構造解析がFdについては完了、FNRについては進行しつつある。マラリアFdの主鎖構造は、トウモロコシの根Fdと類似性が非常に高いことが判明した。また、マラリアFdとFNRとの間には、強い分子間相互作用があることも判明した。これらの結果は、原虫細胞でこのレドックスカスケードが機能していることを示唆しており、このマラリアFdとFNRは、電子伝達複合体を形成してNADPHからの電子を種々の化合物に伝達する機能をもつと考えられる。そこで、この複合体から効率良く電子を受容し、しかもラジカル種のような細胞毒性を発揮できる薬剤をスクリーニングできれば、新たな抗マラリア薬の開発につながるのではないかとの着想に至った。大腸菌をモデル細胞として用いて、マラリアFdとFNRの遺伝子を導入し、菌体外に加えた酸化還元剤に対する増殖感受性を測定する系を構築した。Fd遺伝子、FNR遺伝子を各々単独に発現する株と共発現する株を作製し、酸化還元剤を含むプレートに播種し大腸菌の生育の阻害を調べた。その結果ビオローゲン系の薬剤が生育阻害に有効であることが判明した。この薬剤の効果は熱帯熱マラリア原虫のヒト赤血球の培養系でも有効であった。これらの結果は、NADPH/FNR/Fdのレドックスカスケードが、抗マラリア戦略の標的になることを示すものである。
著者
伊勢 雅子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

組織マクロファージは機能は存在する組織により異なる。組織マクロファージの分化誘導機構の解析はほとんど行われていない。これまでに脾臓の赤脾髄に存在するマクロファージ(RPM)の分化を特異的に制御する転写因子Spi-Cを同定している。そこで、本研究では組織マクロファージの分化誘導機構の解明を目的として、組織特異的なマクロファージを誘導する組織特異的因子の同定を試みた。RPMをモデル細胞とし、HemeがSpi-cを誘導することを見出した。さらに、Hemeの分解酵素であるHmox1 (HO1) のcKO マウスを用いてマラリア感染におけるRPMの役割についても検討した。
著者
本間 季里 鵜殿 平一郎 由井 克之
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

hsp70にマラリア原虫CS蛋白のCTLエピトープを結合させた融合蛋白をマウスに免疫することにより、CS特異的CTLの誘導と部分的防御免疫得られることを我々はこれまで明らかにしてきたが、本研究の目的は抗原特異的CTLの誘導機序を明らかにすることである。1.バキュロウイルスによるリコンビナント蛋白の作製上記で用いた融合蛋白は大腸菌で発現させた融合蛋白であるため、大腸菌由来のLPSなどの僅かな混入により樹状細胞の抗原提示能が影響される可能性がある。そこで、大腸菌由来物質の混入を回避するため、バキュロウイルスによるリコンビナント蛋白の作製を行なった。2.抗原特異的CTLの誘導機序を明らかにするためのモデルシステムの確立H2-K^b拘束性に卵白アルブミンペブチドOVA_<257-264>を認識するCD8^+T細胞のT細胞レセプターのトランスジェニックマウス(OT-1)のリンパ節より精製したCD8^+T細胞と、モデル抗原としてのOVA_<257-264>を結合させたマウスhsc70(hsc70-OVA)の融合蛋白をパルスした抗原提示細胞(APC)を培養する。APCがhsp70-OVAを取り込みOVA_<257-264>の提示を行なったか否かは、OT-1由来CD8^+T細胞からのIFN-γ産生を指標に行なった。その結果、樹状細胞はhsc70-OVAを取り込み、OVA_<257-264>をOT-1T細胞に提示出来ることが明らかとなった。3.抗原特異的CTLの誘導機序の解析樹状細胞をブレフェルデインA、クロロキンなどの抗原提示経路の阻害剤で前処置することにより、抗原特異的CTLの誘導機序を解析した。その結果、外来性抗原として取り込まれたhsc70-OVAの提示には樹状細胞内のTAP分子は必ずしも必要ないこと、エンドソームでCTLエピトープとMHCクラスI分子が会合する経路が存在することを明らかにした。
著者
山尾 敏孝 戸田 善統 友田 祐一 石子 達次郎
出版者
熊本大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

濃霧では通行止めとなる高速道路において,霧除去対策として防霧ネットが用いられているが効果が不十分である.そこで,改良策として,遠赤外線と高親水性を有する塗料をネットに塗布し,これを利用して霧除去実験を試みた.使用する塗料の種類や塗布の有無,ネットの種類を変え,室内実験により霧除去の効果を調べ,開発した.ネットが捕捉した水量の測定や捕捉状況を撮影し,水膜発生メカニズムを明らかにした
著者
関 平和 池本 良子 中木原 江利 本多 了
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

未利用資源の一つである竹チップの発酵過程における発生熱に着目し、伝熱理論と実験に基づいて、その熱の抽出・利用システムの適用可能性を検討した。まず、竹チップ層の発熱安定状態の発熱速度を求めた。次いで、竹チップ層内に埋設した配管への通循環通水による熱抽出の伝熱計算式を導いた。そして、抽出熱の蓄熱水槽、熱利用槽への熱供給を含めた総合システムを想定した小型システムによる伝熱実験により、伝熱計算モデルの妥当性を確かめた。さらに、実用的規模の竹チップ層を用いた発熱・蓄積・熱利用システムの実験を実施し、システムモデルの妥当性を確認した。
著者
柏野 和佳子 丸山 直子 木田 真理
出版者
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は,その重要性にも関わらず,従来の国語辞典において記述が不十分だった位相情報を取り上げる。はじめに,国語辞典・英語辞典に注記されている位相情報を調査した。次に,位相情報のうち,「古風な語」に着目し,各種国語辞典の記述の比較調査,『現代日本語書き言葉均衡コーパス』における使用実態の調査と用例分類,辞書記述方法の作成を行った。また,日本語学習者や,母語話者である大学生が作文において誤りやすい位相情報の調査・分析を行った。話し言葉的な語がレポート類の作成時に誤って用いてしまう例を抽出した。そして,誤用を訂正する情報がコーパス分析から得られる実例を示した。
著者
竹内 和雄
出版者
兵庫県立大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

中高生に対する携帯電話使用の実態調査から、スマートフォン使用者は、その他に比べて、就寝時刻が遅く、勉強に自信が持てず、ネット上で新たな出会いを多く経験していることがわかった。この結果を中高生自身や関係者に示し、議論する機会を設け、当事者自身による利用ガイドラインづくりを作ることができた。これらの活動は、啓発資料自作や年少者(小学生等)への啓発活動など、その後の中高生の自主的な活動に繋がった。この種の問題への、当事者自身の対策関与の有効性の大きさが示された。
著者
牧迫 飛雄馬 島田 裕之 土井 剛彦 李 相侖 堤本 広大 中窪 翔 堀田 亮 牧野 圭太郎
出版者
鹿児島大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

地域高齢者202名を調査した結果、97名(48.0%)が脳の健康のために取組んでいる活動があると回答し、取組んでいない者と比較して、記憶や情報処理課題の成績が良好であった。軽度認知機能障害を有する高齢女性56名を対象に語想起課題中の脳血流と園芸活動の有無との関連を調べたところ、日常的に園芸を実施している者で脳血流が有意に増大していた。また、うつ徴候および軽度記憶障害を有する高齢者89名を運動群、菜園群、対照群にランダムに割り付け6か月間の介入前後での効果を調べたところ、運動介入は記憶および持久性の向上に効果が期待されることが示されたが、菜園作業での介入効果は確認することができなった。
著者
茂呂 雄二 篠崎 晃一
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究は、幼児の言語に関する、メタ認知を測定する研究方法を開発し、これを用いて幼児自身の方言-共通語の違いに関するメタ認知と使い分けの能力の発達過程を明らかにする。そしてこの知見をもとに、従来の単線型の言語発達理論に対して複線型の理論を開拓することを目的にした。以下の3点を行った。(1)個別実験にもとづく横断的方法によるデータ収集(2)自然談話の分析に基づく、幼児・児童のジャンルの使い分け能力の発達過程の記述(3)音声メタ認識を形成していない児童に対する形成実験の実施(1)については、成人から収集した方言音声に関する正誤判断課題、ならびにその簡約版としての質問紙型テストを作成し、実施した。幼児から中学生を被験者として得た資料から、小学校中学年からメタ言語能力の質的な転回が見られることが明らかになった。(2)については、幼児期から小学校への移行過程のビデオ資料と、児童の一日の言語生活資料を文字化してデータベースを構築した。(3)については、研究の方法論を整備し、異音韻を含む語でありながら、かな文字では区別不可能な単語対を文字化させる、『かな文字コンフリクト課題』を創案し、小学校低学年児童と高学年児童に実施し、音声に対する自覚の変化を追跡した。
著者
梶 弘和
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

タンパク質や細胞などの脆弱なバイオ材料の機能を最大限に利活用するためには、生理環境下での加工プロセスが極めて有効である。本研究では、細胞の脆弱性に対応したバイオファブリケーション技術を開発して、in vitro細胞組織工学への展開を図った。マイクロ流体技術、ソフトリソグラフィー技術、表面技術等をハイドロゲルや高分子ナノシート等と効果的に融合させることで、細胞周囲環境の制御が可能な2次元および3次元培養系を作製して細胞組織機能の評価を行ったところ、これらの系が機能性の筋肉組織等の形成に有用であることが示された。
著者
塩谷 隆信 佐竹 將宏 佐々木 昌博 小泉 昭夫
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病:hereditary hemorrhagic telangiectasia ; HHT)は,1)遺伝的発生,2)皮膚・粘膜,内臓の多発性末梢血管拡張,3)各部位からの反復する出血を3主徴とする疾患である.本症は,末梢血管拡張,その部位からの出血が種々の臓器に出現する多臓器疾患であるために臨床症状が極めて多岐にわたり,患者は内科のみならず,外科,耳鼻咽喉科,皮膚科,歯科など極めて多くの科を初診する.さらに,合併する脳動静脈奇形あるいは,肺動静脈奇形の破綻により致死的となることも希ではない.本研究は,日本におけるHHTの発生頻度・罹病率について遺伝疫学的に検討を行い,本疾患による合併症の予防,治療を呼吸リハビリテーション(リハビリ)という観点から考案し,さらに将来的には遺伝子治療の足がかりを探ろうとするものである.日本におけるオスラー病の遺伝子異常は下記のごとくであった.A G to C transvertion at the splicing donor site of intron 3 (Inv3+1G>C) in one family, one base pair insertion (A) at nucleotide 828 (exon 7) of the endoglin cDNA in two large families (C.828-829 insA), and a four base pair deletion (AAAG) beginning with nucleotide 1120 (exon 8) of the endoglin cDNA (c.1120-1123 delAAAG) in one family. The insertion of A in exon 11 (c.1470-1471 insA) mutation found in one familyHHTに合併した肺動静脈奇形に対する呼吸リハビリは,そのプログラムがないことより実際には行われていない現況にある.また,肺動静脈奇形に対して肺動脈塞栓術が施行された後の呼吸リハビリ・プログラムも示されていない.佐竹は,高齢COPD患者に対する運動療法プログラムを考案した(佐竹他,COPD FRONTIER, 2006).上述の55歳男性HHT症例に対して佐竹の呼吸リハビリ・プログラムを施行したところ非常に有用で患者は通常の日常生活に復帰した.この呼吸リハビリ・プログラムはHHTに合併した肺動静脈奇形に対して応用可能であると考えられた.
著者
中村 航
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

最新の観測および理論計算の結果をもとに、新しい軽元素合成シナリオを提案した。Ib/c型超新星になるような星の周りには、その星が進化の過程で放出した物質が密度の高い星周物質を形成しているはずである。爆発で加速された星の外層が、星周物質と相互作用することによって軽元素が合成されるであろう。特に、星の表面にHe/N層が残っていれば、破砕反応による^9Be生成やHe+Heの融合反応による^<6,7>Li合成が効率的に起こることが期待される。Hirschi博士(キール大学)から提供を受けた金属欠乏星のモデルを初期条件として超新星爆発の数値計算を行い、外層の加速を調べた。また、そのモデルに対応する質量放出のデータをもとに星周物質の分布を求め、加速された粒子が星周物質を通過する際のエネルギー損失をモンテ・カルロ法によって算出した。計算の結果、爆発で加速された粒子の大部分は星表面近くの密度の高い星周物質領域でエネルギーを失い、従って軽元素合成反応もその領域でほぼ完結してしまうことがわかった。これより、合成される軽元素の量や比は、星表面と表面近くの星周物質の化学組成に強く依存することが予想される。この結果を受けて、銀河ハロー中の金属欠乏星の表面に存在する軽元素は、その星が形成される引き金となった超新星の特性を反映しているのではないかと推測した。軽元素の相対比から表面組成を、軽元素と酸素などの重元素との比から爆発エネルギーを算出することが可能である。^6Li量が測定されている最も金属量の少ない星LP815-43の観測から、この星は、質量比にして(He,C,N,0)=(0.95,0.01,0.03,0.01)という表面組成を持つ星が1.2×10^<52>ergsの爆発エネルギーでlb型の超新星爆発を起こしたときに、星間空間に放出されたガスから形成されたと結論付けた。
著者
大野 昭彦 藤田 幸一 三重野 文晴
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

農家家計費調査(N=1100)および信用組合の財務調査(N=103)に基づいて、発展の程度に対応して貯蓄および借入動機が変化することを指摘している。特に貧困地域の信用組合の役割は、疾病治療を中心とする保険組合であり、生産向上を目的とする借入は限定的である。また、余裕金問題の発生も確認した。日本やタイの信用組合運動との比較もなされ、信用組合運動にも地域差があることが指摘されている。そして、その主要因として、地主の役割が挙げられている。またワークショップを開催して、中央銀行を含むラオスの信用組合担当者に研究成果を開示した。
著者
竹島 史直 赤澤 祐子
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

不飽和脂肪酸の1つであるパルミトレイン酸(PO)は、炎症抑制作用があることが糖尿病や脂肪肝の研究で知られています。私たちは、POの炎症性腸疾患への関わりを調べるために、炎症性腸疾患患者の血清や手術標本の解析とマウスを用いた実験腸炎への影響を調べました。血清PO濃度はクローン病患者で健常人や潰瘍性大腸炎患者と比較し有意に上昇し、手術標本の腸間膜脂肪組織内PO濃度もクローン病患者の炎症部で非炎症部や大腸癌患者と比較して有意に上昇しました。マウスの腹腔内にPOを投与したところ、コントロールと比較して腸炎の改善が認められました。POは腸管炎症の抑制に関わっている可能性があると考えられました。