著者
山口 真美
出版者
中央大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、乳児期の顔認知発達に関する多くの研究成果を産出した。乳児の注視行動を計測する行動実験では、表情や顔向きのような顔の動きが顔認知を促進することを明らかにし、自然場面で見られるような顔の社会的情報の重要性を示した。さらに顔観察時の脳活動計測から、顔の同定や母顔などの既知顔認識が生後7-8ヶ月頃に発達することを示し、顔認知の社会的側面の発達過程の解明に大きく貢献した。
著者
大河原 良夫
出版者
福岡工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

フランスは、近年、苦しまずに終末期を迎え,できれば意図して死を迎えることを社会全体として,積極的安楽死を排除したうえで,それに代わるものを本気で模索し始めている。そこでの問題解決への模索・もがきを跡づけながら,前年度まで総論的に俯瞰してきた研究成果にひき続いて,最終年度になる本年度は,人の最期の生のあり方を医療との関係で,各論として,その後の二つの新展開をも加える形で,最終年度の全体的考察を行なったものであった。その具体的内容構成は次の通りであるが,まず,序として問題枠組を提示して,セデーション法制改革が,権利としてのセデーションへの露払いとなった意義を明らかにした。そして,つぎに終末期医療におけるセデーションの意義、あり方を分析し、その二重効果的治療性とその決定プロセスをみた。そのうえで,「ターミナル・セデーションを求める権利」論の拡がりを、Sicard報告書による提案による議会上程までの前哨戦→Leonetti bis法案による立法提案→国家諮問倫理委員会答申による提案→Claeys-Leonetti報告・法案による最終立法提案の諸段階にわけて,さらに本戦たる議会審議およびランベール事件のヨーロッパ人権裁判所判決までの新展開の分析までを考察に入れることができた。結びとして、フランス型安楽死への道として、ターミナル・セデーションの権利化だけでなく,医プロフェッションの自律の減退をも言及考察したことは重要な意義があるものと思われる。
著者
小原 顕
出版者
大阪市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

液体Heに大振幅の定在波音波を励起すると非定常な巨大吸収が観測される。これは音場によって蒸気泡が生成され、さらに泡が音場と非線形に相互作用することに起因すると、申請者は考えている。この説を定量的に証明するため、リアルタイムに音場の絶対値を測定できる装置光ハイドロフォンを開発した。この装置は、 超流動相および蒸気相を含む1.5~5.5Kのヘリウム中で、動作することを確認した。密度換算には成功したが、圧力換算に必要な精度には至らなかった。この原因はAPD検出器の本質的な問題に起因することを突き止めた。この問題さえクリアすれば、音響タブレンスの定量的観測に一歩近づけるはずである。
著者
武内 章記
出版者
独立行政法人国立環境研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

地球規模の水銀汚染対策として、火山や熱水活動によって排出される自然由来の水銀と、人間活動によって排出される人為起源水銀とを識別することができるトレーサーの開発を目指した。本研究では、還元気化装置と多重検出器型誘導結合プラズマ質量分析装置を用いて、魚類中の極僅かな自然界の水銀同位体比変動を計測する分析方法を開発し、魚類中の水銀同位体比に非質量依存同位体分別の影響が検出されて、底質や岩石などに含有されている水銀とは異なる同位体比組成をもっている事を明らかにした。
著者
相島 葉月
出版者
国立民族学博物館
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、空手道の稽古に取り組むエジプトの都市中流層の事例を手がかりに、中東におけるモダニティの系譜を探求することであった。近年、新自由主義経済の広がりにより、学歴や所得で中流層と下流層を差異化することがより困難になる中、「教養」の有無を指標とする新たな「階層観」が構築されつつある。この文脈において本研究は、エジプトのスポーツ実践に象徴された「身体化された教養」をめぐるポリティクスを、西洋的近代性に代わる、独自のモダニティを創出する試みとして考察した。
著者
岩永 恭雄 佐々 祐之 中川 裕之 茅野 公穗 宮川 健 岩田 耕司 宮崎 樹夫 牧野 智彦 永田 潤一郎 青山 和裕 辻山 洋介 水谷 尚人 小松 孝太郎
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-10-31

本研究では,「課題探究型の説明」を,事柄の生成(構想/構成),説明の生成(構想/構成),評価・改善・発展及び三側面の相互作用による営みとして捉えた。次に,この捉えに基づいて,中学校数学の全4領域(「数と式」,「図形」,「関数」,「資料の活用」)において,その領域における説明の特性に基づいてカリキュラム開発枠組みを設定し,この枠組みに基づいて,学習指導要領に即して「内容ー活動対応表」を作成した。最後に,「内容ー活動対応表」に基づいて一連の授業を開発・実践し,カリキュラムの実現可能性を確かめ,今後の課題を特定した。
著者
野村 伸一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

東アジアのうち、東シナ海を中心にした祭祀と芸能について、40余りのウエブサイトを公開した(後掲一覧参照)。そして、その具体的な資料に基づいて、野村伸一編著『東アジアの祭祀伝承と女性救済』(風響社、2007年)を刊行し、さらに野村伸一著『東シナ海祭祀芸能史論序説』(2009年、7月刊行予定) をまとめた。これらにより、中国、朝鮮半島、日本につづく基層文化のいくつかの基軸を明確に示すことができた。そうした基軸の提示は従来の縦割りの研究組織からはなされていない。このことが最も大きな成果といえる。
著者
青木 博史
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

「節」の構造と歴史的変化について,連体形および連用形によって構成される節について記述した。従来断片的に言及されてきた諸現象を,統一的に把握し説明した。記述にあたっては,古典語における単なる共時的な分析にとどまることなく,歴史的変化をダイナミックに描いた。さらに,望ましい日本語文法史の説明,叙述のあり方として,位相論や文体論,方言研究とも連携しながら,複線的・重層的なストーリーを描くことの必要性を述べた。
著者
居村 岳広
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

電磁共鳴方式のワイヤレス電力伝送は、負荷変動が激しく、素早い制御が望まれている。従来のコンデンサを機械的に切り替える方式ではスピードに限界があり、素早い制御を可能とするパワーエレクトロニクスと磁界共鳴技術の融合が必要とされていた。本研究では、(1)パワエレによるインピーダンスマッチングとして、インピーダンス変動による効率低下を防ぐために、パワエレによる素早い制御技術の確立を行ない(2)推定技術として、負荷変動が生じたことを把握する技術の確立を行ない(3)複数負荷への電力配分として、負荷の数が増減した際にも任意の配分で電力が送れる技術の確立を行った。
著者
堂前 亮平
出版者
久留米大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究は、川崎市、大阪市、名古屋市、福岡市およびこれらの都市の周辺都市における沖縄県出身者の社会空間の形成および特質について明らかにし、社会集団と空間との関係を考察するものである。沖縄から県外への移住は、大正末期から昭和初期にかけての恐慌によって、県外に生活の糧を求めて海外移民や本土の工業都市への出稼ぎがはじまった。大正末期、沖縄から最も出稼ぎが多かったのは、大阪で、全体の43%を占めていた。ついで神奈川県であった。本土という異質社会のなかで生活するために、沖縄県出身者は相互扶助のために必然的に県人会や、郷友会といった同郷組織をつくり、助け合って生活を送ってきた。この基底には、沖縄のシマ共同体という強い連帯がある。このため、沖縄県出身者は、必然的にお互いに近い距離に家を持つため、居住地も沖縄県人の集中地域が見られる。川崎市では川崎区、大阪市では大正区、名古屋市では緑区といったところである。幾つかの沖縄県人会館は、沖縄県出身者の拠点として機能している。琉球舞踊をはじめ三線や太鼓などの沖縄の芸能は、沖縄県出身者の拠り所として、沖縄社会のなかで演じられてきたが、近年、地域行事にも積極的に参加するようになり、地域との交流が進んできた。このような傾向は日常生活についても見られ、沖縄県出身者の生活行動様式が変化してきた。このことは、本土の人たちの沖縄に対する意識が、沖縄を「特別なもの」から「個性輝くもの」と見るように変化してきたことによる。相互扶助を目的として、県人会が組織されているが、その性格も、親睦的なものへと変化してきている。
著者
高橋 一夫 平野 真紀 糠野 亜紀 新谷 公朗 金田 重郎 白井 由希子
出版者
常磐会短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

保育現場では子ども達の表現活動が重視されている。その表現活動には言語表現の領域があり、日々の保育においても絵本の読み聞かせなどが豊かに実践されている。ところが、絵本などを用いずに話す「素話(すばなし)」は、保育の場において衰退しつつある。そこで本研究では、言語表現活動として重視されるべき「素話」が、なぜ保育現場で衰退しているのかを実証的に分析し、「素話」の実践を支援する方策を模索した。その結果、「素話」では絵本の読み聞かせと異なり、子ども達が想像力を働かせていることが明らかになった。そして、この「素話」に特徴的な効果を理解することが、豊かな実践に必要であることが分かった。
著者
高木 俊雄
出版者
沖縄大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、欧州の研究コミュニティを中心に発展を見せている「実践としての戦略(SaP)」の実証的、理論的発展を目的とし実施された。また、こんにちのSaPの議論が戦略をどの位相で捉えるのかによって全く異なった展開を見せているため、それらの整理検討も視野に入れて行ってきた。具体的内容としては、(1)既存の戦略論のアプローチであるプロセス論の延長としてSaPを捉える視点、(2)企業実践における規範としての制度を梃子とした戦略の視点、(3)企業が「戦略」という言葉を用いることでどのような実践を可能にしているのか、そして(4)戦略論が企業の戦略実践の中でどのように構築されてきたのかについて検討を行った。
著者
ボルジギン ブレンサイン
出版者
滋賀県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は現代中国の56の民族の枠組みが如何に認定されたかについて、八旗集団の動向を把握することを通して分析した。主に清帝国から現代中国成立過程において、民族集団が如何に融合集散を繰り返したかを明らかにした。平成24年度には「中国の政治改革と少数民族の権利」と題する国際シンポジウムを開催し、ケンブリッジ大学やハーバード大学、中国社会科学院などの研究者を集めて議論した。ここ数年間、海外で行われた国際会議に出席し、研究成果を発表した。平成26年度には「軍閥と内モンゴル」と題する科研シンポジウムを開催し研究の取りまとめをした。研究期間中に学術論文3編、編著書4部を発表し、学会発表を3回行ってきた。
著者
久野 真矢
出版者
リハビリテーションカレッジ島根
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

【目的】本研究の目的は,認知症高齢者の主観的QOL評価尺度としてLawtonらが開発したApparent Affect Rating Scale(AARS)が,わが国の認知症高齢者にも使用可能であるのか,日本語訳の判断基準を使用して評価を行った場合の信頼性を検討することである.研究疑問は,「わが国の認知症高齢者に対するAARSの信頼性は高いのか」である.【方法】1.対象:認知症高齢者を改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)20点以下の65歳以上の者,HDS-R10〜20点を軽度認知症,HDS-R9点以下を重度認知症と操作的に定義した.家族より研究参加への承諾が文書にて得られた某介護老人保健施設入所者15名を対象とした。対象の属性は平均年齢86(SD6.3)歳,女性11名・男性4名,血管性認知症9名・アルツハイマー型老年認知症5名・パーキンソン病1名,HDS-R平均10.1(SD7.35)点,NMスケール平均22.9(SD12.92)点,障害老人の日常生活自立度ランクA:1名・B:12名・C:2名,痴呆性老人(認知症高齢者)の日常生活自立度ランクI:4名・II:2名・III:7名・IV=2名であった.2.方法:対象が施設共用空間で過ごす様子を1回あたり5分間のビデオ撮影を複数回行った.2名の評価者がビデオ記録を観察しAARSを用いて評価を行い,うち1名の評価者は再度AARSを用いて2〜3週間後に評価を行った.3.データ分析:AARS得点の±1点差までを一致とみなし,評価者間一致率とテスト-再テスト一致率を求めた.また,不一致率について母不良率の検定を危険率5%で行った.【結果】評価対象ビデオ記録は67回分(重度認知症34回分,軽度認知症33回分)であった.1.評価者間一致率;満足45,興味0.75,楽しみ0.33,不安0.85,怒り0.94,悲哀0.82を示し,母不良率の検定では満足,楽しみに有意差を認めず他の項目は有意差を認めた.重症度別では,重度群は満足0.62,興味0.77,楽しみ0.44,不安0.74,怒り0.88,悲哀0.68を示し,軽度群は満足0.27,興味0.73,楽しみ0.21,不安0.97,怒り1.00,悲哀0.97を示した.母不良率の検定では重度群,軽度群ともに満足,楽しみに有意差を認めず他の項目は有意差を認めた.2.テスト-再テスト間一致率;満足0.75,興味0.69,楽しみ0.76,不安0.91,怒り0.96,悲哀0.94を示し,それぞれ母不良率の検定で有意差を認めた.重症度別では,重度群は満足0.76,興味0.74,楽しみ0.91,不安0.85,怒り0.91,悲哀0.88を示し,軽度群は満足0.73,興味0.64,楽しみ0.61,不安0.97,怒り1.00,悲哀1.00を示した.母不良率の検定ではすべての項目に有意差を認めた.【考察】主観的QOLとして重視される感情の評価尺度としてLawtonらが開発したAARSは,わが国の認知症高齢者を対象とした場合では評価者間一致率,テスト-再テスト一致率ともに興味,不安,怒り,悲哀の項目では有意に高い値を示し,臨床応用の可能性が高いことが示唆された.しかし,満足,楽しみの項目については評価者間一致率が有意に低く,判断基準の検討が今後の課題と考えられた.
著者
中谷 登
出版者
芦屋大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

パルスレ-ザを流体中に照射し,吸収による光熱変換(フォト・サ-マル効果)をもちいた。初期の瞬時のガス膨張から発生した音波が生じ,この初期の屈折率変化とその後の熱変換による屈折率変化を高感度ヘテロダイン干渉計,または繰り返し反射干渉計を用いて検出し,温度および流速の同時センシングの基礎的検討を行った。1.位相検出系の検討 位相変化の測定に2点差動方式の光ファイバ・ヘテロダイン干渉計を用いた。この干渉計は外乱の影響を受けにくく,きわめて高感度の測定が可能であり,空間分解能も高い。現在のところ位相変化応答性は0.1msである。早い位相変化の検出のため,高感度繰り返し反射干渉計の検討を行った。この干渉計は,感度が高い反面,位相変化に対して強度変化が殆どない位相領域があり,ダイナミックレンジが限定されている。この為,ピエゾ素子によりミラ-制御により初期の動作点を感度の良い位相感応領域に設定した。また,半導体レ-ザを用いて,その駆動電流を変化させ,波長変化によって,位相制御を行えることを示した。2.速度計測の基礎的検討 後期の光熱変換による屈折率変化を用いた。CWCO_2レ-ザと高速度回転メキャニカルチョッパを用いてパルス光を作成し,流体中の局所領域に照射して行った。レ-ザにパルス幅があるため,測定2点に屈折率変化部がまたがり,タイム・フライト方式による速度測定値に誤差が生じる。誤差を理論および実験面から検討したところ,理論解析結果を用いれば,何れの方法も誤差補正が可能である。次に,励起レ-ザとして,自作したTEA型CO_2レ-ザを用いた。レ-ザのパルス幅は約100ns程度であるので,パルス幅による影響はなく,流量計から換算した速度と実験値は一致した。3.燃焼流温度計測の基礎的検討 励起レ-ザとして自作したTEA型CO_2レ-ザを用いた。発生音波の伝播時間測定は,2点での位相変化測定によるタイム・フライト方式を用いた。燃焼反応によるガス組成変化によって音波の伝播時間の変化は2〜3%程度である。CARS法は,励起準位におけるボルツマン分布を知る必要があるが,本研究の方法はその必要がなく簡便で,容易な方法である。本研究の実用化のためには,今後,安定した強度,ビ-ム形状のレ-ザの使用による伝播時間測定の精度向上基礎的事項の検討を必要とする。
著者
椋木 雅之
出版者
広島市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本年度は,スポーツシーンに意味づけし,その結果を利用する技術を開発した.対象として,実際に放送された野球映像を用いた.野球における1シーンは1投球に対応する映像区間である.1投球区間に現れる映像ショットの種類,構成について検討したところ,・1投球から次の投球までの間が短いシーンは,見送りやファウルである・打球が飛んだ場合,その打球を追うカメラワークを含んだショットが現れる.・1シーンの中で,実際にプレイに関係するのは,投球開始から,打者や走者,投手をアップで写したショットまでの間であり,その後は,リプレイなど,ゲームの流れに無関係な映像が含まれる.などの特徴があることが分かった.これらの知識を導入するために,ショットの種類として,1.投球開始時に現れる「プレイ開始ショット」2.打球を追ってカメラワークが起こる「ボールを追うショット」3.打者,走者,投手をアップで撮影する「プレイヤショット」の3種類を取り上げ,自動的に識別する処理を実現した.これらのショット種別を利用して,3種類のダイジェスト生成を行った.1つ目は,3ショット以下で構成されるプレイを除去し,残りのショットのうち,1投球区間で「プレイ開始ショット」から最初に現れる「プレイヤショット」のみを集めたダイジェストである.このダイジェストは,試合の重要な流れを網羅しつつ,60分の映像を20分に短縮することができた.2つ目は,「ボールを追うショット」を含むプレイ区間を集めたもので,打球の飛んだプレイからなる5分間のダイジェストを生成した.3つ目は,「ボールを追うショット」を含むプレイが多く現れたイニングを抜き出したもので,実際に得点の入ったイニングからなる5分間のダイジェストを生成した.このように,ショットの種別を元にして,各種のダイジェストを生成することができた.
著者
高田 裕光
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

うつ病心理教育の為のweb自己カウンセリングシステムは、これまで我々によって試行されている(宗像、高田ら、2009)。本研究は、回復期統合失調症の心理教育の為に家族や回復期にある本人が利用できるWEB心理教育システム作成を目的とし、本年度はまず、そのコンテンツ作成計画を立案した。統合失調症は、難治化させやすい遺伝的気質を持つ症例とそうでないものがある。その疾患の性質と難治化させやすい遺伝的気質との混同が、一般のみならず専門家にもみられる。遺伝的気質の弊害を克服するために特定のセルフケアによる心理教育をする必要がある。なかでも、(1)調節物質セロトニン神経伝達が不足した場合、緊張物質ノルアドレナリン分泌を調節しがたい損害回避遺伝子を持つため、神経質で思い込みや妄想を持ちやすい不安気質者には、クールダウンの為のセルフケア、また報酬物質ドパミン神経伝達が不足した場合は、報酬不全の遺伝子があり、生真面な執着気質者には「まあいいか」と心の声を10回以上行うというセルフケア、また鎮静物質ギャバ神経伝達不足も伴うことから、対人緊張をさける単独性指向がある自閉気質者には心のサポーターをもつセルフケアが必要である。(2)難治化する統合失調症は、これらの気質を持つ症例が一般的であるので、思い込みや妄想、感情的巻き込み、強い・高い・急激な音声などの高感情表出を避ける環境形成を家族や援助者に心理教育する必要がある。(3)緊張物質ノルアドレナリンを減少させるためにメジャーリーガーがガムを噛むように、「関係者以外に愚痴る(咀嚼運動)」セルフケアを自己練習したり、また相手の意見を繰り返し、私表現で自分の意見をつぶやく自己練習が必要であり、これらをweb上で行うプログラムを計画した。
著者
筒井 佐代
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、日本語母語話者の友人同士による日本語の雑談の音声データを用いて、「会話参加者に関わる話題」について話している雑談における、質問の発話連鎖と言語形式の特徴、および意見の対立の発話連鎖と言語形式の特徴、また、それらが話題の流れのどの位置で現れるのかといったよりマクロな視点からの特徴を分析した。その結果、ノダを用いない単純な質問と応答の連鎖は、理解に必要な情報を補足する等、挿入的に用いられること、また意見の対立は明示的になされるものの、摩擦が起きないような配慮をし、お互いの意見の相違を掘り下げないことが重要であること等が明らかになった。
著者
境 圭一
出版者
信州大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

球面の埋め込みのなす空間の位相幾何学的な性質についての研究を継続した.「はめ込みを法とした埋め込みのなす空間」と呼ばれる空間fEについて,fEが位相的Stiefel多様体の多重ループ空間であることを示した.応用として以下の結果を得た.(1) fEのホモロジー群にBV代数の構造を導入した.(2) 「スピニング」という埋め込みに対する操作が異なる次元の埋め込みの空間の低次ホモトピー群に同型を誘導する事実があるが,これを位相的Stiefel多様体の言葉で書き直して別証明を与えた.
著者
山根 基秀
出版者
山口県田布施町立田布施西小学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

「研究目的」:地域の自然や歴史・文化を素材に、それらにふれあい、新たなものを創り出していく学習を行う。活動の過程で、地域の人との交流や地域への情報発信の仕方も学び、体験による生きる力と学力向上を連動させ、今後に活用する力を養う授業作りの研究を行う。「研究方法」:地域の自然や歴史・文化を体験する活動を仕組み、そこで学んだ知識や感性を、地域発信という形で表現するとともに、活動過程での基幹学力の定着をねらう学習を展開する。(1) テーマ:「今よみがえる!田布施2000年の歴史~昔のかおゆただようドリームランドの実現をめざして」(1) 田布施町の歴史を調べる~古墳調査、古代米の栽培・収穫・試食(ポンポラ飯、餅つき)他(2) 生活文化の体験~ハゼの実ロウの絞り・絵付け、地元俳人「江良碧松」の研究、昔の遊び他(3) 古代のむらを再現~埴輪や土器、里山体験場作り(学校林活用)(2) テーマ:「ニューカルチャーワールドin田布施~古代から新しい文化の創造をめざして」(1) 古代文化・田布施文化の調査~弥生・古墳時代から中世までの研究(2) 新田布施文化の創造~ハゼの実ロウソクの復活、休耕田を利用したカブト虫飼育他(3) 学習したことを地域の発信!!(1) 西小文化祭の開催~「田布施文化がこだまするin学校林-一人一文化一俳句」→県総合芸術文化祭参加※体験して学んだことを俳句で発表、田布施の生活文化の再現、体験コーナー(そば打ち、自然体験他)の設置(2) 「新聞を教育に」~新聞活用によるかべ新聞作り→全国かべ新聞コンクール発表(入選)「研究成果」:地域の宝「ひと、もの、こと」と積極的に交流することにより、自然や文化の恵みを感じる心や地域や友だちへの感謝の心が育った。また、自分なりのふるさと観を構築し、町の発展への意欲や実践力が高まり、地域創造の態度が培われた。そこから自分たちの町の自然や文化を継承し、創造する活動へ発展し、地域に発信する力やコミュニケーション力などの社会性を身に付け、進んで将来の自分に生きてはたらく活用力を身に付けようとする意識が芽生えた。さらに、教科などとの横断的な活動によって、基幹学力の向上が見られた。また、様々な体験で学んだことを俳句や日記に表したり新聞にまとめたりすることで、感受性や表現力が豊かになり、書く・聞く・話すといった言語活動の充実につながり、確かな学力が身に付いてきたと確信する。