著者
甲斐 義明
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.85-96, 2011-06-30 (Released:2017-05-22)

Alfred Stieglitz's series of photographs of clouds entitled Equivalents has been understood from two contrasting perspectives: "straight photography" and symbolism. This essay discusses an aspect of the Equivalents which has been neglected in these two dominant frames of reference. When Stieglitz began to make the Equivalents in the mid-1920s, the painters around him, such as Georgia O'Keeffe and Stanton Macdonald-Wright, were primarily concerned with how to represent the American landscape. This concern urged them to abandon pure abstraction and to depict landscapes that were considered to be characteristically American. Although the Equivalents capture only clouds in the sky, each photograph was shot at Lake George in upstate New York. When he exhibited them, Stieglitz carefully arranged the captions and installations so that a viewer could realize this fact. As Lake George was another place regarded to embody the beauty and spirit of America, the Equivalents were not unrelated to the shared interest of the painters of the Stieglitz circle. In pursuing this concern, Stieglitz utilized an intrinsic characteristic of the photographic medium, namely its inseparable connection to a specific place and viewpoint.
著者
清田 有希 大森 茂樹 河原 常郎 土居 健次朗 倉林 準 門馬 博 八並 光信
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101860, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】臨床では、Electrical Muscle Stimulation(以下EMS)を使用する機会は多い。EMSは、電気刺激によって筋収縮を起こし、筋ポンプ作用を働かせ、疲労物質の貯留が解消されることで、疲労が回復することが予想される。筋血管内の疲労物質は、この筋ポンプ作用により貯留が解消される。筋疲労は、最適な周波数と最適な刺激間間隔を定めることにより、筋ポンプ作用が促進され、筋疲労を回復させると考えられる。しかしEMSは、異なる周波数や刺激間間隔の違いにより筋疲労の回復に差が生じるかは不明な点が多い。本研究では、筋疲労を回復する最適周波数と最適刺激間間隔を比較し、筋疲労回復の電気治療の有効性について検討した。【方法】対象は、整形外科的、神経学的に問題のない健常成人24名、年齢27.2歳±4.0、BMI21.9±2.2であった。対象筋は、大腿直筋とした(電極:大腿四頭筋の筋腱移行部と大腿直筋のモーターポイント)。各療法の刺激間間隔は、1:1(5sec on:5sec off)、1:5(10sec on:50sec off)の2パターンとした。周波数は、1Hz、5Hz、10Hzの3パターンを行った。筋力測定は、対象の肢位をLeg Extension-Curl(HUR社製)の装置に股関節屈曲50°、膝関節屈曲60°、足関節背屈0°で固定した。最大筋力は、計測器PERFORMANCE RECORDER 9100(HUR社製)をLeg Extension-Curlに取り付け、大腿四頭筋の等尺性収縮での最大筋力を計測した。運動課題は、最大筋力測定時の膝伸展角度を制限として、最大筋力の40%の負荷量で膝関節の屈伸運動を行わせた。運動課題中は、メトロノーム(110bpm、4拍子)を使用し、4拍子目を最大伸展位となるように運動を行わせた。運動課題の終了は最大伸展位まで運動が行えない場合が2回続いた場合、運動課題中メトロノームのリズムから逸脱した場合とした。運動終了後、直ちに計測器で筋力の計測を行った。その後、マルチ電気治療器インテレクト アドバンス・コンポ2762CC(CHATTANOOGA GROUP社製)でEMSを各パラメータで20分間行った。電気刺激強度は、運動閾値の2倍の強度で行った。電気治療後、計測器により筋力の計測を行った。コントロール群は、EMSを施行せず、パッドを貼ったのみの施行を6人に行った。最大筋力を回復筋力で除したものを疲労回復率とし、統計処理は、コントロール群と各周波数の刺激間間隔群を比較した。有意水準は、5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】所属施設における倫理委員会の許可を得た。対象には、ヘルシンキ宣言をもとに、保護・権利の優先、参加・中止の自由、研究内容、身体への影響などを口頭および文書にて説明した。同意が得られた者のみを対象に計測を行った。【結果】刺激周波数別に疲労回復率を比較すると、疲労回復率は、1Hzの1:1は120.0%、1Hzの1:5は134.0%、5Hzの1:1は103.0%、5Hzの1:5は116.7%、10Hzの1:1は115.4%、10Hzの1:5は117.4%となった。コントロール群の回復率は102.0%となった。コントロール群と各周波数別の比較では、コントロール群と1Hzの1:5の群のみに有意な差(P<0.02)を認めた。【考察】疲労回復の度合いをみると、EMSを施行した場合とコントロール群では、EMSを施行した場合の方が疲労回復率は高かった。EMSを行うことで、筋肉の収縮が起こり、筋肉内の疲労物質である乳酸の流動が生じ、疲労回復が促進されたと考えられる。Lindstromらは、活動筋における血液循環が低下することによって、筋中に産生された乳酸が除去されにくくなったことにより筋疲労が起こるとある。市橋らは、主運動後に軽い運動を行なうと血液循環が改善され体内の化学反応が促進されて回復が高まることや運動後の血中乳酸の除去率をクーリングダウンと安静で比較すると軽い運動をした方が、除去率が高いことが報告されている。このことから、EMSにより筋収縮が起こることで疲労の除去が行えると考える。コントロール群と比較し、EMSの各パラメータでは、周波数1Hz、刺激間間隔1:5のものが疲労回復に大きく貢献していた。Bentonらは、電気刺激による筋収縮は生理的収縮より疲労しやすく、長めの休息を設定する必要があるといっている。刺激間間隔は、1:1よりも1:5のパラメータでEMSを施行した方が、有意に差が生じたと考える。【理学療法学研究としての意義】現在、電気療法のパラメータの違いによる筋に与える影響についての研究や疲労回復に関して電気療法を行った研究はまだまだ少ない状態である。本研究により、電気療法のパラメータの適切な選択や電気療法が筋疲労の回復にも影響があることを証明し、理学療法やスポーツ場面の治療法の一助となると考える。
著者
萩谷 昌己
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.e61-e68, 2021-03-15

本記事は,日本学術会議が公開した報告「情報教育課程の設計指針-初等教育から高等教育まで」について解説する.この報告は,情報教育の共通の物差しとして,初等中等教育,および高等教育における共通教育ならびに専門基礎教育までの情報教育を一気通貫に体系化している.各学校等の教育現場において情報教育に携わる者や情報教育を設計・評価する者が,自らの情報教育と隣接する情報教育の関係について検討したり,情報教育全体(もしくはその一部)を設計したりする際に,指針として用いられることを想定している.本記事は,この報告をさまざまな場面で活用していただけるように,その策定の背景と内容について詳細に解説する.
著者
掘越弘毅著
出版者
白日社
巻号頁・発行日
2012
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1058, pp.60-64, 2000-09-18

9月19日、江崎グリコが新製品を発売する。当面は、関東地方、静岡県、山梨県に限定して展開するが、新しく出すそのチョコレートは、同社の常識を打ち砕いたものだ。主力商品である「ポッキー」のように、グリコでは商品そのものの写真をパッケージに使うのが、これまでの常識だった。しかし、新製品のパッケージにはどこにもチョコレートの写真はない。
著者
大久保 昭行
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.34, 1996-01-01

マグネシウム(Mg)には,カルシウム(Ca)拮抗作用,気道平滑筋の弛緩,気管支拡張,コリン作動性神経筋伝達の阻止などの作用のほか,肥満細胞やTリンパ球を安定化し,NO基およびプロスタサイクリンの生成の促進などの作用があり,呼吸機能と深い関係があることが予想される. 最近,Britton Jらはロティンガム地域に住む70歳以下の成人全員を対象に調査を行い,調査に協力してくれた2,644名(男1,312,女1,321:対象者の48%)について,Mgの摂取量と肺機能との関係を検討した結果を報告している1).
著者
松下 耕太 伊藤 香織 高柳 誠也
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.1199-1206, 2021-10-25 (Released:2021-10-25)
参考文献数
9

首都圏郊外の駅周辺小売業は複雑に構成される鉄道網によって駅間ネットワークを形成し,さまざまなまちが繋がっている.近年では幹線道路沿道の大型商業施設の台頭やイーコマスなどの要因によって従来から駅周辺に商業集積を見せてきた市街地では衰退傾向がみられる.このような背景から,様々な要因に曝されている駅周辺小売業についてその構成や動向を首都圏郊外部のネットワークに着目し,明らかにすることを目的とする.また,対象を広範囲に設定し,小地域を対象とした研究では明らかにされていない現象を炙り出す.まず,施設規模と業種構成のデータを収集し,駅をクラスタリングした.その結果,小売業において拠点性が高い駅とそうでない駅で機能を分担している様子が可視化された.その上で,食品関係の店舗がコンビニやドラッグストアに代替される傾向や拠点性が高い駅の隣接駅やその周辺の駅に大型商業施設が立地する傾向を実データより捉えることができた.さらに業種別の店舗数によって空間的自己相関分析を行った.Global Moran's Iから首都圏郊外部の駅間で全体として機能分担が進んでいる様子を定量的に示した.また,Local Moran's Iからそれらを定量的かつ局所的に捉え,これらの結果を人々の購買行動や現行施策等に位置付け総括とした.
著者
神谷 浩夫
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.39, 2006

1.問題の所在<BR> グローバル化の進展によって,より安価な賃金コストの地域に生産拠点を移転させ,グローバル市場において優位性を確保しようとする動きが活発になりつつある.こうした生産拠点の海外移転は労働力が非可動的であることを想定している.もちろんこれは,他の生産要素に比べた相対的なものである.実際には,地域間で賃金格差が大きい場合にも労働力は移動する.けれども,労働力の国際移動は素材や製品の輸出入と比べると規制が大きい.<BR> 東南アジアへの日本企業の進出は1970年代ころから活発化し,それにともない海外へ赴任する日本人の数も増大していった.海外で働く日本人の多くは,男性従業員が妻と子供を同伴するスタイルをとっていることが多い.一方1990年代半ばから,海外で働くことが20代の独身女性の間でブームとなっている.とりわけ,香港やシンガポール,上海など東南アジア諸国で働く女性が増加しているものと思われる.そこで本発表では,東南アジアで働く日本人女性に着目し,シンガポールで働く独身女性が増えた理由を検討する.<BR><BR>2.分析の手順<BR> 企業の海外進出にともなう人口移動の実態を明らかにし,海外で働く日本人独身女性が増えた理由を検討するためには,その前に日系企業の進出状況が東南アジアでどのように進んだのかを明らかにしておく必要がある.<BR> 次に,東南アジアに滞在する日本人の動向を把握することで,シンガポールにおける日本人女性が就いている職業に関して予察的な考察を試みる.海外で働く日本人に関しては,労働力調査といった国内で利用可能な労働力に関する各種統計が利用できないため,多面的に推測を積み重ねる方法をとらざるを得ない.<BR> 最後に,東南アジア諸国において日本人が働く際に大きな影響を与える就労ビザの発給方針についても整理しておく.<BR><BR>3.結果の概要<BR> 地域オフィスが形成される過程やその役割に関して考察した鍬塚(2001)は,シンガポール地域オフィスは販売管理業務あるいは現地の合弁製造会社に対する本社サービスの提供にあることを明らかにした.世界都市としてのシンガポールの機能はこうした中枢管理機能に負っている部分が大きく,日系企業の事業所もほぼこうした原理に則っている.日系企業の進出状況を業種別の現地法人で見てみると,シンガポールでは製造業が4分の1を占めるに過ぎないのに対して,マレーシアやタイでは製造業がほぼ半数を占めている.<BR> 図1は,シンガポールにおける長期滞在者の推移を示したものである.本人(男)の人数は,日系企業の現地法人に勤務する駐在員の数に相当すると考えることができる.本人(女)の人数は,男性に比べると圧倒的に少ないことから,量的な面では家族を同伴する駐在員の人数に比べれば,シンガポールで働く(おそらく独身の)日本人女性はごく少数である.それでも,1990年代に入ってから増えていることが読み取れる.<BR> その他の検討結果については,当日に報告する予定である.<BR><BR>文献<BR>鍬塚賢太郎 2001. 日本電機企業の東南アジア展開にともなうシンガポール地域オフィスの形成とその役割. 地理学評論 41A-3, 179-201<BR>Thang, L. L., MacLachlan, E., and Goda, M. 2002. Expatriates on the margins: a study of Japanese women working in Singapore. Geoforum 33, 539-551.
著者
平井 志伸
出版者
公益財団法人東京都医学総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

サブプレートニューロン(SPn)は、人では疾患の種類によりその数が増減していることが知られている(アルツハイマー病患者では減、自閉症や統合失調症患者では増)。そこで、マウスを用いて、SPnの数が脳機能に及ぼす影響を検証した。まず我々は、今まで困難だった、SPn特異的な遺伝子操作の系を確立した。具体的には、アデノ随伴ウイルス(血清型9)を用いて、胎児期の適切なタイミングで脳室にウイルスを投与するという手法である。現在、この系を用いてSPn数を人工的に増減させた際の脳機能の変化を、組織学的、行動学的に解析中である。
著者
髙堂 裕平
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.81-86, 2021-06-05 (Released:2021-07-05)
参考文献数
10

近年,神経科学領域における神経回路の評価において,非侵襲にマウスからヒトまで共通して用いることのできる磁気共鳴画像装置(MRI)の利用が広まってきている.技術の進歩により装置が高磁場化し,より一層その有用性が増している.磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)は,高磁場化の恩恵を受けた撮像法の一つであり,脳の局所における脳内代謝物の測定を可能にする手法である.本手法を用いることで,脳の一定領域における神経伝達物質,エネルギー代謝に関わる代謝物,浸透圧調整物質等,種々の脳内代謝物の測定が可能となる.本稿では,神経回路の評価に有用な分析手法であるMRSの概要について紹介し,MRSで測定される脳内代謝物から伺える神経-グリアカップリングの脳機能における重要性についても述べてみたい.
著者
夏堀 晃世
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.87-92, 2021-06-05 (Released:2021-07-05)
参考文献数
40

エネルギーの恒常性維持(ホメオスタシス)は,細胞の生命活動を維持する上で極めて重要である.脳においては,特定の神経活動に伴う局所血流増加がNeurometabolic couplingとしてエネルギー恒常性維持の一端を担うと考えられ,それにより生理的条件下で,神経の細胞内エネルギーは常に一定に保たれると予想されてきた.しかしこれまで,生体脳においてエネルギー恒常性維持が達成されていることを検証した報告は無かった.そこで筆者らは,細胞共通のエネルギー通貨として利用されるアデノシン三リン酸(ATP)の神経細胞内濃度の生体計測により,脳のエネルギー恒常性維持の生体検証を行った.その結果,大脳皮質の興奮性神経の細胞内ATP濃度は,動物の睡眠―覚醒に伴い皮質全体でシンクロして変動し,動物の覚醒時に増加することを見出した.この結果は動物の覚醒時,神経活動増加に伴うエネルギー需要増加をさらに上回るエネルギー合成活動が,皮質全域で同時に迅速かつ持続的に行われることを示唆している.このことから,動物の覚醒時に皮質全域の神経細胞内ATP濃度を一気に増加させる,全脳レベルのエネルギー代謝調節機構の存在を初めて予想できた.動物の睡眠覚醒に伴い,脳の広域で一貫した神経細胞内ATP変動を引き起こすエネルギー代謝調節機構の実体として,筆者らは,ノルアドレナリン神経をはじめとする覚醒中枢神経の関与を予想している.これらの汎性投射神経が広範な投射先で伝達物質を拡散放出し,グリア細胞の一種であるアストロサイトへ作用して局所血流調節と神経への乳酸供給という2種類の代謝調節活動を制御することで,広範な脳領域で一貫した神経細胞内ATP濃度最適化に寄与している可能性があると考え,現在研究を進めている.
著者
平井 志伸
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.93-101, 2021-06-05 (Released:2021-07-05)
参考文献数
62

統合失調症(SZ)や双極性障害(BD)をはじめとする精神疾患は思春期後期から若い成人期に好発し,遺伝的脆弱性を背景にして,様々な環境要因がその発症を後押しすることが知られている.産業革命以前食卓に上ることはなかった砂糖(ブドウ糖と果糖が結合した二糖類)は,世界中で爆発的に消費量を増やし,現在では作製が容易な果糖ブドウ糖液糖(異性化糖のこと)の開発成功も相まって,所謂,単純糖の摂取量は止まるところを知らない.しかし,脳機能への詳細な影響の検討は未だ研究途上である.単純糖の摂取量は思春期で最も多く,それはちょうどSZやBDの発症時期と合致する.我々は,思春期における単純糖の摂取過多が精神疾患の発症に関与するのか,動物モデルを作成することで因果関係の証明を試みた.そして,単純糖の摂取過多は脳の生理学的,行動学的変化をもたらし,その表現型はGlyoxalase-1という種々の精神疾患で活性や発現低下が報告されている酵素のヘテロ欠損を伴うと,決定的なSZやBD様の所見を示す結果となった(Prepulse inhibitionスコアの低下,作業記憶の低下,脳波におけるGamma帯域の活動異常,PV陽性抑制性インターニューロン(PVニューロン)の機能低下等).我々は更に,作成した精神疾患モデルマウスにおいて非糖尿病性の毛細血管障害,血中から脳内へのGlucose取り込み低下を検出した.また,マウスで観察された毛細血管障害と同様の所見を,SZ,BDの患者死後脳でも見出した.以上の結果は,単純糖摂取過多による何らかの代謝異常により精神疾患が発症しうることを示唆し,血管障害が新たな表現型もしくは治療対象となりうることを示している.本稿では,我々の研究結果に関連するPVニューロンの機能と神経振動(Neural oscillation),血中から神経細胞までの物質輸送についての最近の知見も交えて紹介したい.

2 0 0 0 OA 編集後記

著者
毛内 拡
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.114, 2021-06-05 (Released:2021-07-05)