著者
村田 賀依子
出版者
日仏社会学会
雑誌
日仏社会学会年報 (ISSN:13437313)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.35-54, 2017-11-30 (Released:2020-03-13)

The theory of habitus is helpful to explain the various actions performed in various situations. However, the notion of habitus is considered to be weak with regard to providing such explanations. I re-read Bourdieu’s discussions and focus on “potentiality” to examine how the theory of habitus explains actions performed in various situations. Bourdieu’s theory of action notes the potentialities inscribed in the relation between habitus and situations. I consider the potentialities in the relation between habitus and situations and attempt to understand the relation among habitus, situations, and actions. The findings of the study are as follows. Habitus comprises a system of potentialities, and situations also contain numerous potentialities that can be executed in the near future. Actions are not defined only by the potentialities of habitus; however, the intersection of the potentialities of habitus and the potentialities of situations directs an agent’s actions. Even in situations of change, agents find few potentialities between habitus and that situation and manage such situations. Focusing on the discussion about potentiality, we can understand that the theory of habitus explains actions performed in various situations. Bourdieu’s theory has “potentialities” that could connect to the present-day situations.
著者
建部 謙治 松本 直司 花井 雅充
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.68, no.565, pp.217-223, 2003-03-30 (Released:2017-02-09)
参考文献数
19
被引用文献数
3 3

The purpose of this report is (1) to clarify the structure of recollection, (2) to search for the relationship between mental scenery of children and area characteristics, from a classification of it and the factor of recollection. For this purpose, the questionnaire survey was done. The results obtained are as follows. a) Mental scenery in the places to like is "The open place system" "The education system", and dislike is "The traffic system" "The nature system". b) Recollection's factor of in the places to like is "Action" "Impression", and dislike is "Impression" "Existence". c) Seto City and Nagakute Town were classified into seven according to area characteristics. Mental scenery and recollection's factor of children are influenced by area characteristics.
著者
田島 司
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.109-120, 2017

<p>本研究はイヌ好きとネコ好きのパーソナリティの特徴について検討した。調査対象者には,公的場面での自己,私的場面での自己,典型的なイヌとネコのパーソナリティのイメージを測定するためのビッグファイブ尺度に加えて,イヌとネコへの態度を回答させた。その結果,ネコのパーソナリティ好意群はネコのパーソナリティ非好意群よりも自己のパーソナリティとネコのパーソナリティのイメージとの差が小さかった。また,イヌの飼育志向群はイヌの飼育非志向群よりも公的場面と私的場面での自己のパーソナリティの差が小さく,ネコの飼育志向群はネコの飼育非志向群よりも公的場面と私的場面での自己のパーソナリティの差が大きかった。これらの結果について他者の要求や期待への対処傾向との関連から議論された。</p>
著者
小助川 元太
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.11-20, 2015-04-10 (Released:2020-05-26)

高校時代に古文が嫌いだったという大学生は多いが、大学受験をしない生徒を含む現役の高校生になると、その数はさらに増えるであろう。その原因は様々であるが、突き詰めていえば、教室で読む「古文」に魅力がない、面白くない、というのが一番の理由であろう。ところが、「古典文学」というコンテンツそのものが今の若者にとって全く魅力のないものかといえば、実はそうでもないようである。たとえば、百人一首をテーマとした漫画『超訳百人一首 うた恋い。』などは高校生や大学生の間でかなりの人気を博している。実際には、現代を生きる若者の心にも響く魅力的な「古典文学」は多く存在しているのだが、教材として教科書に掲載できる(あるいは掲載を求められる)作品には、教育現場における制約(教育的配慮・受験への配慮、分量、配当時間など)があり、その種類が限られてしまうというのが現状である。今後「古典文学」の魅力を若者に伝えていくためには、今や若者たちと「古典文学」との唯一の出会いの場となっている、教科書の「古文」の内容や扱い方を見直していく必要があるのではないか。
著者
木下 節子 大森 正子 塚本 和秀 大塚 五郎 益子 まり 藤生 道子 高橋 司 星野 斉之
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.82, no.10, pp.749-757, 2007-10-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
23

〔目的〕都市における結核発病の実態を報告し,今日の都市結核対策を検討する。〔方法〕症例研究を中心に行った。各症例の社会背景と結核菌DNA指紋分析を加えた菌情報により感染経路を調査した。〔結果〕2005年2月よりの1年5カ月の間に,川崎市川崎駅周辺の約500m四方の地域で9例の結核発病を確認した。9症例は16~55歳の比較的若い年齢層で,3例はホームレスであった。接触者健診の過程で,すべての症例が川崎駅周辺を生活活動圏としており,ネットカフェ等での関連が推測された。9例中7例はSM耐性菌であり,そのうち5例はDNA指紋分析により同一パターンを呈した。〔考察〕本事例はネットカフェ等の不特定多数利用施設を中心とした感染と考えられた。都市にはこのような施設が多く,若年者層とともにホームレス等の社会的弱者も利用する。結核未感染の若年者層と結核ハイリスク層とが閉鎖的空間を長時間共有する環境は,いったん結核菌の喀出があれば,容易に感染が起こりうることを示唆した。結核の都市偏在にはこのような社会環境も影響しており,それらを加味した総合的対策が求められる。
著者
宮本 文人 谷口 汎邦
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文報告集 (ISSN:09108017)
巻号頁・発行日
vol.436, pp.19-29, 1992-06-30 (Released:2017-12-25)
参考文献数
27
被引用文献数
1

The purpose of this study is to investigate children's cognitive maps of school buildings. Sketch-map and placings of specific locations of floor plan were employed to externalize children's cognitive maps. The subjects were the second, the third, and the fifth graders. Some of second graders' maps seems to be as accurate as fifth graders' ones in the placings of specific locations. In one school building, the block slanting at 45 degree angle was distorted to be at right angle and pararell about 30 children's cognitive maps. In the other school building, about 10 children's sketch-maps indicated rotated distortions.
著者
井上 和久 原 和彦 須永 康代 荒木 智子 西原 賢 菊本 東陽 丸岡 弘 伊藤 俊一 星 文彦 藤縄 理 髙柳 清美
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.E4P3192, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】現在、平衡機能低下に対するバランストレーニングとして様々な方法が取り入れられ臨床現場で実施されている。ただ、トレーニングを実施するのであれば、より効果的に楽しみながら実施出来ればそれに超した事はない。昨今、Wiiを使用したトレーニングソフトが話題として取り上げられている。昨年の第44回本学術大会においても、Wiiに関する発表が2題報告された。また、ロンドン・スコットランド・オーストラリアなどの海外においても健康増進・平衡機能向上・健康なライフスタイル等についてWiiおよびWii Fitを使用したトレーニングの効果について現在検証されている。本研究は、2006年に任天堂(株)から発売された家庭用ビデオゲーム機WiiのソフトであるWii Fit(2007年発売)を使用したバランストレーニングの効果を検証した。【方法】対象は、骨・関節系の既往歴のない若年健常成人10名とした。使用機器は、重心動揺計(グラビコーダGS5500、アニマ社製)とWii・Wii Fit・バランスWiiボード(任天堂製)を使用した。Wii Fitソフトの映写機器としてプロジェクターを使用しスクリーンに映写して実施した。測定方法として、最初に1))静的重心動揺計にて重心動揺(開眼閉足30秒:総軌跡長・単位面積軌跡長)を測定、2)バランスWiiボードでWii Fitのバランストレーニング(9種類:ヘディング・バランススキー・スキージャンプ・コロコロ玉入れ・綱渡り・バランスMii・ペンギンシーソー・バランススノボー・座禅)を20分間実施、3)トレーニング直後に再度静的重心動揺計にて重心動揺を測定。バランストレーニングは、1週間のうち被験者の任意の3日間(1日1回20分間)をバランストレーニングとしてWii Fitで実施させ、それを4週間継続的に実施した(計12日間:240分)。バランストレーニングの種類は、最初はヘディング・バランススキー・スキージャンプ・コロコロ玉入れの4種類を必ず実施させ、その後は被験者の好みによりランダムに実施した。なお、9種類のうち5種類のバランストレーニングについては、トレーニングの実施経過時間により順次増えていく内容となっている(10分実施後:綱渡り、60分実施後:バランスMii、90分実施後:ペンギンシーソー、120分実施後:バランススノボー、180分実施後:座禅の順にトレーニング項目が追加されていく)。また、バランストレーニングの前に必ずバランスWiiボードで重心を測定し、被験者の重心位置を確認させた上でトレーニングを実施した。バランストレーニング前後の統計処理は、PASW Statistics Ver.18.0を使用し、ウィルコクスンの符号付順位検定を行い、有意水準は危険率5%未満とした。【説明と同意】本研究は、ヘルシンキ宣言に則り被験者に研究の目的や手順を説明して署名による同意を得た。【結果】総軌跡長においては、バランストレーニング前後で何ら有意な差は認められなかった。単位面積軌跡長においては、バランストレーニング開始前と開始1・2・3週間後とにおいて有意な差が認められた(p<.05)が、バランストレーニング開始前と開始4週間後とにおいては有意な差は認められなかった。【考察】今回の研究結果からWii Fitのバランストレーニング効果は、静的な立位重心動揺に明らかな効果が認めらない事が示唆された。しかし、固有受容性姿勢制御度の指標である単位面積軌跡長の結果においては、バランストレーニング開始前に比べ開始1・2・3週間後に有意な増加傾向が認められた。Wii Fitのバランストレーニングの種類として主にバランスWiiボード上で前後左右の重心移動によりゲーム感覚で得点を競う特性があるため、総軌跡長というパラメータの特性には変化が認められず、重心を細かく制御する単位面積軌跡長というパラメータの特性に変化が認められたと考えられる。なお、Wii Fitのバランストレーニングとして9種類用意されているが、それぞれトレーニングの方法が違うため今後各被験者が実施したバランストレーニングの種類についても因子分析を行う必要性がある。【理学療法学研究としての意義】今回のバランストレーニングは週3日4週間継続という短い期間での実施だったが、今後はより継続的に実施した場合の効果についても検証し、より効果のあるトレーニングかどうか明確になれば臨床現場でのバランストレーニング以外に、家庭でも容易にバランストレーニングを実施する事が提案でき、継続的なバランストレーニングの効果を期待できる可能性があると考えられた。さらに、国民の健康増進や平衡機能向上にもつながる事が期待される。
著者
白石 佳和 SHIRAISHI Yoshikazu
出版者
金沢大学大学院人間社会環境研究科
雑誌
人間社会環境研究 = Human and socio-environmental studies (ISSN:24360627)
巻号頁・発行日
no.42, pp.49-65, 2021-09-30

季語は日本の自然を詠むための詩語であり,和歌以来の伝統的な詩的感覚・文化的記憶の産物である。そのため,自然・言語・文化が異なる国際ハイク(注:国際化した俳句を「ハイク」とカタカナで表記)では季語があまり重視されてこなかった。しかし,季語がなければハイクはただの短詩になる可能性がある。本論文では,国際ハイクにおける季語の問題を検討する。その考察材料として,ブラジルハイカイ(ブラジルではポルトガル語の俳句を「ハイカイ」と呼ぶ)における増田恆河の活動を取り上げる。ブラジルハイカイで有季ハイカイを提唱した増田恆河の論考とポルトガル語歳時記を分析し,それを国際ハイクのオーセンティシティの一例として考察する。増田恆河は,季語を詠むハイカイこそが本格的ハイカイであると主張し,有季ハイカイを推奨した。日本と同じ季語もブラジル特有の季語も,ブラジルの自然を詠むならすべてブラジル季語である,という論を展開し,理論に沿って兼題の句会の開催や有季ハイカイ句集の刊行を行なった。また,『NATUREZA』というポルトガル語歳時記の作成では,理論通りブラジルの感覚の季語を選定し,「詩情」や「感覚」などのポイントに基づいて解説を行なっている。ただ,日本的な解説やブラジル的でない解説も交じることから,季語解説の苦労が読み取れる。このような彼の理論と実践がブラジルハイカイのオーセンティシティを形成している。ブラジルハイカイの例からもわかるように,北米・南米には日系俳句という日本語の国際ハイクの存在がある。国際ハイクをすべて一様に扱うのではなく,日本俳句,日本語ハイク,国際ハイクをスペクトラムとして捉える視点も必要である。また,季語のオーセンティシティを語る要素の一つとして,俳句の起源である連句が指摘できる。
著者
門脇 真也 蕪木 智子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.51-59, 2016 (Released:2016-07-12)
参考文献数
32
被引用文献数
1 2

【目的】低糖質高たんぱく質(low carbohydrate-high protein; LC-HP)食の非肥満者への影響は,動脈硬化性疾患につながる生体内酸化ストレスの関与を含め不明な点が多い。よって本実験ではLC-HP食の短期(2w)および長期的摂取(13w)の影響について非肥満マウスを用いて検討した。【方法】6週齢のC57BL/6J雄マウスを 2wおよび 13w飼育し検討を行った。飼料はLC-HP食(PFCエネルギー比率;40,16,44),または,普通食(PFCエネルギー比率;20,16,64)を摂取させた。【結果】LC-HP食群は普通食群に比し,体重増加率,副睾丸周囲脂肪組織重量および脂肪細胞面積が有意に低値,腎臓重量は有意に高値を示した。肝臓中スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)活性は,LC-HP食群で普通食群に比し有意に低値を示した。血清中アディポサイトカイン,インスリン,酸化生成物の指標とした肝臓中チオバルビツール酸反応性物質および酸化LDLの指標とした血清中レクチン様酸化LDL受容体結合アポリポたんぱく質Bでは,LC-HP食の影響を認めなかった。【結論】非肥満下でのLC-HP食は,体重増加および副睾丸周囲脂肪細胞の肥大化を抑制した。一方でLC-HP食は,肝臓SOD活性の低下による酸化ストレス増大を介し,動脈硬化性疾患発症に影響することが示唆された。
著者
高木 武
出版者
東洋大学法学会
雑誌
東洋法学 = Toyohogaku (ISSN:05640245)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.71-76, 1986-03
著者
林 宜嗣 Yoshitsugu Hayashi
雑誌
経済学論究 (ISSN:02868032)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.263-281, 2009-12-15
著者
涌田 龍治
出版者
京都産業大学マネジメント研究会
雑誌
京都マネジメント・レビュー = Kyoto Management Review (ISSN:13475304)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.89-102, 2021-09-01

本稿の目的は,スポーツの試合に対する需要が結果の不確実性仮説でどの程度説明できるのかを文献レビューを通じて明らかにすることにある.ここでは,不確実とされる結果を短期としているか長期としているかで先行研究を分類し,それぞれの分野で何が明らかになったのかを問う.試合の勝敗という短期的結果の不確実性が需要を左右すると捉える先行研究からは,需要量の増加を正確に捉えることができないと,結果が不確実であっても需要は増加しないように見えるという可能性が示された.シーズンの優勝という長期的結果の不確実性が需要を左右すると捉える先行研究でも,同様の可能性が示された.それゆえ,売上高のような需要量の増加を正確に捉える変数を用いると,多くのスポーツリーグで結果の不確実性仮説が支持されるだろうと推測できる.
著者
杉山 博昭
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.50-65, 1996-11-20 (Released:2018-07-20)

This paper deals with the relationship between Gunpei Yamamuro and leprosy relief policy and points out the relationship between the quarantine policy to leprosy patients and social work. In the beginning, Salvation Army managed the day nursery for patients' children. On the other hand, Salvation Army thought out a leprosy relief in earnest. But leprosy relief didn't come out because the government carried out leprosy relief and that Salvation Army had the financial problem. This paper examines how Salvation Army thought about Lepra and leprosy relief policy through the writings of Gunpei Yamamuro he was a leader of Salvation Army. Yamamuro understood Lepra as a symbol of sin according to the Bible. He was sure to agree to the quarantine policy. His thinking was a kind of common sense at that time but resulted in follower of the quarantine policy. From the fact mentioned above, this paper points out Gunpei Yamamuro didn't see through the problems of the policy, even though had excellent practices, also this paper discusses the limit of social work before World WarII.
著者
佐藤 革馬
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.67-70, 2015

平成24年度より,本校の理科では観点別評価の運用を始め,知識教授型授業だけでなく,科学的な思考や表現力を身につけられるような授業研究と改善を行っている。昨年度の本校の物理基礎では,力学分野の計算指導から始めてみたが生徒にとっては大きな困難があったため,今年度はエネルギーの利用から始める授業構成に切り替えたところ,比較的物理基礎の授業に満足する生徒が増えた。本稿では,物理基礎の授業で実践したことを報告する。