著者
成澤 孝人 丸 祐一 蟻川 恒正 西土 彰一郎 石川 健治 成原 慧 坂井 大輔 小池 洋平 中川 律 福嶋 敏明
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、戦後憲法学を切り開いた奥平康弘の憲法学を、多面的、総合的に検討することによって、日本憲法学における奥平憲法学の足跡を改めて確認し、戦後憲法学の成果を奥平憲法学との比較において検討することを企図している。そのために、本研究は、奥平の死後、信州大学に寄贈された資料を整理した上で利用する。資料の中でも、奥平が所蔵していた図書は、すでに「信州大学奥平康弘コレクション」として信州大学付属図書館に所蔵されている。本研究は、奥平が遺した図書以外の資料を整理し、信州大学付属図書館の協力を得て、コレクションの拡充をおこなう。研究者は、コレクションを利用しながら、奥平憲法学の深部に迫る。

2 0 0 0 OA 武家文書

出版者
巻号頁・発行日
vol.大内義隆書状 二月六日,
著者
倉方 俊輔
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.69, no.578, pp.177-184, 2004-04-30 (Released:2017-02-09)
参考文献数
24

The aim of this study is to clarifying the design works of Chuta Ito (1867〜1954), who have had a great influence on modern Japanese architectural history, through the historical material drawings that were newly found. In previous studies, the 11 projects in the Meiji Era were referred. And the method of Ito's design works was analyzed. In this paper, designs of the 34 projects in the Taisho and Showa Era and their planning processes were shown.
著者
中丸 禎子
出版者
バルト・スカンディナヴィア研究会
雑誌
北欧史研究 (ISSN:02866331)
巻号頁・発行日
no.24, pp.96-108, 2007-08

ラーゲルレーヴ『エルサレム』(1901-02)は、スウェーデン・ダーラナ地方の農民37人が、信仰上の理由からエルサレムに移住するという、実際に起こった出来事に取材した長編小説である。本論では、『エルサレム』における太陽の描写と、カミュ『異邦人』(1942)におけるそれを比較し、サイード『文化と帝国主義』(1993)における植民地文学論・オリエンタリズム論・他者論と照らし合わせる。サイードは、植民地を舞台としたヨーロッパ文学において、登場人物のアイデンティティの完成が、同地の自然との「一体化」とパラレルであることを指摘する。本論では、『エルサレム』における「他者」としての太陽が、登場人物のアイデンティティの完成に伴って、ヨーロッパの文脈に組み込まれるプロセスを確認する。 まず、『エルサレム』と『異邦人』の共通点を指摘し、比較の意義を説明する。『エルサレム』では、若い女性グンヒルドが炎天下を歩き続けることで自殺するが、この場面と、『異邦人』で主人公ムルソーがアラブ人を殺害する場面には、異国(中東あるいはアフリカ)の太陽が、人物から理性と生命を奪う「野蛮」な「他者」として描かれているという共通点がある。このような敵対性・異質性・他者性は、「恵みの象徴」や「正義の光」といった北欧における太陽のイメージとは対照的である。次いで、ムルソーの死とアイデンティティの完成の関係を考察する。彼は、太陽に理性と思考能力を奪われた野蛮状態においてアラブ人を殺害し、その結果として死刑判決を受ける。これは、暴力的な太陽=植民地の自然との一体化であり、アイデンティティの完成である。一方、ムルソーとグンヒルドの相違点は、前者が孤独な「異邦人」であるのに対し、後者は、ダーラナからのエルサレム移民団という家族的共同体の一員だということである。死によって中断したグンヒルドのアイデンティティ完成は、副主人公イェルトルードに受け継がれる。このことは、作品の「予型論」的構成からも明らかである。イェルトルードは、熱病=太陽が身体にもたらす死から回復し、グンヒルドの元恋人と結婚する。彼女の回復と恋愛・結婚に際して、太陽は、北欧的な「命と恵みの象徴」として機能する。ここに、グンヒルドとイェルトルード双方の、一女性としてのアイデンティティの完成と、太陽が身体にもたらす死の「克服」が見られる。 一方、太陽が精神にもたらす死=「狂気」の克服は、イェルトルードの「預言者」としてのアイデンティティ完成によって成される。彼女の「狂気」は、他の登場人物からは「事実を認識する能力の欠陥」とみなされるが、物語の中で彼女の言葉はすべて実現し、作品全体として、「狂気」は、「理性や人智を超えた、真実に触れる能力」として描かれる。彼女が預言者としてのアイデンティティを完成させることで、太陽は再び正義と真実の光になる。『エルサレム』においては、運命の引き継ぎと預言という前近代的な文脈において、自己実現という近代のテーマが語られることで、「敵対的」な「他者」であった中東の太陽が、ヨーロッパの文脈に組み込まれるのである。

2 0 0 0 OA 乳房について

著者
小寺 吉衞
出版者
医用画像情報学会
雑誌
医用画像情報学会雑誌 (ISSN:09101543)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.69-70, 2010 (Released:2010-11-22)
参考文献数
3
著者
山崎 泰正 小川 克明 金勝 廉介
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.228-235, 1992-06-27 (Released:2010-07-01)
参考文献数
13
被引用文献数
3

高速液体クロマトグラフィー (HPLC) およびSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法 (SDSPAGE) によりカイコガコクナーゼを分離するとともに, その作用特異性について酸化インシュリンB鎖を基質に用いて調査し, 次の結果を得た。1) 小顋のコクナーゼは, ゲルろ過法と陽イオン交換法において二つの主要な280nmの吸収ピークが現われ, 逆相法においても同様に二つの主要な220nmの吸収ピークが現われた。これらのピークのうち, 大きい方のピークに吸収曲線と対応するプロテアーゼ活性を認めた。活性ピーク面積は全吸収ピークのそれぞれ80%と66%, 88%であった。推定分子量はゲルろ過法で26,400, SDS-PAGEで28,000であった。2) 脱繭液中に含まれるプロテアーゼは, ゲルろ過法および陽イオン交換法において小顋のコクナーゼと極めて近い位置に溶出しSDS-PAGEゲル上でも, このプロテアーゼ活性分画のバンドの位置は小顋のコクナーゼと等しかった。3) 逆相法によって, 酸化インシュリンB鎖をコクナーゼ処理して得られたフラグメントが, トリプシン処理して得られたフラグメントと等しい位置に溶出することを確認した。したがって, コクナーゼの作用特異性はトリプシン様であると考えられた。
著者
尾高 憲作
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本微生物學病理學雜誌
巻号頁・発行日
vol.28, no.9, pp.1051-1060, 1934

喀痰ヨリノ結核菌分離培養上人血ヨリ得タルへもぐろびん液ヲ加ヘタHohnノ所謂Z-Nährbodenハ家兎血液ヨリ得タルへもぐろびん加卵培地ト成績ニ差異ガナイ.Petragnani培地ハ雜菌發生絶無ニシテ, シカモ聚落發生確實ナルニ比シ, へもぐろびん加卵培地ハ菌發育ハ量的ニ旺盛ナルモ雜菌發生多ク分離培養ニ適當デナイ.
著者
田村 直俊 中里 良彦
出版者
日本自律神経学会
雑誌
自律神経 (ISSN:02889250)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.155-161, 2019 (Released:2019-09-27)
参考文献数
50
被引用文献数
2

Ludwig(1850)は副交感神経が唾液分泌を惹起することを発見した.Bernard(1858)が唾液腺の副交感神経性血管拡張線維を発見したが,Heidenhain(1872)は分泌線維と血管拡張線維は別の線維であると証明した.Heidenhain(1878),Langley(1878)が補助的な交感神経性唾液分泌線維を発見した.Eckhard(1869)が導管収縮線維(交感神経)を証明した.一方,Bernard(1862)らが記述した副交感神経切断後に生じる逆説的な唾液分泌(麻痺性分泌)については,Emmelinら(1950)が脱神経過敏で生じること,唾液腺の脱神経過敏は adrenaline・pilocarpineの双方に対して非特異的に生じることを解明した.唾液腺の複雑な自律神経支配を考慮すれば,同じく腺組織である汗腺の自律神経支配は過度に単純化されていると思われる.
著者
冨樫 きょう子
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.103, no.9, pp.1165, 1993 (Released:2014-08-12)

角層の保水機能と皮表および角質細胞間脂質の加齢による変化を明らかにするために,20歳代の男性17例(若齢群)と60歳代の男性10例(高齢群)の下腿伸側を被験部位とし,高周波伝導度測定装置による角層のconductance valueの測定と水分負荷試験を行った.さらに同部位よりカップ法を用いて皮表および角質細胞間脂質を採取し,high-performance thin-layer chromatographyにより脂質の組成を分析した.角層のconductance valueは水分負荷の前後ですべて高齢群が若齢群に比べて低値であった.単位面積あたりの皮表および角質細胞間脂質の総重量は高齢群と若齢群の間に統計的に有意な差を認めなかったか,高齢群は若齢群に比べて皮脂由来の脂質の重量が少なく,表皮由来の脂質(角質細胞間脂質)の重量が多い傾向にあった.セラミドの総重量では高齢群と若齢群に明らかな差はなかったが,セラミド分画では高齢群は若齢群に比べてセラミド1の割合が少なく,セミラミド4/5の割合が多かった.それぞれの群において,水分負荷前の角層水分量と皮表および角質細胞間脂質の関係を検討した結果,角層水分量は脂質の総重量や皮脂量,角質細胞間脂質量,各々の脂質分画の重量とは相関しなかった.しかし,角層水分量は若齢群と高齢群を合わせるとセラミド分画のうちセラミド1の割合と正の相関を,セラミド4/5の割合と負の相関を示した.これらの成績から,セラミドの組成が角層の保水機能に重要な役割を果たすことが示唆された.高齢者の保水機能の低下はセラミドの組成の変化によるものであり,皮脂量の低下とは直接関係しないと推察された.
著者
田辺 洋子 飯島 真喜子 島田 淳子 吉松 藤子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.357-362, 1986-05-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
13

さとう, ゼラチン, 水というもっとも基本的な材料を用いたマシュマロを試料とし, マシュマロの調製可能な配合を決定し, さとうおよびゼラチン濃度の影響について比重, オーバーラン, テクスチャー特性を測定, 顕微鏡により気泡を観察し, あわせて官能検査を行い, その独得なテクスチャーについて検討した.1) 調製可能な配合はさとう濃度をの (30~60%), ゼラチン濃度をy (2~12%) とすると, 上限濃度y=-0.23x+17.6, 下限濃度y=-0.13x+11.6の2本の直線にはさまれる範囲にあり, さとう濃度の大きいほど, 調製に適当なゼラチンの必要濃度範囲がせまくなった.2) 抱気後比重およびオーバーランとさとう濃度およびゼラチン濃度との間には一定の傾向はみられなかった.3) さとうおよびゼラチン濃度が増加するにつれ, 平均気泡個数は増加し, よって平均気泡体積は減少した。これは気泡が小さく密になることを示している.またそれに伴い白度が増し, 硬さ, 凝集性, ガム性は増大した.4) さとう濃度を増加するとふわふわ感は減少し, 弾力が増しかみ切りにくくなった.テクスチャーの好ましさには差はみられなかった.ゼラチン濃度を増加するとふわふわ感およびかみ切りやすさは減少した.5) ふわふわ感は平均気泡体積と正の相関を有し, 気泡の平均体積が大きくなることがふわふわ感を与える要因となることが示唆された.
著者
小川 未空 坂上 勝基 澤村 信英
出版者
国際開発学会
雑誌
国際開発研究 (ISSN:13423045)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.5-20, 2020-11-20 (Released:2020-12-05)
参考文献数
79

Over the last three decades, developing countries have been rapidly promoting the universalization of education with support from the international community. While significant progress has been made in universalizing access, especially at the primary level, quality education is not accessible to everyone, and expanding educational opportunities might further increase inequality. The current global education goal, which was adopted in 2015 as Sustainable Development Goal 4 (SDG 4) of the 2030 Agenda, has ambitiously shifted its focus to comprehensively addressing inequalities in access to quality education at all levels from pre-primary to tertiary.This article aims to provide an overview of recent policy trends and previous studies on education and social inequalities that countries face in their efforts to universalize education. First, the article clarifies the difference between“equality”and“equity”as well as the definition of these concepts that are relevant in the SDGs era. Second, theoretical and empirical studies on the topic are reviewed, encompassing an in-depth critical discussion around the social stratification research in both developed and developing countries. Finally, it proposes a new direction for educational development studies in the era of SDGs.The article highlights the importance of understanding inequalities in the process of universalizing education in the context of equity. While equality is defined as a neutral word to describe a specific situation, the term equity cannot be used without referring to the concept of fairness. In this sense, whether inequality is considered a problem would depend on the concept of“fairness”and whether society views a situation as fair or unfair, given the social and historical background of the inequality. To fully reflect the feature of SDG 4, this study suggests that educational development studies should explore the local population's perspectives on fairness and/or equity through case studies in developing countries.
著者
Yusuke WADA Hiroki YAMAZAKI Miyuu TANAKA Ayumi KANEGUCHI Toshiyuki TANAKA Hideo AKIYOSHI Shunsuke NOGUCHI
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.20-0656, (Released:2021-06-21)
被引用文献数
1

A 13-year-old, female, mixed-breed dog with a huge cranial mediastinal mass underwent radiotherapy (RT). On the following day, the dog presented with lethargy and anorexia. Hematological examination revealed elevated levels of blood urea nitrogen, creatinine, inorganic phosphorus, potassium, lactate dehydrogenase, creatine phosphokinase and aspartate aminotransferase, decreased calcium level, and metabolic acidosis. Urine output markedly decreased. The patient recovered with fluid therapy and diuretic therapy; however, died suddenly from an unknown cause 11 days after RT completion. Histopathological examination after necropsy showed thymoma in the cranial mediastinum and extensive tubular necrosis of both kidneys which may be due to RT-induced TLS. This report suggests that the risk of TLS should be evaluated in dogs with thymoma who undergo RT.