著者
佐藤 雅美 島 礼 田沼 延公 野村 美有樹 佐々木 希
出版者
宮城県立がんセンター研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

(1)プロテインホスファターゼによる、mRNAスプライシング、KIF3モーターを介した細胞内輸送、および細胞増殖(ERK)経路におけう制御機構に関して重要な知見を得た。(2)肺癌サンプルにおけるプロテインホスファターゼ遺伝子発現の異常に関して重要な知見を得た。
著者
安齋 寛 岩田 隆太郎 砂入 道夫
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

カブトムシ幼虫の腸内細菌叢は、1齢から2齢の間に腸内に定着し、その菌叢は、飼料に含まれる多糖類の種類によって変化し、特異的な菌叢が定着することが推定された。カブトムシ幼虫腸内や糞からは、キシランを分解する細菌が単離された。
著者
佐藤 憲昭 網塚 浩 山村 朝雄 芳賀 芳範 四竈 樹男 阿曽 尚文 神戸 振作 本間 佳哉 藤森 伸一 山上 浩志
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008

本研究課題の最大の目的は、国際規制物資であるウランなどのアクチノイド元素^<*1>を含む化合物の物性研究を行うための拠点を東北大学金属材料研究所アルファ放射体実験室に形成することである。 この目的のために、 単結晶育成^<*2>のためのテトラアーク炉、および育成された試料の基礎物性を評価するための分析装置を金研アルファ放射体実験室に設置・導入した。その結果、 "超伝導を示す磁石"^<*3>における超伝導発現機構の解明に成功を収めた。さらに、アクチノイド元素だけでなく希土類元素^<*4>を含む物質にも研究を展開し、準結晶^<*5>を含む新分野の開拓に貢献した。[*1] ウランなどは国際規制物資として管理され、その取り扱いには厳しい制限が付されている。金研アルファ放射体実験室は、このような国際規制物資を取り扱うことが許可された施設である。 また、 そこには、 アクチノイド元素(周期表で最下段に位置する元素の集合で、トリウム、ウラン、ネプツニウムなどから成る)を安全にハンドルするための多くの装置と経験が蓄積されている。[*2] 目に見える大きさのスケールまで原子が規則正しく配列した結晶を単結晶と呼ぶ。[*3] 従来の物理学では、磁石と超伝導は犬猿の仲であり、磁石は超伝導にはならないと考えられてきた。しかしアクチノイド化合物の中には、磁石でありながら超伝導を示すものがある。磁石が何故超伝導を示すかという問題は、物理学上の重要な課題の 1 つとなっている。[*4] 周期表でアクチノイドの上段に位置する元素の集合で、アクチノイドと類似の性質を示す。[*5] 周期性を持たず、結晶では許されない回転対称性を持つ物質を準結晶と呼ぶ。
著者
加藤 絵理子
出版者
神奈川県立保健福祉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

神奈川県の地域包括支援センターにおいて、 一般高齢者が対象の介護予防教室を開催し、講義を行った後に参加者と講師が一緒に給食を食べてから解散する共食実施コースと、講義を行った後すぐに解散する共食未実施コースを設定し、参加者の健康意識の違いを評価した。実施コースは、未実施コースよりも「食事内容を見直すことができた」「体調を見直すことができた」「教室参加者同士の交流ができた」と回答した者の割合が多かった。
著者
西出 利一
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

Petal Effectを示すハフニア薄膜表面の集水性を調べ、それをモデルとして親水-撥水パターン膜をスクリーン印刷法で作製しその集水性を調べた。Petal effectを示すハフニア薄膜(5cm×5cm)の集水性能を水蒸気中で2時間調べたところ、0.47~0.49g集水した。超親水性アルミナ膜と撥水性ハフニア膜を用いて、親水-撥水パターン膜を作製した。この試料の集水性能は0.47gであった。これらは比較(ガラス基板)のそれ(0.23g)の約2倍であり良好な集水性である。これらの膜では水蒸気中の水分が撥水面上から親水点や親水パターンに移動し、水滴がすみやかに形成されて良好な集水性を発現した。
著者
本庄 孝光
出版者
大島商船高等専門学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

・廃天ぷら油のろ過装置の製作と他種ろ過装置との比較検証今回の研究に於いてポンプを用いたろ過ユニット1基と自然落下式2基を製作し、廃天ぷら油で走行している民間団体の下へ実際に比較し、ろ過性能およびろ過所要時間と透明度比較などによって証明された。・廃天ぷら油を燃料とする実験車両の製作(不具合点の改善も含む)ニッサンキャラバンを廃天ぷら油で走らせるべく改造を行った。基本的な改造点は、廃天ぷら油用の燃料タンクと燃料ラインの増設、廃天ぷら油着火条件向上を主目的とした熱交換器の設置、軽油/廃天ぷら油切換用電磁弁の設置であるが複数の不具合を経て第3次改造に至った。・実験車両運用実験第1回山口→長野→東京→山口、第2回山口/福岡往復の長距離走行実験を行った。第1回は帰路、熱交換器配管破損により一時自走不能に陥った為実験終了後に不具合点を考慮して全面的に機器を再製作。第2回目では高速道路での走行は殆ど問題無いものの、渋滞など低速に於いて廃天ぷら油低温による燃料供給不足と着火条件悪化によるエンストが多くみられた。他に1ヶ月単位の短距離連続運転を複数回実施したが短距離では大きな問題は発生しなかったが異物混入や不完全燃焼による廃天ぷら油のマフラーから噴出するのが認められた。以上の実験走行で発生した不具合を実験車両再改造によって対処している。今後は燃費などのデータ採取や燃焼効率の改善など行っていきたい。民間団体所属の同種所有者と意見交換を行い、現在実験及び車両改善を継続すれば軽油を燃料とするディーゼル車と遜色無く、且つ一般ドライバーでも通常の運転と同じように運用できる将来性が確認された。
著者
植村 直子
出版者
滋賀医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

在日ブラジル人女性を対象に、継続的に妊産婦交流会を実施し、参加者同士の交流を促し、その有効性を分析した結果、参加前は、【夫・子どもと一緒に健診・交流会に来る】【交流会のイメージがなく気が進まない】【なんとかなるさと思っている】、参加時は【子どもが生まれる前に勉強するのは良いと思う】【妊娠中のことや、赤ちゃんの世話、制度について知りたい】、参加後は、【妊婦健診後は家族で出かけるので早く帰りたい】【産後困った時に相談したいと思う】とカテゴリー化された。
著者
松本 清 OGUNWANDE I.A.
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

ナイジェリア産植物であるAcacia Tortilis葉中に含まれる精油成分をGC及びGC-MS分析により明らかにした。すなわち、本植物葉をジエチルエーテル(室温、1昼夜処理)にて抽出を行い、濃縮物を被険試料とした。GC条件として、DB-5及びDB-FFAP(ともに30m*0.32mm)カラム、60-240℃(3℃/min)、FID検出を採用した。また、GC-MS分析条件としては、DB-5カラムを用いて、イオン化電圧70eVで行った。ピークの同定は、GC法によるretention index値の一致並びにGC-MSライブラリーによる推定によって行った。その結果、本植物葉より収率0.12%のオイル状香気濃縮物を得ることができ、GC及びGC-MS分析の結果、本被険物のオイル組成はモノテルペン類20.4%、セスキテルペン類52.2%、脂肪族並びに芳香族化合物(17.2%)で構成されていることを明ちかにした。最終的に69種類の揮発性化合物を同定することができた。この中で、主要香気成分は、α-humulene(12.0%),α-cadinol(10.6%),nerolidol(9.9%),γ-cadinene(7.4%),α-phellandrene(4.7%),ρ-cymene(4.0%),(E)-carveol(3.1%),γ-terpinene, methyl eugenol(ca2.0%)及び2-(E)-octenal(6.0%)であると判断された。本植物葉はハーブ系素材としての展開が期待されるが、主要香気成分組成を考慮すると、すっきりとした清涼感のある素材としての活用性が期待される。
著者
門脇 大
出版者
神戸大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

主に以下の五点の調査・発表を行った。第一に、平田篤胤『勝五郎再生記聞』に関する発表を行った。口頭発表「『勝五郎再生記聞』小考」(第28回鈴屋学会大会研究発表会、本居宣長記念館、2011年4月)、論文「『勝五郎再生記聞』小考」(「鈴屋学会報」28号、2011年12月)である。十余点の関係資料を整理して、対象作品の特色を明らかにした。また、「産土神」に関わる例話が『玉襷』にとりいれられていることを明らかにした。第二に、弁惑物が同時代にどのように捉えられていたのかを発表した。論文「前近代における怪異譚の思想変節をめぐって」(「アジア・ディアスポラと植民地近代」成果報告書、科学研究費補助金(基盤研究(B)、2009年~2011年)、代表者・緒形康、2012年3月)である。弁惑物『太平弁惑金集談』が出版された四年後に、怪異小説『今昔雑冥談』が出版された。両者の関係を具体的に検討した。さらに『怪談見聞実記』の検討を行った。これらの検討により、怪異譚の思想変節の一端を明らかにした。第三に、弁惑物と心学書に共通する言説を発表した。論文「心学書に描かれた怪異-心から生まれる怪異をめぐって-」(「国文論叢」45号、2012年3月)である。心学書に記されている、怪異現象の正体や原因を人の心に求める話を検肘した。さらに、弁惑物との比較・検討を行い、両者に共通して見られる怪異否定の論理を明らかにした。第四に、近世怪異小説における弁惑物の位置づけを発表した。論文「弁惑物の位相」(「国文学研究ノート」49号、2012年3月)である。弁惑物、近世怪異小説に関する先行研究を整理して、弁惑物がどのような作品群であるのかを明らかにした。また、弁惑物の周辺分野を明示した。第五に、上記の一から四の調査・発表に加えて、前年度以前の研究成果を博士論文「弁惑物の研究-近世怪異小説をめぐって-」(神戸大学、2011年12月)にまとめて発表した。
著者
笠原 克昌 鳥居 祥二 小澤 俊介 清水 雄輝 増田 公明 さこ 隆志
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

LHCf実験はCERN LHC加速器を用いて,超高エネルギー宇宙線(UHECR)に匹敵するエネルギー領域で超前方に発生する粒子(ガンマ線=光子,中性子)のスペクトルを観測する.これにより宇宙線実験で使われているモンテカルロ(MC)シミュレーションで用いられる核相互作用モデルの検証を行い,UHECR の謎の解明に役立てるのが目的である.LHCfは2009年末に450GeV+450GeV衝突,2010年に3.5TeV+3.5TeV衝突の観測に成功した.これらは実験室系換算で4.3・10^<14>eVと2.6・10^<16>eVにそれぞれ相当する.MCのモデルとしてDPMJET(v3.04),PYTHIA(v8.145),QGSJET II(v03),SIBYLL(v2.1)およびEPOS(v1.99)を検証した.この全く未知の領域でのスペクトルは予想から全く外れている訳ではなかったものの,これらのどのモデルも実験結果を満足に再現するレベルには遠いことが判明した.光子のスペクトルは多くのMC モデルよりソフトな様相を呈し,ハドロンはハードな様相を呈している.また,LHCの他の実験(ATLAS,CMSなど)の中心領域での擬ラピディティ(η)分布の結果と合わせると,全てのモデルはLHC 領域で破綻すると言ってよい.DPMJETは低エネルギー領域では非常によいモデルであるが,LHCf での光子スペクトルはデータよりかなりハードである.η分布はLHC領域で突然データからずれる.PYTHIAはLHCのη分布を再現するように調整されたものを用いたが,光子についてはDPMJET と同じ様相を呈する.これらのことは,数年後に期待されるLHCの最高エネルギーでの実験を行い,破綻の傾向を調べ,モデルの検証行うことが重要なこと,新たなモデルの構築が必要なことを示している.
著者
関根 茂樹
出版者
独立行政法人国立がん研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

肝細胞特異的Dicer欠損マウスに発生した肝細胞がんの解析から、これらの腫瘍では、腫瘍により多様ながん関連遺伝子の発現異常が起きており、多数の腫瘍に共通して認められる発現異常や遺伝子変異は同定できなかった。Dicerの欠損に伴う発現機構を、より均質な背景を有する腫瘍を発生するモデルを用いて解析するために、マウス肝細胞に特定のがん遺伝子を導入し、発がんを可能とするモデルを確立した。
著者
藤原 貞雄 座間 絋一 谷光 太郎 古川 澄明 米谷 雅之 陳 建平 横田 伸子 増田 正勝 藤原 貞雄
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

1 本調査研究は、日・中・韓3国の環黄海地域の大学が協力し、自動車産業、電子産業という基幹産業を研究対象に取り上げ、それぞれの国や地域の産業政策と産業構造、産業組織の展開過程と現状を比較研究することによって、それぞれの国と地域の段階的、類型的特徴を明らかにすると共に、「環黄海経済圏」を構成する3カ国の国や地域の経済協力の現状と問題、将来方向を調査研究することを目的にしている。2 中国自動車産業については、現地の国営企業、日中合弁企業、郷鎮企業等の視察、国、省、市等における自動車産業政策についてのヒヤリングを行い関係資料の収集に努めた。3年間に中国の自動車産業及び自動車産業政策は大きな変貌を遂げたが。それを現地において確認しつつ研究調査できたことは大きな成果であった。3 1995年以前の中国自動車産業においては米国及び日本の自動車メーカーの関与はきわめて薄かったが、以後は米国のビッグ2及び日本のトヨタ、本田技研、ドイツのベンツ・クライスラーが完成車(乗用車)組立に本格算入することによって、様相は様変わりしつつある。つま1995年以後の中国自動車産業は世界自動車産業の一部に包摂されて発展をしている。この変化のプロセスを国内市場の変化、政策の変化とともに観察できた。4 中国の電子産業についても自動車産業と同様に、現地の国営企業、日中合弁企業、郷鎮企業等の視察、ヒヤリングを行い関係資料の収集に努めた。中国の電子産業及び半導体産業の発展はめざましく、現地において確認しつつ研究調査できたことは大きな成果であった。ここでは自動車産業とはちがって当初から外資系企業の導入が積極的に図られ、外資系メーカー主導の発展に特徴があり、全体としては労働力集約工程が集積しているが、研究開発工程の導入と自発的発展が課題となっている。5 韓国については主要非外資系自動車・電子企業及びそれらの研究所、労働組合に関する現地調査を行った。これについては現地研究分担者及び研究協力者と共に行った。6 研究成果の公開と研究交流を目的に中国韓国で計2回、日本で2回の合計4回の公開シンポジュームを開催した。これには3国の若手研究者も参加し、将来の共同研究の基礎を築いた。
著者
松村 一男 平藤 喜久子
出版者
和光大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

日本神話は戦前の軍国主義教育に利用された後遺症として、戦後は初等教育はもちろん大学においても学術的研究は行われてこなかった。しかし他の国々では人類文化史の重要な要素として神話を研究することが分子生物学をはじめとする諸科学との協同の中で目覚ましい成果を挙げている。その中に日本神話も位置づける目的で本研究は行われ、他地域の神話との比較によって日本神話が世界文化史上極めて重要な、日本が世界に誇ることが出来る文化文化遺産であることを示すことが出来たと考えている。日本神話は世界の始まりから王権の成立までの一連の流れを体系として保存しているが、それは文字使用の遥か以前からの古形に由来すると考えられる。
著者
石川 博將 石川 博将 (1992) WENG George KREMPL Erhar STEIGMANN Da ELLYIN Ferna 佐々木 克彦 但野 茂 村上 澄男 野口 徹 STEIGMANN David F.
出版者
北海道大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1991

1 国際共同研究実施案の作成:研究分担者EIIyin教授のKrempl教授が平成3年8月に国際材料学会のため来日した機会をとらえ,第1回研究会を北海道大学で開催した。そして,本国際学術研究計画の研究内容や研究分担,研究交流日程等の綿密な打合せを行い,具体的実施案を作成した。2 複合材料の力学的特性に関するデータ収集と総括的な検討:平成3年12月に,カナダ・アルバータ大学で本国際学術研究の第2回研究会を開催した。従来からなされてきた複合材料の力学的データを集計・整理した。さらに,各共同研究者がこれまで行ってきた均質材料の弾塑性挙動,繰返し塑性挙動,破壊挙動,粘性挙動,疲労ダメージの累積,疲労挙動等の研究成果を報告し,それらの複合材料への適用性を討論した。そして,今後の共同研究方針を明確にした。3 複合材料の力学に関する先端研究状況の調査:平成3年12月にアメリカ合衆国・アトランタで開催されたアメリカ合衆国機械学会の冬季通常総会に,本研究組織の研究者全員が出席した。本会議に於て複合材料の力学に関する先端研究が多数報告された。各共同研究者は,研究発表すると共に,複合材料の非弾性力学に関し,多数の著名な研究者と討論及び情報交換を行った。そして,当該分野における今野の課題や動向を調査した。4 複合材料の巨視的力学特性の検討:本研究組織の各研究者がこれまで行ってきた均質材料の弾塑性挙動,繰返し塑性挙動,破壊挙動,粘性挙動,疲労ダメージの累積,疲労挙動等の手法を複合材料に適用したさまざまな実験や解析を行った。複合材料の巨視的力学的挙動という観点から,材料力学の体系を総合的に再検討した。5 微視的構造の力学的評価:複合材料特有のマトリックス材と補強材の相互作用を明らかにするために,微視的構造への弾塑性力学,粘塑性力学,破壊力学,損傷力学の適用を試みた。まず,複合材料の力学的挙動を微視的観点から,弾塑性・粘塑性力学により捕らえるために,マトリックス材と補強材の相互作用を,モデル実験等によりその特徴をより詳細に把握した。そして,弾塑性・粘塑性力学により,マトリックス材と補強材の相互作用を説明できる可能性を見いだした。さらに,複合材料の破壊・損傷のメカニズムを微視的に探るために,破壊力学・損傷力学の適用を試みた。マトリックス材と補強材の相互作用を破壊力学・損傷力学で十分解明できる可能性を見いだした。6 微視的構造の疲労評価:微視的構造に対する疲労特性を拡大モデル物験によって行った。微視的構造に対する疲労特性は,巨視的構造の疲労特性に類似することが明確となった。しかし,巨視的構造の疲労特性に比べ微視的構造の疲労特性にはばらつきが見られ,微視的構造の疲労特性に対する各構成材料の依存性を明確にし,疲労ダメージの累積則を適用するためには,実験データの統計的な処理が必要であると推察された。7 微視的力学特性と巨視的力学特性の統一化:上記の結果を踏まえて,巨視的力学的特性がどのような微視的構造に起因するか,また,微視的構造変化が巨視的力学特性にどのような影響を与えるかを検討した。微視的構造変化を弾塑性力学,粘塑性力学,破壊力学,損傷力学的観点からの解明により,微視的力学的特性と巨視的力学特性の統一化の可能性を見いだした。8 第3回研究会の実施及び共同研究成果の取りまとめ:各共同研究者が行った研究成果を持ち寄り,情報交換および研究討論のために,平成4年9月に北海道大学に於て第3回研究会を実施した。そして,共同研究の成果を取りまとめ,複合材料の破壊と強度評価に関する将来の展望を行った。また,同時期に関催された日本機械学会材料力学部門講演会インターナショナルセッションで本共同研究の成果を各研究者により発表し,多数の研究者と本成果について討論した。
著者
寺尾 隆吉
出版者
フェリス女学院大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

平成19年度は、1990年代以降のラテンアメリカ小説に着目し、権威主義的政治体制をテーマとした小説の例としてニカラグアの作家セルヒオ・レミレスの『海がきれいだね、マルガリータ』(1998)と『ただ影だけ』(2002)や、グアテマラのロドリゴ・レイ・ロサの『聖域なし』(1998)、エル・サルバドルのオラシオ・カステジャーノス・モヤの『蛇とのダンス』(2003)と『崩壊』(2006)、メキシコのフアン・ビジョーロの『証人』(2004)などをとりあげて研究した。特に文学による想像力を駆使することで読者への行動を促し、独裁的政治体制の意味を問いただすという側面がいずれの作品にも共通する点に着目して、論文にまとめていった。前年度に引き続き、ベネズエラの作家エドノディオ・キンテロ氏の全面的な協力を得て、作家たちに直接インタビューができたことは大きな成果となった。ここにあげた作家の中では、レイ・ロサ氏とカステジャーノス・モヤ氏からは貴重な話を聞くことができた。今のところまだ論文業績にはしていないが、彼らとのインタビューはメキシコの出版社より近く出版する予定である。論文としては、「セルヒオ・ラミレス『海がきれいだね、マルガリータ』-ルベン・ダリオと独裁者象」を書き上げ、ベネズエラのメリダにおける国際学会で発表した。近くベネズエラの学術雑誌に出版されることが決定している。また、ラテンアメリカ文学特有の文学潮流とされる「魔術的リアリズム」と独裁者小説の関係についても考察を広げ、これまでの成果を集大成する形で『ラテンアメリカ文学の魔術的リアリズム』というタイトルの本を執筆し終えた。こちらも平成20年度中には日本で出版の予定。
著者
芝 清隆
出版者
(財)癌研究会
雑誌
特定領域研究(C)
巻号頁・発行日
2001

ポストゲノム・プロテオーム研究から得られるゲノム知識、特にタンパク質の構造と機能に関する知識を活用するために、これらの知識を人工タンパク質上に人為的に再構成する新しい人工タンパク質創製システムを確立するのを目標とすている。既に確立しているマイクロ遺伝子重合法とマイクロ遺伝子のデザインアルゴリズム、CyberGeneを利用することにより、人為再構成の実例、使用例を蓄積していくことを目標とし、a)アコヤ貝のもつ炭酸カルシウムの結晶化に関与すると思われるモチーフをもった人工タンパク質の作製の試み、b)デザインアルゴリズムの高速化、c)無細胞翻訳系を用いた人工タンパク質の産生の試み、をおこなった。a)では、マイクロ遺伝子のデザインは完了したものの、重合体翻訳産物の精製に手間取っており、期待した機能が再構成されているかどうかの確認がとれていない。b)では、ジペプチドが内包する他の読み枠のコドンにも注目し、あらかじめ終止コドンを内包するジペプチドコドンを排除したコドン表を用いることにより、マイクロ遺伝子のデザイン時間を大幅に短縮することに成功した。この手法に関して特許を申請した。c)ではa)で得られた繰り返し性の高いタンパク質は大腸菌内で発現が見られなかった。そこで、大腸菌、小麦胚芽由来の無細胞翻訳系を用いた発現を試みたが、考えられるあらゆる条件を検討したにもかかわらず十分な発現が確認できなかった。唯一、融合タンパク質としてのみ発現を確認することができた。今後の課題としては、アコヤ貝のモチーフをもった人工タンパク質は、そのマイクロ遺伝子のデザインから再度やりなおす。また、最近、同じように非常に短い単位の繰り返し構造をもつ蜘蛛の絹糸タンパク質が、大腸菌・酵母で発現しないものの、動物細胞で発現した例が報告されているので、動物細胞でも発現も試みてみたい。
著者
井上 洋一
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

我が国の近年の事例は、ボウリング国体選手の選考を巡るものやアジアパラ競技会への選手選考を巡る事例等、日本スポーツ仲裁機構で争われたケースが散見でき、その決定手続きの外見的合理性が重要であった。アメリカでは、女性及び障害者の機会についての紛争があり、Title IXやアメリカ人障害者法を根拠に争われ認められる傾向にある。ヨーロッパでは、EU法とかかわって、プロスポーツにおいて移籍の自由などが認められてきた。
著者
石垣 琢麿 丹野 義彦 松島 公望 井村 修
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

妄想や幻覚を改善するためにハンブルク大学のMoritzらが開発したメタ認知トレーニング集団療法用(MCT)と個人療法用(MCT+)の日本語版を作成した。MCTに関する知識の普及と実践活動の相互扶助のためにMCT-Jネットワーク(Mネット)を設立した。Mネットの会員により臨床研究が行われ、統合失調症患者への有用性は確認された。
著者
茶谷 直人 LEE Sangick
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

ジイン類と金属カルボニル錯体からシクロペンタジエノン-金属カルボニル錯体が生成することは古くから知られていたが、その塩化物の構造は推定されてはいたが、そのX線構造解析は報告されていなかった。本研究では、シクロペンタジエノン-ロジウム(カルボニル)塩化物錯体のX線構造解析に初めて成功した。さらに、ジイン類が量論量の金属カルボニルと反応し、シクロペンタジエノンが量論的に生成することは知られていたが、その触媒反応は知られていなかった。これは、生成するシクロペンタジエノン-金属カルボニル錯体が安定なことに起因していると思われる。つまり、シクロペンタジエノンが金属に強く配位し、解離できないため、触媒的に回らなかったためである。そこで、本研究ではロジウム触媒存在下、ジインと一酸化炭素から生成したシクロペンタジエノンにフェノキシ基を適当な位置に結合させておくと、反応条件下でクライゼン転位が起こり、その結果、ジイン類の環化カルボニル化/クライゼン転位のタンデム反応が起こる系を設計した。反応を行ったところ、期待通りタンデム反応が効率よく進行することがわかった。まず、初期生成物として得られたシクロペンタジエノン-ロジウムカルボニル錯体が、金属の配位のため続くクライゼン転位を通常よりも低温で進行させていると思われる。基質の適用範囲はやや狭いが、新しい形式の触媒的カルボニル化反応の開発に成功した。
著者
土井 晶子 本山 智敬
出版者
神戸学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

対人援助職を対象としたメンタルヘルス支援プログラムの策定および実施と、継続的にそれらのプログラムを実施していくためのグループ・ファシリテーター・トレーニングの開発を行った。メンタルヘルス支援プログラムはフォーカシングをベースにしたセルフケア研修と、つながりを作るためのサポート・グループで構成し、エンパワメント中心の研修が求められていることが示された。ファシリテーター・トレーニングでは、自分自身と相手との関係の質をより深く体験できることを目的とし、かかわりの「方法」ではなく、その「あり方」を体験的に身につける場として機能することの意義が示された。