著者
馬場 靖人
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
pp.4-249, 2017

早大学位記番号:新7586
著者
永谷 元基 中井 英人 井上 雅之 荒本 久美子 林 満彦 佐藤 幸治 杉浦 一俊 清島 大資 鈴木 重行
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0767, 2004 (Released:2004-04-23)

【目的】我々は第28回日本理学療法学術大会において、しゃがみ動作の可能・不可能の違いについて3次元動作解析装置を使用し、可能群は足関節背屈可動域が大きいため、重心の前方移動が容易となりしゃがみ動作が可能になることを考察した.しかしながら、可能群においても少数ではあるが、重心が後方にあるにもかかわらずしゃがみ動作が可能となった者もいた.そこで今回しゃがみ込み動作時における重心移動の違いが下肢関節角度、下肢関節モーメントにどのように影響するかについて、3次元動作解析装置を用い比較検討したので報告する.【方法】対象は、今回の実験に同意の得られた下肢に既往がないしゃがみ込み可能な健常青年30名(男性16名、女性14名)とした.被験者は左右独立式床反力計(アニマ社製MG1120)の上にそれぞれ裸足で乗り、足底全接地にて両側足底内側縁が触れる状態で、平行に立ち、肩関節90°屈曲、内旋位、肘関節伸展位にて前方を注視した.検者の合図により約3秒間でしゃがみ込み動作を行わせた.三次元動作解析装置(アニマ社製Locus MA6250)を用い、肩峰、大転子、肩峰と大転子を結ぶ線と第6肋骨、第12肋骨、腸骨稜の水平面との交点、外側上顆、外果、第5中足骨頭の計8カ所に赤外線反射マーカーを付け、しゃがみ込み動作をサンプリング周波数60Hzにて計測した.しゃがみ動作終了を床反力垂直成分(Fz)とスティックピクチャーより求め、これらより足圧中心(COP)がしゃがみ込み終了後に足関節軸より前方にある者(前方群)と常に後方にある者(後方群)との2群に分け、動作中の各関節角度変化、股、膝、足関節モーメントについて2群間で比較検討した. 統計にはMann-WhitneyのU検定を行い、 危険率5%未満を有意な差とした。【結果】2群の内訳は前方群16名、後方群14名であった.関節角度において上部体幹伸展角度では前方群に比べ後方群で有意に小さかった.骨盤後傾角度は前方群に比べ後方群で有意に大きかった.足関節背屈角度は後方群で小さく、股関節屈曲角度は後方群で大きくなる傾向が見られた.下肢各関節モーメントでは足関節背屈モーメントは前方群に比べ後方群で有意に大きく、足関節底屈モーメントは前方群に比べ後方群で有意に小さかった.【考察】後方群は重心が下降する間に、下肢各関節で重心を前方移動出来ないため骨盤の後傾により体幹の前屈を容易にすることで重心の前方移動を助長し、更に重心が後方にあるため膝伸展モーメントが必要になると考えた.しかし今回の結果では、膝関節伸展モーメントに有意差は認められず、足関節背屈モーメントにおいて後方群で有意に大きい値を得た.これらのことより、後方群のしゃがみ込み動作において大腿四頭筋筋力は影響せず、前脛骨筋筋力と骨盤の後傾による体幹の前屈によって重心の前方移動を助長することで可能になると考えられた.
著者
伊東 孝 鄭 雄男
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.279-287, 2000-05-01 (Released:2010-06-15)

京都地下鉄棄西線の蹴上駅を建設するため、蹴上インクラインの一部を利用して竪坑が掘られた。蹴上インクラインが京都市の史跡に指定されているため、市は復元を条件に用地の使用を許可した。本論文は、蹴上インクライン石垣の解体前および解体時の調査内容を記すとともに、どのような方針と考え方で石垣を復元したのかについて報告している。解体調査から、以下のようなことが判明した。石材は花崗岩で、雑石状ないしは間知石状の形状である。石は大振りで、今日使用されている標準的な石材とくらべると、2~3倍もある。裏込め石も同様で、3倍ぐらいの量が充填されていた。石積みの基礎には、意外なことに松丸太がなく、地盤のやわらかいところに胴木が2本確認されただけである。石垣の復元は、当初、オリジナルと同様、空積みを提案したが、落石の恐れのない「練り積み」を基本とする「空積み風」で復元された。
著者
小林 泰男 小池 聡 永西 修 竹中 昭雄
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

新規メタン低減物質候補であるカシューナッツ殻油の反芻家畜への給与効果と作用機序について検討した。殻油はルーメン内の細菌の増殖を選択的に抑制することで菌叢が変化し、低メタン・高プロピオン酸生成型の発酵が導かれた。その結果、飼料消化や健康をがい阻害することなく、20%以上のメタン低減が可能となった。このように効果的な天然物質は初めてのもので今後の実用化が期待される。
著者
平岡 隆二
出版者
熊本県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

2018年度は、1)国内外の図書館・博物館での史料調査・撮影、2)出版物計6点:英語雑誌論文1点、英語図書分担執筆2点、日本語図書分担執筆1点、日本語報告書分担執筆1点、日本語書評1点、3)学会報告計3回:国際会議等2回、国内学会1回、4)『天経或問』研究会の運営、5)関連史料の収集とデータ整理、がおもな活動だった。1)については、中国と日本の計11の図書館・博物館において史料調査・撮影を行った。その成果は、2019年度以降に論文等の形で発表してゆく予定である。2)については、新発見の天文器具「ジュネーブ天儀」について詳しく紹介・分析した雑誌論文「The Geneva Shpere: An Astronomical Model from 17th Century Japan」(Technology and Culture 60(1))や、イエズス会科学とキリスト教思想との関連について論じた英語図書分担執筆「Jesuits, Cosmology and Creation in Japan’s “Christian Century” (1549–1650)」(Visual and Textual Representations in Exchanges between Europe and East Asia所収)、また天学成立以前の長崎における天文地理学について考察した報告書論文「アリストテレスを運気論で読み解く-『南蛮運気論』と17 世紀長崎における西学理解-」(『天と地の科学-東と西の出会い-』京都大学人文科学研究所)など、計6点を出版した。3)16~17世紀日本への西洋科学伝来にまつわる英語報告や、天学の重要著作『天経或問』の現存諸本についての国内学会発表など、計3回行った。4)「『天経或問』研究会」は、本年度は計10回開催、のべ33人が参加した。5)上記1)の調査を通じて、関連史料の撮影・収集を行い、そのデータ整理と分析を進めた。
著者
上前 真弓 上前 知洋 上條 正義
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.403-409, 2014 (Released:2014-04-30)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

The purpose of this study is to investigate the effect of clothing pressure on physiological and psychological responses, to create an evaluating method of the clothing comfort. We have investigated the physiological and psychological responses to the clothing pressure in both situations which eyes open and eyes closed. The pressure amounting to 90% of the subjects' waist size was applied to their abdominal region by the waist belt. The influence of clothing pressure on physiological and psychological responses were evaluated by the following measurements: sensory test, electrocardiogram, electroencephalogram and blood pressure. Consequently, when subjects were fastened by waist belt, sympathetic nerve activity increased in case of eyes closed. On the other hand, parasympathetic nerve activity increased in case of eyes open. The physiological and psychological responses are different in eyes closed and eyes open conditions. The results mean that the clothing comfort on the pressure requires a sensory multimodality evaluation.
著者
本間 友貴 柿崎 藤泰 石塚 達也 西田 直弥 茂原 亜由美 平山 哲郎 泉崎 雅彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0561, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに/目的】我々は腰部骨盤帯の機能評価の一つとして筋の収縮性左右差を重要視し,理学療法に役立てている。そのなかでも腰方形筋(QL)の収縮性は特に左側において低下を認めることが多い。またQLが付着する第12肋骨(12rib)位置を評価すると,右側に比べて左側が水平面上で外方に位置している例が多い。共通して観察されるこの左右差から,QLの収縮性と12rib位置は関係があると推測される。そこで今回は,QLの収縮性に左右差が生じるメカニズムを明らかにするため,骨盤挙上運動におけるQLや12ribの位置変化,その他の下部体幹筋の左右を比較したところ,興味ある知見が得られたのでここに報告する。【対象と方法】対象は健常成人男性12名とした(平均年齢23.5±2.9歳)。課題動作は腹臥位での骨盤挙上運動(等尺性収縮)とし,大腿遠位部に装着した骨盤下制ベルトを介して体重の20%の重さで牽引した。計測項目は12ribとQL,脊柱起立筋群(ES),広背筋(LD),外腹斜筋(EOA)とし,超音波画像診断装置(EUB-8500,日立メディコ社)を用いて計測した。12ribとLDの測定位置は,上後腸骨棘を通過する腰椎長軸に並行な線と12ribの交点とした。QL,ESは第3腰椎レベルとし,EOAは同レベルの側腹部とした。得られた画像から画像解析ソフトImage J(米国国立研究所)を用いて,安静時12rib位置と各筋の断面積および筋厚,また挙上時12rib内方移動率と各筋の増加率を算出した。左右各3回におけるそれぞれの平均値を用いた。統計学的解析は12rib位置と各筋の左右比較をそれぞれ対応のあるt検定を用い,左右の12rib内方移動率と各筋における増加率の関係はPearsonの積率相関係数を用いて分析した。なお,有意水準は5%未満とした。【結果】安静時12rib位置は右側が内方に位置し(p<0.05),挙上時12rib内方移動率は右側が大きかった(p<0.01)。QL,LD,EOAの安静時断面積および筋厚,挙上時増加率は共に右側が大きく(p<0.05),ESは共に左側が大きかった(p<0.01)。右側の12rib内方移動率とQL,LDの間には正の相関が示された(r=0.68,0.83)。また左側の12rib内方移動率とESの間には負の相関が示された(r=-0.68)。【結論】本研究結果より,骨盤挙上運動におけるQLやLD,EOAの収縮性の優位性は右側に見られた。また右側QLの収縮性は12ribの内方移動と関係していた。解剖学的にLDやEOAは12ribを内方移動させる役割があるとされる。右側に見られるこれらの筋群が12ribを内方移動させ,QLの収縮性を高めたものと考えられる。一方,左側はESが強く運動関与していた。ESは12ribの内方移動を阻害し,QLの選択的収縮を困難にしていることが考えられ,代償的なものと捉えている。今回,QLの収縮性に関与する12ribの位置変化や下部体幹筋の収縮性の左右差が認められた。この左右差は体幹機能を評価する上で重要な基礎データとなり得ると考えられる。
著者
池上 素子
出版者
北海道大学留学生センター = Hokkaido University International Student Center
雑誌
北海道大学留学生センター紀要
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-20, 2002-12

本稿では、例えば「彼はみんながその機械を使えるようにした」にあるような、変化を表す他動表現「~ようにする」の意味特徴について、対応する自動表現「~ようになる」(「みんながその機械を使えるようになった」等)、および「~に/くする」(「息子を医者にする」「値段を安くする」等)との比較から考察した。その結果明らかになったことは以下の3点である。1)「~ようになる」は非状態性の動詞が前接した場合、同一の、または類似した事態の複数回の発生による習慣・繰り返しの定着を表すが、「~ようにする」の場合、必ずしもこれは当てはまらない。2)「~ようにする」の否定方向への変化を表す形式には「~なくする」と「~ないようにする」の二つがある。前者は直接変化を引き起こすことを表すが、後者はそのような変化が起きるよう間接的に条件を整えることを表す。また、「~なくする」は前に修飾部がある場合使いにくいことがある。これに対し、「~ようになる」の場合、否定方向への変化を表す形式「~なくなる」と「~ないようになる」の間に顕著な違いはない。3)「~に/くする」は現実の現象を表すが、「~ようにする」は、将来そのような事態が起こる可能性を示す(これは「~に/くなる」と「~ようになる」にも当てはまる)。
著者
藤高 道子 河野 一輝 上田 晴雄 川口 浩史 佐倉 伸夫 上田 一博
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.99-102, 2002-03-01 (Released:2010-08-05)
参考文献数
16

症例は12歳5ヶ月の喘息女児. 従来より梅雨時期に発作が増悪する傾向がありプロピオン酸ベクロメタゾンを吸入していたが, 発作が軽減したため平成11年2月に中止した. 平成11年6月, ヒマラヤ杉とカモガヤ等のイネ科植物が群生する地域の伐採現場を通った約15分後より, 上眼瞼と口唇を中心とした顔面の浮腫, 全身チアノーゼ, 喘鳴を伴う呼吸困難が出現し当院へ緊急受診した. 受診時の意識レベルはJCS III-300で血圧も触知不能であったが, 直ちにエピネフリン, メチルプレドニゾロン等の救急処置を施行し, 当院到着から1時間後に意識は清明, 顔面の浮腫と全身のチアノーゼは消失, 呼吸状態も改善した. 発症の状況と CAP-RAST の結果から, イネ科植物花粉の大量吸入によるアナフィラキシーショックが考えられた. 花粉によるアナフィラキシーショックの報告は稀であるが花粉の大量吸入は重篤なアレルギー症状を起こす可能性が示唆され, 花粉の飛散時期を考慮に入れた注意深い治療管理が必要と思われた.