著者
加藤 淳
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.36-40, 2019-12-15

Virtual Reality特区の高校に通うカンナとキリは,ふだん誰も立ち入れない旧校舎への侵入を計画する.夜半過ぎ,工事用ロボットの開錠プロセスをハックして校舎内に入り込んだ二人の眼前に,見たことのない光景が広がる.さらに予期せぬイベントが発生し,二人の侵入劇は国家プロジェクトの命運を左右する大ニュースへ発展する.プログラムを実行したまま編集するライブプログラミングが当たり前となり,ソフトウェアのみならず物理デバイスや建物までもプログラミング可能となった未来で起きる事件の顛末を描く.
著者
欅 惇志
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.112-113, 2019-12-15
著者
田中 観自 陳 娜 坂井 信之 渡邊 克巳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.128, pp.7-10, 2013-07-13

本研究では、食器の材質・質感における感覚間統合が味覚に及ぼす影響を検討した。実験では、3種類の水が刺激として用いられ、木、ガラス、紙、プラスチックの4種類のコップにそれぞれ注がれた。実験参加者は、各コップに入った水を飲んだ後に味覚の評定が求められた。その結果、木のコップで水を飲んだ場合、他の食器に比べて美味しいと感じることが示唆され、また触覚モダリティを想起させる形容詞を用いた味覚評価の質問をしたときに、その評価が食器間で異なることが示された。同様に、ハムを刺激とした実験を行ったところ、材質・質感による味覚の評価の違いは見られなかった。これは、参加者がフォークを用いてハムを口に運んで食していたため、直接的に食器の材質・質感を経験しなかったことが理由として考えられる。本研究の結果をまとめると、視覚的だけではなく触覚的に食器の材質・質感を直接経験することで、味覚との感覚間統合がなされ、味覚評価が変容することが示唆された。
著者
青木 博史
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.47-60, 2005-07-01

古典語における<コト>を表す補文の名詞節には,「準体型」と「コト型」の2つがある。「準体型」が主語として用いられる場合,その述語は状態性のものに限られる,といった制限がある。目的語として用いられる場合も考え合わせると,「準体型」は,感覚・感情,判断等の「対象」としてのみ用いられているといえる。これに対し,「コト型」にそのような使用制限はなく,両者は性格を異にしている。「コト型」は,古代から現代に至るまで,その機能をほとんど変えることなく引き継がれたが,「準体型」の機能は,「ノ型」が引き継ぐ形となった。「ノ」は<モノ>を表す代名詞が文法化し,<コト>を表す形式へ拡張したものである。このような「ノ」の発達が,「準体型」を衰退させたものと考えられる。
著者
森川 洋
出版者
地方自治総合研究所
雑誌
自治総研 (ISSN:09102744)
巻号頁・発行日
vol.39, no.11, pp.68-83, 2013-11
著者
石原 茂久
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.473-482, 1999-05-15 (Released:2009-06-03)
参考文献数
103
被引用文献数
16 16
著者
乾 博
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

漢方薬として知られるラカンカには、その果実に強い甘味物質であるトリテルペノイド配糖体(モグロシドV)が含まれ、肥満者や糖尿病患者向け低カロリー甘味料として市販されている。本研究では、ラカンカの抗糖尿病作用について検討し、インスリン分泌促進活性を見いだした。また、動脈硬化症予防の観点から、コレステロール誘導性酸化的ストレスに対する抑制効果を明らかにした。さらに、モグロシドV とそのアグリコンであるモグロールの消化・吸収・体内動態を検討した。
著者
谷内 俊範 小林 憲正
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.113-118, 2007-06-20 (Released:2007-06-20)
参考文献数
24
被引用文献数
2

Titan is the largest satellite of Saturn, and has dense (ca. 1,500 hPa) atmosphere mainly composed of nitrogen and methane. In addition to various organic compounds, aerosol is found in the atmosphere. It is suggested that the aerosol was made of complex organic compounds, which was formed from Titan atmosphere by such energies as ultraviolet light, high-energy electrons (discharges) and cosmic rays. Voyager and Cassini missions partly revealed the nature of the aerosol. A wide variety of laboratory simulation experiments have been conducted by using a gas mixture of nitrogen and methane, and the resulting solid products are often referred as “Titan tholins”. The present paper reviews these observations and simulation experiments on the Titan aerosol, and discusses its relevance to origins of life.
著者
中野 詩織 綾部 早穂
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.380-389, 2013-11-25 (Released:2017-10-11)
参考文献数
22

本論文では,においの質を言語化する際に生じる問題点について概観し,形容詞を用いてにおいの印象評価を試みた先行研究の知見を踏まえた上で,オノマトペの感覚形容語としての利用性を検討した研究内容について報告した.オノマトペを用いてにおいの質を評価したところ,先行研究と同様に「角がある-丸みがある」という図形的次元と,「ポジティブ-ネガティブ」という情動的次元が抽出された.においの知覚経験とオノマトペの連合学習は成立する可能性が見られたが,その学習内容は未学習のにおいに対しても般化される傾向は示されず,学習直後は逆に干渉を受ける可能性も示された.また,二者での会話によるにおいの情報伝達を行う場合には,送り手から発話された情報を基に,受け手が知覚経験を合わせていくような,役割分担型のコミュニケーション方略が有効であることも示された.
著者
遠山 濶志 吉田 善章 小川 雄一 井上 信幸 篠原 俊二郎
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1993

球状トカマク、TST(Tokyo Spherical Tokamakの略)が設計、製作された。球状トカマクでは、プラズマの断面形状が自動的に楕円形に変形し、プラズマの体積が大きくなる、高いベータ値のプラズマを安定に閉じ込めできる、電磁流体力学的(MHD)不安定性に対して強い抑制効果を持ち、放電停止に至るようなプラズマの主崩壊を起こしにくくなるなどの通常のトカマク装置よりも優れた点が理論的に予想されている。本研究では、以下の結果を得た。1)球状トカマクTSTを設計、製作した。直径1.8m、高さ1.6mの円筒形の真空容器内にトロイダルコイルの一部とオーミックコイルを設置している。2)トロイダル、オーミック、垂直磁場コイルを設計、製作した。トロイダル磁場は真空容器中心で0.2T、リップルは2%である。オーミックコイルのFlux swingは15mVsである。3)最大プラズマ電流、45kAのプラズマ放電に成功した。プラズマ電流は、オーミックコイル充電電圧、トロイダル磁場に比例する。4)PINダイオードアレイによるプラズマからの放射計測によってプラズマ形状の時間発展を調べた。放電開始から70μsでアスペクト比1.3に達していることがわかった。楕円度は90μsで1.8になっている。5)電流銃による電流駆動の初期実験を行った。電子銃からは1.7kA、1.5msの電子ビームがとれることがわかった。この電子銃をTSTに取り付けた結果ブレークダウンに必要なFlux swingが7分の1に減ることがわかった。
著者
富岡 宏太
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.1-15, 2014-10

中古和文において、体言に詠嘆の終助詞カナ・ヤが下接した「体言カナ」・「体言ヤ」には、連体修飾を必須とするという構文上の共通点と、その形式が異なるという相違点のある事が従来指摘されている。本稿では両者の表現性の違い、表現性と構文との関係を明らかにした。「体言カナ」が聞き手の属性を問わず、時間軸上の様々な位置にある事態に言及できるのに対し、「体言ヤ」は上位者には用いられず、ほとんどが現在の事態に言及した例である。以上から、「体言カナ」は様々な事象を考慮した「論理的評価の表明」の表現、「体言ヤ」はそれらを考慮しない「直感的評価の表明」の表現であると考えられる。また「体言カナ」「体言ヤ」の表現性と構文とは密接な関係にあると考えられる。
著者
サディグル エルドス ラキムジャン
出版者
北海道大学
巻号頁・発行日
2010-03-25

オノマトペ(onomatopoeia)は,多い少ないの差はともかくとして,世界中の言語において観察されている。日本語は,西洋諸言語と比べると,オノマトペを豊富に持つ言語の一つと言われている。これらのオノマトペは厳密な体系をなし,様々な音韻・形態的などの特徴によって,一般語彙から区別され,固有の語彙層を形成している。筆者の母語であるカザフ語1にもオノマトペは多数存在し,文学作品,新聞,雑誌などに幅広く用いられている。こうしたオノマトペは,日本語とカザフ語それぞれにおいて,かなりの数にのぼり,3000 語以上にも達すると言われている。この語数だけからも両言語にはオノマトペが不可欠な言語要素であり,豊かな生命力を持つといえる。にもかかわらず,オノマトペが言語研究の対象として注目されることは比較的少なく,もっとも遅れている研究分野の一つであると思われる。オノマトペは音象徴(sound symbolism)の面から言語の非恣意性を明らかにしてくれる代表的な言語現象である。音の象徴印象と,その音を出すもののイメージとが直結する点で両者は有縁的な関係を構成する。このような音そのものがある一定のイメージを喚起するという音象徴説をサポートしたのはJesperson(1922),Sapir(1929),Newman(1933),Whorf(1941),Левицкий(1973),Tarte(1974)などである。彼らは,音とそれが表す意味関係の例を示し,音のイメージはすべての語ではないかもしれないが意味と関連性がある程度みうけられると主張している。一方,オノマトペは全ての言語に体系的に存在するわけではないし,子供っぽい幼稚なことばであるとされたり,オノマトペ自体が論理的なことばではなく感覚的なことばの故に捉えるところが少ないと考えられたりしたため,多くの学者に注目されてこなかったようである。しかし,日本語オノマトペに関しては最近,様々な研究がなされ,その成果として論文や専門書が発表されるようになってきた。またオノマトペが感覚的なことばであることに注目して,認知言語学の立場からオノマトペを考察しようとする研究も見られるようになった。本論文は,日本語とカザフ語のオノマトペを対象とし,形態・統語・意味的な面を考察し,両言語のオノマトペの全体像を明らかにするものである。
著者
坂田 寿子
出版者
埼玉大学大学院文化科学研究科
雑誌
博士論文(埼玉大学大学院文化科学研究科(博士後期課程))
巻号頁・発行日
2018

序章......2第一章 古典主義作品のモティーフ「地歌・上方舞」に至るまでのプロセス......5一、戯曲『象』における「保名狂乱」と「狐曾」谷﨑文学のテーマ「狐」、「母恋い」、「白」、「姉妹対象恋愛」の端緒と江戸趣味音楽......5二、『蘆屋道満大内鑑』における谷崎の恋愛傾向の原型―「姉、妹」との恋愛と狐に対する恐れと異類婚......18第二章 谷崎の江戸っ児意識と江戸趣味―芸能の視点から......26一、谷崎作品に影響を与えた下町庶民の愛好音曲......26二、谷崎の生活行動に見られる「江戸っ児」......44三、江戸趣味に隠された願望を紐解く『幇間』、『女人神聖』、『少年の脅迫』から―......45四、地歌・京舞への端緒―『朱雀日記』より―......55第三章 地歌曲目の視点から谷崎の作品を読み解く......60一、谷崎の地歌への開眼......60二、谷崎が愛した地歌......65三、「綾衣」、「由縁の月」―詞章から読み解く『蓼喰ふ蟲』の登場人物、老人とお久の心情とその背景......73四、「黒髪」―生身の女の情念の歌、『蓼喰ふ蟲』の美佐子の心情および晩年に至るまでの谷崎の「黒髪」に対する思い......83 ―主人公要のいる地歌「黒髪」と「雪」その裏に隠された妻美佐子とそのモデル千代夫人の情念―......83五、松子御寮人と「黒髪」......85六、「菊の露」丁未子夫人との結婚生活の破鏡と根津松子への恋慕の曲......91七、『卍』―谷崎の地歌熱中時代における地歌引用皆無の作品......104八、「茶音頭」の詞章と『春琴抄』および回想録『初昔』―谷崎自身と佐助、松子と春琴の役割、自己投影と松子御寮人から妻への二人の関係性の変化―......107九、地歌「茶音頭」に隠された人間関係『春琴抄』の「春琴」、「佐助」から『初昔』の「爺」、「婆」......110十、「茶音頭」と佐助......115 ―谷崎の分身佐助と佐助の盲目の真相―......115第四章 『細雪』......116一、戦前の谷崎文学の集大成の作品『細雪』の中での地歌・上方舞の重要性......116二、谷崎と上方舞「山村流」との関わり......117三、妙子と地歌「雪」......123第五章 『細雪』その後......129一、随筆「雪」......129二、山村流との訣別......133三、井上流との出会いと谷崎の老後と「残月」......135終章......141参考文献リスト......142