著者
坂元 博昭
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、1滴の血液から高効率に血漿分離を行うことを目的とし、毛細管力のみを駆動力とした血漿分離チップの開発を行った。2μmの隙間を微細加工技術により形成させ赤血球と血漿を分離することを企図した。作製したマイクロデバイスへ血液を導入すると3分以内に200ナノリットルの血漿を得ることに成功した。本デバイスは、毛細管力を駆動力とするためシステム全体の小型化およびポータブル装置として最適である。
著者
MICHAEL Vallance
出版者
公立はこだて未来大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

2010~2011年の資金援助(科研費22650196)は、レゴマインドストームのプログラミングタスクを段階的かつ反復的に開発し、研究をさらに進めた。新しい仮想学習スペースは、オープンソースOpenSimの技術を使って開発された。ユニークで画期的な仮想ツールは、タスクをより複雑化することに成功した。コンピュータのスクリーンキャプチャー、コミュニケーションの映像、およびレゴタスクの過程の形式で、60時間分のデータが記録・分析された。また、認知過程と機能知識は3D力学グラフにマッピングされ分析が行われた。その結果、ロボットタスクの複雑性と人間の認知過程の間に非線形の相関関係があることをわかり、この発見は下位から上位までの認知動作の過程に関する最新文献に異議を唱える結果となった。
著者
酒井 麻衣
出版者
東海大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

「並泳の左右性の分析・接触行動の左偏向の個体発達の分析・母子間の接触行動の左右性の比較・接触行動の個体群間比較」のために、2014年6月、7月、9月に伊豆諸島御蔵島にて野生ミナミハンドウイルカを対象に接触を伴う社会行動・同調行動を水中ビデオ撮影し、データ収集を行った。「並泳・接触行動の左右性の種間比較」のために、バハマ諸島にて撮影された野生マダライルカの接触行動の分析を行った。2003年から2011年に撮影されたビデオのデータを分析した結果、532例のflipper rubbing(ラビング、胸ビレで相手をこする行動)のうち251例が右ヒレで、281例が左ヒレで行われていた。6例以上のラビングが観察された18個体のうち、2個体において有意に左ヒレを多く使用していた。一方、有意に右ヒレを多く使用する個体はいなかった。一方、flipper touching(タッチ、胸ビレで相手に触る行動)は、119例中、65例が右ヒレ、54例が左ヒレで行われた。6例以上のタッチが観察された1個体においては有意な偏向は見られなかった。野生マダライルカにおけるラビングの分析結果(集団のうちの一部に左偏向の個体がいること、右偏向の個体がいないこと)は、これまで調べてきた飼育ハンドウイルカ(12頭中6頭が左偏向)、野生ミナミハンドウイルカ(20頭中9頭が左偏向)、飼育マダライルカ(4頭中3頭が左偏向)と同様であり、ラビングにおける左偏向はハクジラ亜目の中で共通している可能性が高まった。また、飼育イロワケイルカでは4頭中4頭すべてが左偏向を示し、ハクジラ亜目の中でも偏向の強さに種差がある可能性が考えられた。
著者
黒石 陽子 三好 修一郎 加藤 康子 山下 則子 有働 裕 山下 琢己
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本年度は黒本・青本『曽我武田鞘因縁』(研究代表者 黒石陽子)、黒本『頼光一代記』(研究分担者 加藤康子)について諸本調査、書誌調査、翻刻、内容分析を行い、『叢 草双紙の翻刻と研究27号』に発表した。『曽我竹田鞘因縁』は、『曽我物語』に代表される曽我の伝承が、江戸期にどのような展開を示したのかを明らかにする上で重要な資料である。中世以降、江戸における諸分野の文学や芸能との関係から調査、考察を行った。『頼光一代記』も酒呑童子の伝承と関係し、江戸期に広汎に浸透した伝承が、黒本ではどのように扱われているのかを明らかにしたものである。江戸末期から明治にかけての展開も視野に入れて研究した。また研究協力者は以下の作品を担当し、『叢 草双紙の翻刻と研究27号』に発表した。『和漢/軍配木起源』(丹 和浩)、青本『〔大江山〕』(金ヒョンジョン)、『風流/桃太郎/柿太郎 勇力競』(徳永結美)、黒本・青本『保名丸白狐玉』(書誌的記録の追加・語釈・考察)(ジョナサン・ミルズ)、『〔男鳴神〕』(朴順花)、『昔扇金平骨』(橋本智子)、『昔咄し虚言桃太郎』(笹本まり子)、『縦筒放 唐の噺』(大橋里沙)、黄表紙『嶋台眼正月』(杉本紀子)、合巻『瑠璃紫江戸朝顔』(桧山裕子)。これらについても諸本調査、書誌調査、翻刻、内容分析を行った。さらに平成14年よりデータベースとしての構築をめざし、研究代表者、研究分担者、研究協力者によって継続して作成してきた赤本・黒本・青本の解題原稿を、科学研究費報告書として1冊にまとめた。またこの成果を元に書店からの刊行準備を開始した。18年度中には刊行し、一般に公開できる見通しをつけることができた。
著者
岡本 栄司 金岡 晃
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

高度に発達した情報ネットワークにおいて、多くのセキュリティシステムが導入されているが、今までは攻撃等による危殆化に対する事前対策が主であった。しかし、実際にはどんな対策をとっても必ず危殆化するため、事後対策も同等に考慮した対策が必要となる。そこで、ネットワークにおける危殆化の確率とその被害を定量的に評価し、その評価を用いた危殆化リスクに強いセキュアネットワークシステムの構築し、それらに基づいた危殆化リスクの予測の試みを行った。その結果、SLA(Security Level Agreement)の形成に役立てることができるようになった。
著者
多田 博
出版者
旭川医科大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

【目的と方法】腕神経損傷の中でも神経根引き抜き損傷は、脊髄硬膜内損傷であり、その修復は不可能とされる。しかし、本損傷は、節前損傷であるため、脊髄後根神経節及び末梢知覚神経は生存している。私は、末梢神経の切断縫合後にいわゆるmisdirectionが起こり、知覚神経線維が運動神経髄鞘内に迷入することに着目し、本損傷に対して、再建を目的とする筋の支配神経を一度切断し、再縫合することで故意にmisdirectionを起こし、後根神経筋による運動単位を形成させるという実験を試みた。実験動物として250〜300gのラット16頭を用い、腹腔内ネンブタール麻酔下に、腹臥位にて、手術用顕微鏡を用い、無菌的に操作を行った。まず、第4、5腰椎(L4、5)の椎弓切除を行い、一側のL4、5神経根を約1cm切除し、創を閉鎖する(神経根節前損傷の作成)。次に、一方の坐骨神経を露出後、切断し、180度回旋を加えて神経上膜縫合を行う(A群)。処置後、8、12週後に、坐骨神経を露出し、大転子部を刺激点とする前脛骨筋、腓腹筋の誘発筋伝図検査を行う。同時に筋そのものの電気刺激を行い、筋の反応性をみる。前脛骨筋、腓腹筋を摘出した後、その湿重量を測定し、筋及び脛骨、腓骨神経の組織学的検索を行う。コントロールとして、筋前損傷のみの群を8頭作成し(B群)、同様の検索を行った。【結果】処置後8及び12週において、坐骨神経を刺激点とする誘発筋電図検査では、B群と同様、A群においても明らかな誘発電位は得られなかったが、筋の直接刺激において、A群において、筋の収縮がみられた。また、健側と比較した筋湿重量の検索でもA群ではB群に比較し、有意に大きかった。組織学的検索においては両群に明らかな差はなかった。以上の結果より、後根神経筋による新しい運動単位の形成は起こらなかったが、本法が脱神経による筋の萎縮にあ対して抑制的に働いている可能性が示唆された。
著者
櫻井 鉄也 北川 高嗣 多田野 寛人 佐々木 建昭 長嶋 雲兵 池上 努 立川 仁典
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

本研究では, 次世代計算機環境における大規模シミュレーションを実現するために, 特に並列化が困難な内部固有値問題の解法を対象として, 複素周回積分を用いた固有値解法の実用技術を開発した.ここで開発した解法を, マルチコアによる大規模並列環境向けのソフトウェアとして実装した.開発したソフトウェアを複数の応用分野の問題を対象として適用し, 実用性を想定して性能改善を行った.
著者
上村 正康 木野 康志
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

下記の研究を行い、これらを「ミュオン触媒核融合」に関する国際シンポジウム(スイス、1998年7月)と「超強度ミュオンビームと21世紀のミュオン科学」ワークショップ(KEK筑波、1999年、3月)において発表した。1) ミューオン触媒核融合におけるミュオン付着率の新しい計算を実行した。dtμ分子内核融合dtμ→α+n+μ,(αμ)+nにおけるαμ初期付着率(ωs)について、従来の計算における3つの近似(sudden近似をとること、dtμチャネルとαnμチャネルとのexplicitな結合を切ること、αn間の角運動量l=2をl=0と近似すること)を止めたsophisticatedな3体計算を行った。しかし、結果は従来の初期付着率をやや増加させた(核力入りで、ωs=0.92%から0.94%へ)。2) 理研-ラザフォード研の共同になる超高強度ミューオンビームを用いる将来の実験で、ダブルミューオン分子が初めて発見される可能性がある。これに先駆けて、非断熱的4体計算により、ダブルミューオン水素分子のエネルギーレベルを予言した。xyμμ,x,y=p,d,tのすべての分子について計算を行った。3) ttμミューオン分子イオンのエネルギーレベルと分子内核融合率の計算をおこなった。また、t^3Heμ分子イオンのエネルギーレベルと崩壊幅の計算を行った。4) ミュオン分子を含む任意3体系の束縛状態を計算する汎用プログラムを作成し、九大計算センターのライブラリプログラムとして登録した。また、ミュオン触媒核融合に関するレビュー論文を書き、レビュー誌に出版した。
著者
柴山 敦 WILLIAM Tongamp
出版者
秋田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

近年,銅鉱石中の不純物(ヒ素、アンチモン、フッ素など)が世界的に増加する傾向にある。本年度の研究では,選鉱プロセスで広く用いられる浮遊選鉱法(浮選)と,アルカリ浴で硫化剤を用いた浸出処理,さらに浸出后液からのヒ素やアンチモンの沈殿晶析の可能性を検討し,不純物を選択的に除去する技術の調査研究を行った。まず浮選では,pH4,捕収剤アミルキサントゲン酸カリウムを50g/t-ore,起泡剤メチルイソブチルカルビノールを200g/t-ore添加することで,鉱石中に含まれるヒ素の93%を浮上分離することができた。これらについては、ヒ素を含む主要鉱石の硫砒銅鉱が、他の鉱石に比べ疎水性並びに浮遊性に富むことが影響し、比較的早い浮上速度で分離されていることを究明した。一方、浸出法および沈殿法による高ヒ素含有銅鉱石からのヒ素の選択除去を行った結果,パルプ濃度1,000g/L,NaOH100g/L,NaHS200g/L,80℃での浸出により,鉱石中に含まれるヒ素の95%を浸出することができた。また,浸出后液に固体硫黄S^0を添加することで,液中に含まれるヒ素の約70%を沈殿物として回収することが可能であり,沈殿物はNa_3AsS_4として晶析することが確認された。またアンチモンが共存する四面銅鉱(Tetrahedrite: (Cu,Fe)_<12>(Sb,As)_4S_<13>)に対して同様のアルカリ浸出を行った結果、ヒ素に比べアンチモンの方が浸出速度が速く、浸出初期では浸出率が上回ることを確認し、チオアンチモンナトリウム塩の沈殿生成の可能性を見出した。これらの実験結果を通じ,浮選におけるヒ素含有鉱石の分離効果と影響因子,あるいはヒ素およびアンチモンの選択浸出の可能性と沈殿生成条件を論考し,化学的あるいは反応論的考察のもと、不純物除去につながるプロセス技術を究明することができた。
著者
松原 真
出版者
国文学研究資料館
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

本年度の成果は次の二点である。(1)単著『自由民権運動と戯作者――明治一〇年代の仮名垣魯文とその門弟』を和泉書院より刊行した。「あとがき」にも記した通り、本書は、仮名垣魯文及びその門弟の明治10年代における活動実態を明らかにし、それを通じて、近代日本の基礎が築かれるこの期の文学空間をより立体的に再現する試みである。なかでも、彼等と自由民権運動、特に自由党との繋がりを見出すことを重視している。本書の結論はだいたい以下の四点にまとめられる。①仮名垣魯文は明治10年代に新聞人または続き物作家(新聞小説家)として多くの読者に支持され、門下生を多く輩出し、多方面にわたる人脈を持ち、文壇(新聞界)に巨大な権力を築いていた。②仮名垣魯文とその門弟の戯作表現は、社会的に無毒無害なものではなく、明治政府の意思に反する位相にあった。魯文達はこのことに強く意識的で、特に読者獲得のために、戦略的に自らの戯作表現を用いた。③上記二点に惹かれ、自由党系の民権家、政治小説家は魯文達にみずから積極的に近づいた。一方、魯文達もまた、新聞の経営上好都合ということもあって、彼らとの交流を積極的に受け入れた。④野崎左文(魯文門弟)の著名な回想とは異なり、実際には③の交流の中から、二世花笠文京(魯文門弟)のように民権家として自由民権運動のための小説を書く戯作者も現れた。――そして、この政治運動の衰退とともに仮名垣魯文とその門弟の時代は終わり、入れ替わるようにして、坪内逍遥唱える写実主義を始めとする新興文学が文壇を席巻する、というのが本書の史的見取り図である。(2)仮名垣魯文またはその門弟が所属した小新聞に連載された続き物(連載小説)について調査分析を行った。紙面を悉皆調査しどこに何が書かれているかを明らかにしたうえで、続き物を実際に読みメモを取った。本年度は特に「絵入自由新聞」(明治15~23年)を中心的に扱った。ただし、これについては引き続き調査分析を必要とする。
著者
菅原 琢
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本課題では、日本の国政選挙での有権者と候補者のそれぞれの過程における地元志向(選挙においてその地域の代表であることなどを重視する傾向)について研究を行っている。かつての衆院の中選挙区制では、強い地元志向が自民党の一党優位体制を生みだしていたが、参院選挙でもSNTVの理論予測であるM+1ルールを阻害することで自民党を利していた。また、新制度下では同一政党の公認候補同士の争いがなくなったことから選挙における地元志向は消えると考えられたが、政党の公認過程に地元志向の反映の場面が移動したという仮説を立てて分析を行っている。
著者
河原 研二 永井 教之 長塚 仁 GUNDUZ Mehmet
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

近年インターネットの発達は目覚ましいものがあるが、高齢社会の生活習慣病(高血圧、糖尿病)の多遺伝子性疾患、オーダーメイド医療への転換のための疾患感受性遺伝子(SNP)の解析が行われている。これらの多量の個人情報の解析及び研究技術のグローバル化を目指し、無料のネットワーク、インターネット回線を利用し、国内で最も太い回線のTAO (Japan Giga Network : JGN)によるデータ配信をサーバー構築して試みた。今回、LIVEの実験操作として、総務省直轄の(TAO)ギガネットの接続許可を戴き、本学部にセットされた光ファイバー155Mbps超高速インターネット回線による動画像配信と教育効果の改善を目指した。研究代表者がTAO回線での接続経験を有する岡山市内の岡山理科大学との双方向けの動画像配信(70Mbps)のテストを数回行い、カリキュラム発信のHPやTV会議用のサーバーとしても役立つことを示した。1年目は本学部に設置したATM回線(155Mbit)に接続するサーバー(購入備品)の構築を行った。稼働できる整備が備わっていた。2年目は研究計画としてネットワークを構築する必要があり、以下の通りに行った。(1)セキュリティーの面で接続先のインターネット、グローバルIPを現在使用のIPv4・プロトコールから個別を特定できるIPv6・プロトコールに変更した。ルーティング作業は河原が約3ヶ月かけて実証実験した。(2)接続先には高速インターネット回線ギガビットネットワークセンター経由で英語により国内外に向けて発信を計画し、学会セミナーの企画、開催で韓国ソウル大学歯学部を訪問し、両者が接続できることを確認した。(3)研究代表者の永井、長塚、Gunduzは口腔癌等の遺伝子を解析し、国内外に情報発信することを可能にした。
著者
小林 敦子 松本 ますみ 武 宇林 蔡 国英 馬 平 王 建新
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

(1) 中国の少数民族地域である寧夏回族自治区においては、回族の女性教員の増加に伴い、女児・女子青年の教育レベルが向上している。(2) 日本のNGOの教育支援によって養成された回族女性教員は、結婚・出産後も小中学校教員として働き、地域における女性のエンパワーメントの上で貢献している。(3) 民族の特性を生かした女子アラビア語学校の卒業者である回族女子青年は、経済発展の著しい広州や義烏で通訳として活躍している。家庭の経済的困窮等の事情から、普通高校への進学を断念した回族女子青年にとって、アラビア語学校はセイフティネットとなっている。
著者
川越 大輔
出版者
小山工業高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

水酸カルシウムアパタイトは、生体親和性の高い材料として知れられており、人工骨の骨代替材料として注目されている。ここで水酸カルシウムアパタイトは、材料強度を生体骨に近づけること、より生体親和性を高めることの高機能化が必要であると考えた。本年度は1)放電プラズマ焼結法による水酸カルシウムアパタイト多孔体の作製、および2)水酸カルシウムアパタイト空隙傾斜材料の作製について検討した。1)放電プラズマ焼結法による水酸カルシウムアパタイト多孔体の作製としては、特定の径を持つアラミド繊維と水酸カルシウムアパタイトを混合し多孔体の作製を行った。具体的には、10μmφのアラミド繊維を混合した水酸カルシウムアパタイトの成形体を、400度、10min間、30MPa、真空中で放電プラズマ焼結し、多孔体を得た。得られた多孔体は、直径10μmの空隙で連通孔を持つ多孔体であった。2)水酸カルシウムアパタイト空隙傾斜材料の作製としては、仮焼条件の異なる粒子を積層させて放電プラズマ焼結することにより、強度と細胞の活動場を目的に応じてデザインすることが可能な空隙傾斜材料の作製を検討した。具体的には、まず900度1時間と1000度6時間で仮焼した粒子を準備し、これらの粉末を積層した10mmφの水酸カルシウムアパタイトの成形体を、800度、30MPa、10分間、真空中で放電プラズマ焼結することにより、空隙径の異なる焼結体を得た。以上より、より生体親和性の高い、また材料強度の高い人工骨の作製が可能になったと考える。
著者
後藤 英仁
出版者
愛知県がんセンター(研究所)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

Polo-like kinase 1 (Plk1)は、分裂期の様々な現象を制御するタンパク質リン酸化酵素(キナーゼ)である。本研究で、新たに、Plk1のセリン99が分裂特異的にリン酸化されること、このリン酸化修飾依存性に14-3-3ガンマが結合すること、この結合によりPlk1活性が上昇すること、この活性化経路は分裂中期から後期への円滑な移行を制御していることを明らかにした。この分裂期特異的なPlk1のセリン99のリン酸化修飾は、PI3キナーゼーAkt経路によって制御していることも示した。この新規のシグナル伝達経路の解明は、癌の病態の一端を解明するうえで示唆に富む知見といえる。
著者
大隅 良典 鎌田 芳彰 中戸川 仁 中戸川 仁 鈴木 邦律
出版者
東京工業大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2007

オートファゴソーム形成の基部をなすPASでは、飢餓条件下にAtg17, Atg29, Atg31からなる安定な3者複合体にAtg1, Atg13が結合した5者複合体が形成され、次いで他のAtgの機構単位が階層的に集合する。In vitro再構成系を用いて、ユビキチン様結合反応系の産物である、Atg8-PE, Atg12-Atg5の理解が進んだ。選択的オートファジーによるミトコンドリア分解に関わるミトコンドリアが膜因子Atg32を同定し,その機能を明らかにした。Atgタンパク質群の立体構造を多数明らかにした。
著者
速水 治夫 五百蔵 重典 古井 陽之助
出版者
神奈川工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

図書館は図書を一定数冊購入し,その範囲内で利用者に貸し出すことによって人類の知識の共有など文化の発展を担っている.そして,図書館でデジタルコンテンツ(以下コンテンツ)を扱いたいという要求は強い.しかし,デジタルコンテンツは不正コピーが作られやすいため,図書館のような貸し出し業務には向いていない.本研究では,デジタルコンテンツに対しても図書館的共同利用を可能にすることで,本研究の意義である図書館本来の目的を達成させる.具体的には,利用者はネットワークを通じてコンテンツを借りられ,利用期間内であればネットワーク接続なしでコンテンツを閲覧できるシステムを提案する.利用期間内のみ閲覧可能であり,コンテンツの不正コピーも防いでいる.本研究の要となる携帯機器に求められる要件は,一般利用者が使用できない時計および記憶域を持ち,CPUを内蔵していることである.このような機器(以下,トークン)は存在しないため開発を行った.平成17年度では,トークンの実機を作る際に必要な要件をまとめるためにトークンエミューレータおよび図書館システムのプロトタイプを作成した,平成18年度では,トークンおよび図書館サーバ間の通信および同期が安全に行われるためのプロトコルについて研究開発を行った.また,トークンを使った応用例として,パスワードなどの秘密情報を送信する方法を提案した.平成19年度には,ICカード型としての量産も視野に入れたトークンの試作品を作成した.また,トークンを使った応用例として,オンライン試験システムなどを提案した.我々は、利用者側の利便性を確保しながら,権利保持者の権利を守ることが出来るシステムを提案した.本システムの要は、ネットワークでの貸し出しが可能で,ネットワーク非接続で利用期間を厳密に管理した閲覧が可能である点にある.本研究は,今後のコンテンツのデジタル化に向けて,非常に重要であると思われる.
著者
矢作 敏行 外川 洋子 岸本 徹也 浦上 拓也
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

日本型流通システムの特徴を、具体的な企業の実践行為レベルで分析するという研究目的に即して、長期財務分析、聞取り調査、企業アンケート調査を実施し、それに基づき、優秀小売企業を選び出し、小売業務、商品調達、商品供給の3つの下位システムで構成される小売経営において、持続的な競争優位性の基盤となっている組織能力は何かを導出した。中核的な組織能力は、事業分野の特性と歴史的な初期条件の2つの要因から大きな影響を受けているとの分析結果を得た。
著者
芹口 真結子
出版者
一橋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013-04-01

平成26年度では、①史料調査活動や、②学会・研究会における研究報告、③学術雑誌への論文投稿などを行った。まず、①史料調査活動では、平成25年度に引き続き、近世真宗における学僧の民衆教化活動や、異端的教説をめぐる事件に関する記録類、藩政史料などを調査し、デジタルカメラによる撮影などを通じて収集した。具体的には、大谷大学図書館(京都市)で複数回にわたり史料を閲覧したほか、秋田県公文書館(秋田市)、金沢大学附属図書館(金沢市)、金沢市立玉川図書館近世史料館(金沢市)、岐阜県歴史資料館(岐阜市)、長野県下伊那郡阿智村清内路(阿智村)などに出張し、調査を行った。①史料調査活動で得た成果は、②学会・研究会における研究報告や、③学術雑誌への論文投稿といったかたちでまとめた。②に関しては、5月10日に「書物・出版と社会変容」研究会で「異端と写本流通―羽州公巌異安心事件関係記録を中心に―」と題する報告を行った。次に、11月1日に「近世の宗教と社会」研究会で、「仙台藩の施餓鬼供養と地域社会―弘化4年三陸沖大時化を事例に―」という報告をした。最後に、12月10日、日本史研究会近世史部会12月部会で、「俗人の教化活動と教学統制―文化2年羽州久保田清次郎一件を中心に―」と題した報告を行った。③学術雑誌への論文投稿では、平成25年度に掲載が決定した「近世真宗教団と藩権力―19世紀初頭の異安心事件を事例に―」が『史学雑誌』123編8号に掲載されたほか、「異端と写本流通―羽州公巌異安心事件関係記録を中心に―」を『書物・出版と社会変容』17号に投稿し、掲載された。以上を通じて、教説の流布の様相や、ある教説が問題化し異端として排斥されていく過程を分析することにより、近世日本における宗教的異端と正統が、幕藩領主や教団、民衆といった諸主体のせめぎあいのなかで形づくられ、変容していったことを示すことができた。
著者
佐藤 英明 三木 敬三郎 久和 茂 内藤 邦彦 塩田 邦郎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

胚性幹細胞を介した遺伝子導入による形質転換動物の作出法は、標的遺伝子改変ができることなどから、従来の前核へのマイクロインジェクション法(染色体のどの位置に導入遺伝子が挿入するかコントロールすることがむずかしい)に比べてきわめて有効であり、方法の確立が望まれているか、ブタおにいて研究を進めるためには胚性幹細胞、特に生殖系列キメラを形成する肺性幹細胞の樹立が必要である。本研究では生殖系列キメラを形成する胚性幹細胞の樹立を目的として実験を行ったが、成果は次の通りである。(1)卵母細胞の体外成熟、体外受精、体外発生により、成熟未受精卵、胚盤胞期胚を安定して作出する培養敬を開発した。(2)体外で作出した胚盤胞期胚からマウスの胚性幹細胞と形態の一致する多分化能をもつ細胞株を樹立した。(3)樹立した細胞株は脱出胚盤胞に接着させるとキメラを形成した。(4)胚性幹細胞の維持に必要な生理活性物質(白血病抑制因子誘導体など)を同定した。(5)胚性幹細胞を除核未受精卵に移植する方法を開発し、再構築胚の培養法を考案した。