著者
肥田 登
出版者
秋田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

主たる研究対象域を秋田県六郷扇状地・39°25′N, 140°34′Eに置いて実施した。成果等は次のとおりである。1.地下水熱を利用して,居住空間の内,玄関周辺の生活道路に積もる雪と屋根の雪下ろしによって軒下に山積した雪の双方を同時に除排雪するための小実験を実施した。2.熱利用を終えた地下水と融雪によって生じた積雪水量の一部を地下水人工涵養池へ還元することが可能である。3.地下水位,地下水温の観測記録を蓄積した。4.本研究の応用範囲の可能性を日本に限らず東南アジアを含めて検討した。5.研究の成果,学実的及び社会貢献的な意義は有効であり,成果の一部はすでに複数の国際会議で公表済みである。
著者
浅岡 章一
出版者
東京医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,覚醒時間延長中におけるエラー後の認知的処理機能に与える夜間の仮眠の影響について検討した.エラー後の認知的処理と関連する事象関連電位(ERN/NeおよびPe)の振幅を,深夜1:00~2:00まで仮眠をとった群と休憩のみをとった群において比較した.深夜に実施した認知課題における反応の正確性は,仮眠をとった群で高くなっていた.しかし, ERN/NeとPeの振幅に対しては仮眠の効果は認められなかった.
著者
橋本 龍樹 大谷 浩 八田 稔久 宇田川 潤
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

異所性に水晶体を誘導させるため、表皮外胚葉へ水晶体形成に関与する転写調節因子を表皮外胚葉へ導入した。導入時期を決定するため、レポーター遺伝子であるLacZを組み込んだアデノウイルスを、妊娠8日目から13日目の羊水中に注入し、妊娠13日及び14日目に胎児を取り出し、X-gal染色およびβgalactosidase抗体によって感染細胞を検出した。その結果、妊娠9日目に注入した胎児では水晶体と網膜の間にある間葉細胞が感染していたが、水晶体線維細胞には感染していなかった。妊娠11日目に注入した胎児では、水晶体線維細胞の一部が感染していた。分裂期にある細胞にのみ感染し、持続的に感染するLacZを組み込んだレトロウイルスを用いて妊娠10.0日と10.5日目に注入して感染させ、妊娠14日目に胎児を取り出した。その結果、妊娠10.0日に注入した胎児の眼球において、多数の水晶体線維細胞と一部の水晶体上皮細胞、および一部の網膜色素上皮細胞が感染しており、10.5日目に注入した胎児の眼球においては、水晶体全体に感染しており、わずかな網膜色素上皮細胞が感染していた。これらの実験より、注入時期を妊娠9.5〜11.0日とした。水晶体形成に関与している転写調節因子の一つであるFoxE3と、この遺伝子の転写調節領域及びSV40 poly Aを連結させたコンストラクトを作成した。FoxE3の突然変異マウス(dyl/dyl)にこれを導入したトランスジェニックマウスでは、小眼球症が改善することが確かめられている。アデノウイルスによってこの遺伝子を表皮外胚葉へ一過性に導入することにより、水晶体・眼球の組織形成におけるFoxE3の働きを解析できると予測された。ウイルス作成・濃縮過程を経て1.06×10^<10> pfu/mlの濃縮ウイルス液を得た。濃縮ウイルス液を妊娠10.5日目のdyl/dyl胎児の羊水中に注入し、15.5日目胎児における眼球を観察した。その結果、注入した胎児の眼球では、角膜と水晶体上皮の癒着は起こっていなかったが、水晶体線維細胞の走行の乱れや水晶体内に空胞を認め、このウイルスによって水晶体の異常を改善させる得ることが推測された。
著者
佐竹 健治 藤井 雄士郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

環太平洋で過去に発生した巨大地震による津波を系統的に調査した.1960,2010年チリ地震,2006,2007年千島列島の地震,2009,2010年インドネシアの地震について,すべり量分布の特徴を明らかにした.2004年スマトラ島沖地震より古い地震を地質学的痕跡から調べた.2011年東北地方太平沖地震は869年の貞観地震型と1896年明治三陸津波地震型のほぼ同時発生であった.M9の巨大地震について,M8の海溝型地震の相似則が適用できる.
著者
深瀬 有希子
出版者
実践女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-02-01

ニューディール文化政策としての「連邦作家計画」及び「連邦美術計画」に参加したアメリカ黒人作家芸術家の審美観と国家観を分析した。(1)ゾラ・ニール・ハーストンのTheir Eyes Were Watching God(1937)や当時は未出版の民族誌的記録(2)アーロン・ダグラス他による1930年代壁画作品(3)リチャード・ライトの12 Million Black Voices (1941)と農村安定局撮影の写真(4)ダグラスとデュボイスが再構築したアフリカ人エステバニコ表象、及び、ニューディール政策とリベラリズムの概念。
著者
安田 孝志 吉野 純 村上 智一 村上 智一
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

IPCCの温暖化シナリオA1Bの下での伊勢湾台風級の台風の強大化とそれによる伊勢湾での高潮・高波の計算を,大気-海洋-波浪結合モデルと軸対称渦位モデルの組み合わせによって大気・海洋力学的に行い,その結果を基に,高潮災害の減災戦略・対策に必要な外力を科学的に予測するシステムを開発した.
著者
古橋 武 吉川 大弘
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

文字を想起するだけでコンピュータに入力できる日本語入力システムを開発した.信頼度に基づく自動再送要求法, 誤り関連電位に基づく誤り訂正法, 信頼度に基づいて候補刺激を絞る選択的自動再送要求法を提案した. 途中までの入力から次の文字を予測して変換候補を提示する手法, 次の文字への遷移確率を判別に利用する手法を提案した. 実験により文章入力時間の削減効果を確認した.追加学習法を提案し,一週間後の再開時に事前学習が要らないことを確認した
著者
川本 耕三 石井 里佳 中越 正子 江野 朋子 中村 晋也 山岡 奈美恵 藤原 千沙
出版者
(財)元興寺文化財研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

出土遺物はその成分が失われ空隙が生じるため強度が低下している。保存処理ではその空隙に薬剤を含浸し、接着剤等の樹脂により接合あるいは補填をする。本研究では、出土金属製品・土器・石材、さらに出土品ではないが様々な環境で劣化した民具(木質材料)の保存処理を想定し、接着剤・充填剤と含浸樹脂・溶剤等の薬剤との適合性を、主として力学的な強度低下を測定することで調査研究した。まず、処理薬剤が補填剤に及ぼす影響を調べるため、エポキシ系樹脂補填剤をシート状に成型し、溶剤等の保存処理によって遺物内に残留する可能性がある薬剤に浸漬した後、その強度を打抜きによる剪断試験によって測定した。その結果、チオール系硬化剤を用いたエポキシ樹脂は極性の大きい溶剤による強度低下が大きく、アミン系の硬化剤を用いたエポキシ樹脂は強度低下が小さいことがわかった。これは、色や熱特性の変化からも裏付けられたが、赤外吸収曲線には変化がみられなかった。次に、処理薬剤が接着剤に及ぼす影響を調べるため、擬似的に接着した出土遺物を作製し、同様の薬剤に浸漬した後、その接着強さを圧縮剪断接着強さ試験と曲げ接着強さ試験によって測定した。その結果、擬似鉄器ではその錆の厚みのために接着剤の接着面への付着を阻害することが観察された。また、擬似土器は母材強度が小さいために多くの場合で母材の破壊が観察されたことからアクリル樹脂等で母材を強化して後、接着する必要があると考えられた。以上の研究を通じて、文化財の保存修復材料に求められる特性は、「保存修復する文化財本体の強度を大きくさせる働きのあるもの、負の影響を与えないもの、必要がなくなった場合には完全に除去できるもの。」と考えられるが、そのためにわれわれはそれぞれの文化財に適合した接着剤をきめ細かく選択する必要がある。
著者
鈴木 哲雄
出版者
北海道教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

香取神宮における仏教的な資料を多数収集し、鈴木哲雄「香取神宮の神宮寺・寺院関係資料一覧(稿)」(『史流』46号、2016年)として刊行した。また、収集した諸資料にもとづいて、香取神宮境内に存在した愛染堂や経堂(経蔵)のあり方、かつて経蔵にあった大蔵経の散佚と一部の伝来状況、神宮寺における正月修正会の幕末までの存続、七人の供僧体制や諸寺院の存在について明らかにした。
著者
豊田 一則 小久保 喜弘
出版者
独立行政法人国立循環器病研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

腎臓病と脳血管障害の関係、言い換えれば脳腎連関を解明する目的で、以下の検討を行った。(1) 吹田研究に登録された都市型住民において、慢性腎臓病が頸動脈硬化の独立した危険因子となり、慢性腎臓病の有無に血圧カテゴリーを加えた交互作用が頸動脈硬化に対して存在した。(2)単施設急性期脳出血患者において、入院後早期の腎機能低下に超急性期収縮期血圧高度低下が有意に関連し、また腎機能低下者に転帰不良例が多かった。(3)多施設共同研究で、腎機能障害が脳梗塞rt-PA静注療法の治療成績不良や脳出血の3か月後転帰不良に独立して関連した。(4)脳血管障害と慢性腎臓病の関連を、英文総説に纏め、本研究成果も採り入れた。
著者
呉 松竹
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、高価な貴金属めっき(Au, Ag)に代わる次世代超高耐熱めっき材の開発を目指し、新規なナノ積層型のSn/Ag3Sn/Ag(Ag膜厚-20~300 nm)系多層めっきを開発した。このSn/Ag3Sn系多層めっきは、優れた耐熱性、耐摩耗性、耐硫化性および光反射性を持つことが確認された。これら性質は、主に最表面の硬質Ag3Sn層と軟質Ag層の複合化による導電性付与と摩耗性改善の複合効果によるものと考えられる。このSn/Ag3Sn/Ag系多層めっきは、車載端子、LED反射材および大電流高速充電コネクタなどに幅広く応用できると考えられる。
著者
道場 親信
出版者
和光大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

課題に関し、名古屋の「とけいだい」や青森の「大理石」は労働組合との安定した関係と一貫したキーパーソンの存在がサークルの存続を可能にし、広島の「われらのうた」では、半ば同人集団化していくことで持続可能となったことがわかった。また思想の科学サークル戦後史研究会での議論を通じ、60年以後にサークルを研究するサークルとして設立された「集団の会」がもつ意味を掘り下げることができた。故浜賀知彦氏、故村田久氏、故五味正彦氏の旧蔵資料の整理に関わり、資料の保存を進めることができた。思想の科学研究会所蔵の6ミリテープのデジタル化も完了できた。このほかいくつかの資料寄贈を受け、インタビュー調査を実施した。
著者
川上 直秋
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

ある対象に反復して接触するだけでその好意度が高まる現象を単純接触効果と呼び,自らが接触したことを再認できない状況下(閾下接触)においても生起する。今年度は,接触を日々積み重ねることによる累積的効果と,その効果のアウトプットとしての持続性について検討することを目的とした。すなわち,我々が何かに反復して接触する事態というのは,必ずしも一時点で完結するものではない。むしろ,日常的な生活を通して少数ずつの接触が日々蓄積していく。したがって,これらの検討によって,本人の自覚とは独立に日々蓄積していく情報がどのような形で影響を及ぼすか,長期的な視点に立った知見が得られることが期待された。研究では,実験参加者を4群に分け,それぞれ累積接触群(ある刺激画像に1日20回閾下で接触するセットを5日間連続で実施,計100回接触),集中接触群(20回の接触セットを1時点で5回実施),基本接触群(20回の接触セットを1回のみ実施),統制群(接触なし)とした。その結果,集中接触群と基本接触群では,接触した画像への好意度が接触直後から漸減傾向を示したのに対して,累積接触群では効果の減少が見られず,3カ月後まで接触直後の効果が維持されることが明らかとなった。この知見は,自らが接触したことを気付かない無意識的な接触であっても,それが日々繰り返されることによって長期的な影響として累積されることを示唆し,日常的な広告への接触やテレビの視聴による影響過程の解明などへ重要なインプリケーションを有する。
著者
垣谷 俊昭 倭 剛久
出版者
名古屋大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
2000

昨年度までに、タンパク質中のすべての原子対間の電子トンネルカレントを分子軌道法で求め、大きなトンネルカレントを持つ原子対をつなぐことによって、電子移動経路を表現した。今年度は微視的な原子間トンネルカレントに中間的な統計平均操作を施すと、電子移動経路の新たな性質が得られることを見出した。具体的には、Ru-modified azurinを用いる。ドナーは本来のazurinが持っているCu+で、アクセプターは部位特異的に置換したHisに配位したRu3+である。このazurinを300Kの熱揺らぎに晒せて、さまざまな構造を集める。各構造毎にトンネルカレントを書き、電子トンネル因子|T|を計算する。そうすると、|T|は2桁の揺らぎを示した。電子移動速度は|T|の2乗に比例するので、4桁の揺らぎを示すことになる。異常に大きな揺らぎである。これは6箇所の部位特異的に置換したHisに配位するRu3+アクセプターにすべて当てはまった。したがって、ユニバーサルな性質である。その原因をしらべると、大きな|T|を持つときにはトンネルカレントの向きが揃って、スムースな流れにまっている。逆に、|T|が小さいときには、トンネルカレントがスムースに流れているとはいえない。定量化するために、平均的にカレントが行きつ戻りつする回数を指標Qで表し、destructive interferenceの程度を表現した。さまざまな蛋白構造で求めた|T|とQの相関を求めると、|T|はQに逆比例の関係があることがわかった。これから、Qを調節することによって、電子移動速度を最大4桁程度制御する道が開けた。
著者
高田 礼人
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

現在までに多くのウイルス感染症は予防、制圧されてきたが、エイズ、ヘルベス、インフルエンザあるいはエボラ出血熱等の感染症に対する効果的な治療法は未だ確立されていない。本研究の目的は特定のアミノ酸配列をもつ合成ベプチドによってウイルスの感染を選択的に阻害する方法を開発する事である。pSKANファージディスプレイシステムを用いて、現在までにインフルエンザウイルス蛋白質に特異的に結合するファージを選択した。また、エボラウイルスの表面糖蛋白をプラスミドから発現させ、精製する事に成功した。これを用いて、この糖蛋白に特異的に結合するファージを選択した。さらに、エボラウイルス糖蛋白の幹部に存在する螺旋状部位が機能的に重要である事が判明したので、その部位と同様のアミノ酸配列を有する合成ペプチドを作成し、エボラウイルス表面糖蛋白でシュードタイプした豚水泡性口炎ウイルスを用いてウイルス感染性中和試験を行った。その結果、約80%のウイルスの侵入が阻止された。この成績は、この合成ペプチドがエボラウイルス表面糖蛋白の立体構造の変化をさまたげ、その侵入を特異的に阻害したためと考えられる。また、エボラウイルスの糖蛋白に対して誘導される抗体の中には、ウイルスの感染性を増強するものがあり、エボラウイルスの強い病原性に関わっている事が示唆された。したがって、この抗体が認識するエピトープを解析し、そのアミノ酸配列をもつ合成ペプチドを感染個体に投与すれば、抗エボラウイルス薬として有効であるかもしれない。
著者
西原 典孝 小松 香爾 横山 晶一
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究では,フレーム構造論理という新しい論理体系の構築を目指した.本体系は数学的に厳密な意味論を持ち,かつ名詞概念間の階層関係,属性関係,および名詞句に相当する複合概念などを,記号間の直接的関係として記述できる論理体系である.いわば本体系は,自然言語や意味ネットワーク流な"構造的意味表現"が可能な数学的論理体系である.このようなフレーム構造論理の構築は段階的に行われた.まず1)基本体系を公理的体系として構築し,意味論の下での完全性を証明した.さらに,基本体系に対する機械的推論手続きを与え,その完全性,決定可能性を証明した.次に,2)否定概念に相当する補元演算子と集合概念に相当する結(選言)演算子を導入し,体系の表現能力を拡張した.これによって,「動植物(動物+植物)」,「太郎と花子と次郎」などの複合オブジェクトを構造的に記述することが可能となった.3)属性関係の表現力を強化するために,属性関係の属性値に相当するものをオブジェクト化可能にした.また「限量」の概念を導入し,「全称」と「特称」の2種類の限量関係を明確に記述できるようにした.最後に,4)動詞文自体も一つのオブジェクトとして捉え,名詞概念と同様に扱うという手法をフレーム構造論理に取り入れた.このような扱い方は,動詞文を多項関係と捉える従来の述語論理的手法とは本質的に異なり,いわば自然言語の意味表現法により密接した手法であるといえる.これによって,述語論理的枠組みでは高階述語を必要とするような文の意味も表現可能となった.このような体系の構文と集合論的意味論を厳密に定義した.
著者
田原 聡子
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

アレルギー性喘息に対する治療法を確立するにはその病態の理解が重要となる。我々は、抑制性免疫受容体、Allergin-1遺伝子欠損マウスを用いて、House Dust Mite (HDM)抽出物による喘息モデルを検討し、Allergin-1が、気道抵抗、肺胞浸潤好酸球数および血清IgE抗体価を抑制することを見出した。さらに、これらの喘息症状のうち、気道抵抗は肥満細胞上のAllergin-1が担っており、一方、肺胞浸潤好酸球数と血清IgE抗体価は樹状細胞上のAllergin-1が制御することを明らかにし、Allergin-1が喘息治療における標的分子となることを示した。
著者
安藤 杉尋
出版者
独立行政法人農業生物資源研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003

アブラナ科野菜根こぶ病抵抗性育種素材の開発のため、P-NIT2intをプロモーターに用い、根こぶ形成時にAtCKX1,AtCKX2,ARR22を発現させた形質転換体を作成した(シロイヌナズナ、ブロッコリー)。シロイヌナズナのP-NIT2int:AtCKX1,8系統、P-NIT2int:AtCKX2,5系統、P-NIT2int:ARR22,8系統、ブロッコリーのP-NIT2int:AtCKX1,8系統、P-NIT2int:ARR22,7系統に根こぶ病抵抗性試験を行ったところ、全ての系統で根こぶ形成が認められ、抵抗性は認められなかった。同様にCaMV35Sプロモーターを利用したシロイヌナズナ、P35S:AtCKX1,6系統、P35S:AtCKX2,3系統も根こぶ病抵抗性にならなかった。このことから、サイトカイニンの代謝、応答を制御することによる根こぶ病抵抗性の導入は困難と考えられた。また、同様に根こぶ形成時に発現誘導されるBrNIT2及びBrAO1をアンチセンスRNAにより抑制した形質転換ブロッコリーを作成した。P-NIT2int:BrNIT2anti,7系統、P35S:BrNIT2anti,2系統に根こぶ病菌接種を行った結果、NIT遺伝子の発現は非形質転換体に比べて低下したが、根こぶ病抵抗性にはならなかった。また、P-NIT2int:BrAO1anti,2系統についても根こぶ形成が認められた。シロイヌナズナではNIT遺伝子のアンチセンスRNAにより根こぶ形成が遅延することが報告されているが、(Neuhaus et al.,2000)シロイヌナズナでは根こぶでAO活性は上昇しなかった。従って、BrassicaにおいてはNIT,AO両者の関与により、一方のみの発現抑制では効果が低い可能性がある。BrAO1,BrNIT2両方を発現抑制した形質転換体の解析が必要と考えられた。
著者
横山 彰 藤川 清史 植田 和弘
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究の目的は、地球的規模のインフラストラクチャーである地球環境に焦点をあてつつ、環境に負荷を及ぼす人間の諸活動の制御はいかなる経済システムの下で可能になるのかについて考察し、経済システムの中に環境保全のルールを組み込んだ「環境保全型経済システム」を構築するための政策のあり方を明らかにすることである。平成11年度は、本研究組織全員による共同論文"Green Tax Reform : Converting Implicit Carbon Taxes to a Pure Carbon Tax"を完成させ、平成12年8月28-31日スペインのセビリアで開催された甲際財政学会で報告した。この研究では、現行の化石燃料諸税を潜在的炭素税と認識した上で、新たに推計した各化石燃料の需要の価格弾力性に基づき、その税収を変えることなく炭素含有量に応じて課税する純粋炭素税に税率を改変することによって、約1,833万トン炭素を削減できる点を提示した。さらに、税制のグリーン化及び環境・エネルギー関連税制を中心とした環境保全型経済システムの構築において国と地方政府の役割分担を検討し、地方環境税と地方環境保全対策のあり方を考察し、地方環境税の意義を明らかにした。平成13年度は、本研究の最終年度であり、環境・エネルギー関連税制を中心とした環境保全型経済システムの構築を具体化するための研究を取りまとめた。研究代表者の横山と研究分担者の植田は、本年度までの本研究成果を基礎にし、自治総合センター「地方における環境関連税制のあり方に関する研究会」と環境省中央環境審議会「地球温暖化対策税制専門委員会」などの公的な政策現場においても委員として専門的発言をしてきた。また研究分担者の藤川は、産業連関分析による産業構造変化の検討を通して、日本の経済発展と環境負荷について論文をまとめた。
著者
宮下 志朗
出版者
放送大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

「プランタン=モレトゥス工房」は、フランスからアントウェルペン(アントワープ)に移住したクリストフ・プランタン(1520?-1589)が立ち上げた出版工房で、16世紀後半から17世紀前半にかけて、ヨーロッパ随一の規模を誇り、いわばヨーロッパの出版センターとして繁栄します。工房は出版物はもちろんのこと、活字・版木・道具類なども、その建物と共に非常に大切に保存されてきました。そして2005年には「世界文化遺産」に指定されて、ますます注目を浴びるようになっています。そこでわたしは、「文芸の共和国」という切り口により、ネットワーク上の作家(モンテーニュ、リプシウス)や、プランタンの活動を考察しました。