著者
安居院 あかね 池田 直
出版者
独立行政法人日本原子力研究開発機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

軟X線領域の発光は励起された内殻電子が属するイオン内で光学過程が完結する局所発光モデルで説明されてきた。本研究は電荷秩序状態でFe2+とFe3+が交互に配列するLuFe2O4においてFe3d-2p発光分光スペクトルを測定し、スペクトル構造がFe2+及びFe3+に起因する構造だけでは説明できず、両イオンが光学過程に参加する非局所発光があることを検証した。電荷秩序系物質の示すさまざまな物性を引き起こす電子相関も非局所発光過程の観測から議論できると期待される。
著者
芳村 博実 荒牧 典俊 桂 紹隆 早島 理 能仁 正顕 内藤 昭文 藤田 祥道 乗山 悟 那須 良彦
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

「何が仏説か」という問いは大乗経典の登場によって部派仏教徒から初めて投げかけられたものではない。仏滅後徐々に増大していった初期経典のなかに「善説」であれば「仏説」であるという考えが登場し、アビダルマの学僧たちによって「法性に違わなければ仏説である」と定義されたのを受けて、大乗仏教徒たちは「大乗仏説論」を確立することができた。『大乗荘厳経論』第1章は、最も完成された「仏説論」を展開している。
著者
三浦 伸一
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

水分子系を念頭におき、水素結合分子集団の量子状態の計算を厳密に実行するシミュレーション手法の開発を行った。このシミュレーション手法は変分経路積分法にその基礎をおき、本研究では運動方程式を用いて計算を実行する分子動力学法およびハイブリットモンテカルロ法の開発を行った。またシミュレーションパラメータの探索に有用と考えられる、調和振動子系に対する解析解の導出もあわせて行った。本手法は、水素分子クラスターおよび水1分子の系に対して適用され、その有効性が明らかになった。このことにより本シミュレーション手法は水素結合分子集団に対する大いに有望な量子シミュレーション手法であることが示された。
著者
三宅 健介 柴田 琢磨
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012

我々は、EpithelialMembraneProtein3のトランスジェニックマウス(Emp3Tg)の作製および解析を行い、同マウスが自然発症性に拡張型心筋症様の病態を呈することを見出した。全身性にEmp3およびCre遺伝子を発現するEmp3Tg/CAG-Cre(n=11)は23週齢までに100%が死亡し、その多くが拡張型心筋症様の症状を呈した。しかし、Emp3TgマウスからCAG-Cre遺伝子を除くことで拡張型心筋症は発症しなくなるという予想外の結果となった。CAG-Creマウス自体にはDCM様症状は全く認められないことから、Cre遺伝子の強制発現により誘導される何らかの異常をEmp3が増長すると考えられる。今後、CAG-Creマウスで誘導されると予測されるERストレスなどにおけるEmp3の役割の解明が求められる。
著者
儀利古 幹雄
出版者
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

最終年度は、漢語複合名詞アクセント(例:末広町、運動会)の平板化に焦点を当てて研究を行った。はじめに漢語複合名詞に関する全体的な調査を行った結果、アクセントの平板化を起こしている度合いが著しい語群が観察されたので、それらを特に重点的に調査した。具体的には「~町」「~会」「~祭」といった漢語複合名詞について、そのアクセントが平板化を起こしているかどうか、起こしているとすればその要因はどういったものなのかを調査・分析した。調査の結果、「~町」「~会」「~祭」という漢語複合名詞のアクセントは、高年層から若年層へと世代が下るにつれて平板化を起こしていることが明らかになった。ただ、これらの語群のアクセントの平板化には、話者の世代という言語外的要因以上に、言語内的要因(言語構造的要因)が大きく影響を及ぼしていることも統計的に明らかになった。具体的に述べると、前部要素(「末広町」の「 末広」、「運動会」の「運動」)が3モーラである場合は4モーラである場合と比較してアクセントの平板化の進行具合が早く、また、2 モーラや5モーラ以上である場合はアクセントの平板化は起こらないが明らかになった。さらに、前部要素の末尾の音節構造が重音節の場合は軽音節の場合と比較して、アクセントの平板化の進行が遅いことも明らかになった。これらの結果は、アクセントの平板化という言語変化現象は、ただ単に「若者」が引き起こしているのではなく、言語構造そのものにも大きな原因がある、すなわち、アクセントの平板化を起こしやすい語と起こしにくい語がそもそも存在しているということを示唆している。この結果は、アクセントの平板化の原因として言語外的要因のみを重点的に扱ってきた従来の研究に対して一石を投じるも のである。
著者
有田 正博 鱒見 進一
出版者
九州歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

納豆は食品ですが、納豆石鹸をはじめ、その成分の効能を活かした食品として以外の使用も試みられています。納豆のネバネバは、納豆菌が作るポリ-γ-グルタミン酸(以下、γ-PGA)という物質で、生体適合性、生体内分解性、生分解性、保湿性、吸湿性に優れています。そこで、このγ-PGA を含有した入れ歯安定剤を作ることを検討しました。現在市販されている入れ歯安定剤よりも、γ-PGA は口腔不快感が少なく、入れ歯が非常に安定することがわかりました。
著者
丸尾 昭二
出版者
横浜国立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究では、マイコプラズマモービレ(以下、モービレ)と呼ばれる滑走バクテリアのランダム運動による衝突エネルギーを利用して、一定方向に回転するバイオマイクロモーターの開発に取り組んだ。モービレの特異な運動特性を活用したモーターの回転シミュレーションおよび実証実験を行った。解析では、ブレード枚数やモービレ数による回転効率の比較を行った。実験では、種々のマイクロモーターを作製し、複数のモービレの衝突による回転を実証した。
著者
松本 幸三
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

軸回転運動が可能な官能基としてコハク酸イミド構造の官能基を持つビニルエーテル系ポリマー、ならびに5員環環状カーボナート構造の官能基を持つポリカルボシランを合成し、得られたポリマーにリチウム塩を添加して高分子固体電解質としての特性評価、ならびに、リチウムイオンバッテリー用の電解液のゲル化によるゲル電解質よしての特性評価を行った。その結果、5員環環状カーボナート基を持つポリカルボシランが、高リチウムイオン添加条件下で特に高いイオン伝導度を示すことを見出した。
著者
中 正樹 小玉 美意子 日吉 昭彦 小林 直美
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の目的は2つある。第1に、日本のテレビニュース番組がロンドン五輪開催期間にどのようにニュースを報道したのかを内容分析することである。第2に、その分析結果と北京五輪開催期間における同様の内容分析の結果を比較することである。ロンドン五輪開催期間のニュース報道の内容分析結果は、2014年度武蔵社会学会で報告した。また、『ソシオロジスト』No.17に論文として発表した。2つの五輪開催期間のニュース報道の内容分析結果の比較に関する考察は、EASM2015で報告した。これら2つの研究目的の達成を通じて、日本のテレビニュース番組における国際報道のニュース・フレームについての知見を得た。
著者
田村 武幸
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

ブーリアンネットワーク(BN)は、細胞内での遺伝子の制御関係を記述するための離散的な数理モデルのひとつである。BNの定常状態を求める問題やBNを制御する問題はNP困難であることが知られているが、近年の計算機の高性能化により中規模のBNであれば厳密アルゴリズムや整数計画法を用いて解ける場合がある。本研究課題では、AND/OR BNの周期が2の定常状態を見つける厳密アルゴリズムを開発し、周期が1のBNの定常状態を見つける問題や、BNを目的状態へ導く問題、定常状態を制御する問題に対する整数計画法に基づく手法を開発した。
著者
立野 勝巳
出版者
九州工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では, 動物の感覚受容機構に発想を得たセンサシステムを提案した. 本センサシステムは, 電気受容細胞が雑音を活用して神経活動を同期させる現象を利用して, 入力信号の強度と違いを出力パルスの発火頻度と同期の程度に符号化する神経回路である.神経回路の構造は, マウス味蕾を参考にした. 基礎データとして, マウスの味蕾細胞モデルを作成したり, グラスキャットフィッシュの電気刺激に対する行動を調べたりした. 行動実験では, 電気刺激に対するグラスキャットフィッシュの忌避行動を明らかにした.
著者
岩崎 邦彦 藤澤 由和
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

インバウンド戦略を検討するために定量的調査を実施し、外国人が意識する日本のイメージや強み、及びおもてなしを含めた日本における観光の魅力等について把握するとともに、同じ日本を対象とした日本人による国内観光旅行がどのような需要によって生じているかに把握を試みた。特に、今年度の分析では訪日人数が欧米において最も多く、長期に渡って安定的に多いアメリカ人を対象に調査を実施した。その結果、アメリカ人が思う日本人の強みは、文化・人・食にあることが示さ、その一方で日本人が思う日本の強みがおもてなし・安全・治安というように両者で一致しないことが明らかとなった。
著者
上羽 牧夫 塚本 勝男
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

結晶成長における対称性の破れの増幅現象を,溶液成長のおける結晶カイラリティの転換と結晶表面のステップパターンの不安定化の現象を中心に研究した.その成果として, 1)カイラルクラスターの結晶化によって,結晶を粉砕攪拌している条件下で結晶カイラリティの転換が可能であることを,いろいろなレベルのモデルによって示しえた. 2)ステップの上段と下段の対称性がないために,定速粒子源の移動,高密度吸着原子の層成長による形態緩和などで他に例を見ない興味深いパターン変化が実現することが分かった.
著者
下山 淳一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究課題は、従来に無い高い酸素分圧下での合成や後熱処理による新規酸化物高温超伝導体の開発を目的としたものである。特性としては臨界温度の最高記録を目指すもので、平成10年度、11年度の2年間にわたる課題であった。主要備品である高圧酸素雰囲気発生装置を平成11年度に購入し、装置の立ち上げと性能検査を兼ねた基礎的な研究によって、所期の目標とした合成環境(酸素分圧500気圧以上)が達成可能であることを確認した。様々な銅系複合酸化物超伝導体のなかで従来最高の臨界温度を持つ水銀系超伝導体にまず着目し、広い範囲での化学組成比制御、元素置換や酸素量制御を試みてきた。結果的に、この系では高圧酸素雰囲気発生装置を用いても臨界温度を更新することはできず、タイ記録にとどまった。平行して、新規酸化物高温超伝導体の探索研究を様々な元素の組合わせで実施したが、このなかで新たに鉄を基本構成元素とする新超伝導体を平成11年末に発見した。化学組成式はFeSr_2RECu_2O_y(REは3価希土類元素、酸素量yが7.66以上のとき超伝導を示す)である。この元素の組合わせで合成できる相は従来半導体と考えられていたが、還元前処理に加えて高酸素圧下熱処理によって酸素量yを7.66以上にしたことにより初めて超伝導を発現した。この物質は銅以外に第一遷移金属元素を主構成元素として含む初めての高温超伝導体であり、新しい超伝導物質の設計・探索の切り口を開いたものである。さらに遷移金属特有の磁性と超伝導を合わせた新しい機能が期待できる。以上の成果についてはこの2月の高温超伝導国際会議で発表し内外から広く注目を集めた。
著者
武藤 正典
出版者
岐阜市立長良中学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

〈研究の目的〉観察, 実験を通して, 自然の事物・現象から発見した事実をもとに考察し, 問題を解決する喜びを実感できる授業を展開し, 科学的リテラシーを育成する理科の指導法を砲立する。〈研究の方法〉中学校第1学年の単元「大地の成り立ちと変化」において, 「剥ぎ取り法」を用い, 理科室でも野外観察と同等の観察・実験を行う。そこで得られた事実から, 地層の成り立ちについて考え, 課題を設定し, モデル実験で検証することで, 地層の成り立ちを考える。この一連の学習活動を通して, 科学的リテラシーを育成することができたかを検証する。〈研究の成果〉直接観察が可能だからこそ, どう観察させるのか, その観察の方法を確かにすることが科学的リテラシーを育成する第一歩となる。まずは地層全体をスケッチさせた上で, 直接観察する視点を明らかにした。特に, 構成物の大きさや粒形を, 手触りなど五感を大切にして直接観察させることで, 事実をもとに仮説を立てることができた。また, この観察を最初に行うことで, すべての子どもが共通の土台に立って追究を始めることができた。次に, 仮説を検証するために, 礫や砂等を用いてモデル実験を行い, 自分の仮説を自分で実際に確かめるという実験を位置付けたことで, 目的意識が高まった。また, そこで得られた事実をもとに検証することで, 地層の成り立ちについて実感を伴った理解を図ることができた。事後調査を行ったところ, 視点をもって剥ぎ取った地層を直接観察したことで, 課題化につながる事実を生徒全員がつかみ, 高い課題意識をもって追究を始めることができたことがわかった。同時に, 仮説を検証するモデル案験への目的意識も高まった。剥ぎ取った地層を視点をもって観察させることが科学的な探究を生み出し, 科学的リテラシーを高める一助となった。
著者
三輪 容子
出版者
日本歯科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

今回の研究でアカハライモリの歯の発生/再生過程においてVEGFとVEGFレセプターの特徴的な局在性が示された。VEGFはヒト、げっ歯類同様イモリの歯の発生においても内エナメル上皮や象牙芽細胞の分化に幅広く影響を与えている可能性が考えられる。
著者
和田 浩一 田端 真弓 都筑 真 永木 耕介 藤坂 由美子
出版者
フェリス女学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は明治前期に刊行された歴史書を分析し、日本が古代オリンピックをいかに受容・解釈したのかに焦点を合わせる。主な成果として、1)ギリシャ史・西洋史・世界史に関する歴史書116冊のうち、73冊に古代オリンピックに関する記述が含まれていたこと、2)古代オリンピックは中等・高等教育における学習課題だったこと、3)当時の知識人たちは古代オリンピックの社会的な機能を日本のスポーツ文化の説明に援用していたこと、が挙げられる。
著者
相馬 秀廣 高田 将志 舘野 和己 小方 登 伊藤 俊雄 白石 典之
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、QuickBird, Coronaなどの高解像度衛星画像をベースとして,地理学・歴史学・考古学・第四紀学などが連携した文理融合的研究を通して,点から線さらに面への空間的視点,および,過去から現在あるいは現在から過去への時間的視点の両側面から,囲郭・集落(居住拠点跡),耕地・耕地跡(生産活動),水利用(灌漑水路跡),それらの空間的関係(施設配置,シルクロード,交通路),さらに放棄後の景観変化などを例として,中央アジアから中国,モンゴルにかけての乾燥・半乾燥地域を主な対象として,遺跡立地と景観復元に関わる方法論,衛星考古地理学的研究法を確立することを目的とした.2012年度は、2011年度に引き続き,モンゴル南部オムノゴビ県のサイリン・バルガスン遺跡および周辺地域において,モンゴル科学アカデミー考古研究所の協力を得て,研究分担者の白石を中心として、囲郭の詳細,灌漑水路跡の有無確認などの現地調査を8月に実施した.また、6月には、研究分担者の小方が「1960年代に撮影された偵察衛星写真の遺跡探査・歴史的景観復原における有用性」のタイトルで、京都大学で開催された日本文化財科学会第29回大会で、成果の一部を発表した。しかしながら、研究代表者相馬の予期せぬ急逝により当該研究の遂行が不可能となったため、残念ながら本研究課題は、8月11日をもって終了することとなった。
著者
青木 圭子 大西 楢平
出版者
東邦大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、液晶のモデルである平行冠球円柱粒子系に現れる結晶-ヘキサティック・スメクティックB(HexB)液晶相-スメクティックA液晶相転移系を対象として、熱力学的平衡状態および準安定状態を研究した。この研究は、ソフトマターの研究のために開発されたシンプレクティック分子動力学シミュレーション法を用いた。前記の相で、様々な物性値とともにエントロピーなどの熱力学量を系統的に計算し、解析することによって、これらの液晶相および液晶相転移について知見を得た。特に HexB 液晶では、多数の熱力学的準安定状態が発見され、それらが自由エネルギー位相空間内でどのようにトポロジカルにつながっているかを解析した。
著者
小田 司 山下 孝之
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

1)分子シャペロンHSP90が、突然変異に関わるY一ファミリーDNAポリメラーゼREV1の細胞内安定性やDNA損傷部位への集積を制御していることを明らかにした。2)熱ショック応答転写因子HsF1をRNAiで抑制すると、DNA損傷応答の活性化が誘起されずに細胞老化が誘導されることを見いだした。この過程において、p53の安定化とp21の発現誘導が必要であることを明らかにした。